特定技能関連

東京都で特定技能外国人の雇用を検討するうえで、雇用動向などを知りたい方も多いのではないでしょうか。近年、外食業や建設、介護などの分野で活躍する特定技能人材が増えており、いまや重要な戦力となっています。
今回は、特定技能の概要や東京における雇用動向を解説したうえで、ニーズの高い職種と留意点について紹介します。併せて、企業が活用できる支援制度や採用の流れ・必要書類などについても詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
特定技能とは
そもそも特定技能とは、人手不足が顕著な16の特定産業分野で、即戦力としての活動が見込まれる外国人材を受け入れるための在留資格です。
大きく2つの区分に分かれており、在留期間が最長5年の「1号」と、更新し続ければ在留期間の上限なしで働くことが可能な「2号」があります。
なお、特定技能の在留資格申請が可能な人材の水準として、技能試験と日本語試験の合格は不可欠です。技能試験の内容はそれぞれの分野で異なり、日本語試験は「国際交流基金日本語基礎テスト」、または「日本語能力試験(N4以上)」の合格が基本となります。
特定技能の種類や対象分野については、以下の記事で詳しく解説しています。
在留資格「特定技能」とは?種類や対象分野、技能実習との違いなどをわかりやすく解説
東京都の特定技能外国人の雇用動向

次に、東京都における人手不足の現状や、特定技能外国人の雇用状況について見ていきましょう。
東京都の人手不足の現状
厚生労働省のデータによると、2024年における全国と東京都の有効求人倍率は以下のとおりです。
- 全国:1.25倍
- 東京都:1.77倍
上記のとおり、東京都の有効求人倍率は、全国平均と比べて0.5ポイントほど高く、人手不足が特に深刻な状況であることがうかがえます。
東京都で特に有効求人倍率が高い職業として、以下が挙げられます。
|
職業 |
有効求人倍率 |
|
保安職業従事者 |
14.97倍 |
|
介護サービス職業従事者 |
8.48倍 |
|
建設・土木作業従事者 |
7.81倍 |
|
機械整備・修理、検査従事者 |
7.65倍 |
|
建築・土木・測量技術者 |
7.55倍 |
なお、介護や建設・土木の分野は、特定技能の受け入れ分野としても設けられています。
出典:厚生労働省|一般職業紹介状況(令和6年12月分及び令和6年分)について
出典:東京労働局|一般職業紹介状況(令和6年12月分及び令和6年分)
地域別|東京都の特定技能外国人の雇用状況
出入国在留管理庁のデータによると、全国における特定技能外国人数は年々増加しており、2025年6月末時点で33万6,196人に上ります。そのうち、同年同月末における東京都の特定技能1号外国人数は2万2,306人です。
さらに細かく見ると、23の特別区で1万5,772人、その他の市町村で6,534人に振り分けられます。以下では、区と市のそれぞれで、雇用者数が多いところを確認しましょう。
【特別区の雇用者数】
|
大田区 |
1,809人 |
|
江戸川区 |
1,700人 |
|
足立区 |
1,658人 |
|
板橋区 |
1,241人 |
|
練馬区 |
986人 |
【市の雇用者数】
|
八王子市 |
889人 |
|
町田市 |
585人 |
|
立川市 |
557人 |
|
武蔵村山市 |
313人 |
|
青梅市 |
306人 |
大田区や江戸川区は、多文化共生社会の推進に注力していることもあり、東京都のなかでも特定技能人材の雇用数が多い傾向です。
分野別|東京都の特定技能外国人の雇用状況
出入国在留管理庁のデータによると、東京都で受け入れている特定技能1号外国人における、分野別の雇用状況は以下のとおりです。
|
分野 |
雇用者数 |
|
外食業分野 |
8,222人 |
|
建設分野 |
4,554人 |
|
介護分野 |
4,399人 |
|
飲食料品製造業分野 |
2,736人 |
|
ビルクリーニング分野 |
1,372人 |
|
工業製品製造業分野 |
367人 |
|
航空分野 |
344人 |
|
自動車整備分野 |
