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企業が組織文化を形成すること・従業員が組織文化を理解することは、組織のチームワークや競争力を高めたり、人材の流出を防止したりするうえで大きな意義があります。
しかし、組織文化とは何か、何故重要なのかをあらためて問われると、うまく言語化できない方も多いのではないでしょうか。
今回は、外国人労働者を雇用する企業に向けて、組織文化を醸成するメリットや組織文化の作り方、定着させる方法などを解説します。より良い組織づくりのため、ぜひ参考にしてください。
目次
組織文化とは?
組織文化は企業文化とも呼ばれ、組織(=企業)に属するメンバー(=従業員)の思考や行動のもとになる、価値観や指針のことを指します。顧客への対応や商品開発、マーケティング戦略など、あらゆる企業活動に通じるものであり、企業の成長には良い組織文化が欠かせません。
ミシガン大学のロバート・クイン教授とキム・キャメロン教授によると、組織文化には、大きく分けて以下の4つのタイプがあるとされています。
<組織文化の4つのタイプ>
タイプ |
概要 |
例 |
階層型文化 |
ルールに基づいてトップダウン式で運営される、組織の安定性と秩序を重視する文化 |
公的機関 |
創造型文化 (イノベーション文化) |
新たな価値を創造するため、積極的な変革や、変化への柔軟な対応力を重視する文化 |
スタートアップ企業 |
市場指向型文化 |
市場や顧客から高い評価を得ることを重視し、競争力強化を目指す文化 |
小売業 サービス業 |
家族的文化 |
経営層・従業員が共同体の一員として連帯感を高め、協力して目標達成を目指す文化 |
中小企業 非営利団体 |
上記タイプの違いからもわかるとおり、組織文化は企業が差別化を図るうえでのポイントにもなります。
組織文化と組織風土の違い
組織文化と似た言葉に、「組織風土」があります。組織文化と組織風土には、どのような違いがあるのでしょうか。
一般的に、組織文化はコントロールしやすいものです。自ら作り上げるほか、状況に応じて意図的に変化させることもあります。
一方の組織風土は、組織の伝統や経験から自然に発生・定着した価値観などのことです。組織文化と異なり、意図的に変えるのは難しく、時代や環境の変化の影響もあまり受けません。
ただし、組織文化と組織風土の違いは学術的に定義されているわけではないため、実際には、混同されて用いられるケースも多いでしょう。
外国人材の受入れ企業が組織文化を醸成するメリット
近年は、日本における外国人労働者数が増えています。組織文化を形成することや、従業員が組織文化への理解を深めることは、外国人労働者を雇用する企業にとって重要です。
ここでは、外国人材の受入れ企業が組織文化を醸成する4つのメリットを解説します。
なお、日本における外国人労働者の受け入れ状況などの詳細は、以下の記事をご覧ください。
外国人労働者受け入れの現状は?雇用のメリット・デメリットや問題点、流れなどを徹底解説
参考:厚生労働省|「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和5年10月末現在)
チームワークを強化できる
組織文化の醸成は、組織に一体感をもたらします。
当然ながら、組織はさまざまな価値観を持った人の集まりです。異なる国で生まれ育った外国人材がいればなおさら、組織内で考え方に違いが生じやすくなるでしょう。
そのようななかで、組織内の共通の指針となる組織文化があれば、従業員同士の意思疎通がスムーズになり、チームワークの強化が期待できます。判断基準も明確になるため、組織としての意思決定のスピードが上がったり、偏見などによる判断ミスを防いだりすることにも繋がります。
従業員の主体性が向上する
与えられた仕事をマニュアルに沿って確実にこなすことも大切ですが、従業員が常に受け身の姿勢でいては、組織の成長は難しいかもしれません。
一方で、従業員が組織文化を深く理解していれば、目指すべき方向を間違えることなく、主体的に考えて行動に移しやすくなります。加えて、主体的な行動が企業への貢献に結び付いたことを実感できると、従業員のモチベーションやエンゲージメント(※)も向上し、好循環が生まれるでしょう。
※エンゲージメントとは、働き手が組織目標の達成と自らの成長の方向が一致し、仕事へのやりがいや働きがいを感じ、組織や仕事に主体的に貢献する意欲や姿勢を示す概念
人材確保・定着に良い影響がある
組織文化が明確だと、採用活動において、組織がどのような人材を求めているかが求職者に伝わりやすくなります。日本人材はもちろん、外国人材の採用のミスマッチも防ぎやすくなるでしょう。
組織文化を理解し共感してくれる人材を確保できれば、結果として人材定着率も向上すると想定されます。特に、外国人材の離職率は高い傾向があるため、人材定着率の向上は企業にとって大きなメリットといえます。
外国人材の定着率が伸び悩む理由や、定着率を高めるそのほかの施策は、以下の記事を参考にしてください。
外国人人材の定着率は?定着しづらい理由や改善に向けた7つの施策を解説
グローバルな競争力が高まる
