制度・雇用契約
外国人が取得する在留資格には、さまざまな種類があります。そのうち「家族滞在ビザ」は、すでに日本に滞在している外国人の、配偶者や子どもが取得できる在留資格です。
今回は、企業の採用担当者へ向けて、家族滞在ビザの概要や取得条件、家族滞在ビザで就労・雇用する際に得るべき許可、雇用時の注意点などを解説します。
目次
家族滞在ビザとは?
家族滞在ビザとは、就労などを目的に日本に滞在している外国人(扶養者)の、配偶者や子ども(被扶養者)に与えられる在留資格のことです。扶養者は「経済的な援助をする人」、被扶養者は「経済的な援助を受ける人」を指します。
家族滞在ビザを取得した外国人は、日本に滞在する家族のもとで、法務大臣が個々に指定する期間(5年を超えない範囲)で一緒に暮らせます。
なお、家族滞在ビザを含めた在留資格は、全部で29です。それぞれの在留資格の特徴などについては、以下の記事をご覧ください。
在留資格とは?全29種類の特徴・取得方法や外国人雇用で気を付けたいポイントを解説
家族滞在ビザの主な取得条件
ここでは、外国人が家族滞在ビザを取得するための、おもな条件を紹介します。
日本で働く外国人と法律上の家族関係にあること
家族滞在ビザを取得する際には、日本に滞在している外国人と、法律上の婚姻関係・親子関係にあることを証明しなければなりません。
国によって名称は異なりますが、日本でいう戸籍謄本や婚姻届受理証明書、結婚証明書、出生証明書などを用意し、家族関係の証明書類として出入国在留管理庁へ提出します。外国語の書類の場合は、日本語の訳文も添付する必要があります。
日本で働く外国人の被扶養者であること
前章「家族滞在ビザとは?」にて、扶養者と被扶養者の定義を紹介しました。しかし、家族滞在ビザにおける扶養関係を判断するうえで、明確な金額の基準はありません。
そのため、家族滞在ビザの審査においては、実態に即して扶養関係の有無が判断されます。
当然ながら、家族滞在ビザを取得するためには、被扶養者であることが認められなければなりません。例えば、働いていない配偶者や、学生である子どもは被扶養者に該当するでしょう。
また、扶養者側も扶養できる経済力を証明するために、現在の職業がわかる書類や、課税証明書・納税証明書などの書類が求められます。
日本で生活するのに適切な住居が確保されていること
日本で生活する住居の広さや間取りが、日本に滞在している外国人と、母国から呼び寄せる家族がともに暮らすのに適しているかもポイントとなります。
扶養者である外国人が、現在一人暮らし用の住居で暮らしているなら、被扶養者の家族滞在ビザの取得に合わせ、引越しを検討する必要が出てくるかもしれません。
家族滞在ビザの審査の際には、賃貸契約書の写しや間取り図などを用意します。
日本に滞在する目的が就労でないこと
家族滞在ビザを取得する人に認められているのは、「日本に滞在している外国人が扶養する、配偶者または子どもとして行う日常的な活動」です。日常的な活動には、例えば「教育機関で教育を受ける活動」は含まれますが、「報酬が発生する活動」は含まれません。
したがって、日本で働くことを目的に家族滞在ビザを申請した場合は、不許可になります。ただし、家族滞在ビザでの就労に関しては例外があるため、次章以降で見ていきましょう。
企業は家族滞在ビザを持つ外国人を雇用できる?