155人 |
|
農業分野 |
80人 |
|
宿泊分野 |
61人 |
|
漁業分野 |
11人 |
|
造船・舶用工業分野 |
5人 |
上表のうち、最も雇用数が多いのは外食業分野の8,222人で、次いで建設分野の4,554人、介護分野の4,399人となっています。
東京都でニーズが高い特定技能の職種と留意点

ここからは、東京都で特に雇用のニーズが高い特定技能の職種と、それぞれの留意点を紹介します。
1.外食業
外食業は、レストランや居酒屋などの飲食店で食事を提供するサービスです。特定技能外国人が従事可能なおもな業務と、想定される関連業務は、以下のとおりです。
<従事するおもな業務>
- 飲食物調理:食材仕込み、加熱・非加熱調理、調味、盛付け、飲食料品の調製など
- 接客:席への案内、メニュー提案、注文伺い、配膳、代金受取り、商品セッティングなど
- 店舗管理:店舗内の衛生管理全般、従業員のシフト管理、求人・雇用に関する事務など
<想定される関連業務>
- 原材料に使用する農林水産物の生産
- 調理品等以外の物品の販売
なお、外食業で合格が必要な技能試験は、「外食業特定技能1号技能測定試験」です。試験の概要や取得・申請の要件については、以下の記事をご参照ください。
特定技能「外食業」とは?試験概要や取得・申請するための要件を解説
2.建設
特定技能外国人が建設業に従事するのは、「土木」「建築」「ライフライン・設備」の3つの業務区分になります。それぞれの区分で、特定技能外国人が従事可能なおもな業務は、以下のとおりです。
|
区分 |
従事するおもな業務 |
|
土木 |
型枠施工、コンクリート圧送、トンネル推進工、建設機械施工、土工、鉄筋施工、とび、海洋土木工 |
|
建築 |
型枠施工、左官、コンクリート圧送、屋根ふき、土工、鉄筋施工、鉄筋継手、内装仕上げ、表装、とび、建築大工、建築板金、吹付ウレタン断熱 |
|
ライフライン・設備 |
電気通信、配管、建築板金、保温保冷 |
なお、建設の技能試験では「建設分野特定技能1号評価試験等」に合格する必要があります。業務区分の詳細や企業側に求められる要件などは、以下の記事で詳しく解説しています。
特定技能「建設」とは?再編された区分や人材採用する側が満たすべき要件
3.介護
介護は、高齢や障害によって介護が必要な人に向けて、身体介護などを行う仕事です。特定技能外国人が従事可能なおもな業務、想定される関連業務は、以下のとおりです。
<従事するおもな業務>
- 身体介護等(入浴、食事、排せつのサポートなど)
- 身体介護等に関係して助けが必要な仕事(レクリエーションの実施、リハビリテーションの補助など)
<想定される関連業務>
- 掲示物の管理
- 物品の補充や管理
介護の技能試験では「介護技能評価試験」に合格しなければなりません。また、通常の日本語試験に加え、「介護日本語評価試験」にも合格する必要があります。
なお、2025年4月より、特定技能外国人も一定の要件を満たせば、訪問系サービスへの従事が認められるようになりました。その詳細や受け入れ可能施設などの情報については、以下の記事をご参照ください。
特定技能「介護」とは?対応できる業務や取得方法、受け入れ側の注意点を解説
特定技能の訪問介護が解禁へ!現状や今後の動向、考えられる課題を解説
4.飲食料品製造業
飲食料品製造業では、酒類を除く飲食料品の製造や加工などを行います。特定技能外国人が従事可能なおもな業務、想定される関連業務を見てみましょう。
<従事するおもな業務>
- 生産にかかわる作業:原料の処理、加熱、殺菌、成形、乾燥など
- 安全衛生と食品衛生を守る業務:機械の安全確認、作業者の衛生管理など
<想定される関連業務>
- 原料の調達・受け入れ
- 製品の納品
- 清掃
- 事業所の管理の作業
なお、技能試験では「飲食料品製造業特定技能1号技能測定試験」に合格する必要があります。この分野の外国人材を雇用したい方は、ぜひ以下の記事をご覧ください。
特定技能「飲食料品製造業」を詳しく解説!雇用する際のポイントや受け入れ事例も
【東京都】特定技能外国人の受け入れで活用できる支援制度
