特定技能関連
建設業では人手不足の問題が深刻化しており、さまざまな対策が実施されている現状があります。この記事では、建設業における人手不足の現状や背景、構造上の問題点、人手不足によるリスクなどについて解説します。人手不足対策として注目される外国人材活用についても解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

目次
建設業の人手不足の現状と深刻化している背景
建設業における人手不足の現状と背景について、就業者数の推移や最新動向、他産業との比較、地域・企業規模による違いについて、それぞれ解説します。
建設業就業者数の推移と最新動向
令和6年の建設業の就業者数は約477万人で、ピーク時である平成9年の685万人から約30%減少しています。平成9年までは増加傾向にありましたが、平成9年から平成22年にかけて大幅に減少し、それ以降もゆるやかな減少傾向が続いています。
他産業と比較した人材確保の難しさ
建設業は、他産業と比べて「長時間労働による体力的な負担が大きい」「天候に左右されやすく収入が不安定」など、敬遠されがちなイメージが根強く残っています。また、他産業に比べて賃金水準のピークが早く、求職者の候補から除外されやすくなっている側面もあります。
地域・企業規模による影響の違い
建設業では、企業規模や元請・下請の立場によって、処遇改善や採用活動に充てられる経営資源には差が生じる場合があります。人手不足の影響を受けやすいため、企業間の格差が拡大しやすい構造となっています。
建設業の人手不足を招く人口構造上の問題

人手不足を引き起こす要因のひとつである人口構造上の問題点において、高齢化の実態、若年労働力人口の減少、2025年問題・2030年問題との関係について、それぞれ解説します。
高齢化が特に進む建設業界の実態
国土交通省の調査では、令和6年における60歳以上の技能者は全体の25.8%を占めており、10年後にはその大半が引退することが見込まれています。令和6年の建設業就業者は、55歳以上が36.7%、29歳以下が11.7%と高齢化が進行し、次世代への技術承継が大きな課題となっています。
高齢化の進行によって懸念されるのが、労働災害リスクの増加です。高齢化を踏まえ、安全教育や作業環境の整備の重要性が高まっています。また、体力的な負担増加による現場の作業効率の低下や工期の長期化など、生産性の低下も懸念されます。
若年労働力人口の減少と影響
日本では少子高齢化・人口減少が深刻化しており、2070年には総人口が9,000万人を割り込むと推計されています。生産年齢人口の減少ペースも著しく、2020年の7,509万人から、2040年には6,213万人まで減少し、2070年には4,535万人と、毎年約60万人のペースで減少する見込みです。
また、国土交通省の調査によると、産業別就業者の年齢構成において、2024年における55歳以上の割合は、全産業が32.4%であるのに対し、建設業は36.7%と高いという結果でした。さらに、29歳以下の割合は、全産業が16.9%であるのに対し、建設業は11.7%と低く推移しており、高齢化がより深刻化していることがわかります。
高齢就業者の大量退職や、少子化による若年者の入職の減少が見込まれることから、建設業では労働力減少がより強く懸念され、若年層の人材確保が一層困難化することが予想されます。
2025年問題・2030年問題との関係
2025年を境に、日本の人口の大きな割合を占める団塊世代が後期高齢者となり、熟練技能者の退職が本格化しています。現場の第一線で活躍してきた熟練技能者が大量に退職することで、人手不足の加速はもちろん、長年培われてきた職人の技術や現場のノウハウなどの継承が途絶えることも危惧されています。
高齢就業者の退職と若年入職者の不足が重なることで、今後も担い手確保と技能継承が重要な課題となります。また、人手不足などを原因とした倒産や廃業が増加することが懸念されています。
建設業の人手不足が進む産業構造上の課題

人手不足による問題点を、建設業特有の産業構造の観点から解説します。
長時間労働・休日取得の課題
建設業は屋外作業が中心であるため、天候による工期の遅れを取り戻すために長時間労働が発生しやすい構造になっています。また、厳しい工期設定や顧客の急な仕様変更などのしわ寄せが現場に及びやすいという側面もあります。
さらに、技能労働者の多くが日給制・日給月給制という給与体系で働いており、休日が収入の減少に直結するため、自発的な休日取得が進まないという側面も課題のひとつです。また、休日を確保するためには、発注者側の理解を得て適正な工期を設定する必要もあります。
業界イメージと若年層離れ
建設業界は、従来の業界イメージによって、若年層から敬遠されたり早期退職につながったりしてしまう側面があります。例えば、建設業は「3K(きつい・汚い・危険)」といったイメージが定着しており、特に高所作業や炎天下での過酷な肉体労働に対する先入観がハードルのひとつとなっているといえるでしょう。
また、長時間労働や不安定な給与体系、休日取得の難しさなども若年層離れの要因のひとつです。
給与水準と責任のバランス
