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雇用している外国人労働者が永住権申請(永住許可申請)を行うにあたり、雇用企業に申請のサポートを求めることもあります。永住権申請に必要な書類は、在留資格の種類や申請者の立場などによって異なります。スムーズに申請をサポートするためにも、在留資格別に必要となる書類や手続きの流れを押さえておきましょう。
この記事では、永住権申請の概要に加え、申請に必要な書類を全在留資格共通・在留資格別に解説します。申請の流れについても解説しているので、ぜひ参考にしてください。
目次
永住権申請(永住許可申請)とは
永住権とは、外国人が在留期間の制限なく滞在国に永住できる権利のことです。在留資格上の名称は「永住者」で、この在留資格を取得するために必要な申請が「永住権申請(永住許可申請)」です。
ただし、永住権を取得するには以下のような審査基準が設けられている点に留意する必要があります。
条件1:素行が善良であること(法律や法令の違反を起こしていない)
条件2:独立して生計を営める資産や技能があること(本人に限らず、配偶者の収入が十分な場合も可)
条件3:永住によって日本に利益があると認められること
永住権申請では、提出書類などをもとに申請者が上記の条件を満たす人物かどうかを詳しく審査されます。
在留資格「永住者」について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
永住権とは?在留資格「永住者」の許可条件や特例、取り消しについて解説
永住権申請の必要書類には何がある?
永住権申請(永住許可申請)において準備する必要がある書類は、おもに「出入国在留管理庁に提出する書類」「各種証明書」「任意書類」の3種類です。
出入国在留管理庁に提出する書類には、永住許可申請書や身元保証書、永住を希望する理由を記載する理由書などがあります。各種証明書は、住民票や戸籍謄本、在職証明書など自治体や職場で発行してもらう書類を指します。在留資格によって必要な書類が異なるのが特徴です。
3つ目の任意書類は、個人それぞれの状況に応じて提出する書類です。審査に有利となる事情や、マイナス要因を軽減するための情報などを記載した書類が該当します。
永住権申請は、申請者の在留歴や家族の状況、結婚の有無、職業、収入、納税状況、犯罪歴の有無などから総合的に審査されます。申請者によって状況が異なることから、永住権申請で必要な書類も変わる点を押さえておきましょう。
次項では、在留資格別に必要な書類をより詳しく解説します。
【共通・在留資格別】永住権申請の必要書類
ここからは、以下の在留資格における永住権申請の必要書類を紹介します。
- ・就労ビザ(「高度専門職」や「特定活動」は除く)
- ・家族滞在ビザ
- ・定住者ビザ
- ・日本人の配偶者等ビザ
実際に申請を行う際は、提出書類に漏れがないよう出入国在留管理庁のページも必ず確認しておきましょう。
全在留資格共通の書類
まずは、「就労ビザ」「家族滞在ビザ」「定住者ビザ」「日本人の配偶者等ビザ」の場合に、共通して必要な書類を紹介します。ただし、在留資格の種類や申請者の状況によって必要なもの・不要なものが異なる点に注意が必要です。
- ・パスポートもしくは在留資格証明書
- ・在留カード
- ・永住許可申請書
- ・写真1枚(縦4cm×横3cm)
- ・了解書(2021年10月から必要になった書類)
- ・健康保険被保険者証もしくは国民健康保険被保険者証の写し
- ・家族全員分の住民票
- ・申請人または扶養者の住民税の課税(もしくは非課税)証明書および納税証明書(年間の総所得および納税状況がわかるもの)
- ・申請人または扶養者の国税納付状況がわかる納税証明書(源泉所得税および復興特別所得税、申告所得税および復興特別所得税、消費税および地方消費税、相続税、贈与税など)
- ・申請人または扶養者の公的年金の保険料、公的医療保険の保険料の納付状況が証明できる資料
- ・申請人または扶養者の所得を証明できるもの(預貯金通帳の写しなど)
- ・申請人または扶養者の職業を証明する書類
- ・身元保証書と身元保証書に係る資料
・申請人または扶養者の職業を証明する書類
上記で紹介した書類のうち、「申請人または扶養者の職業を証明する書類」は、働き方などによって何を用意すればよいのかが異なります。
例えば、会社などに勤務している場合は在職証明書が該当します。自営業の場合は、確定申告書控えの写しや営業許可書の写し(ある場合)です。また、これらは自ら立証する必要があります。
どちらの働き方にも該当しない場合は、職業に係る説明書および立証書類の提出が必要です。
・身元保証書と身元保証書に係る資料
一般的に、永住権申請時の身元保証人は、配偶者や雇用主であることが多い傾向です。身元保証人は、申請の際に運転免許証など自身の身分を明らかにする書類を提出する必要があります。
就労ビザ
