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特定技能「外食業」とは?試験概要や取得・申請するための要件を解説

2023.10.30

外食業の人手不足を解決する方法の一つとして挙げられるのが、特定技能を持つ外国人の雇用です。

外国人材を日本の外食産業で雇用するには、特定技能「外食業」という在留資格を取得してもらう必要があります。しかし、具体的にどういうものなのか知らない方も多いでしょう。

この記事では、特定技能「外食業」の試験概要や取得・申請するための要件、企業が外国人を雇用する際の注意点などを解説します。外国人労働者の受け入れを検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。

なお、2023年6月に特定技能2号の対象分野拡大が閣議決定され、「外食業」が特定技能2号にも追加されました。しかしながら、2023年6月末時点では「外食業」の特定技能2号在留外国人はいないため、本記事では特定技能1号の外食業について紹介します。

特定技能2号の対象分野拡大については、以下の記事でも解説しています。

【閣議決定】特定技能2号対象分野拡大!

 

特定技能「外食業」とは?

そもそも「特定技能」とは、日本企業の人手不足解消のために、一定の専門性・技能を持つ外国人を受け入れる制度のことです。新たな在留資格として、2019年4月に追加されました。

そして「外食業」は、特定技能を持つ外国人の受け入れ対象となる分野の一つです。取得することで最長5年間、日本国内の外食産業で働けるようになります。

現在の日本は、深刻な人手不足に陥っています。農林水産省の「外食業分野における特定技能外国人制度について」によると、外食業を含む宿泊業・飲食サービス業では2020年時点で欠員率が2.9%と、全産業の合計よりも高い水準でした(※1)

この人手不足の原因には、労働環境の悪さや賃金の低さが関係しているでしょう。国内での人材確保が難しくなっているからこそ、外国人労働者に注目が集まっているのです。

なお、特定技能については、以下の記事で詳しく解説しています。

外国人労働者の在留資格「特定技能」とは?1号と2号の対象分野などをわかりやすく解説

 

※1 参照:農林水産省「外食業分野における特定技能外国人制度について」

特定技能「外食業」の在留外国人数は増加傾向にある

以下のデータを見ると、外食業分野での特定技能1号在留外国人数は増加傾向にあることがわかります。

外食業分野における特定技能1号在留外国人数

  2021年12月末

1,985人

  2022年3月末

2,312人

  2022年6月末

3,199人

  2022年9月末

5,159人

  2023年6月末

8,842人

  2023年9月末

10,742人

参照:出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数の公表」

外食業では、新型コロナウイルス感染症の影響によって一時的に求人数が減っていたものの、現在は通常営業を再開している飲食店が多く、デリバリーの需要も増加しています。そのため、外国人材の需要は今後も拡大し、在留外国人数もより増加していくことが考えられるでしょう。

特定技能「外食業」によって従事できる業務・できない業務は?

外国人が特定技能「外食業」を取得すると、以下のような事業所(業種)で働けるようになります。

  • ・調理した飲食料品をその場所提供する飲食店
  • ・お持ち帰りやデリバリーを専門とする店
  • ・調理した飲食料品を消費者の求める場所で提供する店
  •  

例えば、ファーストフード店や喫茶店、食堂、ケータリングサービスなどが挙げられます。

また、特定技能「外食業」の取得により、従事できる業務・従事できない業務は以下のとおりです。

特定技能「外食業」を取得した外国人の業務について

従事できる業務

・飲食物の調理・接客・店舗管理・原材料の仕入れ等

従事できない業務

・接待・「風俗営業」や「性風俗関連特殊営業」を営む事業所での就労

・皿洗いや清掃・宅配のみの就労

 

原材料の生産や調理品以外の物品販売など、日本人が通常行うような外食業に関連する業務は、担当業務の一つとして行うのであれば問題ありません。

ただし、喫茶店などの飲食店であっても、バーが併設されていてお酒を注ぐ業務がある場合、その行為は接待にあたるため禁止です。

外国人材が特定技能「外食業」を取得・申請するための要件

外国人が特定技能「外食業」を取得・申請するための要件について、見ていきましょう。

特定技能「外食業」を申請するには、以下の要件を満たしたうえで、出入国在留管理庁に必要書類を提出する必要があります。

特定技能1号技能測定試験「外食業」に合格していること

特定技能1号技能測定試験の「外食業」に関する試験では、外食業に関する知識や技能、業務上必要な日本語能力水準を確認します。試験内容については、のちほど詳しく説明します。

国内試験と国外試験があり、それぞれ実施回数は異なります。

国内試験は1年に3回程度開催され、北海道から沖縄県までさまざまな地域で実施されています。2023年度の国内試験スケジュールは、以下のとおりです。

第1回:6月12日~7月1日

第2回:9月24日~10月19日

第3回:2024年1月頃(予定)

一方の国外試験では、実施国によって開催される回数が異なります。ネパール・ミャンマー・インドネシア・フィリピン・スリランカ・タイ・カンボジアの合計7ヵ国で試験が実施されています。

日本語能力試験に合格していること

日本語能力試験は、日常会話に支障が出ない程度の日本語能力があるかどうかを確認するための試験です。以下のどちらかの要件を満たす必要があります。

  • ・「日本語能力試験N4以上」に合格
  • ・「国際交流基金日本語基礎テスト」に合格
  •  
  • 日本語能力試験は1年に2回、7月と12月に実施されますが、国外会場だと1年に1回の場合もあります。

    国際交流基金日本語基礎テストは、国内外ともに会場によって試験日が異なります。

  • 18歳以上であること

  • 18歳以上であることも、特定技能「外食業」の取得・申請に必要な要件です。18歳未満であっても在留資格認定証明書の交付申請ができますが、日本上陸時では18歳以上でなくてはいけません。

