特定技能の基本情報
「特定技能」とはどんな制度?外国人を採用・雇用する前に知っておきたい注意点やポイントを解説します。
特定技能とは
「特定技能」とは、2019年4月より新設された在留資格です。「深刻化する人手不足に対応するため、生産性向上や国内人材の確保のための取組を行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野において、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れていく仕組み」と定義付けされています。対象の産業分野と5年間(2024年~)の最大受入見込み人数は下記の通りです。
対象産業分野 | 5年間の最大受入見込み人数(人) | |
1 | 介護 | 135,000 |
2 | ビルクリーニング | 37,000 |
3 | 工業製品製造業 | 173,300 |
4 | 建設業 | 80,000 |
5 | 造船・舶用業 | 36,000 |
6 | 自動車整備業 | 10,000 |
7 | 航空業 | 4,400 |
8 | 宿泊業 | 23,000 |
9 | 農業 | 78,000 |
10 | 漁業 | 17,000 |
11 | 飲食料品製造業 | 139,000 |
12 | 外食業 | 53,000 |
新分野 | 自動車運送業 | 24,500 |
鉄道 |
3,800 | |
林業 |
1,000 | |
木材産業 |
5,000 | |
合計 | 820,000 |
※「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野」は分野名を「工業製品製造業分野」と変更したうえで、新たな業種・業務区分を追加。(令和6年3月閣議決定)
※対象分野は12分野から14分野に変更予定。(令和6年3月閣議決定)
ポイント!
・人材確保のための「就労ビザ」
・対象は一定の専門性・技能を有し即戦力となる人材
・12分野の受入れ見込数(5年間の最大値)の合計:345,150人
特定技能1号・2号とは?
特定技能には「1号」と「2号」があります。
○ 特定技能1号
特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格(全12分野が対象)
○ 特定技能2号
特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格(現時点は「建設」と「造船・舶用工業」のみが対象)
※2023年6月9日、特定技能1号の「介護」分野以外の特定産業分野が、特定技能2号の対象となることが閣議決定されています。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
それぞれのポイント
特定技能1号 | 特定技能2号 | |
在留期間 |
通算最大5年間 |
3年、1年又は6か月ごとの更新で、更新回数の制限なし |
技能水準 |
産業分野別の技能評価試験がある (技能実習2号を良好に修了する外国人は試験免除。介護の場合は、介護福祉士養成施設を修了した方とEPA介護福祉士候補者としての在留期間満了(4年間)の方は試験免除対象) |
技能評価試験がある |
日本語水準 | 国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験(JLPT)N4合格(介護の場合は介護日本語評価試験がある) | 試験等での確認は不要 |
家族の帯同 | 基本的に認められない | 要件を満たせば可能 |
支援の必要性 | あり | なし |
日本語水準と技能水準について
在留資格「特定技能」を取得するには、定められた「日本語試験」とそれぞれの産業分野の「技能試験」に合格する必要があります。
ほかの在留資格と比較した場合の能力水準は下記通りです。
日本語試験について
全分野において、「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」または「日本語能力試験(JLPT)N4」以上のどちらかに合格する必要があります。介護分野のみ、上記の日本語試験に加え、「介護日本語評価試験」の合格が必要です。
技能試験について
12分野それぞれ技能評価試験が実施されています。
「特定技能1号」外国人材には「支援」が必要
特定技能1号人材を受入れる際に、受入れ機関はその外国人材に対して職業生活上、日常生活上または社会生活上の支援を計画し、実施することの義務があります。ただし、その支援計画の全部または一部の実施を「登録支援機関」に委託することができます。
「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針について」で示されている1号特定技能外国人への支援の内容は次のとおりです。
1号特定技能外国人に対する支援 1)外国人に対する入国前の生活ガイダンスの提供(外国人が理解することができる言語により行う。4、6および7において同じ。) 2)入国時の空港等への出迎え及び帰国時の空港等への見送り 3)保証人となることその他の外国人の住宅の確保に向けた支援の実施 4)外国人に対する在留中の生活オリエンテーションの実施(預貯金口座の開設及び携帯電話の利用に関する契約に係る支援を含む。) 5)生活のための日本語習得の支援 6)外国人からの相談・苦情への対応 7)外国人が履行しなければならない各種行政手続についての情報提供及び支援 8)外国人と日本人との交流の促進に係る支援 9)外国人が、その責めに帰すべき事由によらないで特定技能雇用契約を解除される場合において、他の本邦の公私の機関との特定技能雇用契約に基づいて「特定技能1号」の在留資格に基づく活動を行うことができるようにするための支援 |
ポイント!
支援内容はすべての外国人材が安心して日本で就労、生活できるための内容です。支援の実施は義務となっており、受け入れ機関にとっても、外国人材にとってもメリットがあります。登録支援機関に委託する場合はしっかり対応してくれる業者を選びましょう。
ほかの在留資格との違い
特定技能と他の在留資格との比較(介護分野)を資料にまとめております。
ご興味のある方はぜひこちらからダウンロードしてみてください。