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特定技能「自動車整備」とは?外国人を受け入れるメリットや業務内容、試験の概要も

2024.06.06

自動車業界では、自動車整備に係る人手不足が年々深刻化しています。自動車整備分野において、特定技能外国人の受け入れを検討している採用担当の方も多いのではないでしょうか。

今回は、特定技能「自動車整備」の概要や、需要が高まっている背景、外国人材を受け入れるメリットなどを紹介します。併せて、外国人を受け入れる2つのパターンや、受入れ企業の注意点も解説するので、ぜひ最後までお読みください。

特定技能「自動車整備」とは

そもそも特定技能とは、人手不足が顕著な12の特定産業分野において、外国人材を確保することを目的に創設された在留資格です。自動車整備の業務に従事する外国人材は、国土交通省所管の「自動車整備」の分野で受け入れが可能となっています。

特定技能の種類は2つで、それぞれ在留期間が異なります。特定技能1号は在留期間が最大5年、特定技能2号は在留期間の制限が設けられていません。いずれにしても、外国人の中長期的な就労が期待できることが特徴です。

なお、自動車整備に限定されず、自動車業界として特定技能外国人を受け入れるケースでは、「工業製品製造業」などの分野もあります。

特定技能の種類や対象分野について、以下の記事で詳しく解説しています。

在留資格「特定技能」とは?種類や対象分野、技能実習との違いなどをわかりやすく解説

「自動車整備」の受け入れ人数

出入国在留管理庁の資料によると、特定技能1号の在留外国人は2023年12月末時点で20万8,425人です。そのうち、自動車整備分野では2,519人を受け入れています。

自動車整備分野における特定技能1号の在留外国人数は、2021年9月末から急速に伸び始めています。新型コロナウイルスの影響もあり、一時増加率が落ち込んだときもあったものの、2022年6月末から2023年12月末までの約1年半で、受け入れ人数は約2倍になっています。引き続き今後も増加が見込まれています。

年月 人数

2020年12月

151人

2021年3月

247人

2021年6月

348人

2021年9月

466人

2021年12月

708人

2022年3月

986人

2022年6月

1,220人

2022年12月

1,738人

2023年6月

2,210人

2023年12月

2,519人

 

2023年12月末時点での国籍・地域別の受け入れ人数は、以下のとおりです。

国籍・地域

人数

ベトナム

1,165人

インドネシア

216人

フィリピン

815人

中国

20人

ミャンマー

124人

カンボジア

46人

ネパール

4人

タイ

24人

その他

105人

上表のとおり、国籍・地域別で見ると自動車整備分野での受け入れ人数が最も多いのはベトナムの1,165人、次いでフィリピンの815人となっています。

参考:出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数」(令和5年12月末現在)

参考:出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数の公表等」

特定技能「自動車整備」の需要が高まっている背景

特定技能「自動車整備」の需要が高まっている背景として、年々深刻化している人手不足が挙げられます。

厚生労働省の運営サイトによると、自動車整備士の2022年度における有効求人倍率は全国平均が5.02倍です。厚生労働省の発表では、2022年度における全産業の有効求人倍率は1.31倍であるため、ほかの産業に比べて自動車整備の労働力不足が深刻であることがうかがえるでしょう。

また、整備業務の従事者における平均年齢の上昇や、高齢の整備士の引退が進んでいる状況などもあり、これからの自動車整備産業を担う人材の確保が喫緊の課題となっています。特定技能「自動車整備」で外国人を受け入れることで、優れた労働力の確保を実現できるでしょう。

参考:職業情報提供サイト(日本版O-NET)jobtag「自動車整備士」

参考:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和5年3月分及び令和4年度分)について」

特定技能「自動車整備」で外国人材を受け入れるメリット

次に、自動車整備分野で特定技能外国人を受け入れるメリットを見ていきましょう。

即戦力として活躍してもらえる人材を確保できる

特定技能外国人は、一定の専門性・技能を持ち、即戦力としての活躍が期待できる人材です。すでに一定レベル以上の知識・スキルを備えているため、自動車整備士の育成にかかる手間とコストを抑えられます。

雇用をスタートした段階で、頼りになる戦力として働いてもらえるので、人手不足の課題をスムーズに解決できるでしょう。

中長期的な活躍が見込まれる人材を確保できる

先述のとおり、特定技能の在留期間は1号が上限5年で、2号は制限がありません。さらに、2号の場合は条件を満たすことで、配偶者・子どもの家族帯同も可能です。

この制度の特徴からもわかるように、特定技能外国人は日本での安定的な生活基盤を築きながら働けるため、自社の事業で中長期的に活躍してくれる可能性が高いでしょう。特定技能2号に自動車整備分野が加えられたのは2023年8月31日なので、取得者数は今後増加していく可能性があります。

