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技能実習生とは?制度や企業が受け入れる方法・流れ、注意点を解説

2023.08.07

技能実習生の受け入れを検討するうえで、その概要や受け入れ方法を知りたい方も多いのではないでしょうか。

技能実習生は最大5年の在留が可能で、受け入れ企業側は技能を伝える役割を果たす必要があります。労働力の確保を目的としていない点は、留意しておかなければなりません。

今回は、技能実習生の概要を解説したうえで、対象の職種や受け入れ方法、注意点などを紹介します。併せて、技能実習制度の廃止についても解説するので、ぜひ最後までご覧ください。

技能実習生とは「技能実習制度」で在留する外国人のこと

技能実習生とは、技能実習制度によって日本で技能の修得が認められている外国人を指します。そもそも技能実習制度は、1993年にスタートしており、外国人は最大5年の日本在留が可能です。

技能実習生を受け入れる際は、労働者として雇用契約を結ぶため、日本人を雇用する場合と同じく、受入れ企業は社会保険や労働保険に加入させる義務があります。

また、36協定も適用されるため、残業が発生する場合は、原則として月45時間・年360時間の時間外労働の上限を超えないようにしなければなりません。

2023年4月、政府は技能実習制度を廃止して、人材の確保・育成に向けた新制度を創設する方針を打ち出しました。2024年以降に新制度へ正式に変更される予定となっており、外国人材の受け入れがさらに活発化する可能性があります。

技能実習生の受け入れ人数は回復傾向にある

法務省・厚生労働省の資料によると、技能実習生の受け入れ人数は以下のように推移しています。

2018年:32万8,360人

2019年:41万972人

2020年:37万8,200人

2021年:27万6,123人

2022年:32万4,940人

参考:法務省・厚生労働省「外国人技能実習制度について」(令和5年5月12日改訂版)

 

新型コロナウイルス感染症が流行した影響もあり、2020年、2021年は受け入れ人数が減っていますが、2022年の受け入れ人数は前年に比べて約5万人上昇しています。2022年末の外国人の国籍割合を見ると、最も多いのはベトナムの17万6,346人で構成比は54.3%です。次いでインドネシアの4万5,919人が構成比14.1%、フィリピンが2万9,140人で構成比9.0%となっています。

技能実習生の在留資格は大きく3つに分かれている

技能実習生の在留資格は、以下のように大きく3つに分かれています。

区分

在留期間

特徴

技能実習1号

1年

・講習での知識修得活動、および実習形式での技能修得活動を行う

技能実習2号

2年

・技能実習1号修了者の技能の習熟が目的

・対象の外国人は、基礎級の実技試験・学科試験の合格が必要 

技能実習3号

2年

・技能実習2号修了者の技能の熟達が目的

・在留資格の取得に際しては、対象外国人の実技試験合格に加えて、受入れ企業が優良な実習実施者と認定されていることも必要

技能実習生1号から3号へ順にステップアップする流れとなるため、それぞれの在留期間を通算すると5年の在留が可能です。技能実習3号を修了すると外国人は母国へ帰り、修得した技能を役立てて仕事に従事することになります。

技能実習生の対象となる要件

技能実習生の対象となる外国人の要件について、主要なものを紹介します。

・18歳以上である

・技能実習制度の趣旨を理解したうえで、技能実習を行う者である

・外国人が帰国後、修得した技能等を要する業務への従事を予定している

・過去に技能実習生として、同じ段階の技能実習は実施していない

上記は一部ですが、技能実習生になる外国人は、このような要件を満たす必要があることは留意しておきましょう。

技能実習生の対象職種は「87職種159作業」

法務省・厚生労働省の「外国人技能実習制度について」(令和5年5月12日改訂版)によると技能実習生の対象職種は、87職種159作業(2023年3月31日時点)で、以下のように分類されています。

・農業関係(2職種6作業)

・漁業関係(2職種10作業)

・建設関係(22職種33作業)

