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制度・雇用契約

育成就労制度の対象職種やポイントは?技能実習制度の課題も踏まえて解説

2024.10.15

これまでの技能実習制度に代わり、「育成就労制度」を新たに創設することが予定されています。外国人材の受入れ企業として、育成就労制度の対象職種について詳しく知りたい採用担当の方は多いのではないでしょうか。

今回は、育成就労制度の概要とともに、技能実習制度の対象職種に関する課題や、その課題を解決する育成就労制度のポイントなどを解説します。新制度の開始に備え、ぜひ参考にしてください。

育成就労制度の概要

育成就労制度とは、これまでの技能実習制度の代替となる新制度です。新たに追加される予定である、在留資格「育成就労」の根拠となります。

そもそも技能実習制度は、開発途上国などの外国人に対して技能を移転し、国際貢献をすることが目的です。しかし実際には、労働力を確保するために技能実習制度が利用されているケースがあり目的と実態が乖離している点が問題視されていました

そこで、国際貢献のための人材育成ではなく、あくまで日本の発展のための人材育成・人材確保を主眼とした、育成就労制度へと見直されることになり、基本的に3年間の育成期間で特定技能1号の水準の人材に育成するとしています。

育成就労制度の関連法の改正については、2024年6月14日に国会で可決・成立し、6月21日に公布済みです。今後、公布日から3年以内(2027年6月頃まで)に、新制度が開始(施行)される見込みとなっています。

参考:出入国在留管理庁「育成就労制度・特定技能制度Q&A」

 

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技能実習制度の「職種」に関する課題

これまでの技能実習制度では、外国人材の受け入れ対象職種に関する課題がありました。ここでは、大きく分けて2つの観点から、その課題について解説します。

対象職種が特定産業分野と一致していない

在留資格「技能実習」から「特定技能」に移行するためには、特定技能制度の受け入れ対象分野である「特定産業分野」と、分野・職種が一致している必要があります。

言い換えれば、外国人材が技能実習制度に基づいて経験を積んでも、特定技能制度の対象外の分野・職種であれば、特定技能に移行できないということです。

受入れ企業にとっては、外国人材の雇用を継続できないため、長期的な労働力の確保に結びつきにくいデメリットがありました

 

なお、在留資格「特定技能」について詳しくは、以下の記事をご覧ください。

在留資格「特定技能」とは?種類や対象分野、技能実習との違いなどをわかりやすく解説

対象職種が細分化されている

技能実習制度には、在留資格として「技能実習1号イ、ロ」「技能実習2号イ、ロ」「技能実習3号イ、ロ」があり技能実習1号から2号や3号への移行が可能な職種のことを「移行対象職種」といいます。

移行対象職種は、大分類の「職種」のなかに「作業」と呼ばれる小分類があり、作業は使用する機器や現場、製品などの違いにより設定されています

技能実習制度の移行対象職種・作業は、2024年8月1日時点で90職種・166作業で、内訳は以下のとおりです。

      • 農業関係(2職種6作業)
  • ・漁業関係(2職種10作業)
  • ・建設関係(22職種33作業)
  • ・食品製造関係(11職種19作業)
  • ・繊維・衣服関係(13職種22作業)
  • ・機械・金属関係(17職種34作業)
  • ・社内検定型の職種・作業(2職種4作業)
  • ・その他(21職種38作業)

 

上記のように、技能実習制度では職種が細分化されているため、外国人材に従事してもらえる業務範囲が限られる点も課題といえるでしょう。

なお、全90職種のうち、特定産業分野と一致していないものは29職種あります。

参考:厚生労働省「技能実習制度 移行対象職種・作業一覧」

 

育成就労制度の「職種」に関するポイント

ここでは、前章の課題を解決するための、育成就労制度のポイントについて解説します。

対象分野・職種が特定産業分野と原則一致

育成就労制度の受け入れ対象分野・職種は、特定産業分野と原則一致する予定です。あくまで「原則」としているのは、国内での育成になじまない分野は、育成就労の対象外となるためです。

 

参考として、現状の特定技能1号および2号の対象分野を以下にまとめました。

特定産業分野

特定技能1号

特定技能2号

介護

×

外食業

宿泊

飲食料品製造業

自動車整備

航空

農業

ビルクリーニング

工業製品製造業

建設

造船・舶用工業

漁業

自動車運送業

×

鉄道

×

林業

×

木材産業

×

参考:法務省「特定技能制度の受入れ見込数の再設定(令和6年3月29日閣議決定)

参考:出入国在留管理庁「特定技能の受入れ見込数の再設定及び対象分野等の追加について(令和6年3月29日閣議決定)」

 

育成就労制度では、在留資格「育成就労」から「特定技能」への移行は、移行分野・職種が一致し、試験に合格すれば可能です。特定産業分野と受け入れ対象分野が一致することで、これまでよりも在留資格の移行がしやすくなることが期待され、受入れ企業にとっては、外国人材の長期雇用に繋がるメリットがあります

