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特定技能「建設」とは?再編された区分や人材採用する側が満たすべき要件

2024.02.07

少子高齢化の影響により、労働力不足が大きな社会問題となっており、建築分野も例外ではありません。

そこで、さまざまな業界の人手不足を解消するために設けられたのが、在留資格の一つである「特定技能」です。建設分野の特定技能では従来の区分が再編され、より柔軟な制度に生まれ変わりました。

この記事では、特定技能の建設分野について紹介します。建築分野の再編後の新たな区分を確認しておきましょう。

特定技能「建設」とは

まずは、特定技能の「建設」とは何かを解説します。創設された背景や1号・2号の違いにも触れるので、理解を深めておきましょう。

特定技能「建設」は即戦力となる外国人材を採用できる制度

そもそも特定技能とは、専門性や技能を習得した、即戦力として活躍する外国人材を受け入れるために設置された在留資格です。そして2019年4月に、人材確保が難しい12の産業分野の一つに建設分野が含まれました。

外国人材を受け入れるという点では、在留資格「技能実習」も似ている制度といえますが、それぞれの在留資格には明確な違いがあります。

技能実習の目的は、日本の技能・技術などを開発途上地域に移転して国際協力をすることにあります。なお、技能実習は廃止の方向で進められており、新たな育成就労制度に置き換わる予定です。

一方の特定技能は、即戦力となる外国人材の受け入れにより、日本国内の企業の人手不足を解消する目的で創設されています。

 

特定技能の概要については、以下の記事で詳しく解説しています。
外国人労働者の在留資格「特定技能」とは?1号と2号の対象分野などをわかりやすく解説

特定技能「建設」が設けられた背景

建設業界は、深刻な人手不足の状態にあります。その背景には、労働環境や待遇面に期待できず、労働力として期待される若手の志望者の減少があると考えられます。

また、技術者の高齢化も人手不足の一因でしょう。既存の熟練技術者が退職すれば、案件があったとしても監督役が不在になり工事がスムーズに進めない、といった事態に繋がるかもしれません。

このような現状を解消するために、即戦力となる有能な外国人材を受け入れる制度として特定技能「建設」が創設されました。

特定技能「建設」1・2号の違い

建設分野では、特定技能1号と2号の両方が設けられています。

1号の業務では一定の知識や経験を必要とし、監督の指示のもとで従事しますが、より熟練した技術が求められる2号では、複数の技能者を指導しつつ工程の管理なども行なわなければなりません。

このほかにも、日本語レベルの確認の有無や家族の帯同に関することなど、いくつかの違いがあります。それぞれの概要は以下のとおりです。

 

1号

2号

技能水準

試験などで確認

(技能実習2号を良好に修了していれば免除)

試験などで確認

在留期間

通算5年まで

(4ヵ月・6ヵ月・1年ごとの更新)

上限なし

(6ヵ月・1年・3年ごとの更新)

外国人材への支援

必要

不要

家族の帯同

原則不可

要件を満たせば可能

日本語の能力水準

試験などで確認

試験などによる確認は不要

 

特定技能の1号と2号の違いについては、以下の記事で詳しく解説しています。
特定技能1号・2号の違いは?それぞれの取得方法もわかりやすく解説

 

特定技能「建設」3つの業務区分とそれぞれの対象職種

これまで、建設分野は19の業務区分に分けて運用されていました。しかし、この運用方法では対応できる業務が限定的になってしまうため、2022年8月に業務区分を大きく3つに分ける形で再編されたのです。

再編後の業務区分は、「建築」「土木」「ライフライン・設備」の3つです。この3つは作業の性質による分類であり、作業現場の種類に関する分類ではありません。そのため、認定を受けた在留資格で可能な作業であれば、土木の現場でも建築現場でも、現場の種類に関係なく作業を行えます。

以下から、それぞれの分野で携われる業務について解説します。

建築区分

建築区分で従事できるおもな作業は、以下のとおりです。

 

  • ・型枠施工
  • ・左官
  • ・土工
  • ・鉄筋施工
  • ・鉄筋継手
  • ・コンクリート圧送
  • ・屋根ふき
  • ・内装仕上げ
  • ・とび
  • ・表装
  • ・建築板金
  • ・建築大工
  • ・吹付ウレタン断熱
  • ・そのほか、建築物の新築・増築・改築・移転・修繕・模様替えにかかわる作業

 

