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日本で労働者不足が進行している背景とは?企業への影響や解消方法も詳しく解説

2023.10.03

労働者不足を懸念する声が多くの業界で上がっています。その背景や影響について知り、問題解決に向けて行動を起こしたい採用ご担当者様は多いのではないでしょうか。

今回は、日本で労働者不足が進行している背景と、それが企業にもたらす影響について解説します。労働者不足の解消方法も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

【データで見る】日本で労働者不足が進行している背景とは

日本で労働者不足が進行している根本的な原因は少子高齢化です。問題を解消する必要性が強く意識される背景には、特定の職業において人材の需給ギャップが大きいことがあります。

少子高齢化が進んでいる

出典:令和5年版高齢社会白書|内閣府

 

内閣府の「令和5年版高齢社会白書」によると、2022年10月1日時点の日本の人口は1億2,495万人です。

そのうち、65歳以上の人口は3,624万人で、総人口に占める割合も29.0%となっています。

その一方で、出生数の減少により、15〜64歳の「生産年齢人口」は1995年の8,716人をピークに減少傾向です。2032年には7,000万人を割り、2070年には4,535万人になると推計されています。

人材の需給ギャップがある

厚生労働省がハローワークの求人・求職などの状況をとりまとめて公表する「一般職業紹介状況」で2023年7月の有効求人倍率を見ると、職業によってかなりのばらつきがあることがわかります。

有効求人倍率は、企業がハローワークにエントリーした仕事の数(有効求人数)を働きたい人の数(有効求職者数)で割って算出する数字です。高倍率であるほど人材確保が難しいことを表しています。

有効求人倍率の高い職業には、例えば以下のようなものがあります。

 

職業

有効求人倍率

介護サービス職業従事者

3.88

建築・土木・測量技術者

5.48

機械整備・修理従事者

4.22

運輸・郵便事務従事者

3.26

 

有効求人倍率が低い「一般事務従事者」は0.34であり、比べるとその高さがわかります。

人材の需要が供給を大きく上回っている職業があるため、労働者不足を強く意識せざるを得ないのが現状です。

出典:一般職業紹介状況(令和5年7月分)について|厚生労働省

 

日本の労働者不足が企業にもたらす3つの影響

労働者不足は企業経営にとって重大な問題です。ここではその影響を3つ紹介します。

職場環境の悪化に繋がる

労働者不足によって業務が多忙になると、残業の慢性化や従業員の労働意欲低下などの問題が発生し、職場環境の悪化に繋がることがあります。

特に医療・福祉関係専門職などでは、労働者不足によって残業時間の増加や休暇取得数の減少といった影響が出ることが多いようです。

職場環境が悪化するとミスが増えることにもつながり、ますます残業時間が増えてしまう可能性もあります。また、悪評が立てば、新たな人材確保が困難になるという悪循環に陥りかねません。

参考:「令和元年版 労働経済の分析 -人手不足の下での「働き方」をめぐる課題について-|厚生労働省

売上が減少する

労働者が不足すると、サービス提供や商品製造を十分に行えず、結果的に企業の売上が減少したり事業が立ち行かなくなったりする可能性があります。

現に介護業界では事業に労働者不足の影響が出ており、施設によっては深刻な人員不足のため入所者の受け入れを制限せざるを得ない状況です。なかには労働者不足のために事業の縮小や廃止を考えている施設もあるようです。

また、中小企業の場合、ノウハウの継承ができずに廃業に追い込まれるケースもあります。

事業成長の機会を逃す

製品やサービスに対する需要の変化が大きい現代、企業が持続的に成長するためには新規事業の展開が不可欠です。しかし、労働力不足の状態では既存事業の運営のみに手を取られ、新規事業の立ち上げが困難になるといった問題が生じます。

「平成28年度中小企業・小規模事業者の成長に向けた事業戦略等に関する調査」によると、新事業展開における課題を解決する取り組みとして考えられることとして「必要な人材の確保」を挙げた回答者は、全体の約73%にも上りました(複数回答)。

