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制度・雇用契約

介護の技能実習生を受け入れる際に注意すべきポイント

2021.09.01

介護業界は常に人材不足であるため、外国人の技能実習生を受け入れている企業も少なくありません。貴重な人材を雇用できる機会ですが、技能実習生を受け入れる際には注意すべきポイントがあります。

当記事では外国人の技能実習生を受け入れる際に、企業が覚えておくべき注意点について解説します。

外国人技能実習制度の概要

介護の分野に限らず、企業としては外国人技能実習制度の概要について知っておくことが重要です。

外国人技能実習制度とは、先進国である日本の知識や技術を、途上国に伝えることを目的に作られたシステムです。

1993年に始まった制度で、現在では3年から5年の実習期間が設定されています。

介護の分野で外国人技能実習制度が始まったのは2017年とまだ日が浅く、今後どのように制度が利用されていくか注目されています。

技能実習生の受け入れ方の分類

外国人技能実習制度で技能実習生を受け入れる方法には主に2種類があります。

1つは、海外に拠点を持つ企業が外国の現地法人に勤務する職員などを受け入れる「企業単独型」です。

海外の支店や法人に勤務している人を実際に見て受け入れを決定するため、企業側は技能実習生の人柄や勤務態度などを知ったうえで知識や技術を教えられます。

さらに実習期間終了後も自社の支店などで働いてもらえるため、受け入れの際にかかったコストを回収するのが比較的簡単です。

ただし、企業単独型は監理団体を経させないため、すべての手続きを自社で対応しなければなりません。

一方、多くの企業が採用しているのが監理団体を通す「団体監理型」です。

技能実習生の受け入れを目的に作られた非営利団体である監理団体が、技能実習生の募集や手続きを行い、企業が法律に従って技能実習生を扱っているかチェックする役割も果たしています。海外に拠点を持たない企業は団体監理型で技能実習生を受け入れるケースがほとんどです。

介護の技能実習生の受け入れのルール

介護の技能実習生を受け入れる場合、ルールに従わなければなりません。

介護の技能実習生の受け入れの基本的な3つのルールを見ていきましょう。

1.必要なコミュニケーション能力

介護の技能実習生を受け入れる場合、コミュニケーション能力は必須条件です。

1年目の技能実習生の場合、日本語能力試験(JLPT)のN4程度が要件となっています。N4とは、基本的な日本語が理解できる能力のことです。

日常的に使われる日本語をある程度理解することができるJLPT N3は、2年目以降の要件となります。入国の時点でN3程度を身に着けている技能実習生は、重宝される人材となるでしょう。

2.技能実習生の経験

技能実習生の受け入れには、本人の前職も大きく関係してきます。

団体管理型の場合、介護の分野で働く技能実習生の場合、同種の業務を行ったことがあるか、介護の分野で働くための特別な事情があることが条件となります。

たとえば、外国で老人ホームや障がい者の介護施設で働いた経験があったり、介護士や看護師の資格保有者、または帰国後介護関連の仕事を従事したい外国人が該当します。

3.入国後の講習

介護の技能実習生の場合日本語科目について240時間以上と、介護導入講習について42時間以上の講義を受けなければなりませんが、入国前講習において各科目の所定時間数の半分以上の時間数の講義が行われた場合には、入国後講習において各科目の時間数の半分を上限として短縮することができます。

介護の技能実習生の受け入れの流れ

介護の技能実習生の受け入れを検討している企業は、どのような手続きが必要なのかを理解しておかなければなりません。

1.事業協同組合への申し込み

団体監理型の場合、まず事業協同組合への申し込みを行います。

介護の分野で技能実習生を受け入れる場合、企業や事業所が海外に支店などを持っていることはまれなので、事業協同組合を通した方が受け入れの負担が少なくて済みます。

事業協同組合への申し込みの時点で雇用条件確認書や就業カレンダー、寮や宿泊施設の住所や間取りなどの必要書類を提出しなければなりません。

2.実習希望者の募集及び面接準備

申し込みを受けた事業協同組合は、送り出し機関と呼ばれる現地の提携先を通して実習希望者を募集します。ある程度の希望者が集まると、面接の準備が行われます。

3.面接の実施

実習希望者に対して企業が面接を行います。

面接の方法は多様化しており、書類選考を含め現地面接やオンライン面接が採用されるようになっています。

場合によっては実習希望者の家族とも面談を行い、不安の解消に努めることになるでしょう。

4.採用する外国人に対する講習

技能実習生として従事するには講習が必要となり、約2ヶ月以上の期間で行われ、日本語科目や介護について学びます。 さらに介護分野での従事経験がない場合には、教育機関にて同業種に関連する教育課程を受講しなければなりません。教育を受ける期間については6ヶ月以上又は320時間以上であることが必要です。

5.実習実施に必要な人員を配置

技能実習が効率よく行われ、なおかつ技能実習生が安心して知識が修得できるように受け入れ企業は、技能実習責任者、技能実習指導員、生活指導員それぞれ1 名以上を選任し、配置することが必要です。

また、それぞれ養成講習が実施されており、技能実習責任者は受講が必須となりますのでご注意ください。

技能実習生の受け入れの際の注意点

技能実習生の受け入れを検討する際には、現場との合意を重要視する必要があります。

介護の事業所の経営者が技能実習生の受け入れを決定し、あとの対応をすべて現場に丸投げしているような状況では、技能実習生の育成も介護の業務もうまくいくことはないでしょう。

さらに信頼できる監理団体を見つけることも必要です。

介護の分野ではコミュニケーション能力や労務に関する知識も非常に重要となります。

信頼できる監理団体を選び、トラブルが起こらないようにして、技能実習生の受け入れをスムーズに進めましょう。

介護の技能実習生の受け入れは
ルールをしっかり守って行う

介護の技能実習生の受け入れが成功すれば、人材不足を補い、技術を開発途上国に伝えることができます。

ただし技能実習生の受け入れにはいくつものルールがあるので、違反しないように注意しながら準備を進めていく必要があります。

技能実習生の受け入れからより多くの企業や個人が利益を受けられるように、しっかりとルール守って制度を利用するようにしましょう。

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