    これは、18歳未満の労働者に対して、日本では特別な保護規定を定めているためです。

    ただし、特定技能1号技能測定試験「外食業」を受ける際には、試験日に満17歳以上である必要があります。

技能実習2号「医療・福祉施設給食製造」を良好に修了している場合は試験免除

上記3つの要件を満たすのが一般的ですが、技能実習2号「医療・福祉施設給食製造」を良好に修めた場合は、各試験が免除されます。

技能実習で得る技能は、特定技能「外食業」で従事する業務と関連性があると認められるためです。そのため、この要件に該当する方は、技能実習2号から特定技能1号へ移行できます。

なお、技能実習制度は2024年以降に廃止される見込みです。技能実習制度については、以下の記事でも詳しく解説しています。

外国人技能実習制度とは?認められる在留資格・職種などの基本をまとめて解説

特定技能1号技能測定試験「外食業」の試験科目

ここでは、特定技能1号技能測定試験「外食業」の試験科目について解説します。

学科試験の科目と内容

学科試験の科目は3つあり、満点の65%以上が合格基準となります。国内・国外ともに、各科目の内容は以下のとおりです。

科目 主な内容

衛生管理

・一般衛生管理に関する知識

・HACCPに関する知識

・食中毒に関する知識 など

飲食物調理

・調理に関する知識

・食材に関する知識

・調理機器に関する知識 など

接客全般

・接客サービスに関する知識

・食の多様化に関する知識

・クレーム対応に関する知識 など

参照:一般社団法人外国人食品産業技能評価機構「特定技能1号技能測定試験 外食業国内試験」

 

また、特定技能1号技能測定試験「外食業」は、以下のように3つの配点タイプに分かれています。

  • ・Aタイプ:最も標準的な配点
  • ・Bタイプ:飲食物調理の配点が高く、接客全般の配点が低い
  • ・Cタイプ:接客全般の配点が高く、飲食物調理の配点が低い
  •  

受験する外国人は自分の希望に合わせて、配点タイプを選択できます。

実技試験の科目と内容

実技試験の科目とその内容は、どちらも学科試験と同じです。図やイラストを見て正しい行動を選ぶ「判断試験」と、計算式を用いて作業計画を立てられるかを見る「計画立案」によって、仕事能力を測ります。

学科試験よりも問題数は少ないですが、その分、1問ごとの配点が高くなっています。

企業が特定技能「外食業」の外国人材を雇用する際の注意点

企業が外国人材を雇用する際には、3つのポイントに注意しましょう。

食品産業特定技能協議会への加入が必要である

食品産業特定技能協議会への加入は、特定技能1号在留外国人を雇用するうえで必須条件です。

食品産業特定技能協議会とは、適切に特定技能制度を運用するために設置された協議会のことです。外国人受入れ制度の周知や、人手不足の状況把握・分析などを行っています。

加入期限は、特定技能1号在留外国人の在留資格が最初に許可された日から4ヵ月以内であるため、忘れないよう気を付けましょう。

特定技能「外食業」があっても禁止されている業務がある

前述したように、特定技能1号在留外国人は、以下の業務や就労を禁止されているため注意してください。

  • ・接待
  • ・「風俗営業」「性風俗関連特殊営業」を営む事業所での就労
  • ・皿洗いや清掃、宅配のみでの就労
  •  

そのため、自社の業務内容や業種、特定技能1号在留外国人へ任せる業務などを事前に確認しておき、問題がないか(違法行為ではないか)をよく調べておく必要があります。

雇用形態は直接雇用のみである

特定技能1号在留外国人はフルタイム、かつ直接雇用である必要があり、派遣社員として働くことは認められていません。

この制度における「フルタイム」とは、労働日数が週5日以上(年間217日以上)、かつ1週間の労働時間が30時間以上であることを指します。

特定技能外国人の受入れ企業には基準や義務がある

外国人の受入れ企業にも、雇用する際の要件や果たすべき義務があります。外国人の雇用を検討している方は、必ず把握しておきましょう。

参照:農林水産省「外食業分野における特定技能外国人制度について」

 

参照:農林水産省「外食業分野における特定技能外国人制度について」

特定技能外国人の支援は登録支援機関に委託も可能

特定技能外国人を雇用するにあたり、受入れ企業はいくつかの支援やそれらに関する支援計画書の作成、各種届出などを行う必要があります。そのため、企業の負担は大きくなりやすいでしょう。

特定技能外国人への支援は、登録支援機関に委託することも可能です。特に、自社の支援体制が十分に整っていない場合や自社への負担を軽くしたい場合には、こういった機関への委託をおすすめします。

ONODERA USER RUN(オノデラユーザーラン)は、登録支援機関として登録されている人材紹介会社です。特定技能外国人の紹介や支援のほか、プランによっては当社オリジナルのサービスも利用できます。気になる方はお気軽にご相談ください。

当社の特定技能登録支援サービスについては、以下のページで詳しく紹介しています。

特定技能登録支援サービス

まとめ

特定技能「外食業」は、特定技能外国人の受け入れ対象となる分野の一つです。特定技能1号在留外国人は最長5年間、日本国内で外食業に関する業務に従事できます。

ただし、風俗営業を営む事業所での就労や接待業務は禁止されているため、受入れ企業は雇用の際に十分注意が必要です。外国人が業務を円滑に行えるよう、支援体制も整える必要があります。

ONODERA USER RUN(オノデラユーザーラン)では、特定技能外国人の紹介から、支援計画の作成や出入国時の送迎などの特定技能外国人への支援まで、一気通貫のサービスを提供しています。気になる点やご質問がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

 

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