制度・雇用契約
日本に滞在する外国人は、就労の可否や就労時の条件などが異なる在留資格をそれぞれ有しています。
例えば、就労が許可されていない在留資格を持つ外国人を雇用したい場合は、事前に就労可能な在留資格を取得してもらう必要があります。よって、外国人本人だけでなく、企業も「在留資格の変更」について知っておかなければなりません。
そこで今回は、在留資格の変更手続きに関する基礎知識を幅広く解説します。
目次
在留資格の変更とは
外国人が日本に滞在するためには、「出入国管理及び難民認定法(入管法)」に基づく在留資格が必要です。在留資格によって、就労の可否や就労時の条件など、活動内容の制限が異なります。
外国人は同時に複数の在留資格を有することはできないため、日本での活動範囲を拡大したい場合などには、「在留資格の変更」をしなければなりません。在留資格の変更は、入管法第20条に基づく手続きです。
在留資格の変更手続きをしないまま、在留資格で認められていない活動に外国人を従事させた場合は、受入れ企業が不法就労助長罪に問われる可能性があります。そのため、外国人本人はもちろん、受入れ企業も在留資格の変更に気を付けなければなりません。
以下の記事では、在留資格の概要や種類別の特徴などを解説しています。併せて参考にしてください。
在留資格とは?全29種類の特徴・取得方法や外国人雇用で気を付けたいポイントを解説
また、以下の記事では、不法就労助長罪の内容や罪に問われるケース、実際に起きた事例などを解説しています。
不法就労助長罪とは?罰則や該当するケース、企業が知っておきたいポイントを解説
「在留資格の変更」と「在留期間の更新」は何が違う?
在留期間とは、その名のとおり、外国人が日本に滞在できる期間のことです。就労の可否などと同様に、在留期間も在留資格ごとに定められています。
在留期間が満了してからも、同じ在留資格で引き続き日本に滞在したい外国人は、期限内に「在留期間の更新」をする必要があります。在留資格の変更とは異なり、在留期間の更新では在留資格そのものは変わりません。
なお、在留目的をすでに達成している場合や、素行不良などで在留状況に問題がある場合は、在留期間の更新が認められない可能性もあるため注意しましょう。
在留資格の変更の際は「在留資格変更許可申請」が必要
在留資格の変更をする際は、「在留資格変更許可申請」の手続きが必要です。ここでは、企業の採用担当者に向けて、在留資格変更許可申請手続きの概要を解説します。
申請期間
在留資格変更許可申請の手続き期間は、在留資格の変更の必要性が生じてから、現在の在留期間が満了するまでの間です。現在の在留期間は、外国人が所持している在留カードで確認しましょう。
申請提出者
在留資格変更許可申請に関する書類を提出できるのは、外国人本人・代理人・取次者のいずれかです。
取次者には、その外国人を雇用する企業の職員も含まれます。ただし、地方出入国在留管理局長から、事前に「申請等取次者」としての承認を受けていなければなりません。
必要書類
在留資格変更許可申請に必要な書類は、申請予定の在留資格や個別状況によって異なります。共通するおもな必要書類は、以下のとおりです。
- ・在留資格変更許可申請書
- ・証明写真
- ・パスポート
- ・在留カード
在留資格に応じた在留資格変更許可申請書は、出入国在留管理庁のホームページからダウンロードが可能です。また、パスポートや在留カードは、提出するのではなく提示します。
なお、雇用契約書や雇用理由書(任意)など、企業側が用意しておくべき書類もあるため注意しましょう。
申請先
在留資格変更許可申請の申請先は、外国人の住居地を管轄する地方出入国在留管理官署です。
なお、外国人を雇用する企業の職員も含め、「在留申請オンラインシステム」によるオンライン申請も可能です。
審査基準
在留資格変更許可申請は、審査基準をクリアしないと認められません。審査基準はすべてが公開されているわけではありませんが、出入国在留管理庁がガイドラインとして提示しているおもな内容は、以下のとおりです。
- ・日本に入国する際の上陸審査の基準に適合していること
- ・これまで、保有する在留資格に応じた活動をしていたこと
- ・これから行おうとする活動が、申請する在留資格と合っていること
- ・労働関係の法令に適合した条件で雇用されている・労働していること
- ・素行が善良であること
- ・納税義務や届出の義務を履行していること
- ・問題なく日常生活を送れる資産やスキルを保有していること
参考:出入国在留管理庁|在留資格の変更,在留期間の更新許可のガイドライン(日本語)(令和2年2月改正)
手数料
在留資格変更許可申請が認められた場合に限り、収入印紙にて4,000円の手数料を支払います。
同時に、新しい在留カードも交付されるので受け取りましょう。
在留資格変更許可申請のポイント・注意点
最後に、企業の採用担当者が知っておくべき、在留資格変更許可申請のポイント・注意点を解説します。
在留資格「短期滞在」からの在留資格変更は難しい
在留資格「短期滞在」は、観光やスポーツ、親族の訪問などで一時的に日本に滞在することを認めるもので、働くことはできない「非就労資格」です。
入管法第20条第3項によれば、短期滞在からの在留資格の変更については、「やむを得ない特別の事情に基づくものでなければ許可しない」とされています。
在留資格「短期滞在」の取得理由に虚偽がなく、かつ在留資格を変更すべき特別の事情が生じた場合などでなければ、在留資格の変更は原則認められない点に留意しましょう。
審査にかかる時間を考えて準備・申請する
出入国在留管理庁では、在留資格変更許可申請の審査の標準処理期間を「2週間~1ヵ月」と公表しています。
ただし、外国人を4月入社で採用しようとする企業は多く、入社前の1~3月は申請が混雑すると想定されます。また、申請内容に不備があったときには、内容の修正や追加の書類提出が求められることもあるでしょう。
このような点を踏まえると、2月や3月に在留資格変更許可申請をした場合は、4月入社に間に合わないかもしれません。受け付けが開始されたらすぐに申請できるよう、余裕を持って準備を進めておくことが大切です。
なお、外国人留学生(在留資格「留学」を持つ外国人)の場合、原則として卒業年の1月(東京出入国在留管理局は12月)から、在留資格の変更の受け付けが開始されます。
外国人雇用手続きの全体的な流れを知りたい方は、ぜひ以下の記事もご覧ください。
外国人雇用の手続きの流れを紹介!企業が知っておくべき注意点やポイントも解説
まとめ
外国人が日本での活動範囲を変更・拡大したい場合などには、在留資格の変更をします。在留資格変更許可申請の手続きは、外国人を雇用する企業の職員が代わりに行うことも可能です。
ただし、在留資格「短期滞在」からの在留資格の変更は原則認められていないことや、審査には一定の時間を要することなどに注意しましょう。
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