そもそも外国人材の受け入れは、外国の言語や文化への対応力が高まることから、グローバル化の促進に寄与します。しかし、それだけでは他社との差別化を図れません。
そこで、組織文化を醸成すれば、企業イメージを社外に認知してもらえるようになります。良い組織文化ならブランディング効果があり、国際的な競争力をさらに高められるでしょう。
外国人材の受入れ企業における組織文化の作り方
ここでは、外国人労働者を雇用する企業に向けて、組織文化の作り方を3ステップで紹介します。
ステップ1|組織文化の構成要素を理解する
まずは、組織文化がどのような要素によって成り立つのかを理解しましょう。組織文化のおもな構成要素には、以下の6つが挙げられます。
1.ビジョンやミッション
ビジョンやミッションは、企業が目指す理想の姿や使命を示すものです。従業員の行動指針となり、スムーズな意思決定・業務遂行に繋がります。
ビジョンやミッションを明文化してアピールし、社外から共感を得られれば、新たなビジネスチャンスを生むきっかけにもなるでしょう。
2.リーダーの言動
ビジョンやミッションは、組織のリーダーが体現することが重要です。採用したばかりの外国人材などは、リーダーの言動から初めて組織文化を受け取ることになるでしょう。
日々の意思決定や行動にビジョンやミッションを落とし込み、従業員のお手本となるようにすることで、組織文化が形作られていきます。
3.人材の採用
ビジョンやミッションに共感する人材がいなければ、組織文化は成り立ちません。自社の組織文化にふさわしい人材を見極めて採用しましょう。
4.ストーリーの共有
ここでのストーリーとは、創業の経緯や商品・サービスの開発秘話など、組織特有のエピソードのことです。独自性の強いストーリーが従業員間で共有されることで、組織に対する愛着が生まれます。
ストーリーを知るきっかけ作りとしては、社内報への掲載やミーティングでの発信などが挙げられるでしょう。
5.場所
オフィスの「場所」も、従業員の価値観や行動に影響を与えるとされています。「場所」には、オフィスの立地や構造から、デスクの配置、社内設備といった細かい要素まで含まれます。
6.外部からの影響
組織文化は永久的なものではなく、外部の影響を受けながら必要に応じて変化していくものです。
特に、現代は変化の激しい時代です。時代や環境に合わせて
ステップ2|日本と海外の文化の違いを受け入れる
異なる国の文化を持つ日本人材と外国人材は、習慣や仕事にかかわる考え方に違いがあります。良い組織文化を形成するには、研修などを通してお互いの文化や価値観を理解する必要があります。
どちらの文化が良い・悪いというのではなく、尊重して受け入れることが大切です。
以下の記事では、文化が異なる外国人材とのコミュニケーションについて解説しているので、併せて参考にしてください。
外国人材との異文化コミュニケーションで大切なことは?重要な理由や交流のコツも解説
ステップ3|従業員が納得できる組織文化を形成する
双方の文化や価値観を理解できたら、その違いを踏まえたうえで納得のいく組織文化を作り上げていきます。
そのためには、組織の現状を把握したうえで、守るべきところ・変えるべきところを洗い出す必要があります。ビジョンやミッションなどに照らし合わせつつ、行動基準に落とし込みましょう。
組織文化を定着させるポイント
最後に、組織文化を定着させるためのポイントを紹介します。
組織文化を理解する機会を設ける
組織文化は、従業員が共通認識を持つことで初めて意味を持ちます。従業員が組織文化を深く理解するためには、研修などでまとまった時間をとる必要があるでしょう。
研修では、組織文化を明文化して全体像や背景を伝えたうえで、具体的にとるべき行動などを従業員が考えたり話し合ったりする時間を設けてみてください。そのとき、経営層から従業員へ組織文化を一方的に押し付けることのないよう、注意が必要です。
組織文化に沿った行動を評価する
従業員が組織文化に沿った行動をしたら、きちんと評価・表彰することも大切です。正しく評価するためには、評価制度を整備する必要があります。
評価に繋がると、従業員は組織文化を体現しようとする意識が高まります。また、評価された従業員をほかの従業員が見ることで、「どのような行動が組織文化に沿っているのか」という理解が深まるでしょう。
まとめ
組織文化(企業文化)は、あらゆる企業活動のもとになる価値観や指針です。外国人材の受入れ企業にとっては、組織文化を醸成することで、異なる文化を持つ従業員同士のチームワークの強化や、外国人材の定着率の向上などが期待できます。
組織文化を醸成・定着させるには、従業員が組織文化を理解する機会を設けることが大切です。
本記事を参考に、日本人材と外国人材の双方が働きやすい組織づくりを目指しましょう。
なお、組織文化の構成要素として解説したように、自社の組織文化にふさわしい人材を見極めて採用することもポイントです。ニーズに沿う外国人材の受け入れをご希望の方は、特定技能外国人の教育から人材紹介、登録支援まで一気通貫サービスを展開するONODERA USER RUN(オノデラユーザーラン)にぜひご相談ください。
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