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多くの企業が人手不足を課題とするなかで、外国人材の必要性は増しています。そのため、外国人が取得する在留資格について把握し、今後の採用活動に役立てたい方も多いのではないでしょうか。
今回は、在留資格の概要や種類別の特徴、取得方法、外国人を雇用する際に気を付けたいポイントなどを詳しく解説します。在留資格の最新動向を踏まえた情報も紹介するので、これから外国人の雇用を活発化させたいという採用担当の方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
在留資格とは?外国人採用に向けて簡単に解説
在留資格は、外国人が日本に滞在するうえで必要となる資格のことです。「出入国管理及び難民認定法」に基づいて定められた法的資格で、一定期間における特定の活動への従事、もしくは一定の身分・地位を証明します。
在留資格で認められている活動内容には、就労の可否や就労時の条件などが規定されています。そのため、雇用主は外国人材を採用する前に、これらの項目をしっかりと確認しておくことが不可欠です。
なお、外国人1人につき、保有できる在留資格は1つとされており、活動内容に変更が生じる場合は在留資格の変更手続きを行わなければなりません。
在留資格には期限がある
在留資格には有効期限があり、在留資格の種類や外国人の素行条件に応じて、5年・3年・1年・3ヵ月などと在留期間が個別に与えられています。在留期間を過ぎても日本に滞在したい場合には、在留期間の更新をしなければなりません。
出入国在留管理庁の「在留審査処理期間(日数)」(2023年10~12月許可分)によると、在留資格の更新手続きにかかる更新期間は、10~50日程度です。具体例を挙げると、在留資格「短期滞在」では更新期間の平均が10.6日と短いものの、「特定技能1号」では平均で37.7日もの日数を要しています。
在留期間更新にかかる日数は、在留資格の種類によっても変わるため、余裕を持って更新手続きを行いましょう。
ビザ(査証)との違い
在留資格と混同して使われやすいものに「ビザ(査証)」がありますが、両者の役割は異なります。
ビザ(査証)は、日本へ上陸する外国人の入国許可証として外務省が発行するもので、上陸審査を通過すれば役割を終えます。
一方、在留資格は日本で活動する内容に応じて、法務省管轄の出入国在留管理庁が外国人に与える資格です。ただし、外国人が日本で就労する場合、一部の在留資格を「就労ビザ」と呼ぶケースはあります。
全29種類|在留資格は「居住資格」と「活動資格」に分かれる
在留資格は、「居住資格」と「活動資格」に大別され、2024年2月時点で計29種類の資格があります。以下では、各資格の紹介をするので、ぜひ自社の事業に適した外国人材を雇用するうえでの参考にしてください。
居住資格(4種類)
地位や身分に基づく居住資格は4種類あり、それぞれの在留資格に該当する外国人は以下のとおりです。
在留資格 |
該当者 |
永住者 |
法務大臣が永住を認めた外国人 |
定住者 |
法務大臣が特別な理由を考慮し、一定期間の居住を認めた外国人 |
日本人の配偶者等 |
日本人の配偶者や子、特別養子にあたる外国人 |
永住者の配偶者等 |
永住者の配偶者、または子にあたる外国人 |
上記の居住資格は、いずれも就労の制限がありません。
活動資格(25種類)
在留資格には、就労可否などの条件が異なる活動資格が25種類あります。以下では、就労条件に応じて、在留資格を3つの項目で解説します。
・活動範囲内で就労できる在留資格(19種類)
就労するうえで活動内容に制限のある在留資格は19種類です。以下では、在留資格の活動範囲や在留期間を紹介します。
在留資格 |
活動範囲 |
該当例 |
在留期間 |
特定技能 |
・1号:特定産業分野において相当程度の知識または経験が必要な業務に従事する活動 ・2号:特定産業分野において熟練した技能が必要な業務に従事する活動 |
・1号:介護、外食、宿泊など特定産業12分野に関する職種 ・2号:外食、宿泊など特定産業11分野に関する職種 |
・1号:1年、6ヵ月または4ヵ月ごとの更新(※通算で上限5年) ・2号:3年、1年または6ヵ月(※在留期間更新の上限なし) |
技能実習 |
技能実習計画に基づく技能等を要する業務に従事する活動 |
技能実習生 |
・1号:法務大臣が個々に指定する期間(1年を超えない範囲) ・2号:法務大臣が個々に指定する期間(2年を超えない範囲) ・3号:法務大臣が個々に指定する期間(2年を超えない範囲) |
外交 |
外国政府の外交使節団、もしくは領事機関の構成員などとしての活動や、同一世帯に属する家族としての活動 |
外国政府の大使、公使、総領事、代表団構成員、およびその家族など |
外交活動の期間 |
