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外国人労働者の受け入れを検討する際、「トラブルが生じたらどう対応すれば良いのか」と不安に思う担当者の方もいるかもしれません。実際、外国人労働者の雇用では双方に悪気がなくても、それぞれの文化の違いやコミュニケーション不足といった要因からトラブルに発展するケースがあります。
この記事では、外国人労働者を自社でスムーズに受け入れられるよう、起こりやすいトラブルの事例や対策方法、トラブル防止のために心がけたいポイントを解説します。
目次
外国人労働者の雇用におけるトラブル事例7選と対策
さっそく、外国人労働者の雇用において生じやすいトラブルの事例と、それぞれの対策方法について見ていきましょう。
雇用契約時のトラブル
雇用契約時または雇用契約後に、企業・外国人労働者の双方に非がなくとも、トラブルが起きる可能性があります。例えば、以下のようなケースが挙げられます。
- ・外国人労働者が契約書の内容を理解できていない
- ・外国人労働者が契約書の内容を勘違いしている
- ・契約内容や雇用条件について、企業と外国人労働者双方の認識が異なる
これらのケースでは、実際はきちんと説明していても「雇用条件が異なる」と外国人労働者側から訴えを起こされてしまうトラブルに発展する恐れがあるため、注意が必要です。
・対策方法
雇用に関する契約書は必ず、外国人労働者の母国語、もしくは理解しやすいレベルの日本語で作成しましょう。可能であれば、雇用契約の場に通訳を同席させるのも効果的です。
また、雇用契約を結ぶ際は賃金や控除額、税金や昇給、労災など、働くうえで必要な情報を丁寧に伝えるよう心がけましょう。日本人労働者であれば常識として理解できることでも、外国人労働者にとっては馴染みがない可能性があるためです。
参考:ハローワーク福岡中央 福岡外国人雇用サービスセンター「外国人の雇用に関するQ&A」
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従業員同士の間で生じるトラブル
双方にその意思がなかったとしても、外国人労働者同士や日本人労働者との間で、けんかや対人トラブルが生じてしまうことがあります。
また、けんかや対人トラブルには発展せずとも、日本語でのコミュニケーションが十分でなかったことで指示や業務内容の認識に齟齬が発生し、業務効率が低下する事例も見られます。
・対策方法
けんかが起きた際は当事者それぞれにヒアリングを行い、言い分を公平な視点で判断することが重要です。そのうえで、お互いの文化や価値観、意見を尊重し合うよう意識したルールを設定し、周知するとよいでしょう。
意思疎通に関しては、コミュニケーションの機会を増やすとともに、日頃から文法・言葉のレベルや文章の長さに配慮し、わかりやすくした「やさしい日本語」を活用するなど、相手が理解しやすい言葉で伝えるよう意識しましょう。加えて、業務にまつわる専門用語などを、外国人労働者の母国語でまとめたマニュアルを作成するなどの工夫もおすすめです。
会社の備品にまつわるトラブル
外国人労働者に限ったトラブルではありませんが、従業員が会社の備品を断りなく持ち出したり、私的に使ってしまったりする事例があります。会社の備品持ち出しは、窃盗罪や横領罪に該当する場合があるため注意が必要です。
・対策方法
会社の備品について、日本におけるルールをわかりやすく伝えましょう。持ち出し禁止であることや持ち出しは違法行為に該当することなどを、しっかり説明することが大切です。
遅刻や欠勤にまつわるトラブル
コミュニケーション不足などから、外国人労働者が会社に連絡をせずに遅刻や欠勤をしてしまうケースもゼロではありません。
また、外国人労働者の母国の文化や価値観によっては、出勤時間や休憩時間に対する意識が日本人労働者と異なる場合も考えられます。例えば、業務開始時間と出勤時間への認識の違い、朝礼や清掃に参加しないといったケースがあり、これらは従業員同士のトラブルに発展する恐れがあるため注意が必要です。
・対策方法
外国人労働者にとって、時間厳守が重視される日本の文化や習慣になじむのは難しいとされています。外国のなかには、公共交通機関は遅れるのが一般的で、遅刻や終業時間に対する認識が日本と異なるケースもあるためです。
外国人労働者を雇用する際は、互いの時間や就業規則に関する価値観を明確にするとともに、双方が理解を示せるようコミュニケーションを取ることが大切です。
失踪・音信不通のトラブル
外国人労働者に限った事例ではないものの、職場に突然来なくなった、連絡が取れないなどもトラブル事例の一つです。失踪や音信不通の原因は、賃金や仕事内容に対する不満、人間関係や日本の労働・生活になじめないなど多岐にわたります。
・対策方法
失踪してしまった外国人労働者は、在留期限を過ぎると不法滞在と見なされる恐れがあります。そのため、まずは出入国在留管理庁へ報告しましょう。併せて、社会保険上の手続きも必要になります。
失踪や音信不通を防止するための対策としては、不当な雇用にならないよう十分に注意し、こまめに労働条件をチェックすることが挙げられます。また、外国人労働者が業務や生活について相談することができる窓口を設置するなど、環境を整えるのもおすすめです。
解雇時のトラブル
病気やケガが原因で長期に渡り休業し、就業できる目途が立たない場合などのやむを得ない事情により外国人労働者を解雇する際は、慎重に対応する必要があります。企業側にとっては正当な理由があっても、本人が納得しなければ不当解雇と主張される恐れがあり、訴訟に発展する可能性もゼロではないためです。
・対策方法
正当な理由による解雇であることを、わかりやすい日本語や母国語で丁寧に説明することが大切です。