人材を確保するため、家族滞在ビザを持つ外国人を雇用したいと考える方もいるでしょう。
先述のとおり、家族滞在ビザは就労を目的とするものではありません。しかし、出入国在留管理庁から「資格外活動許可」を得ることで、例外的に働くことが認められています。
そのため、家族滞在ビザの資格外活動許可を取得している外国人なら、企業が雇用できる可能性があります。
なお、外国人を雇用する具体的なメリットや注意点について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
外国人を雇用するメリットは?雇ううえでの注意点や受け入れの流れも解説
参考:出入国在留管理庁|「家族滞在」の在留資格に係る資格外活動許可について
資格外活動許可には2つの種類がある
資格外活動許可は、「包括許可」と「個別許可」に大別されます。ここでは、両者の違いを解説します。
参考:出入国在留管理庁|「家族滞在」の在留資格に係る資格外活動許可について
「包括許可」を得るための条件
包括許可は、勤務先や業務内容に制限のない活動許可です。勤務先が決まっていない段階でも許可の申請ができます。
包括許可を得るためには、以下のような条件を満たす必要があります。
- ・勤務時間が週28時間以内であること
- ・法令に違反する活動や風俗営業に関連する活動ではないこと など
「個別許可」を得るための条件
個別許可は、勤務時間が週28時間を超える場合や、勤務時間を客観的に確認できない場合などに、勤務先や業務内容に応じて個別に認められる活動許可です。例えば、個人事業主として活動するケースや、業務委託契約などを結んで活動するケースは、個別許可を得る必要があります。
個別許可で特に注意すべき条件は、以下のとおりです。
- ・活動に従事する期間が在留期間の過半を超えないこと
- ・活動内容や活動時間、報酬などについて文書で説明すること など
家族滞在ビザを持つ外国人を雇用する際のよくある質問
ここまでの内容を踏まえつつ、家族滞在ビザを持つ外国人を雇用する際の、よくある質問・回答を紹介します。
ここまでの内容を踏まえつつ、家族滞在ビザを持つ外国人を雇用する際の、よくある質問・回答を紹介します。
雇用形態に制限はある?
雇用形態に制限はありませんが、資格外活動許可のうち包括許可の場合は、勤務時間に「週28時間以内」の制限があります。週5日働くと仮定すると、一日当たりの勤務時間は最大5.6時間です。
よって、フルタイム勤務の正社員として雇用するのは難しく、アルバイトやパートとして雇用することが想定されるでしょう。週28時間の範囲内なら、契約社員として雇うことも可能です。
なお、個別許可の場合も、「活動に従事する期間が在留期間の過半を超えない」という制限があるので注意しましょう。
以下の記事では、アルバイトとして採用できる在留資格について紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
特定技能外国人をアルバイトで雇用できる?外国人の雇用で確認すべき在留資格
外国人が離婚した場合はどうなる?
家族滞在ビザを持つ外国人が離婚すると、家族関係や扶養関係の条件を満たさなくなります。
引き続き日本に滞在し働きたい場合は、ほかの在留資格に変更する手続きが必要になります。必要な手続きをしないまま、企業が外国人を継続して働かせると、不法就労を助長することになるため注意が必要です。
より制限の少ない特定技能外国人の受け入れも検討しよう
外国人材の受け入れを検討している企業の採用担当者のなかには、どのような在留資格を持った外国人を採用すべきか悩んでいる方もいるかもしれません。
ここまでの内容からわかるとおり、家族滞在ビザを持つ外国人材の受け入れは、可能ではあるものの制限も多いのが特徴です。
そこで、就労の制限が比較的少ない在留資格「特定技能」を持つ外国人材の受け入れを検討してはいかがでしょうか。特定技能には、人材確保が難しい産業分野において、即戦力となる働き手を確保する目的があります。
在留資格「特定技能」の制度内容や取得方法、受け入れの流れなど、さらに詳しい情報は、以下の記事をご覧ください。
在留資格「特定技能」とは?種類や対象分野、技能実習との違いなどをわかりやすく解説
特定技能外国人の受け入れなら「オノデラユーザーラン」へご相談ください
ONODERA USER RUN(オノデラユーザーラン)は、特定技能外国人の受け入れを支援する「登録支援機関」です。
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なお、登録支援機関は、特定技能外国人にまつわるサポートをする機関として、出入国在留管理庁に認められた機関です。詳しくは以下の記事で解説しているので、併せて参考にしてください。
特定技能における登録支援機関とは?支援委託をおすすめする理由と選び方
まとめ
家族滞在ビザは、就労などを目的に日本に滞在している外国人の、配偶者や子どもが取得できる在留資格です。
家族滞在ビザでは、原則として就労が認められていませんが、資格外活動許可を得ることで、例外的に働ける可能性があります。ただし、勤務時間の制限などもあり、就労の自由度はあまり高くありません。
外国人材を確保し、即戦力として働いてもらいたいと考えるなら、就労に関する制限が比較的少ない、特定技能外国人の受け入れも検討しましょう。
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