特定技能関連

特定技能の「工業製品製造業」の分野では、鉄鋼業や金属製品塗装業、プラスチック製品製造業など、幅広い製造業において人材確保が可能です。自社の人材確保に向けて、詳細を知りたいという採用担当の方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、工業製品製造業の概要や業務区分・産業分類、受け入れる際の要件を解説します。さらに、企業が知っておきたい注意点も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
特定技能「工業製品製造業」とは

工業製品製造業は、在留資格「特定技能」における16の受け入れ分野の一つです。特定技能は、国内の人手不足への対応を目的に、専門性・技能を活かせる業務において、即戦力となる外国人を受け入れるための制度です。
2019年に制度が創設された当初、製造業にかかわる分野は「素形材産業」「産業機械製造業」「電気・電子情報関連産業」の3つでした。しかし、2022年4月の閣議決定により、この3分野が統合されています。さらに、2024年3月の閣議決定によって、現在の「工業製品製造業」の分野名へ変更されました。
特定技能の種類や対象分野について知りたい方は、ぜひ以下の記事もご参照ください。
在留資格「特定技能」とは?種類や対象分野、技能実習との違いなどをわかりやすく解説
区分は1号・2号に分かれる
特定技能のほかの受け入れ分野と同様、工業製品製造業においても、受け入れ人材の区分は1号と2号に分かれます。1号は、相当程度の知識や技能などが求められる業務で働く人材向けです。一方、2号は、高度に専門的・技術的な業務を、自らの判断で遂行できる人材向けとなっています。
また、1号は在留期間が上限5年で、家族帯同は認められていません。2号は在留期間の制限がなく、要件次第で家族帯同も認められているため、より安定的に長く働くことが可能です。
特定技能1号・2号の違いは、以下の記事でも解説しています。
特定技能1号・2号の違いは?それぞれの取得方法もわかりやすく解説
受け入れ人数は増加傾向にある
出入国在留管理庁の資料によると、2025年6月末時点の工業製品製造業における受け入れ人数は5万1,473人に上ります。前年同月時点では4万4,067人の受け入れ数なので、7,000人超が増加している状況です。
なお、工業製品製造業分野の運用方針では、2024年度から5年間の受け入れ見込み数を最大で17万3,300人としていました。しかし、深刻な人手不足に対応するため、受け入れ見込み数の見直しが検討されています。
2026年1月に予定されている分野別運用方針の閣議決定が行われた場合、2028年度末までの特定技能人材の受け入れ見込み数は、最大で19万9,500人となります。技能実習制度の代替として創設される「育成就労制度」の人材も含めると、工業製品製造業の分野全体で31万9,200人まで人材の受け入れが可能です。
出典:出入国在留管理庁|特定技能制度運用状況(令和7年6月末)
出典:出入国在留管理庁・厚生労働省|特定技能制度及び育成就労制度の受入れ見込数について(案)
育成就労制度の詳細については、ぜひ以下の記事をご参照ください。
育成就労制度の対象職種やポイントは?技能実習制度の課題も踏まえて解説
特定技能「工業製品製造業」の業務区分・産業分類