・食品製造関係(11職種18作業)

・繊維・衣服関係(13職種22作業)

・機械・金属関係(15職種29作業)

・その他(20職種37作業)

・社内検定型の職種・作業(2職種4作業)

2021年の技能実習計画の認定件数は17万1,387件です。そのうち最も多いのは、家具製作や印刷などの職種を含む「その他」の26.7%で、次いで「建設関係」が20.8%、「食品製造関係」が19.5%となっています。

技能実習生の受け入れ方法・流れ

続いて、企業が技能実習生を受け入れる方法と、流れについて解説します。

技能実習生の受け入れ方法

技能実習生の受け入れ方法は、団体監理型と企業単独型に分かれます。以下ではそれぞれの特徴を見ていきましょう。

 

・【中小企業向け】団体監理型

商工会や事業協同組合など、非営利の監理団体が技能実習生を受け入れたうえで、組合に入っている企業が実習を行います。監理団体は、技能実習生の入国に必要な在留資格認定証明書交付申請や、技能実習生の保護・支援などを行います。

法務省・厚生労働省の「外国人技能実習制度について」(令和5年5月12日改訂版)で2022年末の在留者数の内訳を見ると、団体監理型の技能実習生は31万9,546人で全体の98.3%を占めており、主要な受け入れ方法であることがわかります。

 

・【大企業向け】企業単独型

日本企業が、外国の支店や取引先企業の従業員を受け入れて、自社で技能実習を行う方法です。団体監理型のように、監理団体を介す必要はありませんが、受入れ企業として認められるための条件は厳しく、大企業向けの方法といえます。

法務省・厚生労働省の同資料で2022年末の在留者数の内訳を見ると、企業単独型で受け入れた技能実習生は5,394人で、全体の1.7%にとどまっています。

技能実習生を受け入れる流れ

受け入れ者数の大半を占める団体監理型を例に、技能実習生を受け入れる際の流れを以下に示します。

1.監理団体へ制度利用について問い合わせる

2.現地の機関にて技能実習生候補者の募集・面接を行う

3.必要書類の作成・申請を実施する

4.技能実習生の在留資格や入国ビザを取得する

5.入国後、原則2ヵ月の講習を受けたのちに企業の実習を開始する

上記のなかでも、技能実習生の受け入れに必要な書類の一つである「技能実習計画」は、監理団体の指導のもと作成する重要な書類です。技能実習1号から2号、2号から3号へステップアップする際は、その都度、技能実習生の目標に見合った計画の作成が不可欠です。

技能実習生を受け入れるうえで知っておきたい注意点

ここからは、企業が技能実習生を受け入れるうえで知っておきたい注意点を4つ紹介します。

適切な監理団体を選ぶ

団体監理型の場合、技能実習生の受入れ企業は、監理団体に対して監理費用を支払う必要があります。監理団体側は、3ヵ月に1回以上の監査や、1号時のみ実施する1ヵ月に1回以上の訪問指導など、義務付けられた仕事を全うしなければなりません。

しかし、監理団体の質が悪いと、定期監査や訪問指導を適切な頻度で実行してくれないケースもあるので要注意です。

出入国在留管理庁のWebサイトでは、監理団体に対する行政処分等の情報が掲載されているため、検討している監理団体が認定取消し処分や改善命令などを受けていないか、事前にチェックしておくのも手です。

在留資格「特定技能」への切り替えもできる

技能実習2号を良好に修了している外国人の場合、「特定技能1号」へ在留資格を変更できる可能性があります。特定技能とは「特定技能制度」に則り、人手不足の中・小規模事業者へ即戦力として外国人を受け入れるしくみです。ただし、特定技能1号の受け入れ対象である14の特定産業分野の職種と、技能実習の職種・作業内容が一致している場合に限られます。

特定技能は1号と2号の2種類に分かれていますが、2号の対象分野が追加されたことも企業側にとってメリットといえるでしょう。2023年6月9日の閣議決定により、従来は「建設分野」と「造船・舶用工業分野の溶接区分」のみが対象であった特定技能2号の分野が、介護を除く11分野にまで拡大する見通しです。

