特定技能関連
外国人観光客の増加にともない、宿泊業界では人材確保がますます重要になっています。そのため、外国人材の採用を検討する企業も増えています。
しかし、外国人材の雇用を進めるうえでの在留資格や業務内容の条件が複雑であるため、対応に不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
今回は、宿泊分野で外国人材を雇用するために必要な在留資格の種類や取得条件、許可・不許可事例などを解説し、外国人材の雇用をスムーズに進めるポイントを紹介します。
目次
外国人観光客の増加と宿泊業における人材ニーズ
引用:日本政府観光局「訪日外客数(2024年12月および年間推計値)」
日本政府観光局の発表によると、2024年の訪日外客数は約3,687万人に達し、過去最多となりました。政府は、2030年に訪日外国人旅行者数を6,000万人とすることを目指しており、訪日客の増加にともなって宿泊施設の利用も拡大すると見込んでいます。
加えて、宿泊施設の需要拡大に対応するため、2028年度には全国で約60万9,000人の宿泊分野の就業者が必要と予測されています。
一方で、宿泊分野における有効求人倍率は4.69倍(2022年度)、欠員率は4.5%(2024年11月)と人手不足が顕著です。2028年度には全国で約7万4,000人の人材が不足すると考えられており、国内人材だけでの対応が難しい状況となっています。
この課題を解決するため、一定の専門性を持つ外国人材の受け入れが進められています。外国人材がフロント業務や接客、企画・広報など幅広い業務で宿泊業の基盤を支え、宿泊業界の発展に貢献することが期待されています。
参考:日本政府観光局「訪日外客数(2024年12月および年間推計値)」
参考:法務省「宿泊分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」
参考:厚生労働省「労働経済動向調査(令和6年11月)の概況」
宿泊分野で就労できる在留資格とは?
外国人材が宿泊分野で就労するためには、適切な在留資格を取得する必要があります。在留資格とは、外国人が日本に滞在するために必要な資格のことです。
宿泊業(ホテル・旅館など)で外国人が就労できる在留資格には、以下のものがあります。
- ・技術・人文知識・国際業務
- ・特定技能
- ・特定活動(本邦大学等卒業者)
- ・身分系の在留資格
また、「資格外活動許可」を取得している留学生なども、条件を満たせば宿泊業での就労が可能です。
ただし、在留資格ごとに従事可能な活動範囲や労働時間に制限があり、これを超えると入管法違反となり、不法就労助長罪などに問われる可能性があります。
各在留資格や資格外活動許可については、次章以降で詳しく確認します。
なお、不法就労助長罪の詳細については以下の記事をご覧ください。
不法就労助長罪とは?罰則や該当するケース、企業が知っておきたいポイントを解説
在留資格「技術・人文知識・国際業務」を持つ人材を宿泊分野で雇用
在留資格「技術・人文知識・国際業務」の取得には一定水準以上の学歴や職歴が求められ、おもに学歴を基準とした取得が一般的とされています。
宿泊分野での雇用においては、業務内容が「技術・人文知識・国際業務」に適合するかどうかを慎重に見極めることが重要です。
取得条件
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を取得するには、日本または海外の大学を卒業していること、あるいは日本の専門学校を卒業していることが求められます。これらの学歴がない場合は、従事する業務内容と関連する分野での10年以上の実務経験が必要です。
参考:出入国在留管理庁「ホテル・旅館等において外国人が就労する場合の在留資格の明確化について」
申請者の学歴や職歴が業務内容と関連しているかどうかが、審査の重要なポイントとなります。
従事できる業務内容
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で認められる業務には、以下のものが該当します。
- ・企画・広報
- ・マーケティング
- ・営業
- ・経理
- ・フロント業務
- ・通訳・翻訳 など
一方で、客室清掃や荷物運搬、レストランでの接客といった単純作業は対象外となります。
ただし、フロント業務中、一時的に荷物を運ぶなどの付随的な業務は認められています。しかし、対象外の業務が中心と判断されると、在留資格の更新が認められない可能性があるため注意が必要です。