建設業の給与水準は全産業平均よりやや高いものの、負う責任の重さや労働時間の長さに対して割に合わないと感じられるケースも多く、業界全体の課題のひとつとなっています。
例えば、現場の指揮を執る施工管理や現場代理人などは、安全・生命への責任や品質・予算の管理に対するプレッシャー、工期に間に合わせるための早出・残業など、心身の負担に対してベースとなる給与が見合っていないと感じる人も多いです。
建設業の人手不足と建設需要増加のミスマッチ
建設業における人手不足の現状に対して建設需要が増加している背景や課題について解説します。
インフラ老朽化・再開発需要の増加
高度経済成長期に整備された道路や橋、上下水道などの社会インフラの老朽化が進行しているため、メンテナンスが急務となっています。同時に、都市部での大規模再開発や国土強靱化計画に伴う需要も増加しています。
インフラのメンテナンス需要と再開発需要が増加している現状に、建設業における深刻な人手不足が重なっているため、技術継承と生産性向上が喫緊の課題といえるでしょう。
災害復旧・防災工事の継続的需要
激甚化する気象災害や地震への備えを背景に、災害復旧と防災・減災工事の需要は全国的に拡大しています。国の国土強靱化計画の本格化に基づいて、事前防災が強力に推進されているため、ダムや堤防の改修、法面保護など、計画的なインフラ強靭化工事が今後も予定されています。
受注はあるが着工できない構造
深刻な人手不足や資材・設備の入荷遅延が同時に発生し、無理に着工すると手抜き工事や工期遅延につながるため、人員や資材の確保状況によっては、受注や着工時期の調整が必要になる場合があります。例えば、労働人口の減少や高齢化の影響で、施工管理者など現場を統括できる有資格者が絶対的に不足しており、現場の稼働数に上限が生まれてしまうケースも多いです。
また、現場の職人や技能者が不足している現状や、時間外労働の上限規制が厳格化された影響で、1つの現場にかかる日数が伸びてしまい、工事の処理能力自体が大幅に低下している側面もあります。さらに、世界情勢の影響を受けて、資材価格や供給状況の変動が、工期や収益に影響を与える場合があります。
建設業の人手不足で顕在化する技能継承と施工管理の問題
建設業における人手不足が引き起こす技能継承と施工管理の問題について、それぞれ解説します。
熟練技能者の引退と後継不足
建設業界では、団塊世代の大量退職や少子高齢化の影響で、熟練技能者の引退と後継者不足が危機的水準に達しています。特に、中小企業を中心に後継者不足が深刻化しており、技術継承が断絶するリスクが高まっています。一定の技能を身につけるには時間を要するため、若手入職者の育成が追いついていないのが実情です。
また、建設業ではベテランの経験と現場判断に依存してきた部分が多いため、技術継承が滞ると工事の品質や安全管理に悪影響を及ぼす恐れもあります。業界全体での若手育成と業務のデジタル化が急務となっているといえるでしょう。
施工管理職の業務負荷と離職
施工管理職は、責任の重さと、現場とデスクワークの掛け持ちによる長時間労働が常態化している現状があり、離職率が高い状態が続いています。施工管理職の仕事は事故や工期遅れに対する重い責任が常に伴うため、業務量の多さや責任の重さに対して、適正な評価や報酬が得られないと感じるケースも多いです。
また、現場の進捗にスケジュールが左右されやすいため、家族との時間が取れない、プライベートの予定が立てづらいといった生活面での不満も募りがちです。高齢になっても現場の最前線で働き続けることへの体力的な不安や、キャリアパスの不透明さなども課題となっています。
即戦力依存による育成停滞
未経験者の育成を怠り、経験者や有資格者の採用のみに頼る経営体質を続けていると、長期的な人材不足を悪化させ、企業の存続を脅かす要因となります。若手育成の機会損失や技術継承の断絶にもつながり、建設業全体において深刻な影響を及ぼすことになります。
建設業の人手不足が引き起こす経営リスクと倒産問題
建設業における人手不足は、企業経営にさまざまなリスクを与えます。ここでは、主な経営リスクについて解説します。
人手不足倒産の増加傾向
帝国データバンクの調査によると、2025年度の人手不足倒産は441件、前年度比約1.3倍で過去最多を更新しています。そのうち建設業が112件で全体の25.4%を占め、業種別で最多となりました。
建設業における人手不足倒産は、人手不足の影響はもちろん、資材価格の高騰や賃上げ圧力などが相まって、深刻な状況が続いています。
出典:帝国データバンク「人手不足倒産の動向調査(2025年度)」
人件費高騰による収益圧迫
建設業では、深刻な人手不足に伴う人件費の高騰が収益を強く圧迫している現状が課題となっています。時間外労働の上限規制によって労働時間の短縮が必要となる一方で、工期維持のためにさらなる人員確保が求められている点も、コスト増加の要因となっています。
人件費の高騰による採算悪化に悩まされる企業も多く、倒産に追い込まれるケースも少なくありません。
事業継続に直結するリスク
建設業における人手不足の影響は、コストの増加やスケジュールの遅延だけでなく、受注機会の喪失や品質の低下を直接引き起こし、事業継続上の致命的なリスクとなり得ます。例えば、対応できる技術者がいないため受注を辞退せざるを得ない状況や、現場の質を支えるベテラン勢の退職によって施工品質が著しく低下するといったケースも少なくありません。
