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介護業界が人材不足に陥っている原因と対策について解説

2021.08.24

近年、国内の人材不足が深刻化していますが、その中でも特に大きな問題となっているのが「介護」分野です。介護の人材不足は非常に深刻であり、効果的な対策を講じることが急務となっています。当記事では介護の人材不足の原因と、その対策について解説します。

介護の人材不足の現状

日本国内では、多くの分野で人材不足が深刻化していますが、特に人手不足が深刻なのは建設業界、運送業界、そして介護業界です。少子高齢化に伴って高齢者の数は増加するものの、働き手となる人材が少ないのが現状です。経済産業省の試算によれば、2035年に介護の分野での人材不足は79万人に達するとされています。既に人手不足といわれている状況ですが、さらなる人材不足の時代がやってくることになるのです。

介護スタイルの変化が背景にある

介護の分野で人材不足が深刻化している背景には、介護スタイルの変化があります。これまでは高齢者の介護を家族が行うのが一般的でした。しかし、家族のかたちやライフスタイルの変化によって、家族が高齢者の介護を行えなくなるケースが増えてきています。

高齢の親と離れて住んでいたり、共働きで介護できる家族がいなかったりすると、介護サービスを利用せざるを得ない状況が生じます。民間の介護サービスが普及したことで、利用希望者が一気に増加し、施設の収容能力を大きく上回っているのが現状なのです。

こうした背景により、介護の分野では人材不足が深刻化しているのです。

介護の人材不足の原因3つ

介護の分野で人材不足が深刻化していることにはいくつかの原因があります。介護の事業所などを運営している企業は、人材不足の原因についてしっかりと把握をしておくことが求められるでしょう。

それでは、介護の分野で人材不足が深刻化している3つの原因を見ていきましょう。

1.採用の困難さ

介護の分野で人材が不足するもっとも大きな理由は、採用の困難さです。公共財団法人 介護労働安定センターが実施した「令和元年度介護労働実態調査」によれば、調査対象の事業所の88.5%が、採用の困難さを人材不足の要因として挙げています。その前年に行われた同調査では73.1%であったことを考えると、採用の難しさが人材不足に一層拍車をかけていることがわかるでしょう。採用が困難になる理由もいくつかあります。

まず、同業他社との人材獲得競争が激しく、必要な人材が確保できない点があげられます。どの介護施設や事業所も人材不足を解消するために働き手の獲得競争を繰り広げており、少ない介護の人材を多くの施設が取り合う状態になっています。

さらに他の産業と比較しても労働条件が厳しいのも採用難の原因といえます。加えて、現在の採用が売手市場になっているため、介護以外の業界に就職する人が増えているのも、介護業界で人材が不足している要因の一つです。

2.離職率の高さ

介護業界の人材不足は離職率の高さも関係しています。介護業界の離職率は15.3%で、全業種の平均よりは若干低いものの、人材不足の施設から多くの介護従事者が離職してしまうのは望ましくありません。

離職率の高さに大きな影響を与えているのが、介護業界の賃金の低さです。平成29年度の介護労働実態調査によれば、介護職員の平均月収は約21万円で、全産業の平均月収である約30万円を大きく下回っています。場合によっては年収200万円以下という低い水準で働いている介護福祉士もおり、生活が困難という方もいるほどです。

3.人間関係

介護の分野で人材不足が深刻化している別の理由は、人間関係のトラブルです。介護業界では、一人の職員が多くの人と接しなければなりません。介護対象者だけでなく、介護対象者の家族や他の職員、医療従事者などと関わる必要があります。

場合によっては介護対象者から暴言を吐かれたり暴力を振るわれたりして、ショックを受けてしまう人もいます。多くの人と接する分トラブルも発生しやすく、低賃金と相まって辞めてしまう職員が多くいるのです。

介護の人材不足への5つの対策

介護の人材不足が深刻化しているため、介護施設や事業所は何らかの対策を打たなければなりません。人材不足を解消するために行える対策をいくつか見ていきましょう。

1.処遇の改善

介護の人材不足を引き起こしている原因が賃金や労働環境であるならば、処遇を改善することがもっとも効果的な対策と考えられます。当然ですが、求職者はより待遇のよい求人に応募します。現在の給料や待遇をより良いものにすることで、多くの応募を受けられるかもしれません。給与を上げたり労働環境を改善させたりするためにはコストがかかりますが、人材不足を解消しより多くの高齢者を受け入れることができるようになれば、長期的に見ると効果的であると考えられます。

2.IT化によって業務を効率化する

業務をIT化して効率化することにより、人員不足を改善することも可能です。これまではある業務に人員を割かなければならなかったかもしれませんが、IT化することで別の業務に人員を振り分けられるかもしれません。勤怠管理や給与計算、データ共有などの業務をIT化・自動化することで効率的に業務を行えるでしょう。とくに高齢者のバイタルチェックのデータや帳簿などをIT化すれば、人材不足の状況を改善するのに役立つでしょう。

3.ユニットケアの導入

労働環境の改善に役立つ別の方法は、ユニットケアの導入です。ユニットケアとは、介護対象者10人程度を1つのユニットとし、常に同じスタッフがケアを行うという介護のスタイルです。多くの高齢者を多くの職員で介護するというスタイルではなく、ユニットごとに適切なスタッフを配置すればよいので、職員一人ひとりの負担が軽減することが期待されます。さらに、施設利用者同士の助け合いなどを促進することもでき、高齢者一人ひとりに対する手厚いケアを行うことが可能になります。

4.外国人労働者を雇用する

介護分野での人材不足の解消方法として期待されているのが、外国人労働者です。2019年4月に特定技能という制度が創設されました。日本の人手不足解消を解消するために新設された在留資格であり、介護分野を含め特定12分野で利用できます。

外国人労働者の受け入れは手続き的に日本人の採用より手間がかかりますが、確実に人材を見つけることができ、また若い人材の受け入れも可能となり、人材不足を改善するために有効な方法の一つです。

5.潜在介護士の呼び戻し

人手不足を解消するための別の方法は、潜在介護士の呼び戻しです。介護職を離職した介護士が再度施設で働けるように取り計らうことで、人材不足の解消を目指します。いったん離職した介護士が復職しやすい環境を整えることも重要です。

介護の人材不足は今から対策を打つべき

介護の人材不足はこれからも更に深刻化していくと予測されています。介護施設や事業所は今のうちに対策を講じることが非常に重要です。人材不足を一刻も早く改善するため、施設利用者がケアを受けやすくするためにも、待遇改善や外国人労働者の雇用など積極的な対策を講じましょう。

 

 

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