建築区分の定義は、指導者の監督のもとで建築物を新築・改築・増築する作業に従事することです。

実際の現場では、材料や部品などの調達・搬送、足場の組み立てや解体などの作業も行うでしょう。また、現場で使用する機器や工具の保守管理も大切な業務の一つです。

建築区分を選択すれば、上下水道や道路、空港、トンネルなど、公共や民間のインフラ建設に関する知識を幅広く習得できます。

土木区分

土木区分で従事できるおもな作業は、以下のとおりです。

  •  
  • ・コンクリート圧送
  • ・型枠施工
  • ・建設機械施工
  • ・トンネル推進工
  • ・土工
  • ・とび
  • ・鉄筋施工
  • ・海洋土木工
  • ・そのほか、土木施設の維持・修繕・改築・新設にかかわる作業
  •  

土木区分の定義は、指導者の監督のもとで土木施設の維持・修繕・改装・新設などの作業に従事することです。土木と建築は似ている要素もありますが、土木は建築物以外のものを含む広い概念として認識されています。

再編前の業務区分で可能だったのは建設機械施工のみでしたが、再編後は土木に含まれるほかの業務も行うことが可能になりました。携われる業務が増えたことで、多くの役割を担える人材の確保が実現します。

ライフライン・設備区分

ライフライン・設備区分で従事できるおもな作業は、以下のとおりです。

 

  • ・配管
  • ・建築板金
  • ・電気通信
  • ・保温保冷
  • ・そのほか、設備の整備・設置、変更や修理にかかわる作業
  •  

ライフライン・設備区分の定義は、指導者の監督のもとでライフラインや設備の設置・整備などの作業に従事することです。水道・ガス・電気・通信と、多くのライフラインに関連する業務を担います。

ライフライン・設備区分の認定を受けた人材は、ライフラインに関する最新の専門知識を習得できます。そのため、公共事業など大規模なプロジェクトに携わることも可能できるでしょう。

外国人が特定技能1号・2号「建設」を取得する際の要件

外国人材が建設分野の在留資格を取得するためには、1号・2号それぞれに設けられた要件を満たさなければなりません。

ここでは、1号・2号それぞれの取得方法を解説します。

特定技能1号の場合

特定技能1号には、以下2つの取得方法があります。それぞれ確認しておきましょう。

 

・技能試験および日本語試験に合格する

特定産業分野に指定された職種の在留資格には、特定技能評価試験が設けられています。即戦力として働くために必要な技能水準を持っているのかを、学科試験と実技試験を通じて確認するのです。

学科試験の問題数は30問、試験時間は60分、合格基準は総得点の65%以上となり、実技試験の問題数は20問、試験時間は40分、合格基準は総得点の65%以上となっています。学科試験と実技試験の両方に合格しなければ、在留資格に申請できません。

また、1号を取得するためには、特定技能評価試験だけでなく日本語試験にも合格する必要があります。日本語試験では、「日本語能力試験(JLPT)」のN4以上、または「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」のA2レベルのどちらかに合格しなければなりません。

日本語試験に合格すると、日本での生活や就業に必要な日本語能力があることを証明できます。

 

・技能実習2号を良好に修了する

1号を取得するもう一つの方法は、建設分野の技能実習2号からの移行です。

そもそも技能実習2号を修了するためには、日本での実務経験が2年以上必要です。そのため、技能実習2号を修了していれば、前述した特定技能評価試験と日本語試験が免除されます。

 

なお、技能実習から移行する場合は、以下の要件を満たす必要があります。

  • ・技能実習での職種や作業内容が取得する特定技能1号の区分と一致していること
  • ・技能実習2号を良好に修了していること
  • 特定技能2号の場合

  • 特定技能2号を取得する方法としては、1号からの移行のみが認められていました。しかし現在では、2号に必要な技能水準を習得していることが認められれば、1号を経なくても2号の在留資格を取得することが可能です。


    2号を取得するためには、以下の要件を満たす必要があります。

    • ・建設分野特定技能2号評価試験または技能検定1級の合格
    • ・班長や職長としての一定の実務経験

    学科試験は問題数40問、試験時間60分、合格基準は総得点の75%以上となり、実技試験は問題数25問、試験時間40分、合格基準は総得点の75%以上です。

    班長としての実務経験に関しては、工程の管理や建設現場での技能者に対する指導経験などが挙げられます。

  • 特定技能「建設」の外国人を採用するために満たすべき要件

  •  
  • 特定技能の外国人材を受け入れる場合、採用担当者は受け入れるための準備をしておかなければなりません。ここからは、採用担当者が行うべきことを具体的に解説するので、特定技能人材の採用を検討する際にお役立てください。
  • 支援体制を整える

  • 特定技能外国人を受け入れる企業(受入れ機関)は、採用した外国人が日常生活や業務で困らないように支援することが義務付けられています。そのため、受入れ機関は支援計画書を作成し、支援体制を整備しなければなりません。

