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【最新動向】育成就労制度とは?基本的な考え方や重要なポイントを解説

2024.01.05

人権侵害などが指摘されていた技能実習制度に代わり、育成就労制度の創設に向けた動きが本格化しています。これからの外国人材の雇用をスムーズに行うためにも、育成就労制度の概要や要点について知りたい方も多いのではないでしょうか。

今回は、育成就労制度の概要や基本的な考え方、重要な5つのポイントを解説しますので、ぜひ参考にしてください。

育成就労制度とは「技能実習制度の代替となる新制度」

2023年11月24日、政府の有識者会議は、技能実習制度の代替となる「育成就労制度」の創設に向けた最終報告書を取りまとめました。

同月30日には、法務大臣へと最終報告書が提出されており、2024年の通常国会での関連法案の提出を目指しているとのことです。同報告書によると、現行の技能実習制度を廃止して育成就労制度が創設されることで、技能実習制度では最長5年であった在留期間が、基本3年となる予定です。

参考:技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議「最終報告書」(令和5年11月30日)

 

現行の外国人技能実習制度の概要や受け入れ方法、具体的な職種に関しては以下の記事もご参照ください。

外国人技能実習制度とは?認められる在留資格・職種などの基本をまとめて解説

技能実習生とは?制度や企業が受け入れる方法・流れ、注意点を解説

新制度創設の流れとなった背景

育成就労制度が新たに創設される流れとなった背景には、技能実習制度が抱えていた複数の課題が関係しているといわれています。そもそも技能実習制度は、開発途上国などの外国人に対して技能移転を行う制度で、人材育成を通じた国際貢献が目的です。

しかし、日本国内で人手が不足している産業において、労働力の確保を目的に技能実習制度が利用されているケースもあり、目的と実態が乖離しているとの指摘が挙がっていました。

一部では、技能実習生に対する賃金の不払いやパワーハラスメント、技能実習生の失踪が発生するなど問題点が複数あり、特に失踪者数の増加は深刻化しつつありました。出入国在留管理庁の資料によると、2013年の失踪者数は3,566人でしたが、2022年の失踪者数は過去2番目に多い9,006人となっています。

2023年4月28日の時点で、技能実習制度の廃止について盛り込まれた「中間報告書」が取りまとめられており、今回の最終報告書の提出へと繋がっています。

参考:出入国在留管理庁「技能実習生の失踪者数の推移」(平成25年~令和4年)

 

技能実習制度が新制度へ移行する経緯や、外国人・企業・関連団体におよぶ影響などについては、以下の記事で紹介しているのでご参照ください。

【技能実習生の受入れ制度が新制度へ移行】経緯や外国人・企業への影響などを解説

 

技能実習から育成就労へ!制度見直しで示されている基本的な考え方

育成就労制度の創設に向けて、現行の技能実習制度・特定技能制度を見直すにあたり、基本的な考え方として視点(ビジョン)や方向性、留意点が示されています。

特定技能制度とは、技能実習生からの移行も可能な在留資格「特定技能」に関する制度のことで、人手不足が顕著な12の特定産業分野で外国人の受け入れが可能です。

 

以下では視点や方向性などの内容に関して、最終報告書の内容をもとに紹介します。

参考:技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議「最終報告書」(令和5年11月30日)

 

見直しで重視された視点(ビジョン)

制度の見直しに際して、国際的な理解を得られ、日本が外国人材の就労先として選ばれるように以下の3つの視点(ビジョン)が重視されました。

上表のとおり、新制度への見直しに際しては、日本で就労する外国人材の人権保護やキャリアアップなどにも重点が置かれています。

見直しの4つの方向性

制度見直しでは、以下4つの方向性が示されました。

実態に即した制度へ見直す方向性のほか、外国人材の技能・知識の段階的な向上や、日本語能力の段階的な向上に向けた仕組みとするなどの方向性が示されていました。

見直し時の留意事項

制度見直しに際しては、以下2つの留意事項があったこともポイントです。

実態に即した制度へ見直す方向性のほか、外国人材の技能・知識の段階的な向上や、日本語能力の段階的な向上に向けた仕組みとするなどの方向性が示されていました。

見直し時の留意事項

制度見直しに際しては、以下2つの留意事項があったこともポイントです。

上表のとおり、現行制度の利用者や、人材確保が課題となっている地方や中小零細企業への配慮が留意事項となっています。

育成就労制度で重要な5つのポイント

続いて、育成就労制度のなかでも重要なポイントに関して、最終報告書を参考に5つ紹介します。

参考:技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議「最終報告書」(令和5年11月30日)