参考:出入国在留管理庁「特定技能2号の対象分野の追加について(令和5年6月9日閣議決定)」

特定技能「自動車整備」で従事できる業務内容

自動車整備分野で受け入れた特定技能外国人が従事できる業務内容は、大きく4つに分かれます。以下では、それぞれの業務内容について確認していきましょう。

日常点検整備

日常点検整備は、自動車のユーザーでも可能な日常的な点検のことです。具体的な業務として、おもに以下が挙げられます。

・エンジンルームのブレーキ液・冷却水

・エンジン・オイルの量などの点検

・ランプ類の点灯・点滅などの点検

・タイヤの亀裂・損傷の有無、空気圧などの点検

・エンジンのかかり具合・異音などの点検

  • ・ブレーキの効き具合などの点検 など
  • 定期点検整備

  • 定期点検整備とは、一定間隔ごとに行われる、やや大がかりな点検のことです。ステアリング装置やブレーキ装置、走行装置などに摩耗や損傷がないかを点検し、不具合の発生を防ぎます。
  • 特定整備

  • 特定整備とは、エンジンやブレーキなどの重要部品を取り外して行う整備のことです。先述の日常点検整備や定期点検整備に比べると、より高度な技術が求められ、特定技能外国人も従事が可能です。

    なお、「特定整備」のもとの名称は「分解整備」でした。しかし、2020年4月より、特定の自動車に搭載される「自動運行装置」なども整備の対象装置となったことから、名称が変更されています。

    参考:国土交通省「自動車特定整備事業について」

  • その他の関連業務

    • その他の関連業務として、以下のような業務に特定技能外国人が付随的に従事できます。
    • ・整備内容の説明
    • ・関連部品の販売
    • ・車内、構内の清掃
    • ・納車作業など

      ただし、上記の業務に従事できるのはあくまで付随的に取り組む場合に限られます。関連業務のみに従事することは認められていないので注意しましょう。

    • 特定技能1号「自動車整備」の外国人を受け入れる2つのパターン

    • 特定技能1号の外国人を受け入れるパターンは、「試験に合格した人材を受け入れるパターン」と、「技能実習2号を良好に修了した人材を受け入れるパターン」の2つに分かれます。

      それぞれのパターンの詳細について、詳しく見ていきましょう。

    • 1.試験に合格した人材を受け入れるパターン

    • 自動車整備分野で特定技能外国人を受け入れる際、合格が必要な試験として「技能試験」と「日本語能力試験」があります。

      以下では、それぞれの試験の概要を紹介します。

      ・技能試験

      特定技能外国人として自動車整備分野で働くためには、以下のいずれかの技能試験に合格する必要があります。

    • 試験名

      特徴

      自動車整備分野特定技能評価試験

      日本自動車整備振興会連合会が実施している試験

      自動車整備士技能検定試験3級

      国土交通省が実施している試験

    • どちらの試験も学科試験と実技試験が実施されるため、念入りな試験対策が不可欠といえるでしょう。

 

・日本語能力試験

日本語能力試験は、以下のいずれかに合格する必要があります。

試験名

特徴

日本語能力試験(JLPT)

・主催は独立行政法人国際交流基金、および公益財団法人日本国際教育支援協会

・N4以上の水準で合格する必要がある

・マークシート方式で試験が実施される

国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)

・主催は独立行政法人国際交流基金

・コンピューター・ベースド・テスティング(CBT)方式で試験が実施される

2.技能実習2号を良好に修了した人材を受け入れるパターン

自動車整備に関する技能実習2号を良好に修了した外国人材は、技能試験・日本語能力試験が免除された状態で、特定技能1号への移行が可能です。すでに日本で就労経験があるため、試験ルートで自動車整備士になる特定技能外国人と同様、即戦力としての働きが期待できるでしょう。

なお、法務省の資料によると技能実習制度は廃止され、特定技能1号水準の技能を有する外国人の育成を目的とした「育成就労制度」が創設される見通しです。育成就労制度の最新動向については、ぜひ以下の記事をご覧ください。

【最新動向】育成就労制度とは?基本的な考え方や重要なポイントを解説

参考:法務省「改正法の概要(育成就労制度の創設等)」

自動車整備分野特定技能評価試験|試験問題・日程・合格基準について

先述した内容を踏まえて、ここでは自動車整備分野特定技能評価試験の詳細について紹介します。

試験問題の範囲

自動車整備分野特定技能評価試験の範囲として、学科試験、実技試験の詳細を以下に示します。

試験

概要

学科試験

・構造、機能および取扱法などの初等知識

・点検、修理および調整などの初等知識

・整備用の試験機や、計量器などの初等知識

・材料・燃料油脂の性質などの初等知識

実技試験

・簡単な基本工作、修理

・分解、組立て、簡単な点検および調整

・簡単な整備用の試験機、計量器などの取扱い

 