    しかし、受入れ機関として整備すべき支援内容は多岐にわたり、自社ですべて対応するのは難しいこともあるでしょう。そのような場合は、登録支援機関に支援を委託することで解決できます。

    登録支援機関とは、受入れ機関から委託された特定技能外国人への支援を代行する機関のことです。登録支援機関への委託では、自社で実施できない支援のみを委託することも、すべての支援を委託することも可能なため、自社の状況に応じて依頼内容を決めるとよいでしょう。

    民間法人や社労士など、出入国在留管理庁長官の登録を受けているさまざまな事業者が、登録支援機関として活動しています。委託を検討する際は、安心して任せられる事業者であることを確認しましょう。


    登録支援機関について、詳しくは以下の記事で紹介しています。
    特定技能における登録支援機関とは?支援委託をおすすめする理由と選び方

  • 建設特定技能受入計画認定を受ける

  • 建設分野が特定技能人材を受け入れる際には、ほかの分野とは受け入れの流れが異なります。受入れ機関は「建設特定技能受入計画」の内容について、国土交通大臣の認定を受けるために、以下のような審査基準をクリアする必要があります。


    • ・建設キャリアアップシステムに登録していること
    • ・同じ技能の日本人と同等額以上の賃金を支払うこと
    • ・特定技能外国人に対して月給制で安定的に報酬を支払うこと
    • ・1号特定技能外国人の数が常勤職員の数を超えないこと

    このほかにも、一般社団法人建設技能人材機構(JAC)もしくはJAC正会員の建設業者団体への加入を済ませること、建設業の許可を取得することが必須条件となっています。

    JACとは、建設分野において、特定技能人材が安心して働けるように労働環境などを整える活動を行う機関です。劣悪な環境下での業務など、適切でない環境を排除するために誕生しました。

    JAC会員は、JACが定めた「建設業における共通行動指針」を遵守し、外国人が働きやすく生活しやすい環境を整備しなければなりません。

  • 特定技能「建設」人材を雇用する場合に必要な費用はどのくらい?

  • 特定技能1号の人材を受け入れる際には、以下のような費用が発生します。


    • ・JAC年会費:賛助会員24万円(正会員は所属団体により異なる)
    • ・JAC受入負担金:15万円~24万円
    • ・登録支援機関への委託料:1万5,000円~3万円
    • ・出入国在留管理局への申請代行費用:1回の申請につき10万円~20万円
    • ・建設キャリアアップシステムの事業者登録料(5年有効):0円~24万円
    • ・建設キャリアアップシステムの技能者登録料(9年有効):2,500円~4,900円
    • ・建設キャリアアップシステムの管理者ID利用料:一つのIDにつき年額1万1,400円

    依頼する団体や機関、申請方法、雇用するルートによって金額は異なります。そのため、上記はあくまでも参考の金額として覚えておくとよいでしょう。

    このほかにも、雇用した外国人材へは、同じ職種に従事する日本人と同等以上の給与を支払います。また、同じ地域の建設業の賃金水準と比べ、外国人労働者の給与が低額にならないように設定しなければなりません。

  • 特定技能の人材確保はONODERA USER RUNにお任せください

 

ONODERA USER RUN(オノデラユーザーラン)は、特定技能外国人の教育や人材紹介、登録支援と、一気通貫サービスを提供しています。アジア4ヵ国(インドネシア・ミャンマー・フィリピン・ラオス)で5つの学校を運営しているため、自社で教育した人材を紹介することが可能です。

試験合格を目指す基礎教育、内定後の来日準備教育、就労開始後の学習支援と、学習プランを3つに分けることで、質の高い教育を行っています。独自の教育により、特定技能試験の合格に必要な知識やスキルを習得した人材に成長するよう、サポートしています。

また、仲介会社を利用せず一気通貫サービスを行うため、仲介会社への手数料が発生しません。

初めて外国人材を採用する場合でも安心していただけるように、さまざまなサービスを提供しています。外国人材の採用を検討している採用担当の方は、お気軽にご相談ください。

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まとめ

特定技能の建設分野は、従来の区分から再編されたことにより、従事できる業務の幅が広がって柔軟な対応が可能になりました。活躍の場が増えることが予想されるため、人材不足に悩んでいる場合は、特定技能人材の受け入れを検討してみてはいかがでしょうか。

ONODERA USER RUN(オノデラユーザーラン)では、独自の教育によって優秀な人材を育成しています。内定後のビザ申請から定着サポートまで、一気通貫のサービスによるサポートが可能です。特定技能人材の雇用を検討する際は、ぜひお気軽にご相談ください。

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