特定技能関連
企業が外国人材を受け入れる際、理解しておくべき項目の一つに、「特定技能試験」があります。
特定技能試験の存在は知っていても、いつ・どこで試験が実施されているのか、どのように申し込めば良いのかなど、具体的にはわからない方もいるのではないでしょうか。
今回は、特定技能試験の概要や受験申し込み方法、試験日程、試験実施場所などを解説するので、ぜひ参考にしてください。
目次
「特定技能」の在留資格を取得する方法は2つ
外国人が「特定技能」の在留資格を取得する方法は、大きく分けて以下の2つです。
- ・特定技能試験に合格する
- ・技能実習から移行する
ここでは、それぞれの方法を詳しく紹介します。
なお、特定技能について理解を深めたい方は、以下の記事を参考にしてください。
在留資格「特定技能」とは?種類や対象分野、技能実習との違いなどをわかりやすく解説
特定技能試験に合格する
1つ目は、特定技能試験に合格し、在留資格を取得する方法です。具体的には、おもに以下の2つのパターンがあります。
- ・海外にいる外国人が国外試験を受け、合格して特定技能の在留資格を得てから日本に入国する
- ・ほかの在留資格で日本に滞在している外国人が国内試験を受け、合格して特定技能の在留資格に書き換える
特定技能試験(日本語試験・技能試験)の内容などについては、後述します。
技能実習から移行する
2つ目は、技能実習2号を良好に修了して、特定技能へ移行する方法です。技能実習の職種と、移行する特定技能の業務に関連性が認められれば、特定技能試験が免除されます。
なお、技能実習制度は、2024(令和6)年の通常国会を目処に廃止されることが決まり、代わりに「育成就労制度」が創設される予定です。
参考:出入国在留管理庁「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議最終報告書を踏まえた政府の対応について」
技能実習制度が廃止に至った経緯や、想定される影響、新制度の概要などについては、以下の記事で解説しています。
【技能実習生の受入れ制度が新制度へ移行】経緯や外国人・企業への影響などを解説
【最新動向】育成就労制度とは?基本的な考え方や重要なポイントを解説
特定技能試験の対象分野と実施場所
ここでは、特定技能試験の対象となる12分野と、試験の実施場所について解説します。
対象分野
特定技能試験の対象となるのは、以下の12分野です。
- 1.介護
- 2.外食業
- 3.宿泊
- 4.飲食料品製造業
- 5.自動車整備
- 6.航空
- 7.農業
- 8.ビルクリーニング
- 9.工業製品製造業(※令和6年3月に名称変更、新業種・業務区分追加を閣議決定)
- 10.建設
- 11.造船・舶用工業
- 12.漁業
特定技能の分野についての詳細は、以下の記事を参考にしてください。
2023年最新|特定技能の12分野・業種の職種一覧と現状を解説!
