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インドネシア人材を採用・雇用する際には、インドネシア人の性格や国民性、宗教観、仕事観の特徴を理解しておくことが重要です。この記事では、インドネシア人の特徴や日本人との価値観の違いが生じやすい背景、採用時・マネジメント時に注意すべきポイントなどについて解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

目次
インドネシア人の性格や国民性を理解する重要性
インドネシア人材とのミスマッチやトラブルが生じる背景には、能力不足ではなく、価値観や行動原理の違いなどが原因となるケースが多いです。ここでは、価値観のズレが生じやすい理由や、個人差と国民性をどう切り分けて考えるか、「採用・定着・マネジメントにどのような影響を与えるかについて、それぞれ解説します。
日本人との価値観のズレが生じやすい理由
インドネシア人材と日本人の間で価値観のズレが生じる主な原因は、時間の捉え方やコミュニケーションのスタイル、宗教やプライベートに対する優先順位の違いなどが挙げられます。
インドネシアでは遅刻や予定の変更におおらかな文化があるのに対して、日本では始業時間や納期、スケジュールを厳格に守る労働習慣が根付いているため、大きなギャップが生じやすくなっています。
個人差と国民性をどう切り分けて考えるか
インドネシア人を採用・雇用する際には、背景にある国民性を理解しつつも、インドネシア人だからといって一括りにするのではなく、一人ひとりの個性を把握することが重要です。仕事に対する価値観や時間感覚、キャリア志向やライフステージなどを把握して理解することで、双方の誤解を防ぐことにつながります。
スムーズなコミュニケーションは、業務の円滑化や生産性の向上、さらには定着率の向上にもつながります。
採用・定着・マネジメントに与える影響
インドネシア人材の性格や国民性を理解することは、適切な採用や定着のためにも必要不可欠です。文化的背景を理解しつつ、本人の経験・希望・適性を個別に確認することが重要です。特徴を把握して適切なマネジメントを行うことで、組織の安定や戦力化につながります。
インドネシアという国の社会構造と国民性の背景
インドネシア人の性格形成に影響を与えている地理的・社会的背景について、それぞれ解説します。
島嶼国家・多民族国家としての特徴
インドネシアは、17,000以上の島々と1,300以上の民族からなる島嶼国家・多民族国家であるため、多様性を受入れる文化や他者を尊重する寛容性や柔軟性が育まれてきました。
時間に対しておおらかな感覚を持つ人が多いのも特徴のひとつです。細かい時間に縛られるよりも、柔軟で臨機応変な対応を得意とする傾向にあります。時間に関する感覚は、生活環境や職場経験、個人によって異なります。採用後は勤務時間や期限のルールを明確に伝えることが重要です。
多様性と共存を前提とした社会構造
インドネシアでは、多様な民族や宗教をまとめる国家の理念として、国家の基本方針である「パンチャシラ(Pancasila)」が憲法上の土台となっています。パンチャシラは、民族や地域の分断を防ぎ、ひとつの国としてのアイデンティティを最優先するために、共通の指針として制定されました。
例えば、異なる宗教の祝日が国定休日となり、それぞれのコミュニティが尊重し合う文化が根付いているなど、違いを排除するのではなく包摂する社会構造となっています。
対立回避・調和重視の文化的背景
多民族国家であるインドネシアでは、異なる宗教や文化を尊重する姿勢が社会の基盤にあります。また、上下関係を大切にし、年長者や目上の人には敬意を払うなど、礼儀を重んじる文化も特徴のひとつです。
さらに、表向きの摩擦を避け、思いやりをもって人間関係を円滑に保つことを重要視する風潮もあります。具体的には、人前で感情をあらわにしたり、直接的な批判で相手に恥をかかせたりすることを嫌う傾向にあります。
宗教がインドネシア人の性格に与える影響

インドネシアでは、宗教が人々の行動や考え方に強く影響を与えています。ここでは、インドネシアの宗教について詳しく解説します。
インドネシアは多宗教国家である点
