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【特定技能の業種拡大】2024年追加の4分野とは?既存分野の最新動向も解説

2025.07.09

人材の確保に悩む企業が増えるなか、国は2024(令和6)年、特定技能制度の対象分野を追加することを決定しました。

今回は、特定技能の業種拡大について、追加された4分野の概要と、各分野における特定技能の取得要件を解説します。併せて、既存分野に追加された対象業務についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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特定技能1号の業種拡大は2024(令和6)年から

2024(令和6)年3月29日の閣議決定を経て、特定技能1号で受け入れ可能な業種が新たに追加されました。

具体的には、「自動車運送業」「鉄道」「林業」「木材産業」の4分野です。これにしたがい、以前と比べて幅広い分野で外国人材を活用できるようになりました。

なお、4分野の追加により、特定技能制度の対象業種は現時点で全16分野となっています。

参考:出入国在留管理庁|特定技能の受入れ見込数の再設定及び対象分野等の追加について(令和6年3月29日閣議決定)

 

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【参考】特定技能2号の直近の業種拡大は2023年

特定技能2号の直近の業種拡大は、2023(令和5年)6月9日の閣議決定に基づくものです。

それまで、特定技能2号の対象分野は「建設」「造船・船舶工業(溶接区分)」のみでした。しかし、この閣議決定により、以下の9分野および造船・船舶工業分野の溶接区分以外の業務区分すべてが対象となっています。

 

  • ・外食業
  • ・宿泊
  • ・飲食料品製造業
  • ・自動車整備
  • ・航空
  • ・農業
  • ・ビルクリーニング
  • ・工業製品製造業(旧:素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業)
  • ・漁業

 

なお、「介護」においては専門的かつ技術的な分野の在留資格「介護」があるため、特定技能2号の対象から外れています。

また、先述した「自動車運送業」「鉄道」「林業」「木材産業」の4分野では、特定技能1号のみ取得可能であり、特定技能2号は対象外である点に注意しましょう。

参考:出入国在留管理庁|特定技能2号の対象分野の追加について(令和5年6月9日閣議決定)

特定技能1号に追加された4分野の概要

ここでは、特定技能1号に追加された新たな4分野について、業務内容・業務区分や受け入れ見込み数を解説します。

参考:出入国在留管理庁|特定技能1号の各分野の仕事内容(Job Description)

 

【2024最新】特定技能外国人の受け入れ人数に上限はある?技能実習との違いなども解説

1.自動車運送業

自動車運送業分野には、以下の3つの業務区分があります。

 

  • ・バス運転者区分
  • ・タクシー運転者区分
  • ・トラック運転者区分

 

区分名からわかるとおり、バスやタクシー、トラックの運転や、運転に付随する業務が対象です。

2024年4月から5年間の受け入れ見込み数は、3業務区分の合計で2万4,500人に設定されています。鉄道・林業・木材産業分野と比べて、受け入れ見込み数が多いのが特徴です。

参考:出入国在留管理庁|自動車運送業分野

2.鉄道

鉄道分野には、以下の5つの業務区分があります。

 

  • ・軌道整備区分:軌道の新設・改良・修繕に係る作業や検査業務など
  • ・電気設備整備区分:電路設備や踏切保安設備等の新設・改良・修繕に係る作業や検査業務など
  • ・車両整備区分:鉄道車両の整備業務など
  • ・車両製造区分:鉄道車両や関連部品の製造業務など
  • ・運輸係員区分:駅係員・車掌・運転士としての業務など

 

2024年4月から5年間の受け入れ見込み数は、5業務区分の合計で3,800人に設定されています。

参考:出入国在留管理庁|鉄道分野

3.林業

林業分野は業務区分が設けられておらず苗木を植えて樹木を育てる「育林」や、丸太を生産する「素材生産」などの業務が該当します。関連業務として、生産した丸太の加工や資材の運搬、機器等の保守管理などが想定されるでしょう。

2024年4月から5年間の受け入れ見込み数は、合計1,000人のみとなっています。

参考:出入国在留管理庁|林業分野

4.木材産業

木材産業分野も業務区分が設けられておらず「製材業、合板製造業等に係る木材の加工等」の業務が該当します。関連業務として、原材料の調達や製品の検査・出荷作業などが想定されるでしょう。

2024年4月から5年間の受け入れ見込み数は、合計で5,000人に設定されています。

参考:出入国在留管理庁|木材産業分野

追加された4分野の特定技能1号の取得要件

新たに追加された4分野においても、既存分野と同様に、技能を確認する試験と日本語能力を確認する試験が課されます

ここでは、外国人材が受けるべき試験の種類や、分野独自の要件などを解説します。

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1.自動車運送業

  • ・技能試験:自動車運送業分野特定技能1号評価試験(バス/タクシー/トラック)
  • ・日本語試験:国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験