実施場所
特定技能試験は、日本国内はもちろん、フィリピンやミャンマー、インドネシアなどの海外でも実施されています。
詳しい国名やスケジュールなどは、各分野の試験に関する公式サイトで確認可能です。
特定技能試験には「日本語試験」と「技能試験」がある
特定技能試験をクリアするためには、「日本語試験」と「技能試験」の両方に合格しなければなりません。ただし、特定技能2号の取得を目指す場合は、日本語試験の受験は不要です。
ここでは、日本語試験と技能試験の特徴を見てみましょう。
日本語試験
日本語試験は、その名のとおり、日本語の能力を確認するための試験です。具体的には、「日本語能力試験(JLPT)」と「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」のいずれかを受験します。試験のスケジュールなどをもとに、受験しやすいほうを選ぶとよいでしょう。
日本語能力試験(JLPT)には、最も簡単な「N1」から、最も難しい「N5」までの5段階のレベルがあり、特定技能1号においては「N4」以上に合格する必要があります。
一方、国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)は、レベル分けはされていません。250点満点中、200点以上の総合得点を取得すれば、基準となる日本語能力のレベルに達していると判定されます。
なお、介護分野のみ、「介護日本語評価試験」も受験しなければなりません。介護日本語評価試験では、介護に関する用語や会話など、全部で15の問題が出題されます。
日本語能力試験(JLPT)については、以下の記事で詳しく紹介しています。
語学力の検定「日本語能力試験(JLPT)」を受験する目的とは?レベルや注意点も紹介
技能試験
技能試験は、業務に従事するうえで必要な、技能のレベルを査定するための試験です。試験の実施主体や試験内容は、分野によって異なります。
詳しくは、「特定技能試験の日程・申し込み方法【技能試験】」の章をご覧ください。
特定技能試験の日程・申し込み方法【日本語試験】
日本語能力試験(JLPT)は、原則として7月と12月の年2回実施されます。ただし、国外試験は、7月または12月のいずれか1回になることもあります。
一方の国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)は、一部の国を除き、原則として毎月実施されるのが特徴です。
最新の試験日程の確認や受験申し込みは、以下のページから行えます。
特定技能試験の日程・申し込み方法【技能試験】
ここでは、分野ごとの技能試験の日程や、受験申し込み方法、具体的な試験実施場所などを解説します。
介護
介護技能評価試験は、厚生労働省が試験問題を作成し、例年「プロメトリック株式会社」が試験運営をしています。試験問題数は全45問、試験時間は60分です。
国内では、47都道府県にて、原則として毎月試験が実施されます。国外の試験実施場所は、フィリピンやカンボジア、インドネシア、タイ、ミャンマーなどです。
試験日程は随時更新されるため、国内・国外試験ともに、以下のページで最新情報を確認してください。
また、受験申し込みには、「プロメトリックID」を取得する必要があります。以下のページの案内に沿って、手続き可能です。
外食業
外食業特定技能測定試験の例年の実施主体は、農林水産省が選定した「一般社団法人外国人食品産業技能評価機構」です。ただし、国外試験はプロメトリック株式会社に委託しています。
2022(令和4年)度は、国内では東京都をはじめとする17都市で、合計34回試験が実施されました。国外では、カンボジアやインドネシア、ミャンマー、ネパール、フィリピンなどで試験が開催されています。
最新の試験日程の確認や受験申し込みは、以下のページから行えます。
なお、国内試験の受験手続きにはマイページ登録が必要で、審査に5日程度かかる点に注意してください。
宿泊
宿泊分野特定技能1号・2号評価試験の実施主体は、「一般社団法人宿泊業技能試験センター」です。ただし、2024(令和6)年2月20日から、特定技能1号評価試験については、プロメトリック株式会社に委託して実施されます。
2023(令和5)年度は、国内では北海道、東京都、愛知県、大阪府、福岡県、沖縄県、国外ではインドネシア、フィリピン、ネパールで試験が実施されました。
国内の試験実施場所や試験日程(回数)については、ニーズなどを踏まえて調整するとアナウンスされています。
最新の試験日程や受験申し込みの詳細は、以下のページから確認可能です。
飲食料品製造業
飲食料品製造業特定技能測定試験の例年の実施主体は、農林水産省が選定した「一般社団法人外国人食品産業技能評価機構」です。ただし、国外試験はプロメトリック株式会社に委託しています。
2022(令和4年)度は、国内では東京都をはじめとする16都市で、合計34回試験が実施されました。国外では、インドネシアとフィリピンで試験が開催されています。
最新の試験日程の確認や受験申し込みは、以下のページから行えます。
マイページ登録に関する注意点は、外食業分野と同様です。