公用 |
外交政府もしくは国際機関の公務に従事する者としての活動や、その同一世帯に属する家族としての活動 |
外国政府の大使館・領事館の職員、その家族など |
5年、3年、1年、3ヵ月、30日または15日 |
教授 |
日本の大学もしくは高等専門学校などにおける研究や、研究指導といった活動 |
大学教授など |
5年、3年、1年または3ヵ月 |
芸術 |
収入をともなう音楽や美術、文学など芸術上の活動 |
作曲家、画家、著述家など |
5年、3年、1年または3ヵ月 |
宗教 |
外国の宗教団体から日本に派遣された宗教家の布教、その他の宗教上の活動 |
外国の宗教団体から派遣される宣教師など |
5年、3年、1年または3ヵ月 |
報道 |
外国の報道機関との契約に基づき実施される取材や、その他の報道上の活動 |
外国の報道機関の記者、カメラマン |
5年、3年、1年または3ヵ月 |
高度専門職 |
高度外国人材が行う「高度学術研究活動」、「高度専門・技術活動」、「高度経営・管理活動」の3つの活動 |
・高度学術研究活動:研究者、大学教授など ・高度専門・技術活動:化学や生物学、心理学などの分野における研究者 ・高度経営・管理活動:経営者、役員など |
・1号:5年 ・2号:無期限 |
経営・管理 |
日本で貿易その他事業の経営、または当該事業の管理に従事する活動 |
企業等の経営者・管理者 |
5年、3年、1年、6ヵ月、4ヵ月または3ヵ月 |
法律・会計業務 |
外国法事務弁護士、外国公認会計士など、法律上で有資格者が行うと規定されている法律・会計に関する業務に従事する活動 |
弁護士、公認会計士など |
5年、3年、1年または3ヵ月 |
医療 |
医師、歯科医師など、法律上で有資格者が行うと規定されている医療に関する業務に従事する活動 |
医師、歯科医師、看護師 |
5年、3年、1年または3ヵ月 |
研究 |
日本の公私機関との契約に基づく研究者としての活動 |
政府関係機関や私企業等の研究者 |
5年、3年、1年または3ヵ月 |
教育 |
日本の小学校、中学校、高等学校など教育機関における語学教育や、その他の教育をする活動 |
中学校・高等学校等の語学教師など |
5年、3年、1年または3ヵ月 |
技術・人文知識 |
自然科学や人文科学分野の技術・知識を要する業務、もしくは外国の文化に根差した思考・感受性が活かせる業務に従事する活動 |
機械工学等の技術者、通訳、デザイナーなど |
5年、3年、1年または3ヵ月 |
企業内転勤 |
外国にある事業所の職員が、日本の本店・支店などで一定期間のあいだ取り組む活動 (※活動範囲は「技術・人文知識・国際業務」に準じる) |
外国の事業所からの転勤者 |
5年、3年、1年または3ヵ月 |
介護 |
日本の公私機関との契約に基づき、介護福祉士の有資格者が介護または介護の指導に従事する活動 |
介護福祉士 |
5年、3年、1年または3ヵ月 |
興行 |
演劇や演芸、演奏、スポーツ等の興行に関する活動、またはその他の芸能活動 |
俳優、歌手、ダンサー、プロスポーツ選手など |
3年、1年、6ヵ月、3ヵ月または30日 |
技能 |
日本の公私機関との契約に基づき、産業上の特殊分野に属する熟練した技能が必要な業務に従事する活動 |
外国料理の調理師、スポーツ指導者、航空機の操縦者、貴金属等の加工職人など |
5年、3年、1年または3ヵ月 |
上表のとおり、在留資格の種類によって活動範囲や在留期間がそれぞれ規定されています。外国人材を受け入れる際は、自社の事業との関連性なども踏まえて、適切な在留資格を持つ外国人労働者を雇用することが大切です。
・原則就労できない在留資格(5種類)
原則的に就労できない在留資格は5種類あり、それぞれの在留資格に該当する活動内容は以下のとおりです。
在留資格 |
活動内容 |
文化活動 |
収入をともなわない学術・芸術上の活動、または日本特有の文化・技芸に関する専門的な研究、もしくは専門家による指導を受ける活動 |
短期滞在 |
日本に短期間滞在して行う観光や保養、スポーツ、講習などの活動 |
留学 |
日本の大学、高等専門学校、高等学校などで教育を受ける活動 |
研修 |
日本の公私機関で技能等を習得する活動 |
家族滞在 |
教授、芸術、宗教などの在留資格を持つ外国人の扶養を受ける配偶者、または子どもとして行う日常的な活動 |
上記のうち「文化活動」「留学」「家族滞在」の在留資格は、管轄の出入国在留管理庁で資格外活動許可を受けると、一定条件下で就労が可能です。許可を受けずに就労すると、罰則が科されてしまうため注意しましょう。
・活動内容によっては就労できる在留資格(1種類)
在留資格「特定活動」は、外国人が個別に許可された活動内容に応じて、就労の可否が変わるのが特徴です。該当例としては、ワーキング・ホリデーや家事使用人などが挙げられます。