人手不足が続くと、新たなサービス・商品の開発だけでなく、そのために必要な人材育成も困難な状況になりかねません。労働者不足によって成長機会を逃し、事業縮小に至る可能性もあるといえます。

参考:平成28年度中小企業・小規模事業者の成長に向けた事業戦略等に関する調査(株式会社野村総合研究所)|中小企業庁委託

 

日本の労働者不足が顕著な業界

厚生労働省「労働経済動向調査(令和5年5月)の概況」の「労働者過不足判断D.I.※1」で「正社員等※2労働者」の過不足状況を見ると、最も「不足超過」なのは運輸業・郵便業の58ポイントとなっています。それに続くのは建設業の55ポイント、医療・福祉の54ポイントです。

出典:労働経済動向調査(令和5年5月)の概況|厚生労働省

 

医療・福祉のなかで人手不足が顕著なのは介護業です。介護サービスの利用者が増加する一方で、働き手となる世代が減少している少子高齢化の影響を受けやすい業界といえます。キャリアビジョンが描きにくいなどのネガティブな印象も、人手不足の原因と考えられています。

建設業では、労働者の高齢化が進んでいます。休日が取りにくいことも働き手が減少している理由です。また、宅配ドライバー不足が話題となった運輸業では、長時間労働が人手不足の原因と見られます。

※1「労働者過不足判断D.I.」……労働者数を「不足」と回答した事業所の割合から「過剰」と回答した事業所の割合を差し引いた値

※2「正社員等」…… 雇用期間を定めないで雇用されている者、または1年以上の雇用契約を結んで雇用されている者。1日の所定労働時間または1週間の所定労働日数が正社員より短いパートタイマーは除く

日本の労働者不足を解消するための方法5選

労働者不足を解消するためにはどうすれば良いのでしょうか。ここからは解消するための方法を5つ紹介します。

労働環境の改善を図る

先の章で述べたように、労働者不足が顕著な職業におおむね共通する要因は「低賃金」および「長時間労働」です。人材確保のためには、賃金を上げる、残業を減らすなど、労働環境の改善を図ることが重要です。

あわせて福利厚生の充実、産休・育休取得の奨励、リモートワークの導入なども行えば、離職率を下げられるだけでなく、求職者に対するアピールも期待できます。

また、長時間労働の慣行をやめてワーク・ライフ・バランスを確保することで、女性やシニア層の就職が促され、労働力の増加に繋がるでしょう。

業務効率化を図る

業務効率化を推進すれば、労働力不足から起こる諸問題が改善される可能性があります。

現状の業務フローを可視化して業務プロセスを見直し、手間がかかり過ぎている工程が本当に必要か、簡易な手法に改善する余地はないか考えてみましょう。

また、日本企業の特徴としてサービス・商品の「過剰品質」が問題として挙げられます。お客様のことを考えるあまり、対価を超えるサービスを提供していないか見直すことも時には必要でしょう。

研修・教育制度を充実させる

近年の人材不足には、業務に必要なスキルの変化スピードに従業員がついていけていないという側面もあります。

この側面に対しては、従業員のスキルや能力を高めるための研修や教育制度を充実させて対応することができます。

効果的な研修・教育は、長期的に生産性向上をもたらし労働者不足の解消に繋がるだけでなく、求職者にとってのアピールにもなります。

副業・兼業を許可する

2018年1月、厚生労働省によって「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が策定されました。それを踏まえて副業や兼業を解禁する企業が増加しています。

企業にとって、自社の従業員に副業・兼業を認めることは先進性のアピールに繋がり、人材採用に有利です。また、優秀な人材の離職も防止できるでしょう。

労働者にとっては、収入源の多様化や収入の増加、本業だけでは得られないスキルの習得などがメリットとして挙げられます。

参考:副業・兼業の促進に関するガイドライン|厚生労働省

外国人労働者の雇用を促進する

厚生労働省の「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ(令和4年10月末現在)」によると、外国人労働者数は、届出が義務化された2007年以降で最多の約182万人に上ります。

