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人手不足解消?国際貢献?「技能実習」とは一体どんな制度?

2021.01.29

現在日本は少子化が進み、多くの業種で人手不足であること、また国際化社会に対応する観点からも、“技能実習生”の受け入れる企業が増えています。しかし本来、外国人技能実習制度は、技能移転を目的とした制度のため、労働力不足を補うための手段ではありません。そのため受け入れ側にも厳しい条件が課されています。
外国人技能実習制度を利用するには、準備段階から受入れ態勢をしっかりと整えていく必要があります。そのためにも、そもそも「技能実習」とはどのような目的で作られた制度なのか、また受け入れる方法等についても、わかりやすく解説します。

 

在留資格「技能実習」とは

外国人が日本に滞在するために必要な資格を「在留資格」と呼びます。技能実習とは、外国人が技能実習制度を利用し、“技能実習生”として日本に滞在するための在留資格となります。

この在留資格は、

・技能実習1号(在留期間1年を超えない範囲)

・技能実習2号(在留期間2年を超えない範囲)

・技能実習3号(在留期間2年を超えない範囲)

に分かれており、すべての技能実習評価試験に合格し、かつ優良な監理団体及び実習実施者である場合、最長5年間在留することが可能となります。

 

外国人技能実習制度ができた経緯

外国人技能実習制度は、1993年に導入された制度です。日本が先進国としての役割を果たしつつ国際社会との調和ある発展を図っていくため、ベトナム、フィリピン、ミャンマー、インドネシアなどのアジア諸国を中心とする開発途上国等へ技能又は知識の移転を図り、経済発展を担う「人づくり」に協力することが本来の目的です。2010年には制度改正され、2017年11月に新たに技能実習法が制定・施行され、更に活発に利用されるようになりました。

旧制度では、監査体制の問題や間接的な規制しかなく、受入れ企業などの法令違反、実習生に対する待遇の悪さや、高額ブローカーの問題などが起こったため、新たに法律を制定し、制度の見直しが行われました。新制度では、認可法人外国人技能実習機構が創設され、実習計画の認定が行われるようになりました。

 

ポイント!
・あくまでも国際貢献のための制度であり、人手不足を補う制度ではない。
・“技能実習生“は、通常3年、優良な実習実施者および優良な監理団体のみ最長5年まで在留可能

 

在留資格「特定技能」との違いは?

対象業種において外国人が日本の企業等で実務を行うという点では、「特定技能」と「技能実習」は一見同じ内容の制度に見えますが、実は制度の目的が異なっています。特定技能制度とは、深刻な人手不足であると認められた産業分野(特定作業分野)において、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れる制度です。そのため、受入れ機関に対して技能実習ほど厳しい条件はなく、業務内容も技能実習に比べると自由度が高い傾向にあります。


「特定技能制度」について詳しくは、こちらのページをご覧ください。

 

技能実習制度の対象職種

現在、外国人技能実習生の受け入れが可能な作業は“83職種151作業”となっています(2021年1月時点)。主な職種としては、食品加工・宿泊・金属加工・溶接・塗装などがあります。2017年に介護分野も追加されました。

厚生労働省「移行対象職種・作業一覧」

なお、単純作業とみなされる同一作業の反復のみの作業は対象外とされます 。

 

技能実習制度の区分

外国人技能実習生を受け入れるには、「企業単独型」と「団体管理型」の2種類の方法があります。2018年末では企業単独型の受入れが2.8%、団体監理型の受入れが97.2%(技能実習での在留者数ベース)となっています。

技能実習制度の区分は、企業単独型と団体監理型の受入れ方式ごとに、

・入国後1年目の技能等を修得する活動(第1号技能実習)

・入国後2、3年目の技能等に習熟するための活動(第2号技能実習)

・入国後4、5年目の技能等に熟達する活動(第3号技能実習)

の3つに分類されます。
技能実習制度の区分に応じた在留資格は下表のとおりです。

  企業単独型 団体管理型
入国1年目
(技能等を修得)

第1号企業単独型技能実習

(在留資格「技能実習第1号イ」)

第1号団体監理型技能実習

(在留資格「技能実習第1号ロ」)

入国2・3年目
(技能等に習熟)

第2号企業単独型技能実習

(在留資格「技能実習第2号イ」)

第2号団体監理型技能実習

(在留資格「技能実習第2号ロ」)

入国4・5年目
(技能等に熟達)

第3号企業単独型技能実習

(在留資格「技能実習第3号イ」)

第3号団体監理型技能実習

(在留資格「技能実習第3号ロ」)

第2号技能実習もしくは第3号技能実習に移行が可能な職種・作業(移行対象職種・作業)は主務省令で定められており、また、第1号技能実習から第2号技能実習へ、さらに第3号技能実習へとそれぞれ移行するためには、技能実習生本人が所定の試験に合格していることが必要となります(2号への移行の場合は学科と実技、3号への移行の場合は実技)。

また、第3号実技実習を行える日本の企業や監理団体も優秀なところ(優良な実習実施者及び監理団体)に限られており、主務法令で定められた基準をクリアしているところのみが実施可能です。

■優良な実習実施者及び監理団体とは?

技能実習2号移行対象職種の企業を対象に、2017年11月に施行された新たな技能実習法によってできた仕組みです。実習実施者(受入れ機関)、監理団体いずれも、定められた要件に対し高い水準(得点が満点の6割以上)を満たしていれば、優良な実習実施者・監理団体の基準に適合することとなります。また、「優良」の認定を受けることで、実習期間を延長(技能実習3号へ移行)できるだけでなく受け入れ人数枠の拡大などのメリットがあります。

 

まとめ

外国人技能実習生は安い労働力として見なされがちですが、本来は日本で技術を学んでもらい母国の産業の経済的な発展に貢献することが目的です。この制度を利用することで職場の活性化や国際貢献、事業の海外展開などのプラスの効果があり、外国人技能実習生と日本企業の双方でメリットを期待できる面もあります。

しかし、受け入れ側には厳しい条件が課されており、制度自体は複雑で容易に実施できるものではありません。外国人技能実習制度を利用するには、講習を受けたり、技能実習計画を立てたりなど、しっかりと準備段階から受入れ態勢を整えていく必要があります。

外国人を受け入れる際は、各制度の本来の趣旨と条件を理解した上で、自社に合った制度を選びましょう。

 

最後に

技能実習では受け入れるにあたり、さまざまな要件や必要な準備があります。
さらに詳しい説明は、ぜひこちらのページをご覧ください。

実際に、技能実習と特定技能両方を受け入れている施設の事例紹介はこちら。

医療法人社団久仁会 介護老人保健施設いきいき

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