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外国人技能実習生の人数はどのくらい?国別の現状や、制度の課題などを詳しく解説

2023.09.29

自社への外国人技能実習生の受け入れを検討するにあたり、「日本にはどのくらいの技能実習生がいるのだろうか?」と、気になっている方もいるのではないでしょうか。

技能実習生は、外国人労働者のなかでも比較的多くの割合を占めています。国別・都道府県別・職種別の傾向も知っておくと、現状をイメージしやすいでしょう。

一方で、外国人技能実習生の受け入れにおいては、いくつか課題も見えてきました。

この記事では、外国人技能実習生の特徴などを紹介したうえで、技能実習生の人数・割合や課題、受け入れ前に知っておきたい注意点を解説します。受け入れを検討する際の参考にしてください。

外国人技能実習生とは?

外国人技能実習生とは、日本の技能や知識などを習得するため、日本に在留する外国人のことです。外国人技能実習生の受け入れには、日本の技能などを外国人へ移転することで人材育成を図り、母国の経済発展へ役立ててもらう国際貢献の目的があります。

外国人技能実習制度が創設されたのは1993年ですが、2017年11月1日に技能実習法が施行され、制度が見直されました。

外国人技能実習制度に基づく在留資格は、第1号から第3号まで3段階に分かれており、最長で5年間日本に在留できます。受け入れの対象となっている国は、ベトナムやフィリピン、中国といったアジア諸国が中心です。

受け入れ方法は2種類

外国人技能実習生を受け入れる方法は、大きく分けて次の2種類です。

企業単独型:海外の現地法人や取引先企業などの職員を技能実習生として受け入れる方式
団体監理型:非営利の監理団体を仲介して技能実習生を受け入れる方式

企業単独型は、外国人技能実習生を受け入れるために企業が十分にサポートしなければならないため、体制が整っている大企業向けといえるでしょう。一方、団体監理型は監理団体の支援を受けられるため、中小企業でも外国人技能実習生を受け入れやすいメリットがあります。

実際に、多くの企業が団体監理型で外国人技能実習生を受け入れています。

就労資格のなかでは「技能実習」が最も多い

厚生労働省の「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ」によると、2022(令和4)年10月末時点での外国人労働者数は、過去最高の182万2,725人に上っています。また、日本で働くことを目的に取得する就労資格のなかでは、「技能実習」が34万3,254人と最も多いのが特徴です。

なお、「企業内転勤」や「介護」などの「専門的・技術的分野の在留資格」の取得者は、合計で47万9,949人となっています。

参考:厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ」

【項目別】外国人技能実習生の人数・割合

ここでは、外国人技能実習生の人数や割合などについて、国別・都道府県別・職種別に紹介します。

国別

法務省・厚生労働省の「外国人技能実習制度について」によると、2022(令和4)年末時点で外国人技能実習生の国籍として最も多いのは、ベトナムの17万6,346人です。これは全体の54.3%と半分以上を占めています。

次いで、インドネシアの4万5,919人(14.1%)、フィリピンの2万9,140人(9.0%)が多いことがわかります。

参考:法務省・厚生労働省「外国人技能実習制度について」

 

ベトナム人が多くの割合を占める理由としては、次の点が挙げられるでしょう。

  • ・親日国である
  • ・ベトナムへ進出する日本企業が多い
  • ・母国と比べ、日本の生活環境や給与面での魅力が大きい
  • 都道府県別

  • 外国人技能実習機構の「都道府県別 技能実習計画認定件数」によると、2021(令和3)年度の技能実習計画の認定件数は、合計17万1,387件です。そのうち最も多かったのは愛知県の1万6,377件で、埼玉県の9,074件、大阪府の8,878件が続く結果となっています。

    参考:外国人技能実習機構「都道府県別 技能実習計画認定件数」


    愛知県が外国人技能実習生を多く受け入れている背景としては、工業や農業など、外国人技能実習生を受け入れやすい産業が活発な点が挙げられるでしょう。

  • 職種別

  • 法務省・厚生労働省の「外国人技能実習制度について」によると、2021(令和3)年度における技能実習計画の認定件数の割合で上位を占めるのは、以下の職種です。

    1. 建設関係:20.8%
    2. 食品製造関係:19.5%
    3. 機械・金属関係:14.9%

    なお、建設業は特に若年層人材が不足していることから、若年層を中心とする外国人技能実習生の採用に積極的だと考えられます。

    参考:法務省・厚生労働省「外国人技能実習制度について」


    以上をあらためて表にまとめると下表のとおりです。

  • 国別 1.ベトナム:17万6,346人(54.3%)
    2.インドネシア:4万5,919人(14.1%)
    3.フィリピン:2万9,140人(9.0%)

    都道府県別

    (技能実習計画の認定件数)

    1. 1.愛知県:1万6,377件
    2. 2.埼玉県:9,074件
    3. 3.大阪府:8,878件

    職種別

    (技能実習計画の認定件数の割合)