特定技能1号の在留期間が上限5年であるのに対し、特定技能2号は在留期間の上限がないため、長期にわたって外国人材に就労してもらうことも可能です。

外国人労働者の在留資格「特定技能」とは?1号と2号の対象分野などをわかりやすく解説

違約金は徴収できない

技能実習生が雇用契約期間中に失踪などの問題を起こしても、受入れ企業は送出機関などから違約金を徴収できません。

また、技能実習生には最低賃金法が適用されるため、企業側は各地域で定められた最低賃金以上の報酬を支払う必要があります。ただし、地域によっては首都圏との最低賃金の格差が大きく、SNSなどで情報を得た技能実習生が不満を覚え、失踪につながるケースもあります。

場合によっては、自社の地域の最低賃金に上乗せした報酬額を検討してみるのも得策です。

事前に責任者を決めておく

技能実習生を受け入れる企業は、以下3種類の責任者を事前に決めておく必要があります。

種類

特徴

技能実習責任者

技能実習のリーダーとしての役割を担う

技能実習指導員

技能実習生が技術や知識を修得するサポート役を担う

生活指導員

技能実習生の日本での生活をサポートする役割を担う

技能実習責任者は、養成講習機関が実施する「技能実習責任者講習」を3年ごとに受講することが義務付けられています。

一方、技能実習指導員と生活指導員は、講習の受講が義務付けられていません。ただし、3年ごとの受講は、優良な受入れ企業(実習実施者)として認められる要件の一つとなっています。

技能実習3号の外国人を受け入れるには、受入れ企業側が優良であると認められていなければならないため、自社のニーズに応じて講習の受講を検討しましょう。

なお、各講習の最後に実施される「理解度テスト」の点数が合格点に達しなかった場合は、「受講証明書」が交付されません。後日、再受講したうえで、あらためて理解度テストを受ける必要があります。

技能実習制度は廃止し新制度へ移行の見込み

2023年4月、政府は現行の技能実習制度の廃止について盛り込んだ中間報告書をまとめました。技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議の「中間報告書(たたき台)」によれば、「技能実習制度の目的と実態のかい離が様々な問題の背景になっている」との見解が示されています。

同報告書では、現行の技能実習制度を廃止したうえで、国内産業に必要な人材を確保できる制度へ生まれ変わらせる必要性にも言及。新制度の具体的な方策として、現行の技能実習制度で認められていない転籍を、一定の要件下で認めることなどを挙げています。また、新制度から特定技能制度への円滑な移行が可能となるように、対象職種や分野を合わせる方向性についても触れられています。

2023年秋に具体的な制度設計を固めた最終報告書がまとめられ、2024年に通常国会へ提出される見通しです。

参考:出入国在留管理庁 技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議 中間報告書(たたき台)

 

まとめ

技能実習生を受け入れる一般的な方法は、団体監理型です。ただし、悪質な監理団体に依頼してしまうと、監査の頻度を守らないなど、十分なサポートを受けられない可能性もあるので注意が必要です。

また、技能実習制度は代替制度へ移行する見通しが立っているため、これから外国人材を受け入れるのであれば、特定技能外国人の採用を検討してみてはいかがでしょうか。「介護」「建設」「外食業」など、12の特定産業分野のいずれかに該当する場合は、自社へ受け入れられる可能性があります。

ONODERA USER RUN(オノデラユーザーラン)では、特定技能外国人のご紹介はもちろん、受け入れに必要な各種お手続きもワンストップでサポートが可能です。今後とも、OURは日本で働きたい若く優秀な外国人財と、超高齢社会における人材不足でお悩みの日本全国の事業者さまを繋ぎ、持続可能な共生社会づくりへの架け橋となるべく、取り組んでまいります。

これから外国人材を受け入れて事業の成長につなげたいという方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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