インドネシアは世界最大のイスラム教徒人口を抱えている一方で、インドネシア憲法は宗教および信条の自由を保障しています。行政上主要な6つの宗教に加え、伝統的な信条をもつ人々もいます。具体的には、イスラム教、キリスト教(プロテスタント・カトリック)、ヒンドゥー教、仏教、儒教の6つの宗教が公認されています。
バリ島では独自の「バリ・ヒンドゥー教」が根付いていたり、東ヌサ・テンガラ州やパプア州ではキリスト教徒の割合が高くなっていたりと、地域によって信仰に特色があるのもインドネシアの大きな特徴です。
宗教が日常行動や判断基準に与える影響
インドネシアでは、日常生活や道徳観、ビジネス上の判断基準、法律に至るまで、宗教上の戒律や価値観が社会全体に深く浸透しています。
例えば、国民の約87%を占めるイスラム教徒の生活では、豚肉やアルコールを口にしないなどの食事の制限や、イスラム教徒の中には、1日5回の礼拝に合わせた時間確保を希望する人もいます。断食期間中には、本人の希望や業務内容に応じて働き方を相談することが望まれます。
信仰度合いの個人差と誤解しやすいポイント
同じインドネシア人でも、宗教の信仰の度合いには個人差があるため、一括りにして接してしまうとトラブルにつながる恐れがあります。イスラム教徒であっても、地域や家系、個人的な判断などによって、柔軟に振る舞う人もいることを理解しておきましょう。
例えば、「お祈りはするが、多少のお酒は飲んでいる」「豚肉は避けているが、断食はゆるやかに取り組んでいる」など、振る舞いには個人差があります。すべての人が同じように教えを厳守しているわけではないため、相手の背景を一括りにして判断しないことが重要です。
インドネシア人の基本的な性格傾向
インドネシア人の基本的な性格傾向について、それぞれ解説します。
おおらかで楽観的な気質
インドネシアでは、多宗教国家であることの影響もあり、「おおらかで寛容」「家族や仲間を大切にする」など、楽観的で温かい性格が育まれる傾向にあります。多様な価値観が共存する社会で育つため、他者への配慮やホスピタリティ精神が育まれ、小さなトラブルがあっても「なんとかなる」と受入れる忍耐強さをもっている場合が多いです。
ポジティブで感情を表に出しにくい傾向
インドネシア人は、場の調和を重んじる文化から、怒りや不満などのマイナスな感情を人前で表に出すことを控え、常に笑顔で穏やかに対応し、対立を避ける傾向にあります。
感情を表に出しにくいため、何も問題がないと誤解されやすいですが、本人が我慢しているケースもあります。本人の態度を鵜呑みにせず、個別で声をかけたり、本音を汲み取ろうとしたりする配慮が大切です。
人前での叱責や強い否定を嫌う理由
インドネシアでは、他者への配慮を重んじる文化や、「面子(メンツ)」を大切にする国民性があります。また、恥をかかされることへの嫌悪が強く、公の場で叱られるとプライドを傷つけられたと感じてしまいます。
インドネシアには「相手に嫌な思いをさせない」という気遣いの文化もあり、自分が誰かの気分を害することを避けるため、相手にも同様の配慮や穏やかなコミュニケーションを求める傾向にあります。
インドネシア人のコミュニケーションの特徴

インドネシア人のコミュニケーションスタイルについて、言葉の受け取り方や意思表示の特徴など、日本人との間で誤解が生じやすい点について解説します。
本音を直接表現しにくい傾向
インドネシア人は、相手に嫌な思いをさせたり人間関係を壊したりすることを極端に嫌う傾向があります。和を重んじる文化や相手への気遣いが根底にあるため、否定を直接表現せず、本音が分かりにくいといわれる場合も多いです。
「Yes」の意味が日本人と異なる点
インドネシア人にとっての「Yes」は、必ずしも「了解」を意味するとは限りません。日本語の理解度や指示内容によっては、返答だけでは認識が一致しているか判断しにくい場合があります。作業内容を本人の言葉で説明してもらう確認方法が有効です。
インドネシアでは、面と向かって相手に「No」と直接伝えることは失礼にあたると考える文化があります。そのため、本当は断りたい場合やわからないことであっても、その場では「Yes」と答えてしまう傾向があります。
誤解を防ぐために必要な確認方法
