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制度・雇用契約

「技能実習」を実施するには?必要な要件や準備について解説!

2021.01.29

技能実習生を受け入れる際に必要となる“技能実習計画”や技能実習の業務内容、また受け入れに必要な要件について、詳しく解説していきます。

在留資格「技能実習」の概要については、こちらのページをご覧ください。

技能実習生を受け入れるには“技能実習計画”の認定が必要

実習実施者(受入れ機関)は、「技能実習」を実施するうえで、“技能実習計画“を作成し、外国人技能実習機構から、適当である旨の認定を受ける必要があります。この”技能実習計画“の認定は、技能実習を適正に行うために設けられた制度です。

なお、技能実習計画に記載しなければならない事項や申請の際の添付書類は、技能実習法及びその関係法令で規定されています。

■技能実習計画の記載事項

1)申請者の氏名・住所、法人の場合はその代表者氏名
2)法人の役員の氏名・住所
3)技能実習を行う事業所の名称・所在地
4)技能実習生の氏名・国籍
5)技能実習生の区分(企業単独型または団体監理型の第1号~第3号)
6)技能実習の目的(技能検定・技能実習評価試験の合格他)、内容および期間
7)事業所ごとの責任者の氏名
8)団体監理型の場合は、監理団体の名称・住所・代表者の氏名
9)技能実習生の優遇(報酬、労働時間、休日・休暇、宿泊施設、食費・住居費等)
10)その他省令で定める事項

■技能実習計画の添付書類

1)申請者の概要書
2)登記事項証明書
3)役員の住民票の写し
4)直近2年度の貸借対照表の、損益計算書、法人税の確定申告書、納税証明書
5)技能実習の内容を明らかにする資料として、写真付きの工程表(フロチャート)
6)技能実習生の申告書
7)技能実習生の履歴書
8)外国の所属機関による証明書
9)外国の所属機関による概要書
10)外国の事業所が登記・登録されていることを証する公的な書類
11)1年以上の取引期間または過去1年間に10億円以上の取引額があることを証明する書類
12)申請者の誓約書
13)外国の準備期間の概要書、誓約書
14)技能実習責任者の履歴書、就任承諾書、誓約書の写し
15)技能実習指導員の履歴書、就任承諾書、誓約書の写し
16)生活指導員の履歴書、就任承諾書、誓約書の写し
17)技能実習責任者・技能実習指導員・生活指導員の社会保険/労働保険の加入状況を証明する書類
18)技能実習のための雇用契約書の写し
19)雇用条件書の写し
20)技能実習生の報酬に関する説明書
21)宿泊施設の適正についての確認書
22)徴収費用の説明書
23)技能実習期間中の待遇に関する重要事項説明書
24)入国前講習実施(予定)表
25)外部機関(委託機関)の概要を明らかにする書類
26)実習実施者の優良要件適合申請書等

厚生労働省「第4章 技能実習計画の認定」

※上記の資料が外国語で作成されている場合には、その資料に日本語の翻訳書を添付しなければなりません。また、日本語の書類に技能実習生の署名を求める場合には、技能実習生が十分に理解できる言語も併記のうえ、署名が必要となります。

さらに、この技能実習計画は技能実習生の第1号、2号、3号の区分ごとに認定を受ける必要があるため、指導者側も技能実習生のレベルに応じてランクアップしていく必要があります。特に第3号技能実習計画については、実習実施者が、「技能等の修得等をさせる能力につき高い水準を満たすものとして主務省令で定める基準に適合していること」が必要です。

なお、団体監理型の場合、実習実施者は技能実習計画の作成にあたり、実習監理を受ける監理団体の指導を受ける必要があります。実習実施者は、認定を受けた技能実習計画に従って技能実習を行わせなければなりません。仮に違反があった場合には、改善命令や認定の取消しの対象になります。

■認定基準
実習実施者(受入れ機関)は、技能実習生ごとに上記の技能実習計画を作成し、認定を受けることができるとされており、技能実習計画の適切性の担保のため、認定基準が設けられています。(法第9条)
まとめると次のようになります。

・修得等をさせる技能が技能実習生の本国において修得等が困難な技能等であること
・技能実習の目標が技能実習の区分に応じて定めた基準に適合すること
・技能実習の内容が技能実習の区分に応じて定めた基準に適合すること
・実習を実施する期間が右記に適合していること(第1号は1年以内、第2号・第3号は2年以内であること)
・第2号・第3号に関する場合は、その前段階(1号・2号)の試験合格等の目標が達成されていること
・技能実習を修了するまでに、技能検定・技能実習評価試験等により評価を行うこと(適正な評価が実施されていること)
・事業所ごとに技能実習の実施責任者(その他、技能実習指導員・生活指導員)を選任していること
・団体監理型技能実習の場合は、申請者が監理団体の実習監理を受けること
・技能実習生の待遇(報酬が日本人従事者と同等以上であることその他)が省令で定める基準に適合していること
・許可を受けている監理団体による実習監理を受けること(団体監理型技能実習の場合)
・第3号企業単独型・団体監理型の場合は、申請者の実習実施能力が省令で定める基準を満たしていること
・複数の技能実習生に技能実習を行わせるときは、その数が省令で定める数を超えないこと