新制度の概要・特定技能制度との関係性

前述のとおり、育成就労制度では在留期間を基本3年としており、未熟練労働者として受け入れた外国人を育成する期間中に、即戦力として位置づけられている特定技能1号の技能水準に達する人材への育成を目指します。

また、特定技能制度は即戦力の外国人材を受け入れるという現行制度の目的を保ちながら、適正化したうえで継続させる方針が示されていることもポイントです。特定技能1号から、より高いレベルの熟練技能が求められる特定技能2号へ移行できれば、家族帯同が許可されるうえ、無期限の就労も可能になるため、外国人が実質的に永住できることになります。

なお、大企業向けである現行の企業単独型技能実習のなかでも、趣旨・目的が新制度と沿うものは適正化したうえで存続させる予定とのことです。一方、趣旨・目的が異なるものは、別の枠組みでの受け入れを検討するとしています。

受け入れ対象となる職種

現行の技能実習制度の対象職種・作業は「90職種165作業」(2023年10月31日時点)ですが、新制度ではそのまま引き継がず、新たに設定するとしています。育成就労制度は、特定技能1号への移行が目的の人材育成制度となるため、就労対象となる分野が特定技能制度における特定産業分野に限定されます。その際、就労を通じた人材育成になじまない分野に関しては、対象外となる見通しです。

また、従事できる業務範囲は、特定技能の業務区分と同一になる予定です。季節によって稼働状況が変わる農業・漁業については、その業務の実情に応じた受け入れ・勤務形態を認めることも検討するとしています。

必要な日本語力

新制度で受け入れた外国人材に対しては、以下のように段階的な日本語能力の向上が求められるとしています。

上表のとおり、日本語能力は在留資格の種類に合わせて、段階的な向上を求められる見込みです。ちなみに、日本語能力A1では初級レベルの日本語でコミュニケーションを取れる程度ですが、日本語能力A2以上になると日常生活や職場でコミュニケーションを図れるレベルになります。

転籍制度のあり方

技能実習制度の転籍における「やむを得ない事情がある場合」の範囲を、新制度では拡大および明確化する予定です。例えば、職場でハラスメントなどが発生した場合、確認などの手続きを柔軟化することに加えて、転籍が許可される範囲や手続きに関して、関係者への周知を徹底するとしています。

また、人材育成の観点から1つの受入れ機関での3年にわたる継続的な就労を推奨する一方、一定要件下では外国人本人の意向による転籍が認められる方針が示されています。

外国人本人の意向による転籍で、満たすべき要件は以下の3つです。

  1. 1.同一の受入れ機関での就労期間が1年を超えている
  2. 2.技能検定試験基礎級等、および日本語能力A1相当以上の試験に合格している
  3. 3.転籍先となる受入れ機関が、適切であると認められる要件を満たしている
  4.  
  5. なお、転籍できる範囲は、すでに就労している業務区分と同一の区分内に限られるとのことです。
  6. 監理・支援・保護のあり方

  7. 育成就労制度では、監理・支援・保護体制が強化される予定で、組織ごとのおもな方針は以下のとおりです。
  8. 上表のとおり、新制度下では外国人に対する適切な支援・保護が強化されるように、それぞれの組織の方針が打ち出されています。
  9. まとめ

  10. 現行の技能実習制度を廃止し、新たに育成就労制度を創設する内容をまとめた最終報告書が2023年11月末日に提出されました。育成就労制度では、外国人の人権保護やキャリアアップなどを重視し、特定技能1号に必要な技能水準に達する外国人材の育成を目指すとしています。

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