また、外国人宿泊客への対応や業務での外国語使用の有無が重要視されるため、外国人対応が必要ない業務では資格要件を満たさない可能性があります。
申請時には、業務内容が資格要件を満たしていることを明確に示すことが重要です。
宿泊分野における許可事例・不許可事例
出入国在留管理庁が公表している、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に関する許可事例と不許可事例を紹介します。
・許可事例
以下はおもな許可事例です。
- 事例1:自国で観光学を専攻し大学を卒業した者が、外国人観光客が多く訪れるホテルで、月額約22万円の報酬を受け、外国語を用いたフロント業務や施設案内業務に従事
- 事例2:日本で経済学を専攻して大学を卒業した者が、空港近くのホテルで、月額約25万円の報酬を受け、外国人観光客向けの宣伝媒体作成やマーケティングリサーチに従事
- 事例3:日本の専門学校でホテルサービスを専攻して卒業した者が、外国人宿泊客が多いホテルで、フロント業務や宿泊プランの企画に従事
出典:出入国在留管理庁「ホテル・旅館等において外国人が就労する場合の在留資格の明確化について」
・不許可事例
不許可事例には以下のケースがあります。
- 事例1:自国で経済学を専攻して大学を卒業した者が、ホテルで宿泊客の荷物運搬や客室清掃をおもな業務として申請したが、単純労働が中心と判断され、「技術・人文知識・国際業務」の要件に該当しないとして不許可となった
- 事例2:日本で法学を専攻して大学を卒業した者が、外国人観光客対応のフロント業務を月額約15万円の報酬で行うと申請したが、同種業務の日本人従業員より報酬が低く、その差額に合理的な理由も認められなかったため不許可となった
- 事例3:日本の専門学校で服飾デザインを専攻して卒業した者が、フロント業務を行うとして申請したが、専門学校での専攻と業務内容に関連性が認められなかったため不許可となった
出典:出入国在留管理庁「ホテル・旅館等において外国人が就労する場合の在留資格の明確化について」
在留資格「特定技能」を持つ人材を宿泊分野で雇用
2019年4月、新たな在留資格「特定技能」が創設されました。特定技能とは、日本国内で人手不足が深刻な特定産業分野において、一定の専門性・技能を持つ外国人材が働くことを認める在留資格です。
宿泊分野も人手不足が特に深刻な業種の一つであるため、特定技能を活用した、即戦力となる外国人材の就労が可能です。
特定技能の詳細については、以下の記事で解説しています。ぜひ併せてご覧ください。
在留資格「特定技能」とは?種類や対象分野、技能実習との違いなどをわかりやすく解説
特定技能「宿泊分野」の1号と2号の違い
特定技能には「1号」と「2号」の2種類があります。
もともと特定技能2号は「建設業」と「造船・舶用工業」の2分野に限定されていましたが、2023年には対象分野が拡大し、宿泊分野も含まれることになりました。
ただし、特定技能2号の在留資格は、1号と比べてより専門的な技能が求められます。
・宿泊分野の特定技能1号
特定技能1号は、宿泊分野で即戦力として活動するために必要な知識や経験を持つ人材が対象です。「宿泊分野特定技能1号評価試験」に合格することで、必要な知識や技能を有していることが証明されます。
日本語能力は、日常会話ができる程度の能力が必要です。具体的には、「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」または、「日本語能力試験(JLPT)」のN4以上に合格する必要があります。
特定技能1号の在留期間は最長5年ですが、家族の帯同は基本的に認められていません。
参考:外務省「制度の概要」
・宿泊分野の特定技能2号
特定技能2号は、宿泊分野で熟練した技能を持つ人材が対象です。資格の取得には、「宿泊分野特定技能2号評価試験」に合格することが必要です。
特定技能2号の在留期間は上限なく更新することが可能で、要件を満たせば永住許可申請や配偶者・子どもの帯同も認められます。
参考:外務省「制度の概要」
特定技能1号と特定技能2号の違いについては、以下の記事で詳しく解説しています。
特定技能1号・2号の違いは?それぞれの取得方法もわかりやすく解説
従事できる業務内容
特定技能の在留資格を持つ外国人材は、以下のような宿泊サービス提供業務に従事できます。
- ・フロント業務
- ・接客
- ・企画・広報
- ・レストランサービス など
