特定技能の基本情報
2019年4月から導入された「特定技能制度」は、一定のスキルを持つ外国人労働者の雇用につながるため、人材不足の軽減が期待できる在留資格です。特定技能の外国人材を自社で確保するには、まず何に取り組むべきか知りたい方も多いのではないでしょうか。
この記事では、特定技能の概要を紹介したうえで、種類別の特徴や対象分野、受け入れる流れなどをわかりやすく解説します。これから外国人労働者の受け入れを検討しているという企業担当の方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
「特定技能」は在留資格の一つ
特定技能制度の目的は、一定の専門性や技能を持つ外国人を受け入れることで、この制度を利用して取得できる在留資格が「特定技能」です。
日本には、就労できる在留資格が19種類ありますが、その多くは活動できる職種が限定的です。例えば、在留資格「教育」の活動に該当する職種は中学校・高校などの語学教師、在留資格「医療」の活動に該当する職種は医師や歯科医師、看護師などとなります。
一方、特定技能は、国内での人材確保が難しい状況にある12の特定産業分野で、働き手を確保できることが特徴です。ほかの在留資格に比べると、対象となる外国人材の間口は広いといえるでしょう。
ただし、即戦力として稼働してもらうことが前提であるため、それぞれの分野に精通した一定レベル以上の知識・技能が求められます。
在留資格「特定技能」は2種類に分類されている
特定技能は2つの種類に分かれています。以下の項目では、それぞれの特徴や違いなどを見ていきましょう。
特定技能1号
特定技能1号の対象者や在留期間は、以下のとおりです。
出入国在留管理庁の「特定技能在留外国人数(令和4年12月末現在)」によると、2022年末時点で特定技能1号を取得している外国人の数は13万915人です。国籍別に見ると、ベトナムが7万7,135人と過半数を占め、インドネシアが1万6,327人、フィリピンが1万3,214人と続いています。
特定技能2号
特定技能1号の修了者が希望し、対象者として認められた場合は2号へのステップアップが可能です。特定技能2号の対象者や在留期間は、以下のとおりです。
特定技能2号に初めて外国人が認定されたのは、2022年4月です。そのため、出入国在留管理庁の同資料によると、2022年末時点の2号取得者数は、建設分野の8人しかいません。今後の受け入れ数の拡大が期待される在留資格といえます。
特定技能の外国人労働者の受け入れが可能な分野
ここでは、特定技能外国人の受け入れが可能な特定産業分野を、1号と2号に分けてそれぞれ紹介します。
なお、特定産業分野とは、国内での人材が足りておらず、一定の能力を持った外国人材を雇用して労働力を確保すべき産業分野です。
特定技能1号の分野
特定技能1号で受け入れ対象となっているのは、以下12の特定産業分野です。
1.介護
2.外食業
3.宿泊
4.ビルクリーニング
5.素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業
6.建設
7.造船・舶用工業
8.自動車整備
9.航空
10.農業
11.漁業
12.飲食料品製造業
上記に挙げた対象業種に企業が該当しない場合は、特定技能外国人を雇用できないので注意しましょう。
特定技能2号の分野
従来、特定技能2号で受け入れ可能な分野として認められているのは、「建設」と「造船・舶用工業の溶接区分」のみでした。
しかし、2023年6月9日の閣議決定により、特定産業分野のうち「介護」を除く9分野と、「造船・舶用工業」の5つの区分が追加されることになりました。
【追加される9分野】
1.外食業
2.宿泊
3.ビルクリーニング
4.素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業
5.自動車整備
6.航空
7.農業
8.漁業
9.飲食料品製造業
【造船・舶用工業分野で追加される業務区分】
・塗装
・鉄工
・仕上げ
・機械加工
・電気機器組立て
なお、介護が特定技能2号の対象分野に追加されていないのは、すでに在留資格「介護」があったためです。在留資格「介護」の在留期間は、特定技能2号と同様に上限が設けられていないので、長期にわたる就労が可能です。
【特定産業分野別】運用方針の確認方法
特定産業分野は、各所管省庁などによって運用方針や運用要領、試験に関する情報などが定められています。以下では、所管省庁ごとに対象分野を紹介するので、特定技能外国人の雇用を検討するうえで参考にしてみてください。
上表のとおり、各所管省庁によって対象分野は異なります。自社事業が適合しているか知りたい場合は、各所管省庁のWebサイトで調べたり、直接問い合わせたりするとよいでしょう。
特定技能の外国人労働者を受け入れるまでの主な流れ
特定技能の外国人労働者を受け入れるまでの主な流れは、以下のとおりです。
1.人材を募集する
2.「特定技能雇用契約」を締結する
(※登録支援機関のサポートを受ける場合は、「支援委託契約」を結ぶ)
3.支援計画を策定する
4.在留資格認定証明書の交付申請を行う
(※外国人がすでに在留している場合は、変更申請を行う)
5.就業をスタートする
なお、特定技能外国人を受け入れる企業は「特定技能所属機関」として、各種の届出も義務付けられています。
外国人労働者と雇用契約を結ぶ「特定技能所属機関(受入れ機関)」とは?