また、人手不足の影響で一部の従業員や下請け企業に業務と責任が集中し、過重労働から体力的・精神的な限界を迎え、さらなる離職を招く悪循環に陥るリスクもあります。
建設業の人手不足対策としての従来施策とその限界

建設業の人手不足解消のためにこれまでに実施されてきた対策と、その課題について解説します。
賃上げ・処遇改善の効果と限界
賃上げ・処遇改善は、若年層の入職促進や、他産業への人材流出を食い止める効果が期待できます。また、適正な評価と報酬は従業員の士気を高め、生産性やモチベーションの向上にも効果的です。
しかし、建設業の特徴でもある多重下請け構造において、末端の技能者にまで適正な労務費や利益が行き渡らない構造的課題があります。また、多くの企業がすでに賃上げを実施している一方で、建設資材の高騰や労務費の上昇が利益を圧迫し、企業努力のみでの対応には限界があるという声もあがっています。
若手採用強化の難しさ
建設業における若手の採用強化方法として、SNSによるリアルな職場の状況の発信や、週休2日制やデジタルツールの導入による待遇改善、メンター制度の構築などがあります。
しかし、「3K(きつい・汚い・危険)」に代表されるマイナスイメージや、長時間労働や不規則な休日、賃金面の魅力不足などの要因が重なり、若者が建設業界を敬遠する傾向が続いています。
ICT・DX導入による省人化の位置づけ
建設業において、ICT・DX導入による省人化は、深刻な人手不足を乗り越えるためには欠かせないものといえます。熟練技術者の高齢化と若手不足が加速する状況において、最少人数で最大の生産性を生み出す構造を創り出すために、業界全体で導入を推進しています。
建設業の人手不足対策として注目される外国人材活用
建設業では、人手不足対策として、外国人材活用が注目を集めています。ここでは、外国人材活用の概要について解説します。
国内人材不足を補完する手段としての位置づけ
建設業における外国人材は、深刻な国内人材不足を補完し、国内人材を支えながら共に日本の建設業を動かすための戦略的なパートナーとして位置づけられています。人手不足による既存社員への過度な負担を軽減し、労働環境の改善を両立させるための「ゆとり」を生み出す効果も期待されています。
特定技能制度など制度面の変化
外国人材活用の制度は、現在大きな転換期を迎えています。中核となる「特定技能制度」での受入れ拡大や、2027年4月1日に施行される「育成就労制度」への移行など、外国人材の育成と、特定技能制度への円滑な移行を通じた中長期的な就労を重視する方向へ制度整備が進んでいます。
外国人材活用における前提条件
建設分野で1号特定技能外国人を受入れる場合、受入れ企業には建設業許可(一般または特定)、受入れ企業および本人のCCUS(建設キャリアアップシステム)登録、受入れ事業実施法人への所属等の基準があります。
雇用の際には、同等の技能を有する日本人と同等額以上の報酬を安定的に支払い、技能の習熟に応じて昇給を行うことが求められます。また、労働関連法の遵守も求められます。
建設業の人手不足対策は複合的に考える必要がある理由
建設業における人手不足対策は、ひとつの側面からではなく、複合的に考える必要があります。ここでは、具体的な考え方について解説します。
労働環境改善・生産性向上の両立
建設業の人手不足対策には、適正な工期設定と週休2日制の推進など、労働環境の改善が必須です。さらに、ICTの活用による業務効率化や事務作業の分業化による負担軽減など、生産性向上のための対策の推進も求められます。労働環境の改善と生産性向上を両立することで、人材の確保と定着率の向上がより実現しやすくなるといえるでしょう。
育成・定着を含めた中長期視点
建設業の人手不足対策には、採用だけでなく、持続可能な経営基盤を構築するための中長期的な取り組みが不可欠です。短期的なコストに捉われず、労働環境の改善やデジタル化による生産性向上、次世代への技術継承などを一体とした取り組みが求められます。
外国人材活用を含む組み合わせ戦略
人手不足による課題を解決するためには、労働環境の改善や生産性の向上などの対策に加えて、外国人材の活用も組み合わせて実施することが重要です。単一の施策に依存することなく、各要素を連動させることで効果を最大化できるようになります。
まとめ
高齢化と若年労働力人口の減少などの影響で人手不足の問題が深刻化している建設業では、労働環境の改善や生産性向上のための取り組みなど、さまざまな対策が実施されています。なかでも外国人材活用は、日本の建設業を動かすための戦略的なパートナーとして注目を集めています。
株式会社ONODERA USER RUNは、日本語・特定技能教育から人材紹介、就業後の生活や生活・定着支援までをワンストップで行い、安定して長く働ける人材をご紹介しております。人手不足や外国人雇用についてのお悩みなどについても、ぜひお気軽にご相談ください。
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