また、育成就労制度でも受け入れ人数を対象分野ごとに設定し、それを上限として運用される予定です。近年の特定技能外国人や技能実習生の受け入れ状況を踏まえると、相当な人数の規模になると予想されるでしょう。

特定技能1号・2号の違いは?それぞれの取得方法もわかりやすく解説

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従事可能な業務範囲の拡大

育成就労制度では、外国人材が幅広く体系的な能力を修得できるよう、従事可能な業務範囲が広がる見込みです。特定技能制度の「業務区分」に基づく業務や、関連業務に従事できます特定技能制度の業務区分とは、例えば「建設」分野のなかの「土木区分」や「建築区分」のことです。

ただし、業務範囲が拡大するとはいえ、「農業」分野と「漁業」分野の両方で働くなど、分野をまたぐことはできません

また、農業分野や漁業分野のように、季節によって業務内容や業務量が変わる分野では、実情に応じて派遣の形態での受け入れを認めることが示されています

参考:法務省「第12回有識者会議後 最終報告書(たたき台)に対する各委員からの意見」

参考:出入国在留管理庁「育成就労制度・特定技能制度Q&A」

職種以外にも知っておくべき育成就労制度の要点

ここまでに紹介した内容以外に、受入れ企業が押さえておくべき、育成就労制度の要点を解説します。

参考:出入国在留管理庁「育成就労制度・特定技能制度Q&A」

転籍の制限緩和

技能実習制度では原則不可能だった「転籍」について、育成就労制度では制限が緩和されます。

具体的には、やむを得ない事情がある場合(人権侵害を受けた場合など)に限らず、外国人本人の希望による転籍も一定の要件を満たせば可能となる見込みです。この要件には、従事している分野・職種と同一の範囲内に限ることなどが含まれます

一方で転籍しやすい環境になると、一定の費用をかけて外国人材を確保しても、すぐに人材が流出してしまうといった懸念が増加するでしょう。これに対応するため、転籍前の受入れ企業が負担した初期費用などを、転籍先の受入れ企業が補填する仕組みも検討されています。

日本語能力の要件追加

外国人材が在留資格「育成就労」で働くためには、就労開始前に以下のいずれかの条件を満たす必要があります

 

  • ・日本語能力「A1」レベル相当以上の試験に合格する
  • ・認定日本語教育機関などで上記に相当する日本語講習を受ける

 

日本語能力「A1」は、日本語能力試験(JLPT)の「N5」に相当し、初歩的な日本語をある程度理解できるレベルです。

そして、育成就労から特定技能1号に移行する際には、さらに高度な日本語能力が求められます。継続的な学習が必要な枠組みにすることで、外国人材の日本語能力の向上が期待されるでしょう。

 

日本語能力試験(JLPT)について詳しくは、以下の記事を参考にしてください。

語学力の検定「日本語能力試験(JLPT)」を受験する目的とは?レベルや注意点も紹介

不法就労助長罪の厳罰化

不法就労助長罪とは、不法滞在している外国人を雇用したり、外国人に不法就労活動をさせたりした場合に問われる罪です。不法就労が発覚すると、外国人本人だけではなく、受入れ企業などが処罰の対象となるため、注意しましょう。

先述のとおり、育成就労制度で転籍の制限が緩和されることにともない、悪質なブローカーが増加すると懸念されています。そこで、これまでは「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」だった罰則が「5年以下の懲役または500万円以下の罰金」(併科可)に厳罰化されます。

 

以下の記事では、不法就労助長罪に問われるケースや具体的な事例なども解説しているので、併せてご覧ください。

不法就労助長罪とは?罰則や該当するケース、企業が知っておきたいポイントを解説

外国人材の受け入れは「オノデラユーザーラン」にご相談ください

外国人材の受け入れを検討しているなら、外国人材紹介会社のONODERA USER RUN(オノデラユーザーラン)にぜひご相談ください。オノデラユーザーランでは、アジアの複数の自社アカデミーで育成した特定技能外国人のなかから、各企業のニーズに沿った人材を紹介可能です。

さらに、ビザ申請や入社準備、定着などに関する一気通貫のサービスも提供しています。これにより、受入れ企業様は負担を抑えつつ、外国人材を受け入れられるでしょう。

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まとめ

技能実習制度では、対象職種が特定産業分野と一致しておらず、外国人材を長期的に雇用できないケースが多くありました。また、対象職種が細分化されており、外国人材に従事してもらえる業務範囲が限定的な点も問題です。

育成就労制度では、受け入れ対象分野・職種が特定産業分野と原則一致し、従事可能な業務範囲が広がる見込みとなっています。加えて、転籍の制限が緩和されることや日本語能力の要件が追加されることなども、新制度のポイントです。

ONODERA USER RUN(オノデラユーザーラン)では、初めて外国人材を受け入れる企業様でも安心できるように、幅広いサービスを提供しています。外国人の採用を検討中の段階でも、まずはお気軽にお問い合わせください。

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