「技能」や「技術・人文知識・国際業務」などの就労ビザ(「高度専門職」や「特定活動」は除く)取得者が永住権申請を行う場合は、前述の共通書類に加えて以下の書類が必要です。
- ・理由書:永住を希望する理由を記載したもの
- ・任意書類:表彰状や感謝状、叙勲書などの写し、所属している会社や大学、団体などの代表者が作成した推薦状など
なお、住民税課税(非課税)証明書および納付証明書は直近5年分、公的年金の保険料や公的医療保険の保険料の納付状況が証明できる資料は直近2年分が必要です。
家族滞在ビザ
家族滞在ビザ取得者が永住権申請を行う場合は、就労ビザでの必要書類に加えて身分関係を証明する資料が必要です。
- 理由書:永住を希望する理由を記載したもの
- 任意書類:表彰状や感謝状、叙勲書などの写し、所属している会社や大学、団体などの代表者が作成した推薦状など
- 身分関係を証明する資料:戸籍謄本(全部事項証明書)、出生証明書、婚姻証明書、認知届の記載事項証明書など
なお、住民税課税(非課税)証明書および納付証明書は直近5年分、公的年金の保険料や公的医療保険の保険料の納付状況が証明できる資料は直近2年分が必要です。
定住者ビザ
定住者ビザ取得者が永住権を申請する際に必要となる共通書類以外の書類は以下のとおりです。
- 理由書:永住を希望する理由を記載したもの
- 身分関係を証明する書類:戸籍謄本(全部事項証明書)、出生証明書、婚姻証明書、認知届の記載事項証明書など
なお、就労ビザ、家族滞在ビザと同様に、住民課税(非課税)証明書および納付証明書は直近5年分、公的年金の保険料や公的医療保険の保険料の納付状況が証明できる資料は直近2年分が必要です。
日本人の配偶者等ビザ
日本人の配偶者等ビザの場合、原則理由書は不要です。また、配偶者が身元保証人になるのが基本となっています。
以下、共通書類に加えて必要となる書類です。
- ・親族一覧表:申請人が日本人または永住者の配偶者などの場合
- ・身分関係を証明する資料
申請人が日本人の配偶者の場合:配偶者の戸籍謄本(全部事項証明書)
申請人が日本人の子の場合:日本人親の戸籍謄本(全部事項証明書)
申請人が永住者の配偶者の場合:婚姻証明書など婚姻関係を証明できるもの
申請人が永住者または特別永住者の子の場合:出生証明書など親子関係を証明できるもの
なお、配偶者の場合は住民税課税(非課税)証明書および納付証明書は直近3年分、実子の場合は1年分必要です。また、公的年金の保険料や公的医療保険の保険料の納付状況が証明できる資料は、配偶者の場合は直近2年分、実子の場合は1年分必要です。
在留資格によって必要な書類「理由書」はどのように書くべき?
永住権を希望する動機や理由を記載する「理由書」は人によって書く内容が異なります。
理由書には、具体的な書き方や文字数などの指定はありません。ただし、A4用紙2枚(文字数にして4,000文字)程度にまとめるのが一般的とされています。
理由書に書くおもな内容としては、以下が挙げられます。
- ・母国での学歴や来日して申請に至るまでの経緯
- ・現在の仕事や生活の状況
- ・年金や保険の加入状況
- ・資産状況
- ・身元保証人を引き受けてもらった経緯や申請者との関係
- ・永住を希望する理由や永住後の展望(どのように日本に貢献したいのか など)
上記をまとめる際は、ほかの各種申請書類との矛盾が生じないよう、正直にわかりやすく書くことが大切です。また、理由書をはじめ永住権申請では用意すべき書類が多岐にわたるため、必要に応じて行政書士などの専門家に相談するのも手段の一つです。
永住権申請の流れと注意点
永住権申請は、基本的には以下のステップで進みます。
- 1.必要書類を準備する
- 2.申請書を作成する
- 3.地方出入国在留管理局で申請手続きを行う
- 4.審査結果が届いたら、再度地方出入国在留管理局で永住許可シールの受け取りや手数料8,000円分の収入印紙の購入、払い込み証明書への受領サインといった手続きを行う
なお、永住権申請に必要な手数料は、2025年4月1日より8,000円から10,000円に変更となる閣議決定がされたため、4月以降に申請を行う場合は留意しましょう。
また、申請結果が出るまでには早くて4ヵ月、タイミングや申請者の状況によっては8ヵ月以上かかる恐れがあります。永住権申請は元の在留資格の在留期間内に行う必要があるため、在留期間を確認し1年程度は余裕を見て申請することが大切です。
ただし、日本で発行される書類(証明書等)の有効期限は発行日から3ヵ月以内とされているため、併せて注意しつつ申請しましょう。
まとめ
永住権申請(永住許可申請)では、申請者の職業や配偶者・家族の有無、経済状況、納税状況などを踏まえて詳しく審査されます。在留資格の種類はもちろん、前述した条件によっても用意すべき書類は異なるため、事前に申請者の在留資格や状況に応じた書類や証明書を漏れなく準備することが大切です。
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