特定技能の基本情報
特定技能ビザは、「介護」「外食」「宿泊」などの人材の確保が困難な一部の分野で、即戦力として活躍が見込まれる外国人向けの在留資格です。自社で特定技能外国人を受け入れるために、必要書類について詳しく知りたい方も多いのではないでしょうか。
今回は特定技能の概要を紹介したうえで、必要書類や申請の流れ、申請に関する注意点について解説します。外国人の受け入れを検討している採用担当の方は、ぜひ参考にしてください。
目次
そもそも特定技能とは
在留資格「特定技能」は、人手不足に陥っている特定産業分野で、一定の専門性・技能を持つ外国人材を確保することを目的とした就労ビザです。対象となるのは、「介護」「外食」「宿泊」などの12分野です。
特定技能には、特定産業分野に属する相当程度の知識または経験が必要な技能を有する外国人向けの「1号」と、特定産業分野に属する熟練した技能を有する外国人向けの「2号」があります。
特定技能の分野・業種について詳しく知りたい方は、ぜひ以下の記事も参考にしてください。
2023年最新|特定技能の12分野・業種の職種一覧と現状を解説!
2つのルートで取得を目指せる
特定技能1号を取得するには、技能実習制度における「技能実習2号」を良好に修了するルートと、試験に合格するルートの2つがあります。
ただし、技能実習制度は、より実態に即した在留資格へ見直すことを目的として、2023年11月24日に政府の有識者会議が廃止に関する最終報告書を取りまとめています。今後は、外国人材の確保・育成を目的とした育成就労制度を新たに運用する見通しです。
法務省の「最終報告書たたき台(概要)」によると、この制度では基本3年の育成期間を通して特定技能1号の水準まで外国人を育成するとしており、特定技能ビザを取得する新たなルートとして普及することが見込まれます。
一方、試験に合格するルートでは、対象分野における技能評価試験と日本語試験の合格により、特定技能外国人の人材基準を満たせます。ただし、介護分野に限っては、ほかの分野と同じ日本語試験に加え、介護日本語評価試験にも合格しなければなりません。
育成就労制度の概要や基本的な考え方、重要なポイントについて知りたい方は、ぜひ以下の記事もご覧ください。
【最新動向】育成就労制度とは?基本的な考え方や重要なポイントを解説
また、特定技能の試験については、以下の記事で詳しく紹介しています。
特定技能制度の試験とは?即戦力の外国人を受け入れるための基礎知識
特定技能2号は在留制限なしで働ける
前述のとおり、特定技能の種類には1号と2号があります。1号は通算5年の在留期間が設けられていますが、2号は在留期間の制限なく働けることが特徴です。
2023年には、2号の対象分野が介護を除く11分野まで拡大しました。2号特定技能外国人には家族帯同も認められているため、日本に在留する外国人労働者が安定して中長期的に働ける環境を確保しやすくなるでしょう。
なお、介護の分野に関しても現行の在留資格「介護」を取得すれば、無期限の就労を実現できます。
特定技能ビザの必要書類
ここからは、特定技能ビザの申請における必要書類を、3つの項目で紹介します。
申請人に関する申請書類一覧
申請人(外国人本人)に関する申請書類は、以下のとおりです。
番号 |
必要書類 |
1 |
特定技能外国人の在留諸申請に係る提出書類一覧表 |
2 |
在留資格認定証明書交付申請書 |
3 |
特定技能外国人の報酬に関する説明書 |
4 |
特定技能雇用契約書の写し |
5 |
(1)雇用条件書の写し ※1年単位の変形労働時間制を採用している場合は以下も添付 ・申請人が十分理解できる言語を併記した年間カレンダーの写し ・1年単位の変形労働時間制に関する協定書の写し (2)賃金の支払 |
6 |
雇用の経緯に係る説明書 |
7 |
徴収費用の説明書 |
8 |
健康診断個人票、受診者の申告書 |
9 |
1号特定技能外国人支援計画書 |
10 |
登録支援機関との支援委託契約に関する説明書 ※支援計画をすべて登録支援機関に委託する際に提出が必要 |
11 |
二国間取決において定められた遵守すべき手続に係る書類 ※2022年3月時点で、カンボジア、タイ、ベトナム国籍のみが対象 |
参考:出入国在留管理庁|『特定技能1号』に係る提出書類一覧表(在留資格認定証明書交付申請用)
上記以外に、審査結果の返送に用いられる返信用封筒も用意する必要があります。
なお、「1号特定技能外国人支援計画書」は、出入国在留管理庁が定める10項目の支援内容を記載する重要な書類です。
この支援計画書には、外国人に対する「事前ガイダンス」「出入国時の送迎」「住居確保・契約支援」などに関する実施内容・方法や支援の責任者・担当者の氏名、役職などを記載します。
所属機関(法人)に関する申請書類一覧
次に、所属機関(法人)に関する申請書類を一覧で紹介します。
番号 |
必要書類 |
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1 |
特定技能所属機関概要書 |
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2 |
登記事項証明書 |
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3 |
業務執行に関与する役員の住民票の写し ※マイナンバーの記載がなく、本籍地の記載があるものに限る |
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4 |