参考:厚生労働省「新たな外国人技能実習制度について」


技能実習の業務(実習内容)とその条件

技能実習の対象となる職種・作業について、下記の業務区分に応じて、それぞれの条件に適合している必要があります。

 

内容 全実習時間における作業時間の割合

1)必須業務

実習生が修得等をしようとする技能等に係る技能検定又はこれに相当する技能実習評価試験の試験範囲に基づき、技能等を修得等するために必ず行わなければならない業務。

実習時間全体の2分の1以上

2)関連業務

必須業務に従事する者により当該必須業務に関連して行われることのある業務であって、修得等をさせようとする技能等の向上に直接又は間接に寄与する業務。

実習時間全体の2分の1以下

3) 周辺業務

必須業務に従事する者が当該必須業務に関連して通常携わる業務(2を除く)。

実習時間全体の3分の1以下(※なお、それぞれ、従事させる時間のうち10分の1以上を安全衛生に係る業務に充てなければならない。)

具体的な技能実習の業務内容については、厚生労働省のHPにモデル例が掲示されています。必須作業や安全衛生業務は、基準を上回るように計画を作成する必要があります。

 

実習実施者受入れ企業の体制

実習実施者(受入れ企業)には、技能実習が効率よく行われ、なおかつ技能実習生が安心して知識が修得できるよう、適切な人員を配置することが必要となります。

そのため、実際に外国人技能実習生を受け入れ、実際に実習を行うためには、技能実習計画認定申請時に、技能実習責任者、技能実習指導員、生活指導員それぞれ1 名以上選任し、配置する必要があります。

■技能実習責任者
実習を管理・運営する責任者のことで、技能実習責任者は、技能実習指導員、生活指導員など、技能実習に関わる職員を監督し、技能実習の進捗状況を管理する役目があります。申請時には、主務大臣が告示した養成講習を受講した修了書を添付する必要があります。また、技能実習責任者は、外国人技能実習制度のみならず、労働関係法令全般に対する知識も求められます。
■技能実習指導員
実習生に直接指導をする役割で、技能実習を実施する事業所に所属して勤務していなければなりません。また、技能実習指導員は、技能実習生が習得する技能に関して、5年以上の経験が必要です(技能実習機関以外の他の機関での経験も含む)。しかし、実習実施場所ごとに必要となるため、複数の現場に配属する場合は現場毎の選任が必要となります。これは、技能実習生に対して十分指導できるために、実習内容を充実させることが目的となっています。
■生活指導員
実習生の日常生活全般において、指導や管理を行います。生活指導員は、技能実習生に対して、日本における生活上の注意点を指導し、実習生の生活状況を把握しておかなければなりません。また、技能実習生の相談に乗ることで、トラブルの発生を未然に防止しなければなりません。

※技能実習が効率よく行われ、なおかつ技能実習生が安心して知識を修得するために、それぞれの役割は明確に規定されているため、確認が必要です。

 

1社あたりの技能実習生の受入可能人数

外国人技能実習制度では、常勤職員数(技能実習生(1号、2号及び3号)は含まれない)により1年間に受け入れることのできる技能実習生の受け入れ人数が決まっています。

基本人数枠は以下の表のとおりです。

例:従業員30人の企業様が技能実習生の受入れを行う場合、下図のように3年間で最大9人までの受入れが可能

※団体監理型・企業単独型ともに、下記の人数を超えることはできません。
(1号実習生:常勤職員の総数、2号実習生:常勤職員数の総数の2倍、3号実習生:常勤職員数の総数の3倍)

また、特有の事情のある職種(介護職種等)については、事業所管大臣が定める告示で定められる人数になります。

 

まとめ

外国人技能実習制度は、日本で技術を学ぶことのできる外国人技能実習生と、日本の企業にとっては会社の海外進出、外国人採用にきっかけや国際貢献につながるだけでなく従業員の意識が向上するなど、さまざまなメリットが期待できます。しかし、受け入れる際に求められる手続きは専門性が高く煩雑になるため、安価な労働力補充の手段として、技能実習制度を利用しようとすると、かえって余計な経費や手間が増えてしまうことも考えられます。

外国人労働者の受入れを視野に入れている企業は、従来制度も含めて、外国人受入れ制度全体についてのメリットとデメリットを把握し、検討する必要があります。

 

最後に

外国人採用を視野に入れている場合には、それぞれの制度の趣旨や仕組みをしっかりと理解し、どの制度が会社にとって良いのかを慎重に検討することが大切です。

 

また、外国人の採用に関してお悩み・ご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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