特定技能関連
ビルクリーニング分野において、特定技能外国人の受け入れを検討しているという採用担当の方も多いのではないでしょうか。前もって特定技能外国人が従事できる業務内容や在留資格の取得方法などを把握しておくことで、実際の採用活動にも役立てられます。
今回は、特定技能「ビルクリーニング」の概要や外国人が従事できる業務内容、1号・2号の取得方法を企業向けに解説します。さらに、ビルクリーニング分野で特定技能外国人を採用するうえでの注意点なども紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
特定技能「ビルクリーニング」とは?
そもそも特定技能とは、人手不足が顕著な特定産業分野において、即戦力としての活躍が見込まれる外国人材を受け入れるための在留資格制度です。2019年4月に創設され、「介護」「外食」「宿泊」など16の分野が対象となっています。その16分野のうちの1つが「ビルクリーニング」です。
ビルクリーニングとは、おもにオフィスビルや商業施設、病院などの多数の人々が利用する建築物内部の清掃業務のことです。
出入国在留管理庁の資料によると、2023年12月末時点の特定技能1号外国人数は20万8,425人で、そのうちビルクリーニング分野の外国人数は3,520人です。
なお、企業が特定技能のビルクリーニング分野で外国人を雇う際、雇用形態は直接雇用となることに留意してください。
参考:出入国在留管理庁「特定技能の受入れ見込数の再設定及び対象分野等の追加について(令和6年3月29日閣議決定)」
参考:出入国在留管理庁「特定技能制度の受入れ見込数の再設定(令和6年3月29日閣議決定)」
また、特定技能の種類や対象分野などについては以下の記事で詳しく解説しています。
在留資格「特定技能」とは?種類や対象分野、技能実習との違いなどをわかりやすく解説
特定技能は1号・2号の区分に分かれている
ビルクリーニング分野の特定技能は、以下のように1号と2号の区分に分かれています。
- 1号:ビルクリーニング分野における相当程度の知識や経験を持つ外国人向け
- 2号:ビルクリーニング分野における熟練した技能を持つ外国人向け
1号は在留期間の上限が通算5年ですが、2号は更新の上限がなく、条件を満たせば配偶者・子どもの家族帯同も可能です。いずれにしても、中長期的な活躍が見込まれる外国人を雇用できる在留資格といえるでしょう。
ビルクリーニング分野における外国人労働者受け入れの背景
厚生労働省の職業情報提供サイト(日本版O-NET)によると、ビル清掃における2023年度の有効求人倍率は1.31倍でした。一般にこの数字が1倍を超えると「働き手不足」とされるため、ビルクリーニング分野は企業の求人数に対してまだまだ人手が必要な状況にあります。
また、ビルクリーニング分野で働く人の平均年齢は53.2歳と高齢化が進んでおり、事業を継続するためには若手人材の雇用を促進する必要があります。
ビルクリーニング分野における2023年12月末時点の在留者数が3,520人であることは前述のとおりです。政府は、この人材不足の状況を踏まえ、2024年4月から5年間のビルクリーニング分野における人材の受入れ見込数を3万7,000人と設定しました。こうした背景もあり、今後も特定技能外国人の受入れ人数は増加することが予定されています。
参考:job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))「ビル清掃」
参考:出入国在留管理庁「特定技能制度の受入れ見込数の再設定(令和6年3月29日閣議決定)」
ビルクリーニング分野の特定技能外国人が従事できる業務内容
では次に、ビルクリーニング分野における業務内容について確認していきましょう。特定技能外国人が従事できる内容は、1号・2号の区分によって異なります。
まず1号の場合は、建築物内部の清掃がおもな業務です。一方2号では、建築物内部の清掃に加え、複数の作業員への指導ができるようになります。また、現場の管理業務やマネジメント業務にも携われます。
以下では、1号の業務内容についてより細かく見ていきましょう。
特定技能1号が担うのは、住宅を除いた多数の人々が利用する建築物の内部(床・天井・内壁・トイレ・洗面所など)の清掃業務です。
また、日本人が通常従事する関連業務に、外国人が付随的に従事することも可能です。具体的には、ベッドメイクを含む客室整備作業、資機材倉庫の整備作業、建築物内外の植裁管理作業などが挙げられます。