次に、東京都の特定技能外国人の受け入れで活用可能な支援制度を紹介します。自社で利用できる制度がないか、ぜひチェックしてみてください。
TOKYO 特定技能 Job マッチング支援事業
TOKYO 特定技能 Job マッチング支援事業は、都内の中小企業と外国人材のマッチングをサポートする事業です。要件を満たす企業を対象に、人材の紹介を無料で実施してもらえますが、書類作成や手続きなどの代行は対象外となっています。
この支援事業の2025年における募集期間は、5月上旬~12月末の予定です。ただし、参加企業は、業種・職種などを踏まえて選定され、80社程度まで絞り込まれることに留意が必要です。
自社が参加できない可能性もあるため、より確実な特定技能外国人の採用に向けて、人材紹介会社などの利用も検討したほうがよいでしょう。
参考:東京都「TOKYO 特定技能 Job マッチング支援事業」|企業の皆様へ
特定技能制度に基づく外国人介護従事者の受入れ支援事業
介護分野の特定技能外国人を雇用する介護保険施設等を対象に、外国人材の日本語学習や専門学習などの一部の経費を補助してもらえる制度です。1人当たりの補助基準額は「67万円に事業月数を乗じた額を12月で除した額」で、補助率は2分の1です。
参考:公益財団法人東京都福祉保健財団|9 特定技能制度に基づく外国人介護従事者の受入れ支援事業
介護に関するその他の支援制度
介護分野の特定技能外国人も活用できる地域の支援制度として、以下が挙げられます。
|
支援制度 |
概要 |
|
目黒区介護福祉士資格取得費補助事業 |
・介護福祉士の資格取得にかかった費用を、上限10万円まで補助する制度 ・試験合格の場合は、受験対策講座の受講料や登録手数料なども補助の対象 |
|
渋谷区介護職員宿舎借り上げ支援事業 |
・介護職員向けの宿舎借り上げに要する経費の一部を助成する制度 ・助成対象経費は、賃料、共益費(管理費)、礼金、更新料など |
|
足立区介護職員資格取得支援事業助成金 |
・職員の資格取得を支援した事業者に対し、必要経費を助成する制度 ・介護職員初任者研修や介護職員実務者研修、日本語研修などが対象 |
参考:目黒区|令和7年度目黒区介護福祉士資格取得費補助事業
参考:渋谷区|渋谷区介護職員宿舎借り上げ支援事業
参考:足立区|介護職員資格取得支援事業助成金のご案内
上記のとおり、地域ごとにさまざまな支援制度が設けられているので、自社で利用できる制度がないか、チェックしてみることをおすすめします。
東京都で特定技能外国人を採用するときの流れ・必要書類

ここからは、東京都で特定技能外国人を採用する際の流れや必要書類を確認しましょう。
採用の流れ
企業が特定技能外国人を採用するときの流れは、以下のとおりです。
- 1.自社が受け入れ要件を満たしているか確認する
- 2.ニーズに合った人材の募集・面接を行う
- 3.雇用契約を締結する
- 4.支援計画を策定する
- 5.在留資格申請を実施する
- 6.雇用を開始する
まずは、自社が特定技能による人材受け入れの要件を満たしているかを確認しましょう。その後、ニーズに見合った人材の募集・面接を行い、雇用契約を結びます。
特定技能人材の受入れ企業は、対象の外国人が円滑に日本で就労・生活ができるように、支援計画を策定しなければならないことに留意が必要です。支援計画の策定、および実施については、登録支援機関の支援を受けることも可能です。
必要書類をそろえて在留資格申請を実施し、申請が許可されれば、特定技能人材の雇用をスタートできます。
必要書類
特定技能の在留資格申請を行う際、共通して必要となる書類は以下の2つです。
- ・在留資格認定証明書交付申請書
- ・写真1枚
これらのほか、申請人・所属機関・分野に関する書類をそれぞれ用意しなければなりません。例えば、申請人が用意すべき書類として、特定技能雇用契約書の写しや雇用条件書の写しなどが挙げられます。
必要書類の詳細については、以下の記事の解説をぜひ参考にしてください。
特定技能ビザの必要書類を一覧で紹介!申請の流れや注意点も解説
東京都で特定技能外国人を採用するならオノデラユーザーランへご相談を!