工業製品製造業の対象分野は、外国人材が働く「業務区分」と、受け入れ対象となる事業所の「産業分類」という2つの観点で整理されています。
1号・2号における対象の範囲も異なるので、以下で詳しく確認しましょう。
業務区分
業務区分は10区分に分かれており、1号はすべて、2号は3区分のみが対象となっています。1号の対象は、指導者の指示の理解、または自らの判断によって作業に従事できる人材です。
一方、2号の対象は、複数の技能者への指導を行うとともに、作業の従事、工程管理が可能な人材です。
下表では、業務区分の概要や従事する業務などを示します。
|
区分 |
1号 |
2号 |
概要 |
従事する業務 |
|
機械金属加工 |
○ |
○ |
素形材製品や産業機械等の製造工程の作業に従事 |
鋳造/鍛造/ダイカスト/機械加工/金属プレス加工/鉄工/工場板金/仕上げ/プラスチック成形/機械検査/機械保全/電気機器組立て/塗装/溶接/工業包装/強化プラスチック成形/金属熱処理業 |
|
電気電子機器組立て |
○ |
○ |
電気電子機器等の製造工程、組立工程の作業に従事 |
機械加工/仕上げ/プラスチック成形/プリント配線板製造/電子機器組立て/電気機器組立て/機械検査/機械保全/工業包装/強化プラスチック成形 |
|
金属表面処理 |
○ |
○ |
表面処理等の作業に従事 |
めっき/アルミニウム陽極酸化処理 |
|
紙器・段ボール箱製造 |
○ |
- |
紙器・段ボール箱の製造工程の作業に従事 |
紙器・段ボール箱製造 |
|
コンクリート製品製造 |
○ |
- |
コンクリート製品の製造工程の作業に従事 |
コンクリート製品製造 |
|
RPF製造 |
○ |
- |
破砕・成形等の作業に従事 |
RPF製造 |
|
陶磁器製品製造 |
○ |
- |
陶磁器製品の製造工程の作業に従事 |
陶磁器工業製品製造 |
|
印刷・製本 |
○ |
- |
オフセット印刷、グラビア印刷、製本の製造工程の作業に従事 |
印刷/製本 |
|
紡織製品製造 |
○ |
- |
紡織製品の製造工程の作業に従事 |
紡績運転/織布運転/染色/ニット製品製造/たて編ニット生地製造/カーペット製造 |
|
縫製 |
○ |
- |
縫製工程の作業に従事 |
婦人子供服製造/紳士服製造/下着類製造/寝具製作/帆布製品製造/布はく縫製/座席シート縫製 |
なお、これらの業務区分では、付随的に関連業務への従事も可能です。例えば、機械金属加工の場合、主要な業務に加えて、原材料・部品の調達やクレーン・フォークリフト等の運転作業といった業務にも従事させられます。
参考:出入国在留管理庁|特定技能1号の各分野の仕事内容(Job Description)
参考:出入国在留管理庁|特定技能2号の各分野の仕事内容(Job Description)
産業分類
1号、2号の受け入れが可能な事業所の産業分類は、以下のとおりです。
【1号人材の受け入れが可能な産業分類】(2025年12月時点)

【2号人材の受け入れが可能な産業分類】(2025年12月時点)

出典:経済産業省|製造業における特定技能外国人材の受入れについて(工業製品製造業分野)
上記のとおり、受け入れ事業者が当てはまる産業分類は、2号よりも1号のほうが多くなっています。自社が該当するかどうか、事前にチェックしておくとよいでしょう。
工業製品製造業分野で特定技能外国人を受け入れる際の要件
続いて、工業製品製造業分野で特定技能人材を受け入れる際の要件について、企業側と外国人側のそれぞれを紹介します。スムーズに外国人材を受け入れるためにも、ぜひチェックしてください。
受入れ企業に課される要件
【JAIMへ加入している】
受入れ企業は、在留資格申請を実施する前に、JAIM(一般社団法人 工業製品製造技能人材機構)への加入が義務付けられています。特定技能制度では、制度の適切な運用を図るために協議会への加入が不可欠ですが、工業製品製造業分野においてはJAIMが代表して協議会に加入しています。
JAIMのおもな役割は、以下のとおりです。
- ・受入れ事業所の管理(受入れ事業所の加入審査、制度周知等)
- ・受入れ事業所への支援、技能試験の運営等
制度にかかわる大きなルール策定については、協議会が実施します。
なお、JAIMに加入する企業は、各種誓約書の提出などが求められます。また、入会審査の際に、受入れ企業が対象の産業分類に該当しているかを確認されるので、留意しておきましょう。
【製造業分野の事業所に該当している】
製造業分野の事業所に該当しているかは、対象の産業における「製造品出荷額等」が、直近1年間で発生しているかで判断します。製造品出荷額等は、「製造品出荷額」と「加工賃収入額」の合計です。
製造品の出荷とは、事業所が所有する原材料で製造したものを出荷した場合を指します。併せて、ほかの事業所へ引き渡したものや自家使用したもの、委託販売したものも対象となります。
一方、加工賃収入額とは、直近1年間中に他企業の原材料を使った製造、あるいは他企業の製品・半製品への加工、処理によって発生した加工賃が対象です。
【「繊維業」の要件を満たしている】
「繊維業」に該当する受入れ企業に対しては、要件が追加されているので事前のチェックが不可欠です。この繊維業は、前述の業務区分でいうところの「紡織製品製造」「縫製」が該当します。
繊維業に課される要件は、以下の4つです。
|
要件 |
概要 |
|
1.国際的な人権基準の適合 |
労働における基本的原則などの「監査要求事項等」に基づき、第三者による認証・監査機関の審査を受入れ事業所が受けて、適合していること |
|
2.勤怠管理の電子化 |
勤怠管理システムの導入、または自社開発システム等の運用などにより、受入れ事業所における出退勤の管理を電子化していること |
|
3.パートナーシップ構築宣言の実施 |
事業者が取引先との共存共栄を目指し、取引適正化などに取り組むことを宣言する「パートナーシップ構築宣言」を実施していること |
|
4.月給制の採用 |
季節的な要因等による仕事の繁閑で外国人材の生活が不安定にならないように、月給制を採用していること(日本人等の職員が月給制でない場合も該当) |
外国人材に課される要件
次に、外国人材に課される取得要件を紹介します。
【特定技能1号】
特定技能1号を取得する人材は、技能水準と日本語能力が問われます。技能水準を満たすには、「製造分野特定技能1号評価試験」に合格する必要があります。
一方、日本語能力を証明するには、「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験(N4以上)」に合格しなければなりません。
ただし、製造分野に関する技能実習2号を良好に修了している場合、技能試験が免除となります。日本語試験は、職種を問わずに免除されます。
特定技能制度における試験については、以下の記事で詳しく解説しています。
特定技能制度の試験とは?即戦力の外国人を受け入れるための基礎知識
【特定技能2号】
特定技能2号を取得する人材は、技能水準と実務経験が問われます。技能水準の要件では、以下のいずれかの試験区分の合格が求められるので留意しておきましょう。
- ・製造分野特定技能2号評価試験、およびビジネス・キャリア検定3級
- ・技能検定1級
また、実務経験に関しては、日本国内に拠点を置く企業の製造業の現場で3年以上働いた実績が必要です。
工業製品製造業の特定技能人材の受け入れにおける注意点