インドネシア人労働者との間の誤解を防ぐには、「察してほしい」という日本の曖昧な表現を避けることが重要です。母国語での書面提示や「理解できたか」「どのように作業するか」などを口頭で復唱させるダブルチェックなども効果的です。
インドネシア人の時間感覚と仕事観

日本人が特に戸惑いやすい、インドネシア人の時間感覚や仕事に対する考え方の違いについて、それぞれ解説します。
ジャム・カレット(ゴム時間)の考え方
インドネシアの言葉である「ジャム・カレット」は、直訳すると「ゴム時間」という意味で、約束の時間などがゴムのように伸び縮みしてルーズになるという、インドネシア人の独特な時間感覚を表しています。
インドネシアでは交通渋滞や公共交通機関の遅延が多いため、予定通りにいかないことを見越して行動する文化が根付いています。友人同士の待ち合わせでの大幅な遅刻も珍しいことではなく、「お互い様」という感覚である場合が多いです。公式な会議やイベントであっても、定刻通りに始まらないケースも少なくありません。
時間や期限に対する認識の違い
インドネシアでは、目の前にいる相手を大切にする文化があるため、前の予定が延びて次の約束に遅れるケースがよくあります。また、納期や期限の捉え方に認識差が生じる可能性があるため、期限・遅延時の連絡方法・優先順位を具体的に共有しましょう。
日本人にとってはルーズに思えるものの、インドネシア人にとっては人間関係や「和」を重視する国民性や宗教観に深く根ざした行動といえます。
仕事とプライベートの境界が曖昧な理由
インドネシアでは、職場を労働の場としてだけではなく、家族の延長のようなコミュニティと捉える傾向があります。仕事中であっても雑談を楽しみ、同僚や取引先とも家族のような親密な関係を築くことを好む文化が根付いています。
日本のようなオン・オフの明確な区切りはあまりなく、他者と良好な関係を保ちながら楽しく生きるというポジティブな国民性が影響しています。
家族・コミュニティを重視する価値観
インドネシア人が家族や地域コミュニティを強く重視する背景や、それが職場行動に与える影響について、それぞれ解説します。
家族・地域コミュニティ優先の価値観
インドネシア人は、親や年長者へ敬意を大切にし、冠婚葬祭などの家族行事を何よりも優先する文化が根付いています。また、互いに助け合う精神や、地域や集団の調和を大切にする傾向もあります。
家族は社会の基本単位であるという考え方から、仕事の選択や人生の大きな決断においても家族の意見が強く反映される場合が多いです。
突発的な帰省や相談が起こりやすい理由
インドネシア人は、家族や親戚との結びつきが非常に強いため、仕事よりもプライベートを優先する文化があります。親族に何かがあれば、仕事を休んででも駆けつけるのが当然という価値観や、家族行事や親族との関係を大切にする人もいるため、休暇制度や相談窓口を明確に伝えておくことが望まれます。
特に、冠婚葬祭や宗教的な行事の手伝いなどは最重要視され、仕事よりも優先順位が上位となる場合が多いです。
労務管理上で配慮すべき視点
労務管理では、家族の急病や冠婚葬祭での帰国・休暇に寛容な姿勢を示すことが大切です。家族の結婚式や出産、重病などの際は、帰国や休暇の相談が生じた場合に備え、休暇申請の手続きや社内制度を事前に共有しておきましょう。有給休暇の計画的な付与や、特別休暇制度の検討も必要になるでしょう。
また、親族の不幸の際は本人が帰国して見送ることを強く望む文化であるため、慶弔規定を明確にしておくことも大切です。
インドネシア人から見た日本人・日本社会の印象

インドネシア人が日本人や日本社会に対して抱いている一般的なイメージや、そこから生じやすい心理的ギャップについて、それぞれ解説します。
日本社会に対するポジティブな印象
インドネシア人は親日家が多く、日本文化への憧れや、技術・経済面での信頼感など、ポジティブな印象をもっている場合が多いです。例えば、夜間に街を一人で歩けるほどの治安の良さや犯罪の少なさ、公共のルールやマナーを守る秩序の正しさなどに魅力を感じるケースも多いです。
また、寿司やラーメンなどの日本食、アニメやマンガなどのポップカルチャー、美しい自然と四季などに魅力や憧れを抱くインドネシア人も多くいます。
規律や厳しさへのイメージ