議論の収集がつかない場合は、会社の顧問弁護士や各都道府県の労働局への相談も検討しましょう。人材紹介会社や登録支援機関を利用している場合は、担当のエージェントに相談するのも解決策を見つける手段となる場合があります。
在留資格にまつわるトラブル
外国人労働者に関するトラブルとして、在留資格に関係するものも少なくありません。例えば、以下のような事例が挙げられます。
- ・雇用するために必要な特定職種の在留資格を持っていなかった
- ・特定職種の在留資格の有効期限切れ、更新忘れ など
有効な在留資格なしで就労するのは不法就労と見なされる恐れがあるため、注意が必要です。この場合、有効な在留資格を持たない外国人労働者を働かせた会社側も、不法就労助長罪に問われて処罰される可能性があります。
・対策方法
外国人労働者を雇用する際は、資格を保有していることと併せて、資格の有効期限も確認しましょう。雇用後は適切なタイミングで更新などの手続きを行うよう促すとともに、必要に応じて手続きに同行するなど、きめ細かいサポートを心がけることが大切です。
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外国人労働者のトラブル事例に共通する3つの要因
ここからは、前項で紹介したようなトラブルが何故起こるのか、共通する要因について解説します。
コミュニケーションの不足
日本語に不慣れな外国人労働者の場合、会話が少ないと誤った知識を身に付けたり、間違った思い込みをしてしまったりして、トラブルの要因になる恐れがあります。また、外国人労働者に対して日本語であいまいな表現や遠まわしな言い方をすると、正確な内容が伝わらずトラブルに発展しかねません。
したがって、日頃から十分なコミュニケーションをこまめに取るよう心がけるとともに、雑談などを取り入れ、互いの意見や悩みなどの有無を知ることが大切です。併せて、話すスピードが速くなっていないか、難しい単語や表現は使っていないか、指示や会話の内容はきちんと伝わっているかを確認しながら話すことで、ミスコミュニケーションを防ぐことができます。
相手が理解できる言語での説明が不十分
特定技能外国人をはじめ、日本に働きに来ている外国人労働者の多くは、ある程度の日本語を理解できます。ただし、雇用契約書の内容などはときにわかりにくく、理解が難しい場合があるため注意が必要です。
以上を踏まえて、契約書の内容など重要な事柄を伝える際は、日本語だけでなく外国人労働者の母国語でも説明し、しっかり理解してもらえるよう努めることも重要です。理解できる言語での説明が不足すると、認識の相違を招き、退職や転職の要因となる可能性があります。
互いの文化に対する理解不足
外国人労働者の雇用においては、企業側と労働者側、ともに互いの文化の違いを理解する必要があります。国によって、遅刻や残業、業務上の報告、ごみの分別など、仕事や生活に対する意識や価値観は異なるからです。
互いの文化への理解が不足した結果、外国人労働者が終わらせなければならない業務が残っているにも関わらず、終業時間に帰ってしまう、ごみの分別に関して衝突が起こるなどのトラブルに繋がる恐れがあるのです。
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外国人労働者の雇用におけるトラブルを未然に防ぐためのポイント
ここからは、外国人労働者の雇用によって起こる恐れのあるトラブルを防ぐために、心がけると良いポイントについて解説します。
外国人労働者の受け入れ体制を整備する
外国人労働者を雇用する前に、職場の受け入れ体制や環境をしっかりと整えることが大切です。例えば、可能であれば通訳を用意したり、母国語でのマニュアルや就業規則を作成したりするなどの準備を進めておくとよいでしょう。
また、職場のコミュニケーション活性化の一環として、外国人労働者の日本語力向上だけでなく、日本人従業員のやさしい日本語の使用を促すように企業でサポートするのもおすすめです。
併せて、事前ガイダンスを丁寧に実施し、日本の文化や生活についての注意点を伝えるとともに、適宜生活のサポートを行える環境を整えておくことが大切です。一例として、行政手続きをはじめとした就労・生活に必要な諸手続きへの同行などができるとよいでしょう。
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雇用契約の内容を明確にする
外国人労働者のなかには、母国の家族を養うために日本での就労を希望している方も少なくありません。そのため、給与や待遇は労働を続けるうえで重要なポイントとなります。
雇用契約時の説明や求人票の内容があいまいだと、就労後に「事前に確認した条件と違う」と不満が生じ、結果としてトラブルに繋がってしまう恐れがあります。
外国人労働者を雇用する際は、前述した母国語での説明と併せて、具体的でわかりやすい契約内容や業務内容にすることが大切です。
日本人の労働者と待遇を同じにする
外国人労働者の待遇は、必ず日本人の労働者と同一のものにしましょう。給与・残業代の支払や最低賃金の遵守に限らず、賃金水準も日本人の労働者と同一でなければなりません。
日本人の労働者と同じ給与体系や待遇を提供することで、外国人労働者のモチベーションが高まり、ひいては企業全体の生産性アップに繋がる効果も期待できます。
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まとめ
外国人労働者の雇用によるトラブルは、雇用契約に関するものや従業員間での対人トラブル、在留資格に関するものなど多岐にわたります。トラブルを防ぐには、まず何が原因となっているのかを明確にしたうえで、コミュニケーションの促進や互いの文化・価値観に対する理解を深める姿勢を持つことが大切です。
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