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外国人を雇用するうえで、任意保険のJITCO保険について詳しく知りたい方も多いのではないでしょうか。この保険に加入しておくことで、ケガ・事故などが発生した際に、外国人従業員や雇用主の金銭的な負担を減らせます。
今回は、JITCO保険の補償内容や補償期間、加入・解約の手続き方法、外国人の任意保険に関するポイントなどを紹介します。外国人の雇用におけるリスクを抑えたいという方は、ぜひ参考にしてください。
目次
JITCO保険とは
JITCO保険とは、国際人材協力機構が提供している任意保険です。外国人のケガ・病気の治療費や、事故で生じた賠償金などを補償する保険で、技能実習生、および特定技能1号外国人(特定活動(就労可)を含む)を加入対象としています。
技能実習生とは、技術移転による国際貢献を目的に受け入れている外国人を指します。一方、特定技能外国人は、16の特定産業分野で即戦力人材としての活躍が見込まれる外国人です。通算上限5年の在留が可能な「1号」、在留期間の上限がない「2号」に分けられます。
なお、法務省の資料によると技能実習生制度は廃止され、特定技能1号水準の技能を持つ人材を育成する「育成就労制度」が、新たに創設される見通しです。
技能実習や特定技能の詳細については、以下の記事をご参照ください。
技能実習生とは?制度や企業が受け入れる方法・流れ、注意点を解説
在留資格「特定技能」とは?種類や対象分野、技能実習との違いなどをわかりやすく解説
補償内容
JITCO保険に加入した外国人は、以下の補償を受けられます。
- ・傷害治療費用保険金、傷害死亡・後遺障害保険金
- ・疾病治療費用保険金、疾病死亡保険金
- ・賠償責任保険金
- ・救援者費用等保険金
救援者費用とは、外国人従業員がケガなどをした際、母国の家族に来日してもらうための補償金です。JITCO保険に加入していない場合、企業が家族の来日費用を負担しなければならないケースもあります。
なお、歯科疾病や既往症の治療、美容整形にかかる費用などは補償の対象外です。
補償対象期間
保険の補償対象期間は、技能実習生、および特定技能1号外国人が母国から出発して帰国するまでの在留期間中となっています。
前述のとおり、特定技能1号外国人は上限5年の在留が認められているため、その期間中は補償の対象です。また、技能実習生に関しても、技能実習1号・2号で3年の補償期間が終了したのち、技能実習3号で再加入することで補償期間を2年延長できます。
保険金額・保険料
JITCO保険は、傷害・疾病・賠償責任などに関する保険金額の設定に応じて、支払う保険料が決まる仕組みとなっています。
例えば、傷害治療費用の保険金額が100万円、賠償責任に関する保険金額が1億円などに設定された「タイプ1」のプランの場合、滞在期間36ヵ月(保険期間37ヵ月)の保険料はトータルで約3万円です。月々に換算すると1,000円以下の保険料となります。
また、治療費用が100%補償される期間によって保険料が変わることにも留意が必要です。これは、国民健康保険などの公的保険が手配されるまでの期間中に、外国人従業員が病気やケガを負った際の治療負担を軽減するための仕組みです。JITCO保険では、治療費用が100%補償される期間を「15日・1ヵ月・2ヵ月」の3つのパターンから選べます。
なお、加入する被保険者数によって保険料が変わるケースもあります。
JITCO保険加入・解約の手続き方法
続いて、JITCO保険の加入・解約に関する手続き方法を見ていきましょう。
加入手続きの方法
JITCO保険に加入するには、損害保険代理店である株式会社国際研修サービスのWeb申し込みを利用します。初めて加入する場合は、まず加入者情報を登録する必要があります。
加入者の住所などの個人情報やパスワードを入力して登録したのち、「技能実習」「技能実習3号(一時帰国あり)」「特定技能1号」のいずれかの保険加入を依頼する流れです。
なお、保険期間中は契約した保険タイプを変更できないため、加入する前に補償内容をしっかりと確認しておくことが大切です。加えて、外国人本人による保険加入の申し込みはできないため、受入れ企業や登録支援機関などが加入の手続きを行わなければなりません。
登録支援機関とは、特定技能外国人1号を企業が受け入れるにあたり、支援計画の作成サポートや実施を行う機関です。登録支援機関の概要や、企業が支援を委託するメリットなどについては、以下の記事で詳しく解説しています。
特定技能における登録支援機関とは?支援委託をおすすめする理由と選び方
解約手続きの方法
JITCO保険を解約する際は、株式会社国際研修サービスに「変更(解約)届出書」を郵送する必要があります。例えば、保険期間中に外国人の帰国などによって解約する場合は、その変更事由が発生してから2ヵ月以内に届出書が到着するように提出します。この場合、帰国などの事由が生じた日から返戻保険料が計算されることがポイントです。