在留期間は、5年・3年・1年・6ヵ月・3ヵ月、または法務大臣が5年を超えない範囲で個別に指定する期間です。
在留資格を取得する方法
企業が外国人を採用する際は、在留資格の取得に向けて申請をサポートする必要があります。在留資格を取得するおもな流れは、以下のとおりです。
1.在留資格認定証明書を交付申請する
2.外国人が現地でビザを申請する
3.外国人が日本で在留カードを受け取る
まずは、外国人の在留資格認定証明書の交付申請を行い、従事する予定の活動が対象の在留資格と適合しているかを出入国在留管理庁に審査してもらいます。
外国人が海外在住であれば、在留資格認定証明書が許可されたあとに、現地の日本大使館・領事館でビザ申請を行います。その後、日本へ入国した外国人が空港で在留カードを受け取る、という流れです。
なお、在留手続きに関してはオンラインでの申請も可能です。
企業が外国人を雇用するうえで知っておきたいポイント
続いて、企業が在留資格を取得した外国人を雇用するうえで、知っておきたいポイントを解説します。
単純労働は基本的に業務として認められない
在留資格によっては、業務のなかに単純労働が含まれていると、在留資格の申請が不許可になることがあります。例えば「技術・人文知識・国際業務」の場合、外国人が大学で学んだ知識を活かせる仕事に就く必要があり、関連性のない単純労働と判断されてしまうと、不許可になりかねません。
ただし、単純労働が短期間の研修に含まれているようであれば、許可されるケースもあります。業務内容によっては、在留資格の取得後に資格を取り消されてしまうので注意が必要です。
在留カードに記載の活動内容を確認しておく
すでに在留資格を取得している外国人を採用する際は、外国人が許可されている活動内容と、自社の業務内容が適合しているか確認が必要です。
外国人が許可された活動範囲を超えて就労すると不法就労と見なされ、雇用した事業主も不法就労助長罪などの罰則対象になってしまいます。不法就労助長罪に問われた場合、3年以下の懲役か300万円以下の罰金または両方が科されます。
在留カードには、許可された在留資格の種類や就労可否、在留期間などについて記載されているのでしっかりとチェックしておきましょう。
「技能実習」は新制度への移行が予定されている
活動資格に含まれる「技能実習」は、現行制度の廃止と新制度の創設に関して取りまとめた最終報告書が2023年11月30日に法務大臣へ提出され、「育成就労制度」と呼ばれる新制度へ移行する予定です。
法務省の「最終報告書たたき台(概要)」によると、新制度の目的は人材の確保と育成としています。育成期間は基本的に3年で、特定技能1号の水準を満たす人材の育成が図られる見通しです。
育成就労制度の基本的な考え方や重要なポイントについて知りたい方は、ぜひ以下の記事もご覧ください。
【最新動向】育成就労制度とは?基本的な考え方や重要なポイントを解説
在留資格「特定技能」であれば幅広い業務に従事できる
在留資格「特定技能」は、人手不足が顕著な「介護」「外食」「宿泊」などの12の特定産業分野で、即戦力としての働きが期待できる外国人材に向けた在留資格です。
単純労働が付随的な業務に含まれている場合には、在留資格が許可される見込みがあります。活動範囲が限定的な一部の在留資格に比べると、より柔軟性を持って外国人材を重要な戦力として迎え入れられるでしょう。
特定技能の概要や種類、特定技能外国人を受け入れる流れを知りたい方は、ぜひ以下の記事を参照してください。
在留資格「特定技能」とは?種類や対象分野、技能実習との違いなどをわかりやすく解説
「特定技能2号」の取得者は在留期間の制限なしで働ける
特定技能には、相当程度の知識または経験が必要な技能を持つ外国人向けの「特定技能1号」と、熟練した技能を持つ外国人向けの「特定技能2号」があります。
特定技能1号は通算で最大5年の在留期間が設けられています。一方、特定技能2号は在留期間の更新制限なしで働けるうえに家族帯同も可能なので、外国人材の長期的な活躍が期待できることが魅力です。
2023年には特定技能2号で9分野が追加され、介護分野を除く11分野が対象になりました。なお、介護分野に関しては在留資格「介護」があるため、特定技能1号から在留資格を移行することで、無期限の就労が可能です。
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まとめ
一口に在留資格といっても、就労の可否や許可された活動内容は資格ごとに異なります。そのため、企業が外国人材を受け入れる際は、従事する業務内容との適合性をしっかりと確認しておくことが大切です。
近年は、12の特定産業分野において即戦力としての働きが見込まれる在留資格「特定技能」を取得した外国人の需要が高まっています。
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