試験時間

学科試験の試験時間は60分で、問題数は30問です。一方、実技試験の試験時間は20分で、3課題から9つの問題が出題されます。

受験資格

自動車整備分野特定技能評価試験の受験資格は、以下のとおりです。

  • ・受験者は試験日に17歳以上であること(インドネシア国籍の場合は、18歳以上)
  • ・日本国籍を有していないこと

なお、試験は日本のほか、フィリピンやベトナム、インドネシアなどでも開催されています。試験当日は本人確認書類を持参する必要があり、国ごとに有効な本人確認書類が異なるので留意しておきましょう。

合格基準

学科試験の合格基準は「正解数が出題数の65%以上」、実技試験の合格基準は「得点合計が60%以上」となっています。試験合格証明書は、合格者と受入れ機関のあいだで雇用契約の締結が決定したのち、受入れ機関を通じて交付されるという流れです。

なお、合格証明書交付手数料は1万6,000円(税込)で、受入れ機関が負担する必要があります。

特定技能「自動車整備」の外国人材を受け入れる際の企業の注意点

ここからは、外国人材の受入れ企業が気を付けたい注意点をチェックしていきましょう。

支援体制を整える必要がある

特定技能1号の外国人を受け入れる際は、支援計画の作成・実行をする必要があります。支援計画の具体例としては、出入国時の送迎や住居確保・生活に必要な契約支援、日本人との交流促進などが挙げられます。

なお、外部の登録支援機関へ支援計画の作成サポートや、実行の委託を依頼することも可能です。自社の負担を抑えるために、登録支援機関への依頼を検討してみてもよいでしょう。

登録支援機関の詳細や選び方については、ぜひ以下の記事をご参照ください。

特定技能における登録支援機関とは?支援委託をおすすめする理由と選び方

地方運輸局長の認証を受けている

受入れ機関は、道路運送車両法に基づいて、認証を受けた事業場である必要があります。認証を受けた事業場とは、道路運送車両法第78条第1項に基づき、地方運輸局長から認証を受けている自動車整備工場を指します。

自動車整備の特定技能外国人を受け入れるのであれば、事前に認証を受けておきましょう。認証を受ける際は、管轄の地方運輸局へ申請書を提出して、作業面積や設備、要員の基準が達しているかをチェックされます。

特定技能協議会への加入・協力を行う

特定技能協議会とは、特定技能外国人の適正な受け入れ、および保護などを目的としている組織のことです。初めて特定技能外国人を受け入れた場合は、外国人の入国後4ヵ月以内に協議会への加入が必要です。

特定技能協議会に加入した受入れ機関は、国土交通省等が実施する調査、指導などに対して協力する必要もあるので留意しておきましょう。なお、原則として協議会は3ヵ月に1回以上開催されます。

特定技能「自動車整備」の外国人を受け入れる前に知っておきたいポイント

ここからは、自動車整備分野で特定技能外国人を受け入れる前に知っておきたいポイントを紹介します。

定着率アップに向けたサポートが必要となる

特定技能外国人は、即戦力となる資質を持つ優秀な人材である一方、転職も可能である点には留意が必要です。そのため、受入れ企業は、定着率アップに向けたサポートをしっかりと行わなければなりません。

先述のとおり、特定技能外国人を受け入れる際は登録支援機関の支援を依頼できるので、検討してみるのもおすすめです。

 

人材紹介のほか、登録支援機関としてのサポートも可能なONODERA USER RUN(オノデラユーザーラン)では、特定技能外国人の生活や学習に関する一気通貫のサービスを提供しています。自社アカデミーで特定技能外国人の専門教育や育成を行っており、特定技能外国人を紹介しています。

住宅手配や母国語資料の準備、定期面談など多角的なサポートを実施しているため、外国人が安心して働ける環境作りのお手伝いが可能です。

 

また、当社では自動車整備分野における特定技能外国人の受け入れのサポート実績もあります。事例について知りたい方は、ぜひ以下のリンクよりチェックしてみてはいかがでしょうか。

特定技能「自動車整備」の事例 「株式会社沖縄イエローハット」様はこちら

直接雇用のみが認められている

自動車整備分野における特定技能外国人の雇用形態として、直接雇用のみが認められていることに留意しておきましょう。パートタイムや派遣での雇用形態は認められていません。

また、特定技能外国人に支払う給与は、日本人が同じような業務に従事する場合の給与と同等以上の金額を支払う必要があります。

まとめ

自動車整備分野の特定技能外国人は、即戦力としての働きが期待できるうえ、中長期的な活躍も見込まれる貴重な人材です。定期点検整備や特定整備のほか、付随的な関連業務にも従事できるため、人手不足の解消にも繋がるでしょう。

 

特定技能外国人の受け入れに際しては、自動車整備分野で支援実績のあるONODERA USER RUN(オノデラユーザーラン)へぜひご相談ください。自社の要望をヒアリングしたうえで、最適な外国人材のご紹介や、登録支援機関としての支援が可能です。

採用いただける人数に応じた割引適用などもあるので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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