 

日本語能力試験を受ける場合、バス運転者とタクシー運転者は「N3」以上、トラック運転者は「N4」以上を取得する必要があります

日本語能力試験には、最も難しい「N1」から最も易しい「N5」まで、5つのレベルがあります

バス運転者とタクシー運転者に課されるN3は、日常的に使われる日本語をある程度理解できるレベルです。一方、トラック運転者に課されるN4は、基本的な日本語なら理解できるレベルとされています。

なお、国土交通省では、特に運転者不足が深刻な地域を対象に、バス運転者とタクシー運転者に求める日本語能力を「N4」まで引き下げるなどの要件緩和が検討されています。

また、自動車運送業分野独自の要件として、日本の運転免許の取得も求められます。バス運転者とタクシー運転者は「第二種運転免許」、トラック運転者は「第一種運転免許」を取得しなければなりません

さらに、タクシー運送業とバス運送業に従事する者は、新任運転者研修の修了も必要です。

これらの要件をクリアすることで、運行管理者などの指導・監督のもと、運行前後の点検や安全な運行、乗務記録の作成、乗客対応などが問題なく遂行できると認められます。

参考:出入国在留管理庁|自動車運送業分野

2.鉄道

  • ・技能試験:鉄道分野特定技能1号評価試験(軌道整備/電気設備整備/車両整備/車両製造/運輸係員)
  • ・日本語試験:国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験

 

車両製造区分に限り、技能検定3級(機械加工/仕上げ/電子機器組立て/電気機器組立て/塗装)に合格すれば、鉄道分野特定技能1号評価試験に代えられるのが特徴です。

また、日本語能力試験を受ける場合、運輸係員は「N3」以上、その他は「N4」以上を取得する必要があります

これらの要件をクリアすることで、指導者の指導・監督のもと、必要な作業を適切かつ安全に遂行できると認められます。

参考:出入国在留管理庁|鉄道分野

3.林業

  • ・技能試験:林業技能測定試験
  • ・日本語試験:国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験

 

日本語能力試験を受ける場合、林業分野では「N4」以上を取得する必要があります。技能試験と日本語試験の両方をクリアすることで、以下が認められるでしょう。

  • 林業分野の基本的な知識を有しており、安全かつ一定時間内に正しい手順で業務を遂行できること
  • 日本語で指示される作業内容などを理解できること


参考:出入国在留管理庁|林業分野

4.木材産業

  • ・技能試験:木材産業特定技能1号評価試験
  • ・日本語試験:国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験

 

日本語能力試験を受ける場合、木材産業分野では「N4」以上を取得する必要があります。技能試験と日本語試験の両方をクリアすることで、以下が認められるでしょう。

  • ・木材産業分野の基本的な知識を有しており、安全かつ一定時間内に正しい手順で業務を遂行できること
  • ・日本語で指示される作業内容などを理解できること
  •  

参考:出入国在留管理庁|木材産業分野

特定技能の既存分野への業務追加について

2024(令和6)年3月29日の閣議決定では、新たな4分野の追加とともに、既存分野への業務も追加されました。対象となったのは、「飲食料品製造業分野」「工業製品製造業分野」「造船・舶用工業分野」の3つです。

また、2025年(令和7)3月11日の閣議決定では、「介護分野」「外食業分野」で業務範囲が追加されました。

ここでは、各分野における変更点などを見てみましょう。

参考:出入国在留管理庁|特定技能の受入れ見込数の再設定及び対象分野等の追加について(令和6年3月29日閣議決定)

参考:出入国在留管理庁|特定技能制度に係る既存の分野別運用方針の改正について(令和7年3月11日閣議決定)

飲食料品製造業分野|2024年3月閣議決定

飲食料品製造業分野では、業務区分に変更はなく、「飲食料品製造業全般(飲食料品(酒類を除く)の製造・加工、安全衛生)」の1業務区分となっています

ただし変更点として、特定技能外国人の受け入れが認められる事業所が追加されました。これにより、現在ではスーパーマーケットでの惣菜の製造といった業務にも従事可能となっています。また、当該業務においても、特定技能2号外国人の受け入れが可能です。

特定技能「飲食料品製造業」を詳しく解説!雇用する際のポイントや受け入れ事例も

工業製品製造業分野|2024年3月閣議決定

工業製品製造業分野(旧:素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野)では、以下の7業務区分が追加されました。