自動車整備
自動車整備分野特定技能評価試験の実施主体は、「一般社団法人日本自動車整備振興会連合会」です。試験には、大きく分けて学科試験と実技試験(判断等試験)があります。
国内では47都道府県、国外ではフィリピンにて、原則として毎月試験が実施されています。
最新の試験日程や受験申し込みの詳細は、以下のページから確認可能です。
航空
特定技能評価試験(航空分野)の実施主体は、「公益社団法人日本航空技術協会」です。
2023(令和5)年度は、5月から3月にかけて、国内では東京都、大阪府、福岡県、国外ではフィリピンやネパール、インドネシアなどで試験が実施されました。
最新の試験日程や受験申し込みの詳細は、以下のページから確認可能です。
農業
農業技能測定試験1号・2号は、「一般社団法人全国農業会議所」がプロメトリック株式会社に委託して実施しています。
国内では47都道府県にて、国外ではフィリピンやインドネシア、カンボジアなどで、ほぼ毎月試験が実施されています。
試験日程は、以下のページで最新情報を確認してください。
また、受験申し込みは、以下のページの案内に沿って行います。
ビルクリーニング
ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験の実施主体は、「公益社団法人全国ビルメンテナンス協会」です。
国内では、例年北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府、広島県、徳島県、福岡県の8都市で試験が実施されています。国外の実施場所は、インドネシアやフィリピンなどです。なお、国内の定期試験を受験できない場合は、出張試験も利用可能です。
最新の試験日程や受験申し込みの詳細は、以下のページから確認してください。
工業製品製造業分野(※令和6年3月に名称変更、新業種・業務区分追加を閣議決定)
製造分野特定技能1号・2号評価試験は、経済産業省が外部機関に委託し実施されます。
2023(令和5)年度は、国内では7月・11月・1~2月の合計3回、国外では11月に試験が実施されました。特に国内では、東京都や大阪府をはじめとする多数の都市で試験が開催されています。国外試験の開催地は、インドネシアやフィリピン、タイでした。
最新の試験日程や受験申し込みの詳細は、以下のページから確認してください。
建設
建設分野特定技能1号・2号評価試験は、国土交通大臣の登録を受けた「一般社団法人建設技能人材機構」が例年運営しています。1号評価試験も2号評価試験も、学科試験と実技試験が行われます。ただし、国外試験はプロメトリック株式会社に委託しています。
国内では、原則として毎月試験が実施されていますが、「型枠施工」や「建設機械施工」、「土工」など、職種によって試験の実施場所が異なることがあるため注意が必要です。国外では、フィリピンやインドネシアなどで試験が実施されています。
国内の最新の試験日程や受験申し込みの詳細は、以下のページから確認してください。
なお、受験申し込みには、マイページ登録および専用スマートフォンアプリのダウンロードが必要です。
国外の試験日程などの詳細は、以下のページから確認してください。
造船・舶用工業
造船・舶用工業分野特定技能1号・2号試験の実施主体は、「一般財団法人日本海事協会」です。
申請者が希望する場所に試験監督者を派遣する出張方式にて、随時試験が実施されるのが特徴です。また、一部では集合形式の試験も実施されています。
国内のほか、フィリピンとインドネシアで試験が行われています。
受験を申し込む場合は、以下のページから申請書をダウンロードし、必要書類とともにメールで送付します。
漁業
1号漁業技能測定試験(漁業・養殖業)は、「一般社団法人大日本水産会」がプロメトリック株式会社などに委託し運営している試験です。
国内では、「漁業」区分も「養殖業」区分も、47都道府県で複数回試験が実施されます。国外では、インドネシアで試験が開催されています。
なお、2号漁業技能測定試験(漁業・養殖業)については、2024(令和6)年7月頃から開始される見込みです。
国内の試験日程は、以下のページで最新情報を確認してください。
また、国内での受験申し込みは、以下のページの案内に沿って行います。
国外での試験日程などの詳細は、以下のページから確認してください。
まとめ
特定技能の在留資格を得るためには、技能実習から特定技能に移行するケースを除き、特定技能試験に合格しなければなりません。特定技能試験は、全12分野を対象に、日本国内や海外で実施されています。
特定技能試験のうち日本語試験については、日本語能力試験(JLPT)と国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)のいずれかを選択可能です。また、特定技能試験のうち技能試験については、分野ごとに試験の実施状況などが異なります。本記事の内容のほか、各公式サイトにて最新情報を得るようにしてください。
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