なお、クリーニングの対象施設はオフィスビルだけではありません。官公庁や病院、銀行、商業施設なども含まれています。
1号|特定技能「ビルクリーニング」を取得する方法
日本に来る外国人たちはビルクリーニング分野の特定技能1号をどのように取得するのでしょうか。その方法は大きく2パターンに分かれています。以下にてそれぞれチェックしていきましょう。
1.技能試験・日本語試験に合格する
まず1つは、特定技能外国人としての人材基準を満たしていることを証明するため、技能試験と日本語試験に合格する方法です。これらの試験に合格したのち、企業との雇用契約締結や在留資格申請などのステップに進むという流れになります。
参考として、出入国在留管理庁の資料をもとに、2024年6月末時点のそれぞれの試験における合格者数を紹介します。
受験者数 |
合格者数 |
|
技能試験(ビルクリーニング1号) |
1万829人 |
9,101人 |
日本語試験(全分野) |
20万5,964人 |
8万6,726人 |
参考:出入国在留管理庁「特定技能制度運用状況(令和6年6月末)」
以下では、技能試験と日本語試験について解説します。
・ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験
ビルクリーニングにおける技能を評価するための技能試験が、ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験です。試験実施機関は公益社団法人全国ビルメンテナンス協会で、日本国内のほか、タイ王国・インドネシア・フィリピン・スリランカでも試験が実施されています。
試験日時点で17歳以上であれば受験できますが、日本国内で試験を受ける場合は在留資格を持っていなければなりません。
具体的な試験内容は以下のとおりです。
試験 |
内容 |
制限時間 |
標準時間 |
判断試験 |
写真・イラストなどで判断 |
20分 |
― |
作業試験 |
作業1.床面の定期清掃作業 作業2.ガラス面の定期洗浄作業 作業3.洋式大便器の日常清掃作業 |
12分 |
10分 |
上表のとおり、判断試験と作業試験の2つに合格する必要があるほか、受験手数料として2,200円がかかります。
・日本語試験
日本語試験では、日本語能力試験のN4以上、あるいは国際交流基金日本語基礎テストのどちらかに合格しなければなりません。
日本語能力試験はN1~N5までの5段階があり、N4に合格すれば基本的な日本語の理解能力があることを証明できます。試験科目には「言語知識」と「聴解」があります。
また、国際交流基金日本語基礎テストも、一定レベルの日本語能力を有することの証明が可能な試験です。日本語能力試験に比べると、受験機会が多いことが特徴です。
2.技能実習2号から移行する
もう1つの方法は、技能実習2号にてビルクリーニングの職種で在留し、技能実習を良好に修了することです。この場合、試験を受けずに特定技能のビルクリーニング分野へスムーズに移行できます。
ただし、技能実習制度は今後廃止され、新たに育成就労制度が創設される予定であることには留意しておきましょう。厚生労働省の資料によると、育成就労制度では3年以内の育成就労期間を通じて、特定技能1号水準の技能を持つ人材の育成を目的としています。
育成就労制度の基本的な考え方や、重要なポイントなどについて知りたい方は、ぜひ以下の記事をご覧ください。
【最新動向】育成就労制度とは?基本的な考え方や重要なポイントを解説
2号|特定技能「ビルクリーニング」を取得する方法
前述のとおり、特定技能2号は在留期間の制限がなく、外国人材の長期的な安定雇用を目指せることが特徴です。ビルクリーニング分野でこの特定技能2号の在留資格を得るには、「ビルクリーニング分野特定技能2号評価試験」、あるいは「ビルクリーニング技能検定1級試験」に合格しなければなりません。
ここでは、特定技能外国人向けの「ビルクリーニング分野特定技能2号評価試験」について解説します。なお、この試験を受けるにあたっては、現場を管理するうえでの実務経験を2年以上積んでいることが不可欠です。
また、試験内容は以下のように学科試験と実技試験に分かれています。
試験 |
内容 |
試験時間 |
学科試験 |
現場責任者として必要な知識を問う試験 |
60分 |
実技試験 |
現場責任者として必要な清掃業務、および業務・人材・財務管理の能力を問う試験 |
90分 |
