お役立ち情報

INFORMATION

その他

外国人労働者をめぐる3つの課題とは?原因とその対策方法は?

2023.08.30

労働力不足解消のため、日本では外国人労働者の受け入れが増えています。しかし、その現場にはさまざまな課題が存在しています。今後も増加する外国人労働者と共生していくために、受け入れ側の企業にとっても改善への取り組みの重要性は増しているといえるでしょう。そこで本記事では、外国人労働者をめぐる課題に焦点を当て、具体的な改善策を提案します。適切で効果的な対策を実施し、優秀な人材確保と健全な労働環境整備、ひいては企業の成長に繋げることにお役立てください。

外国人労働者数が過去最高に

近年、日本の労働力不足解消のため、外国人労働者の受け入れが増加しています。総務省の「情報通信白書令和4年版」によれば、1995(平成7)年以降、日本の生産年齢人口(15~64歳)は減少傾向にあります。この傾向を受け、労働力不足を補う目的で外国人労働者の需要・雇用が増加しているのです。

参考:情報通信白書令和4年版|総務省

 

また、厚生労働省の「外国人雇用状況」の届出状況まとめによると、2022(令和4)年10月末時点での外国人労働者数は182万2,725人でした。これは届出が義務化された2007(平成19)年以降で過去最高の数字です。このデータからは、外国人労働者の数が増加していること、外国人労働者が日本の産業界において重要な役割を果たしていることがうかがえます。

参考:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和4年10月末現在)|厚生労働省

 

しかしながら、外国人労働者の受け入れが加速する一方で、現場ではさまざまなトラブルも浮き彫りになっています。次章以降では、外国人労働者をめぐる課題とその解決策について探っていきます。

【外国人労働者をめぐる課題①】労働環境

ここからは、外国人労働者をめぐる課題を3つのパートに分けて紹介します。

 

◇労働環境の実状

1つ目の課題は、労働環境です。例として、技能実習生を取り巻く環境について、厚生労働省の調査したデータをもとに見ていきましょう。厚生労働省の「技能実習生の実習実施者に対する監督指導、送検等の状況(令和3年)」によると、事業者側の違反事項として以下の項目が上位に挙がっています。

 

・使用する機械等の安全基準(24.4%)

・割増賃金の支払(16.0%)

・労働時間(14.9%)

 

参考:技能実習生の実習実施者に対する監督指導、送検等の状況(令和3年)|厚生労働省

 

このデータからは、外国人労働者に対して長時間労働、低賃金での労働などを求める事業者の存在が見えてきます。

 

◇労働環境の原因

外国人労働者が直面する労働環境の厳しさには、いくつかの原因が存在します。

一つは、労働基準法を十分に理解していない外国人の扱いに関して問題のある事業者の存在が挙げられます。外国人労働者は日本語能力が十分でない場合もあり、不適切な扱いを受けていることに気付けないケースも多いのです。

この場合、事業者が意図的にそのような扱いをしているとは限りません。例えば、事業者側の労働に係る法令に関する理解不足や、コンプライアンス遵守の視点不足から問題が起こっているケースもありえるため、さまざまな側面から注意が必要でしょう。

また、一部には、外国人労働者を人材というより単なる「労働力」と見なしている事業者もいます。このような意識から、多くの人が進んで行わない仕事を低賃金で外国人労働者に担当させてしまうのです。

背景として、事業者側の技能実習制度そのものへの理解不足などが考えられます。発展途上国への国際協力という技能実習制度の目的を理解しないまま、安価な労働力ととらえてしまうことは、労働環境悪化の要因にも繋がりかねません。国籍にかかわらず相手の権利を尊重し、働きやすい環境を整えることが事業者の責任といえるでしょう。

 

◇労働環境を改善する対策

外国人労働者の労働環境改善に取り組むのであれば、まずは日本人と外国人労働者の待遇に不当な差を作らないことが重要です。具体的には、外国人労働者に日本人と同じ最低賃金を適用することが挙げられます。

日本で働く場合、国籍に関係なく日本の法律が適用されます。そのため、外国籍であることや技能実習生であることを理由に、最低賃金以下で働かせてはいけません。

また、特定技能外国人は日本人従業員と同等またはそれ以上の給与・待遇が求められています。これは、特定技能外国人が即戦力として雇用される性質があるためで、同じ業務に従事するのであれば国籍に関係なく同じ待遇で雇用するのが適当と考えられるからです。このことを踏まえて、給与・待遇を設定しましょう。

そのほか、外国人労働者が直面している人権問題を把握するために、当事者の意見を積極的に聞くことも労働環境改善に役立ちます。このような施策は、外国人労働者のためだけでなく、受け入れる企業側のあり方としても意味があるといえるでしょう。

なぜなら、世界的に外国人労働者(労働力の移動)が増加している現在の状況において、「人権の確保」、「教育(どのような教育機会を提供するか)」に取り組むべきとする考え方が、OECD加盟国をはじめとした世界各国のグローバルスタンダードとなっているからです。したがって、企業として人権保護に取り組めば、外国人労働者の労働環境改善はもちろん、社会的な評価が高まるメリットも期待できると考えられます。