東京都で特定技能外国人の雇用を推進していきたいという方は、ぜひONODERA USER RUN(オノデラユーザーラン)へご相談ください。
アジア各国の自社無償教育拠点で専門教育や育成を実施した特定技能外国人の紹介が可能なので、ニーズに適した人材のスムーズな雇用を目指せます。また、登録支援機関として入国前後のサポートも行っており、一気通貫のサービス展開が特徴です。
さらに、オノデラユーザーランでは、外国人材の定着率アップを図るための独自の学習支援サービスを提供しています。日本語学習に関するLIVE配信型授業を行っているほか、介護分野の人材向けの「介護福祉士学習講座」なども実施しているので、採用人材のキャリアアップにも役立てられます。
採用事例1.外食業|株式会社APスタンディングフーズ 立ち寿司横丁 吉祥寺ハーモニカ横丁様
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所在地 |
東京都武蔵野市 |
|
施設名 |
立ち寿司横丁 吉祥寺ハーモニカ横丁 |
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採用人数 |
4名(フィリピン) |
※2023年6月時点の情報です。
東京都武蔵野市にある「立ち寿司横丁 吉祥寺ハーモニカ横丁」は、株式会社APスタンディングフーズ様が経営する飲食店です。同社の立ち寿司業態では、2022年11月にフィリピンの人材を4名採用いただきました。
そもそも採用のきっかけとなったのは、2020年代のコロナ禍の影響で人手不足に拍車がかかっているなかで、外食分野は外国人材から人気があったためとのこと。就業前の事前研修で、外国人材の包丁の使い方や手先の器用さなどをチェックしてもらい、特に見込みのある人材の採用に至りました。
いずれの人材も業務に真剣に打ち込み、成長も早いため、日本人の先輩社員が触発されて、お互いが協調し合うような良い環境が生まれているということです。
事例の詳細はこちら
採用事例2.介護|医療法人社団時正会 佐々総合病院様
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所在地 |
東京都西東京市 |
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施設名 |
医療法人社団時正会 佐々総合病院 |
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採用人数 |
2名(フィリピン)、2名(ミャンマー) |
※2023年11月時点の情報です。
東京都西東京市の佐々総合病院は、約180床を擁する総合病院で、地域に根差した急性期医療を提供しています。2022年にフィリピンの人材を2名、2023年にミャンマーの人材を2名採用いただいています。
同病院が特定技能人材の採用に踏み切った理由は、オノデラユーザーランのサポート体制を信頼したからとのこと。患者様に対して親切に接する特定技能人材の評判は良く、先輩職員にもモチベーションアップの影響を与えているといいます。
なお、今後の特定技能人材に期待することとして、部署・病院全体の活性化や、ケアサポーターのリーダーポジションへの昇格などを挙げていただきました。
事例の詳細はこちら
まとめ
全国的に見ても、東京都の人手不足は深刻化しており、昨今は多くの特定技能人材が活躍しています。スムーズな受け入れを実現するためにも、採用の流れや必要書類を把握するほか、支援制度の適切な活用も検討するとよいでしょう。
ONODERA USER RUN(オノデラユーザーラン)では、特定技能外国人の紹介、および登録支援機関としてのサポートに対応しています。これまでも、外食や介護などの多様な分野で、企業様のニーズに即した人材を採用いただいた実績があります。
まずはお気軽にご相談ください。
お問い合わせはこちら
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2019年4月に創設された、人材の確保が困難な16の産業分野等における人手不足に対応するため、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人材を労働者として受け入れる在留資格のこと。
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