特定技能所属機関とは、特定技能外国人と雇用契約を結ぶ企業や個人事業主を指し、「受入れ機関」とも呼ばれ、特定技能所属機関として認められるための基準や果たすべき義務が定められています。
以下の項目では、その内容について、解説いたします。
特定技能所属機関(受入れ機関)が外国人労働者を受け入れるための基準
受入れ機関になるための基準と、具体的な条件例は以下のとおりです。
受入れ機関を目指す際は、自社が基準から逸脱していないことを確認しましょう。
特定技能所属機関(受入れ機関)が果たすべき義務
特定技能所属機関は、以下のような義務を果たす必要があります。
・外国人と結んだ雇用契約を確実に履行する
・適切な支援を実施する
・出入国在留管理庁への各種届出を行う
上記を怠った場合、外国人を受け入れられなかったり、出入国在留管理庁から指導、改善命令などを受けたりすることがあります。
特定技能所属機関(受入れ機関)をサポートする「登録支援機関」とは?
特定技能外国人に対する支援は特定技能所属機関が行うほか、出入国在留管理庁長官の登録を受けた「登録支援機関」に、支援のすべてを任せることも可能です。
登録支援機関は「登録支援機関登録簿」に登録され、出入国在留管理庁のホームページに掲載されます。なお、登録有効期限は5年で、更新を受ける際は登録更新申請の手続きが必要です。
以下の項目では、登録支援機関になる基準や義務、受入れ機関側が受けられるサポート内容を見ていきましょう。
登録支援機関になるための基準や義務
登録支援機関になるための基準や、課される義務は以下のとおりです。
【登録支援機関になるための基準】
・支援機関自体が適切である
・外国人を支援する体制が整っている
【登録支援機関に課される義務】
・外国人労働者への支援を適切に実施する
・出入国在留管理庁への各種届出を行う
上記の義務を怠った機関は、登録を取り消されることもあります。
自社のパートナーに適した登録支援機関を探すには、具体的なサポートの内容や、過去の実績などをしっかりとチェックすることが大切です。
登録支援機関によるサポート内容
登録支援機関は、特定技能所属機関(受入れ機関)が作成する支援計画について、その実作業を委託によって引き受けることが可能です。
以下は、特定技能所属機関(受入れ機関)が行うおもな支援内容です。
・事前ガイダンス
・住宅確保の支援
・生活オリエンテーションの実施
・相談・苦情の対応
・日本語学習機会の提供
・出入国送迎
・公的手続きなどの同行
・日本人との交流促進
・定期面談・行政機関への通報
・転職支援
もともと特定技能所属機関の支援には、義務的なものと任意的なものがあると、法務省の「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」に定められています。
例えば、「事前ガイダンス」の項目における入国手続きの説明などは、専門的な内容が含まれるため、自社ですべての支援を実施するのは難しいかもしれません。しかし、登録支援機関のサポートを受ければ、専門的な内容に関してもスムーズな進行が可能となり、自社の負担を減らせます。
また、外国人材が安心して日本で生活できるように、独自のサービスを提供している機関もあります。手厚いサービスのある機関を選ぶことで、外国人材を自社に定着させやすくなるでしょう。
まとめ
特定産業分野の人手不足に対応できる特定技能は、
登録支援機関によるサポートご検討される際には、ぜひ、ONODERA USER RUN(オノデラユーザーラン)へご相談ください。自社運営の海外現地アカデミーで、人材の募集から、
特定技能外国人の雇用を検討しているという採用企業担当の方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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