外国人労働者は、日本の産業にとって不可欠な存在になってきています。

また、英語など日本語以外の言語でコミュニケーションをとれる外国人従業員は、インバウンド客に対応するホテル・旅館や飲食業などにとって貴重な戦力です。

日本で働く外国人労働者は、労働力不足解消以外のメリットももたらしているといえます。

参考:外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和4年10月末現在)|厚生労働省

 

外国人労働者受け入れのメリットについては、以下の記事でも詳しく解説しています。

外国人労働者受け入れのメリット・デメリットは?問題点や受け入れ方法などもまとめて解説

外国人労働者の受入れ政策「特定技能」とは

企業が外国人労働者を受け入れる場合、労働者は「在留資格」を持っていなければなりません。これまでさまざまな在留資格はありましたが、人手不足解消のために外国人労働者を受け入れることを明確な目的とした制度はありませんでした。

従来の方針を転換したのが、2018年に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2018」です。そのなかでは労働者不足が日本経済の持続的成長の阻害要因とされ、新たな外国人材を受け入れる必要性が説かれています。

その実現手段として掲げられ、2019年に創設された在留資格が「特定技能」です。これは、「従来の専門的・技術的分野における外国人材に限定せず、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人材を幅広く受け入れていく」ための仕組みと位置付けられています。

参考:経済財政運営と改革の基本方針2018|内閣府

 

ここからは、「特定技能」の概要とメリットについて紹介します。

特定技能の概要

特定技能とは、人手不足が顕著な「介護」「外食」「宿泊」などの特定産業分野で、即戦力となる外国人労働者の受け入れを可能にする在留資格です。

特定技能には1号と2号があり、2号は1号の上位資格と位置付けられています。特定技能1号は在留期間の上限が通算5年と定められていますが、2号取得者は更新を繰り返せば期間の上限なく働き続けることが可能です。

試験に合格するなど要件を満たせば、特定技能1号から2号へ移行できます。

ただし、介護に関しては「特定技能」創設に先がけて、更新することで在留期間が実質的に無期限となる「介護」という在留資格が設けられていました。そのため介護分野に関してのみ、特定技能1号から移行可能な上位資格は「介護」となります。

特定技能2号または「介護」では、要件を満たせば配偶者と子どもの帯同も認められます。認められれば、日本で安定した生活を送りやすくなるでしょう。

 

「特定技能」については、以下の記事で詳しく解説しています。

外国人労働者の在留資格「特定技能」とは?1号と2号の対象分野などをわかりやすく解説

2023年最新|特定技能の12分野・業種の職種一覧と現状を解説!

特定技能外国人を活用するメリット

在留資格「特定技能」を取得した外国人を受け入れると、長期就労の労働者を確保できるというメリットがあります。特に、2号に移行した外国人労働者には、長期にわたる日本での就労継続が期待できます。

また、従来の就労系在留資格で外国人に認められる労働は限定的で、空き時間に少し単純労働をしても不法就労とみなされる恐れがありました。

しかし、主業務として従事するのでない限り、特定技能外国人は単純労働を含めた幅広い業務が可能です。そのため、業務を柔軟に割り振りしやすいというメリットもあります。

まとめ

少子高齢化の影響で労働力不足が進んでいる日本において、外国人労働者の受け入れは有力な問題解決方法です。そのなかでも「特定技能」は比較的最近できた在留資格で、今後一層活用が進むことが期待されています。

一方、特定技能外国人を受け入れる企業様には、各種届出や支援計画の作成・実施といった義務も生じます。

支援計画の作成や労働者に対する一連のサポートは、出入国在留管理庁長官の登録を受けた「登録支援機関」に委託することが可能です。

ONODERA USER RUN(オノデラユーザーラン)は、特定技能外国人労働者の活用に関するすべてのサービスを一気通貫で提供できる「登録支援機関」です。

特定技能外国人の受け入れをお考えの企業様は、ぜひご相談ください。

 

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