特定技能所属機関の役員に関する誓約書 ※特定技能外国人の受け入れに関する業務執行に関与しない役員がいる場合に提出する |
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5 |
AからCまでのいずれかの場合に応じた書類 |
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A)初めて受け入れる場合 |
労働保険料等納付証明書(未納なし証明) |
|
B)受け入れ中の場合 ※労働保険事務組合に事務委託していない場合 |
労働保険概算・増加概算・確定保険料申告書(事業主控)の写し、および申告書に対応する領収証書(口座振替結果通知ハガキ)の写し ※直近2年分が必要 |
|
C)受け入れ中の場合 ※労働保険事務組合に事務委託している場合 |
労働保険事務組合が発行した直近2年分の労働保険料等納入通知書の写し、および通知書に対応する領収証書(口座振替結果通知ハガキ)の写し ※直近2年分が必要 |
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6 |
社会保険料納入状況回答票、または健康保険・厚生年金保険料領収証書の写し ※申請日の属する月の前々月までの24ヵ月分が必要 |
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7 |
税務署発行の納税証明書(その3) |
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8 |
AからBまでのいずれかの場合に応じた書類 |
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A)初めて受け入れる場合 |
法人住民税の市町村発行の納税証明書 ※直近1年度分が必要 |
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B)受け入れ中の場合 |
法人住民税の市町村発行の納税証明書 ※直近2年度分が必要 |
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9 |
公的義務履行に関する説明書 ※上記5から8までに関し、提出不要の適用を受ける場合に必要 |
上記のうち「特定技能所属機関概要書」とは、特定技能外国人の受入れ企業に関する情報を記載する書類のことです。役員氏名や決算状況、中長期在留者の受け入れに関する実績などを記載します。
所属機関の条件に応じて必要な書類は、出入国在留管理庁のサイトを参照してください。
出入国在留管理庁|所属機関(一定の実績があり適正な受け入れが見込まれる機関)に関する必要書類
産業分野別の申請書類一覧
特定技能ビザを取得する外国人が従事する特定産業によって、必要書類は変わります。以下では、例として介護分野における特定技能ビザの申請で必要な書類を紹介します。
番号 |
必要書類 |
|
1 |
AからDまでのいずれかの場合に応じた書類 |
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A)申請人が介護福祉士養成施設修了者の場合 |
介護福祉士養成施設の卒業証明書の写し |
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B)申請人がEPA介護福祉士候補者として在留期間(4年間)を満了した者の場合 |
直近の介護福祉士国家試験の結果通知書の写し |
|
C)申請人が技能実習2号良好修了者(2年10ヵ月以上)の場合 |
次の1または2のいずれか 1)介護技能実習評価試験(専門級)の実技試験の合格証明書の写し 2)技能実習生に関する評価調書 ※上記のいずれも省略できる場合あり |
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D)申請人が上記のいずれにも該当しない場合 |
介護技能評価試験の合格証明書の写し |
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介護日本語評価試験の合格証明書の写し |
||
次の1または2のいずれか 1)日本語能力試験(N4以上)の合格証明書の写し 2)国際交流基金日本語基礎テストの合格証明書(判定結果通知書)の写し |
||
2 |
介護分野における特定技能外国人の受け入れに関する誓約書 |
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3 |
介護分野における業務を行わせる事業所の概要書 |
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4 |
協議会の構成員であることの証明書 ※特定技能外国人の初回の受け入れから4ヵ月以上経過している場合に必要 |
介護分野で特定技能外国人を受け入れる場合は、受け入れに関する誓約書や事業所の概要書などが必要です。そのほかの分野で必要な書類は、以下の出入国在留管理庁のサイトを参照してください。
【4STEP】特定技能ビザ申請の流れ
続いて、特定技能ビザを申請する流れを解説します。
STEP1.雇用契約を締結する
規定の技能試験および日本語試験に合格した外国人、もしくは技能実習制度における技能実習2号を修了した外国人と雇用契約を締結します。ただし、前述のとおり、今後技能実習制度は廃止され、育成就労制度が新設される見通しです。