もしも2ヵ月以上経って届出書が到着した場合、返戻保険料は到着日からの計算となる点に注意しましょう。ただし、保険満期日まで残り31日に満たない場合は解約返戻金がないため、変更(解約)届出書の提出は不要です。
なお、届出書には加入者の住所や氏名、被保険者に関する情報などを記載します。加入者欄の記載情報は、加入時と同一にする必要がありますが、団体等の変更が発生しているときは、変更後の団体名を記載しましょう。
要チェック!外国人の任意保険に関するポイント
ここからは、外国人従業員の任意保険に関するポイントを4つ解説します。
任意保険の加入の意思確認を行う
JITCO保険を含め、任意保険の加入は強制ではありません。そのため、保険加入によって受けられる補償内容や、加入しないリスクなどを丁寧に説明したうえで、外国人本人の加入意思を確認することが重要です。
例えば、任意保険に加入した場合、治療・通院が必要となったときに自己負担分を補償してくれるため、経済的な負担が大きく減る可能性があるなどを伝えましょう。
なお、厚生労働省の資料によると、2023年の技能実習生と特定技能外国人の死傷者数は、以下のとおりです。
在留資格 |
労働者数 |
死傷者数 |
技能実習 |
41万2,501人 |
1,692人 |
特定技能 |
13万8,518人 |
597人 |
上表のデータなどを参考にしつつ、万一に備える任意保険の加入について確認しておきましょう。スムーズな保険加入を促すために、採用面接の段階で加入の意思を確認することも有効です。
各保険の補償内容を比較検討する
JITCO保険以外に、民間の任意保険を選ぶことも可能です。民間の任意保険の補償内容は商品によって違いがあるので、自社が雇用する外国人のニーズに適した保険を提案できるようにしておきましょう。
特定技能外国人向けの民間保険に関する補償や加入時の注意点については、以下の記事をご覧ください。
特定技能外国人の民間保険は加入すべき?受けられる補償や加入時の注意点
地域によっては自転車保険の加入が義務づけられている
昨今は、自転車で事故を起こした際に、数千万円の高額な損害賠償を請求されるケースもあります。地域によっては、自転車損害賠償責任保険等への加入を義務化していることも留意しておきましょう。
国土交通省によると、2024年4月1日時点で34都府県が義務化しており、10道県が努力義務を課しています。
出典:国土交通省|自転車損害賠償責任保険等への加入促進について
外国人従業員は自転車を利用するケースが多いため、保険加入が義務づけられていない地域であっても、加入を検討するのがおすすめです。
外国人従業員が通勤中に自転車事故を起こした場合、損害賠償の支払い能力がないと、企業側が代わりに支払うこともあるからです。
保険料を天引きするには労使協定が必要となる
外国人の給与から任意保険料を天引きするためには、労使協定の締結が必要です。労使協定とは、労働者と雇用主が取り交わす書面契約を指します。
労使協定を結ばずに給与から天引きしてしまうと、労働基準法違反となるため注意しましょう。なお、社会保険料や税金などは労使協定を結ばずに給与からの天引きが可能です。
特定技能外国人の雇用に関するご相談は「オノデラユーザーラン」へ!
前述のとおり、新設される育成就労制度では特定技能1号外国人と同水準程度の人材を育成する予定であり、今後も特定技能外国人の活躍が見込まれます。
特定技能外国人は「介護」「外食業」「宿泊」など16の特定産業分野で即戦力として期待されていますが、自社の事業に適した人材を採用するには、さまざまな手続きが発生します。
雇用に関して相談したいという方は、ONODERA USER RUN(オノデラユーザーラン)へ、ぜひお問い合わせください。オノデラユーザーランでは、OUR BLOOMING ACADEMY(自社アカデミー)で日本語や特定技能の専門教育を行った特定技能外国人の紹介が可能です。
また、登録支援機関として、就労前後のサポートなどもワンストップで提供しています。まずはお気軽にご相談ください。
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まとめ
JITCO保険は、技能実習生・特定技能外国人の治療費や、事故による賠償金などを補償してくれる任意保険です。補償内容や保険金額を確認したうえで加入を検討しましょう。
なお、外国人従業員が任意保険に加入する際は、事前に丁寧に説明したうえで外国人本人の加入の意思を確認することが大切です。また、外国人従業員は自転車を利用するケースが多いため、自転車損害賠償責任保険等への加入もおすすめします。
自社の事業で活躍してくれる特定技能外国人をお探しの方は、オノデラユーザーランへお問い合わせください。OUR BLOOMING ACADEMY(自社アカデミー)で教育・育成した特定技能外国人をご紹介できるほか、登録支援機関として幅広いサポートにも対応しています。
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