【外国人労働者をめぐる課題②】コミュニケーション不足

続いて、コミュニケーション不足によって引き起こされる外国人労働者雇用の課題を解説します。

外国人労働者を雇用するうえで、日本人社員とのコミュニケーションや、外国人の日本語能力などについて不安を抱えている企業も多いでしょう。コミュニケーション不足を解決しない場合、指示どおりに業務が遂行されないなど、さまざまなトラブルに発展するおそれがあります。

 

◇コミュニケーション不足に陥る原因

コミュニケーション不足の原因として、外国人労働者の日本語能力不足や、文化に対する理解不足が挙げられます。

また、企業側も外国人任せになりがちであり、コミュニケーションを円滑にするための環境構築がうまくいっていない可能性もあるでしょう。この課題を解決するためには、お互いの信頼関係を築きやすい職場環境を整える工夫が必要です。

 

◇コミュニケーション不足の改善策

具体的な改善策として、日本人社員に対して外国人労働者の文化の違いやコミュニケーションの取り方についての研修を行うことが考えられます。これにより、現場の理解が深まり、外国人労働者にとって居心地の良い職場環境が生まれ、長期雇用に繋がる可能性があるでしょう。

また、外国人労働者に対して、1対1でのミーティング実施や専任の教育担当者の配置など、サポート体制を強化することも、コミュニケーション不足解消に効果的です。

また、日本人同士では問題なく通じる日本語でも、外国人にとっては理解しづらいケースもあります。そのため、外国人労働者とコミュニケーションをとる際には、「やさしい日本語」を取り入れてみるのもおすすめです。「やさしい日本語」とは、普通の日本語よりも簡単でわかりやすい日本語を指します。

「やさしい日本語」について、出入国在留管理庁と文化庁が作成した「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」が公表されています。

参考:在留支援のためのやさしい日本語ガイドラインほか|文化庁

 

このガイドラインでは、外国人がより理解しやすい日本語への書き換え例や、話し方のポイントなどが掲載されています。外国人に伝わりづらい日本語特有の婉曲的な表現や、空気を察する必要がある表現などもまとめられているため、目を通しておくと役立つでしょう。

【外国人労働者をめぐる課題③】地域コミュニティとの溝

外国人労働者をめぐる課題の3つ目として、地域コミュニティとの間に溝が生まれてしまうことが挙げられます。特に、地域における在留外国人の数が少ない場合、外国人に対する馴染みのなさから、近隣住民に戸惑いが生じるケースがあります。地域コミュニティの賛同を得られないと、企業のイメージにも影響しかねないため注意しましょう。

 

◇地域コミュニティとの間に溝が生じる原因

地域コミュニティとの間に溝が生じる原因の一つは、外国人労働者と地域住民の接触機会の少なさです。これによって、周辺住民が外国人労働者とのかかわりに戸惑うことがあります。

外国人恐怖症を意味する「ゼノフォビア」という言葉がありますが、これは人種差別ではなく、自身の属する社会とは性質が異なる人に対して抱きやすい感情を指します。ゼノフォビアは、自分の常識や文化が通用しない外国人に対して、かかわりたくないと感じてしまう心理的反応であり、コミュニケーションを重ねることなしに解決は難しいでしょう。

したがって、外国人労働者の受け入れ体制を作るためにも、外国人労働者と地域コミュニティとの交流の場を設けることが重要なのです。さらに、外国人の特性として、コミュニティを大切にとらえる傾向も見られるため、交流の場は外国人労働者自身にとっても有益に感じられるでしょう。

 

◇地域コミュニティとの関係性の改善策

地域コミュニティに外国人労働者を受け入れてもらいやすくするためには、外国人労働者側から地域社会に馴染もうとするアプローチが求められます。これに対して企業ができる働きかけの一つとして外国人労働者に地域のイベントやボランティア活動への積極的な参加を促すことが考えられます。例えば、企業が自身の企業祭を開催している場合、日本人社員と外国人労働者が協力して近隣住民をもてなすことで、地域へのアピールが可能となるでしょう。

まとめ

日本では、労働力不足を補うなどの目的により外国人労働者数が増加しています。その一方で、技能実習生を取り巻く労働環境、外国人労働者全般で見られがちなコミュニケーション不足、地域コミュニティとの関係性などの課題も表れています。これらの課題は、外国人労働者任せにせず、企業として改善に取り組むことが望ましいでしょう。

賃金などの待遇面で外国人労働者を不当に扱わないようにするのはもちろん、外国人労働者の意見を積極的に聞く働きかけや、サポート体制の強化によるコミュニケーション確保など、さまざまな施策が考えられます。

ONODERA USER RUN(オノデラユーザーラン)は外国人労働者のスキルアップ・キャリア支援から、人財紹介・登録支援までを一貫して行う会社です。多様な働き手を受け入れる社会を築き、企業が優秀な人財を確保するサポートを行っています。外国人労働者の雇用でお悩みの採用担当者様は、ぜひご相談ください。


お問い合わせはこちら

お問い合わせ

ご不明点やご質問などお気軽にご連絡ください。