ここからは、企業が特定技能人材を受け入れるうえでの注意点を3つ解説します。
義務的支援の実施が必須となる
工業製品製造業に限らず、企業は1号の特定技能人材に対する支援が義務付けられています。10項目ある義務的支援の内訳は、事前ガイダンスや契約支援、生活オリエンテーションなどに関するものです。
なお、支援計画の作成サポート、および実施に際して、登録支援機関のサポートを受けることも可能です。登録支援機関をうまく活用すれば、外国人材の受け入れにかかる企業の負担を大きく減らせるでしょう。
登録支援機関の詳細や選び方については、以下の記事で詳しく解説しています。
特定技能における登録支援機関とは?支援委託をおすすめする理由と選び方
直接雇用のみが認められている
工業製品製造業の分野は、外国人材の直接雇用のみが認められていることに留意が必要です。日本人と同等以上の報酬額の設定や、通常の労働者と同等の労働時間などを守らなければなりません。
ちなみに、特定技能制度では「農業」「漁業」の分野のみ、派遣での雇用形態も許可されています。これは、季節によって繁忙期と閑散期があり、労働力の融通性を高めるためです。
不法就労の防止に努める
外国人材が不法就労に該当すると、事業主側も罪に問われるおそれがあるので注意しましょう。不法就労に該当するのは、以下のようなケースです。
- ・許可されていない業務に従事させる
- ・在留期間を超えて働かせる
- ・不法滞在者を雇用する
不法就労助長罪に問われた場合、3年以下の懲役・300万円以下の罰金が科されます。このようなリスクを回避し、自社のニーズに特化した優良な外国人材をスムーズに雇用したい場合は、人材紹介会社を利用するのもおすすめです。
不法就労助長罪の罰則内容や事例について知りたい方は、ぜひ以下の記事をご参照ください。
不法就労助長罪とは?罰則や該当するケース、企業が知っておきたいポイントを解説
まとめ
企業が工業製品製造業分野の外国人材を受け入れるには、企業側に課されている要件をクリアしていることはもちろん、外国人側の要件も満たしておく必要があります。また、義務的支援の実施や不法就労の防止に努めることも不可欠なため、必要に応じて外部にサポートを依頼するとよいでしょう。
人材紹介会社のONODERA USER RUN(オノデラユーザーラン)なら、自社アカデミーで教育・育成した特定技能外国人のご紹介が可能です。さらに、登録支援機関としての入国前後のサポートに加え、就労後の定着支援サービスも提供しています。
2025年12月末時点で、企業様で実際に就労している人材は、累計5,900人以上に上ります。即戦力の働きも見込まれる特定技能外国人の雇用を検討しているという方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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