    1. 1.建設関係:20.8%
    2. 2.食品製造関係:19.5%
    3. 3.機械・金属関係:14.9%
  •  
  • 技能実習生の受け入れにおける3つの課題

  • 外国人技能実習生の受け入れが進むなか、いくつか課題も見えています。ここでは、外国人技能実習生の受け入れにおけるおもな課題を紹介します。
  • 不法残留者が多い

  • 出入国在留管理庁の「本邦における不法残留者数について」によると、2023(令和5)年1月1日時点の不法残留者数は、7万491人となっています。

    最も多いのは、「短期滞在」で在留する4万6,590人ですが、次に多いのは技能実習生の7,985人です。技能実習生が失踪すると不法残留者として扱われてしまうのに加え、その技能実習生を受け入れていた企業は、以後の技能実習生の受け入れに支障が出る可能性があります。


    参考:出入国在留管理庁「本邦における不法残留者数について」

  • 技能実習生の失踪が起きる要因

  • 外国人技能実習生が失踪し、結果的に不法残留者となるおもな要因としては、以下が考えられます。
  •  
  • ・賃金に不満がある
  • ・業務が想定よりも大変である
  • ・労働時間が長い
  • ・指導が厳しい
  • ・周囲に相談しにくい
  •  
  • 特に、賃金に不満を覚える技能実習生は多い傾向にあるとされています。賃金への不満を持たれないようにするためには、例えば「天候で労働日数が変わる職種は、日給制ではなく月給制で給与を支払う」など、工夫が必要です。

  • 企業側がハラスメントにおよぶ事例がある

  • 外国人技能実習生に対して、企業側がパワハラやセクハラの行為を働くといった問題が取り沙汰されるケースもあります。

    例えば2020年には、ベトナムの技能実習生の人権を侵害したとして、監理団体の代表理事が逮捕される事例がありました。この事例では、技能実習生が自由に外出できる時間を制限したり、外部のベトナム人との接触を禁止したりと、悪質な行為があったとされています。

    立場上、技能実習生は問題を訴えにくいとも指摘されており、技能実習生が安心して働ける環境づくりが求められます。

  • 債務労働に陥っているケースがある

  • 技能実習生が来日にあたって母国の送り出し機関に支払う費用には、日本語教育を受けた費用や仲介手数料がありますが、これらは自己負担です。また、なかには違法な仲介業者へ大金を支払ってしまうこともあるようです。

    これらの金銭は母国よりも賃金の高い日本で働く準備として支払われるものですが、この費用により日本での技能実習が「債務労働」になっているケースも問題視されています。

  • 技能実習生を受け入れる前に!知っておきたい注意点

  • 最後に、外国人技能実習生を受け入れる前に知っておきたい注意点を2つ紹介します。
  • 受け入れ人数には制限がある

  • 以下の表のとおり、企業の技能実習生の受け入れ人数には制限があります。

  • 【技能実習生の基本人数枠】
  • 受入れ企業の常勤職員の数(※)

    技能実習生の数

    301人~

    常勤職員総数の20分の1

    201人~300人

    15人

    101人~200人

    10人

    51人~100人

    6人

    41人~50人

    5人

    31人~40人

    4人

    ~30人

    3人

  • (※技能実習生を除く)

参考:法務省・厚生労働省「外国人技能実習制度について」

 

例えば、常勤職員が100人の場合、受け入れられる技能実習生は年間で6人です。ただし、団体監理型の技能実習第1号は基本人数枠のままですが、第2号は基本人数枠の2倍になります。

また、企業が優良基準適合者になると、第1号は基本人数枠の2倍、第2号は4倍、第3号は6倍の受け入れが可能です。

制度は廃止される見込み

政府の有識者会議は、2023(令和5)年5月11日の中間報告書にて、技能実習生制度の廃止を内容として盛り込みました。新たな制度を策定することで、現行制度では認められていない「転籍」を緩和する方向性や、人権侵害を防げない監理団体の適正化・排除の方向性などが示されています。

また、「介護」や「外食」をはじめとする12の特定産業分野での就労が可能な「特定技能」へ技能実習生が円滑に移行できるよう、制度設計される見込みです。制度に関する最終報告書は、2023(令和5)年秋にまとめられる予定となっています。

参考:出入国在留管理庁「中間報告書(概要)」

まとめ

外国人労働者のうち、日本での就労を目的に取得する資格のなかでは「技能実習」が最も多い割合を占めており、その数は2022(令和4)年10月末時点で34万3,254人です。

ただし、技能実習生の受け入れには課題もあるほか、現行制度が実態に即さない点も指摘されていることから、今後技能実習生に関する新たな制度が策定される見込みです。技能実習生の受け入れを検討している方は、特定技能外国人の採用も検討されてみていはいかがでしょうか。

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