特定技能1号では宿泊業務を直接担うことが中心ですが、特定技能2号では複数の従業員を指導しながら業務に携わることが求められます。
また、特定技能の外国人材は、主業務に付随する形であれば、荷物の運搬やベッドメイキング、客室清掃などの単純作業も行うことが可能です。ただし、これらの単純作業は付随的業務として認められる範囲に限られ、主業務(例:フロント業務)を優先する必要があります。
在留資格「特定活動(本邦大学等卒業者)」を持つ人材を宿泊分野で雇用
「特定活動(本邦大学等卒業者)」は就労を目的とした在留資格の一つで、2019年に新設されました。ここでは、この在留資格の取得条件と宿泊分野での業務内容について解説します。
取得条件
特定活動(本邦大学等卒業者)の在留資格を取得するためには、日本の大学等を卒業していることが必須です。実務経験は求められません。
また、日本語能力試験N1以上、またはBJTビジネス日本語能力テストで480点以上のスコアを取得している必要があります。ただし、日本語を専攻して大学等を卒業した場合は、日本語試験の結果は不要とされています。
雇用形態はフルタイムであることが条件となっており、アルバイトやパートとしての採用は認められていません。
参考:出入国在留管理庁「留学生の就職支援に係る「特定活動」(本邦大学等卒業者)についてのガイドライン」
従事できる業務内容
特定活動(本邦大学等卒業者)の在留資格を持つ外国人材は、日本語を用いた円滑なコミュニケーションが必要な業務に従事することが求められます。
具体的には以下のような業務が認められています。
- ・翻訳
- ・外国語対応のホームページの更新を含む広報業務
- ・外国人宿泊客への通訳をともなうベルスタッフやドアマンとしての接客業務 など
なお、客室清掃のみの業務は認められていません。ただし、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に該当する業務が含まれている場合は、就労が許可される可能性があります。
身分系の在留資格を持つ人材を宿泊分野で雇用
ここでは、宿泊分野で身分系の在留資格を持つ外国人材を雇用する際のポイントを解説します。
身分系の在留資格は4種類
身分系の在留資格は身分や地位に基づいて与えられ、就労制限がないため、どの職種でも働くことが可能です。具体的には以下の4種類があります。
- ・永住者(在留期間の制限なしで滞在可能)
- ・永住者の配偶者等(永住者や特別永住者の配偶者や日本で出生した子)
- ・日本人の配偶者等(日本人の配偶者や日本人の子として出生した子、特別養子など)
- ・定住者(日系3世や中国残留邦人など)
在留資格「永住者」についての詳細は、以下の記事をご覧ください。
永住権とは?在留資格「永住者」の許可条件や特例、取り消しについて解説
業務範囲の制限はない
身分系の在留資格を持つ外国人材は、業務内容や就労時間に制限がなく、正社員としてだけでなくアルバイトとしても勤務可能です。
フロント業務や事務に加え、ベッドメイキングや客室清掃、レストランでの配膳などの単純労働にも従事できます。
「資格外活動許可」を持つ人材を宿泊分野で雇用
資格外活動許可とは、本来の在留資格で認められていない活動を補助的に行うために取得する許可です。
例えば、留学生は学業がおもな目的のため、原則として就労は認められていません。しかし、「資格外活動許可」を取得すれば、週28時間以内の範囲で働くことが可能になります。
この許可を取得した外国人材は、宿泊分野で配膳やベッドメイキングなどの単純労働にも従事できます。ただし、許可された範囲や条件を守り、在留資格の本来の活動に影響をおよぼさないことが前提です。
また、在留資格「家族滞在」を持つ外国人材も、資格外活動許可を取得することで宿泊分野での就労が可能になります。詳しくは以下の記事を参考にしてください。
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まとめ
宿泊業界では、訪日外国人の増加にともない人材確保の重要性が高まっています。外国人材の雇用は人手不足の解消に役立ちますが、適切な在留資格や業務範囲を確認することが大切です。
宿泊分野での雇用が可能な在留資格には、「技術・人文知識・国際業務」「特定技能」「特定活動(本邦大学等卒業者)」「身分系の在留資格」などがあります。各資格の取得条件や就労可能な業務内容を把握し、適正な雇用に繋げていきましょう。
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