外国人と受入れ機関のあいだで結ばれる特定技能雇用契約書には、雇用関係に関する事項と外国人の在留に関する事項について記載します。
それぞれの詳しい記載内容は、以下のとおりです。
【雇用関係に関する事項】
・従事させる業務に関する内容
・所定労働時間に関する内容
・報酬に関する内容
・待遇に関する内容
・一時帰国時の有給休暇取得に関する内容
・派遣先に関する内容
・分野別に規定された基準に関する内容
【外国人の在留に関する事項】
・帰国担保措置に関する内容
・健康状況およびその他の生活状況把握に必要な措置に関する内容
特定技能雇用契約書を締結する際は、外国人が契約内容を十分に理解できるよう丁寧に説明したり、健康を保てるような規定を受入れ機関で整備したりすることが必要です。また、契約書は2部作成して1部を外国人本人に渡し、残りの1部は受入れ機関で保管します。
STEP2.特定技能ビザを申請する
特定技能ビザの申請に必要な書類を準備したうえで、管轄の出入国在留管理庁へ提出しましょう。オンライン手続きも可能にです。
申請後に修正や追加が必要な場合は、随時対応します。受入れ企業が申請を行えるほか、登録支援機関などに申請手続きを依頼することもできるため、必要に応じて委託を検討するとよいでしょう。
登録支援機関の概要や業務内容、依頼するメリットに関しては、以下の記事を参照してください。
STEP3.在留資格認定証明書を発送する
外国人が海外に居住し、代理人が特定技能ビザを申請するケースも多くあります。その場合は、出入国在留管理庁より在留資格認定証明書が交付されたら、外国人へ発送しなければなりません。
在留資格認定証明書の形式はPDFか紙かを選択でき、PDF形式を選んだ場合は、電子メールへ添付して送信可能です。一方、紙形式を選んだ場合は、万一の紛失に備えて配送状況を追跡できるサービスの利用をおすすめします。
STEP4.ビザ(査証)を申請する
外国人が在留資格認定証明書を受け取ったら、日本大使館や日本領事館でビザ(査証)の申請を行います。在留資格認定証明書には原則3ヵ月の有効期限があるため、余裕を持って申請しましょう。
なお、外国人の受入れ企業は前述の支援計画書に基づき、入国前ガイダンスや住宅確保の支援などに取り組む必要があります。登録支援機関に委託した場合はこれらについてもサポートしてもらえるため、採用担当者の負担軽減に繋がります。
特定技能ビザの申請に関する3つの注意点
ここでは、特定技能ビザの申請に関する注意点を3つ紹介します。
申請書類が多いため手続きが煩雑になりやすい
特定技能ビザは、ほかの在留資格に比べると申請書類が多く、手続きが煩雑になります。支援体制を確立しておく必要もあるため、登録支援機関などのサポートを受けながら準備することが大切です。
万一、申請書類の不備が原因で再申請が必要になると、準備作業に余計なコストがかかるうえ、外国人を受け入れるスケジュールにも支障をきたすので注意しましょう。
申請人本人の署名が必要な書類がある
健康診断個人票や1号特定技能外国人支援計画書などの書類は、原則的に本人の署名が必要です。海外に居住している外国人が在留資格認定証明書の交付申請を行う際は、代理人である受入れ企業の採用担当者が署名します。
ただし、在留資格の変更や更新など日本に滞在している外国人が申請するケースでは、本人の署名が必須になるので注意してください。
発行から3ヵ月以内の証明書を提出する
日本で発行される証明書はすべて、有効期限が3ヵ月以内とされています。提出書類には古い発行日のものが混在しないよう、注意が必要です。
ただし、対象の外国人が合格した日本語試験は基本的に有効期限がなく、実技試験に関しては特定産業分野の種類によって有効期限・期間が異なります。
例えば介護分野の場合、合格通知書の有効期限は受験日から10年後、ビルクリーニング分野では合格証明書が発行された日から10年間と規定されています。実技試験合格に関する有効期限の違いに留意して、スムーズに申請できるようにしましょう。
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入国前に必要な支援計画の作成や事前ガイダンスはもちろん、入国時の住居確保・生活に必要な契約支援、入国後の各種サポートにも対応しています。
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まとめ
特定技能は、自社の事業において中長期的な戦力となる外国人材を確保できる在留資格です。特定技能ビザ申請の際は、申請人と所属機関に関する書類のほか、就労する産業分野に沿った書類も用意しなければなりません。
また、1号特定技能外国人を雇用する際は、支援業務を行うことも義務付けられています。外国人材を受け入れるにあたり、スムーズに書類申請をしたり、採用担当者の負担軽減を図ったりするために、登録支援機関へサポートを依頼するのもおすすめです。
ONODERA USER RUN(オノデラユーザーラン)は、自社の事業に見合った外国人材の紹介や、特定技能外国人の受け入れに必要な書類申請・支援業務のサポートを行っています。特定技能外国人の雇用を検討している採用担当の方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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