インドネシア人は、日本人に対して「時間を守る」「勤勉である」などの規律正しさに敬意を抱く一方で、厳しさに対して戸惑いを感じるケースも少なくありません。もちろん、時間や約束を正確に守る日本人に対して非常に高い信頼を寄せており、責任感をもって仕事に取り組むプロ意識へ尊敬の念を抱いている場合も多いです。
しかし、インドネシア人はおおらかで人前での叱責を好まない傾向にあるため、日本の厳格なルールや指導方法はストレスに感じる場合もあります。
日本の職場で感じやすいプレッシャー
インドネシア人は、人間関係において直接的な否定や対立を避ける傾向がある一方で、業務の指示については具体的で明確な言葉を求める傾向にあります。日本特有の曖昧な指示や、察して動くことを求められる職場環境に対して、「何をすべきか分からない」という不安やプレッシャーを感じてしまうことも少なくありません。
また、職場でのコミュニケーション量や相談のしやすさは企業によって異なるため、定期的な面談や相談機会を設けることが重要です。
インドネシア人材を雇用する際の本質的なポイント
インドネシア人の性格や価値観の傾向を踏まえ、採用・マネジメントにおいて企業側が意識すべき本質的な考え方について解説します。
問題は能力ではなく前提設計のズレである点
インドネシア人の雇用がうまくいかない場合の原因は、インドネシア人材の能力に問題があるのではなく、日本人側が設定した前提設計にズレがある場合が多いです。インドネシア人への理解が足りず、日本特有の暗黙の了解や労働慣行を押し付けてしまうと、さまざまなトラブルに発展する恐れがあります。
適切な雇用を実現するためには、宗教的配慮や評価基準の明確化、コミュニケーション方法の最適化など、インドネシア人材への理解を深めたうえでの対応が重要です。
例えば、インドネシアでは明確に言語化された指示や役割定義が前提にあるため、業務マニュアルの整備や、指示内容を明確化する仕組みを整えることが大切です。
管理強化より構造調整が重要な理由
労働力不足が深刻化する日本において、インドネシア人労働者は重要な労働力となっています。一方で、インドネシア人労働者の価値観や働き方の傾向を踏まえると、受入れ側が一方的に管理を強めるだけでは、長期的な定着にはつながりにくいと考えられます。
長く活躍してもらうためには、文化的な背景やコミュニケーションの違いを理解したうえで、安心して働ける職場環境や支援体制を整えることが重要です。インドネシアでは若年層の海外就労も進んでいますが、日本側が受入れ体制を十分に整えられていなければ、定着には結びつきません。
そのため、在留資格制度への適切な対応、支援義務の履行、相談しやすい体制づくり、社内ルールの明確化などを通じて、働き手が不安なく業務に取り組める構造を整える必要があります。
信頼関係を築くために企業側ができる工夫
インドネシア人労働者と良好な信頼関係を築くためには、宗教や家族を重んじる国民性への深い理解が不可欠です。業務面のサポートに加えて、宗教的な配慮や日常的なコミュニケーションを大切にすることで、安心して働けるようになり、定着率の向上にもつながります。
具体的には、礼拝の時間やスペースの確保、ハラール食への理解、断食月への配慮などが挙げられます。また、休日出勤や残業の強制は避け、帰省の希望などにも柔軟に対応できる体制を整備することも大切です。温かい態度や丁寧な指導を心がけ、悩みを抱え込む前に相談できるような個別面談を定期的に実施することも効果的です。
まとめ
インドネシア人を雇用する際には、インドネシアの文化的な背景や宗教観、国民性などを理解しておくことが重要です。ただし、インドネシア人だからといって一括りにするのではなく、個人として理解を深め、信頼関係を築くことが大切です。
インドネシア人材は、深刻な人手不足に悩む日本社会において、極めて重要な存在です。明るくおおらかで親日的な傾向にあるインドネシア人は、適切な教育・支援と本人の経験・能力が合致すれば、現場での活躍が期待できます。丁寧なコミュニケーションや生活サポートを実施し、良好な関係を築けるようにしましょう。
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