 

  • ・紙器・段ボール箱製造
  • ・コンクリート製品製造
  • ・陶磁器製品製造
  • ・紡織製品製造
  • ・縫製
  • ・RPF製造
  • ・印刷・製本

 

新たな業務区分では、特定技能2号の外国人の受け入れはできません

また、既存の業務区分に「鉄鋼、アルミサッシ、プラスチック製品、金属製品塗装、こん包関連の事業所」を新たに含めることになりました。

造船・舶用工業分野|2024年3月閣議決定

造船・舶用工業分野では、6業務区分から「造船」「舶用機械」「舶用電気電子機器」の3業務区分に再編されました。新たな業務区分でも、特定技能2号外国人の受け入れが可能です。

また、各区分において、以下の業務が追加されています。

 

  • ・造船区分:とび、配管、船舶加工
  • ・舶用機械区分:配管、鋳造、金属プレス加工、強化プラスチック成形、機械保全、舶用機械加工
  • ・舶用電気電子機器区分:金属プレス加工、電子機器組立て、プリント配線板製造、配管、機械保全、舶用電気電子機器加工
  • 介護分野|2025年3月閣議決定

  • 介護分野では、これまで訪問介護などの訪問系サービスへの従事が認められていませんでした。しかし、人手不足の影響を受け、特定技能外国人の訪問系サービスへの従事が2025年4月21日より可能となりました

    ただし、訪問系サービスに従事できるのは、介護職員初任者研修課程を修了し、介護事業所での実務経験(原則1年以上)などがある方のみです。また、受け入れる事業所においても、訪問介護に関する研修の実施をはじめとする各種要件や、「適合確認申請」「定期報告」などの手続き・対応が求められます


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  • 外食業分野|2025年3月閣議決定

  • 近年のインバウンド需要の回復により、宿泊施設の飲食部門では深刻な人手不足の影響が出ています。そこで、風営法の許可を受けた旅館・ホテルにおける飲食提供業務(接客・飲食物調理・店舗管理)に関しても、新たに特定技能外国人の就労を認める方針が示されています。


    本件に関しては、外食業分野の上乗せ告示等が公布・施行されたときに運用が始まる予定です。

    特定技能「外食業」とは?試験概要や取得・申請するための要件を解説

  • 今後はどうなる?特定技能の業種拡大の見通し

  • 直近では、特定技能2号は2023年に、特定技能1号は2024年に対象分野が追加されて業種が拡大しました。

    さらに、今後は「物流倉庫の管理」「廃棄物処理」「リネン供給」の3業種について、特定技能制度での分野追加が検討されています。これらの業種は有効求人倍率が高く、人手不足の状況です。

    3業種の分野追加が実現すれば、特定技能制度の対象業種は、全16分野から全19分野に拡大する見込みです。

    具体的なスケジュールは未確定ではあるものの、受入れ企業が2027年にも採用を始められるよう、国は制度変更について2025年12月の閣議決定を目指すとしています。今後の動向への注意を欠かさないようにしておきましょう。

  • 発展し続ける特定技能制度に対応するなら登録支援機関を活用

  • 2023・2024年の業種拡大や今後の見通しからもわかるとおり、特定技能制度は状況に応じて発展し続けています。

    外国人材の活躍がますます期待される一方で、外国人材の受入れ企業は、常に変化に対応していかなければなりません。そのため、外国人材を受け入れたくても、負担が大きいと感じる企業は多いのではないでしょうか。

    そこでおすすめなのが、登録支援機関である「ONODERA USER RUN(オノデラユーザーラン)」の活用です。

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    特定技能外国人の受け入れを検討している方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

    特定技能における登録支援機関とは?支援委託をおすすめする理由と選び方

  • まとめ

  • 2024年の閣議決定により、特定技能1号に追加されたのは「自動車運送業」「鉄道」「林業」「木材産業」の4分野です。また、2024年および2025年の閣議決定に基づき、既存分野への業務も追加されています。

    さまざまな分野での人材不足が続けば、特定技能の業種は今後さらに拡大するかもしれません。そのため、受入れ企業は登録支援機関を活用するなどして、発展していく特定技能制度への対応が求められます。

    ONODERA USER RUN(オノデラユーザーラン)では、特定技能外国人の紹介にとどまらず、登録支援機関としての就労前後の充実したサポートも提供可能です。まずはお気軽にお問い合わせください。


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特定技能とは?

2019年4月に創設された、人材の確保が困難な16の産業分野等における人手不足に対応するため、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人材を労働者として受け入れる在留資格のこと。
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