なお、ビルクリーニング分野特定技能2号評価試験には、1万6,500円の受験手数料がかかります。
ビルクリーニング分野の特定技能外国人を採用する際の注意点
続いて、ビルクリーニング分野で特定技能外国人を採用するにあたり、気を付けておきたい点について紹介します。
ビルクリーニング業者としての登録を受けている
ビルクリーニング分野で特定技能外国人を受け入れるには、まず雇用先となる事業所が以下いずれかの登録を受けている必要があります。
- ・建築物衛生法における建築物清掃業(1号登録)
- ・建築物環境衛生総合管理業(8号登録)
在留資格を申請する際、登録証明書の提出が必要になるため留意しておきましょう。有効期限が切れていないかの確認も必須です。
外国人の支援体制が整っている
ビルクリーニング分野に限らず、企業が特定技能1号外国人を受け入れる場合は、支援計画の作成とその計画に基づいた支援を行わなければなりません。
支援計画とは「外国人が職業や日常生活における活動を円滑に行うことを支援する」ためのものです。10の項目があり、事前ガイダンスや住居確保・生活に必要な契約支援などについて記載します。
もし自社での対応が難しい場合は、登録支援機関のサポートを受けるのも一つの手でしょう。登録支援機関に依頼すれば、支援計画の作成サポートや実施など一連のフォローを受けられます。
登録支援機関の概要や具体的な選び方については、以下の記事で詳しく解説しています。
特定技能における登録支援機関とは?支援委託をおすすめする理由と選び方
特定技能協議会へ加入している
特定技能外国人を受け入れる企業は、事前にビルクリーニング分野における特定技能協議会の構成員になる必要があります。この協議会は、外国人の適切な受け入れを行うために有用な情報を共有することなどを目的とした組織です。
以前は、外国人の受け入れから4ヵ月以内に協議会に加入することが定められていました。しかし、特定技能外国人の受け入れに関する運用要領が一部改正され、2024年6月15日からは外国人を受け入れる前に協議会へ加入するよう定められています。自社が当てはまるかどうか、忘れずに確認しておきましょう。
外国人が在留資格取得の要件を満たしている
特定技能外国人をビルクリーニング分野で受け入れるには、受け入れる外国人が技能試験や日本語試験に合格し、在留資格の取得要件を満たしている必要があります。
しかし「これらの試験に合格できる水準の外国人材を、自社で探すのは困難だ」という採用担当の方もいるのではないでしょうか。その場合、特定技能外国人を紹介してくれるような人材紹介会社を利用するのがおすすめです。
人材紹介会社を活用すれば、自社のニーズに即した人材を確保しやすくなります。外国人雇用をスムーズに実現することで、人手不足の解消にも繋げられるでしょう。
オノデラユーザーランがビルクリーニング分野特定技能外国人の受け入れをサポート!
ビルクリーニング分野で特定技能外国人の受け入れを検討している方は、人材紹介会社、および登録支援機関としてのサポートが可能なONODERA USER RUN(オノデラユーザーラン)にぜひご相談ください。
オノデラユーザーランでは、自社アカデミーにて特定技能外国人の専門教育や育成を実施しており、ニーズをしっかりとヒアリングしたうえで最適な外国人材を紹介できます。
また、登録支援機関として、外国人材の入国前はもちろん、入国後もワンストップでのサポートが可能です。支援計画の作成や公的手続きの同行、生活オリエンテーションなどをサポートいたします。
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まとめ
即戦力人材としての活躍が期待できる特定技能外国人は、ビルクリーニング分野においても受け入れ人数が増える見込みです。ただし、特定技能外国人を受け入れるには、自社の支援体制を整えておかなければなりません。また、自社で要件を満たす特定技能外国人を探すハードルが高いことにも留意が必要です。
自社アカデミーで人材の専門教育・育成に取り組んでいるONODERA USER RUN(オノデラユーザーラン)なら、企業のニーズに適した外国人材を紹介できます。また、特定技能1号に関する登録支援機関としてのサポートも可能ですので、初めて特定技能外国人を雇用するという方も安心です。まずはお気軽にお問い合わせください。
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