特定技能関連
特定技能外国人は、外国人労働者のなかでも即戦力としての働きを期待できる人材です。在留資格「特定技能」における在留期間更新の方法について、詳しく知りたい企業の採用担当の方も多いのではないでしょうか。
今回は、在留資格「特定技能」の概要と在留期間更新について解説したうえで、在留期間更新の必要書類を紹介します。また、更新の流れや費用目安、知っておきたいポイントも解説するので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
在留資格「特定技能」とは
「特定技能」とは、人手不足が顕著な12の特定産業分野において、即戦力としての活躍が見込まれる外国人労働者を受け入れるための在留資格です。対象の分野には「介護」「外食」「宿泊」などがあります。
特定技能は、以下のように2つの区分に分かれることが特徴です。
- ・1号:特定産業分野に属する相当程度の知識または経験を持つ外国人向け
- ・2号:特定産業分野に属する熟練した技能を持つ外国人向け
上記には在留期間の違いもあり、1号は通算で上限5年、2号は更新の上限なしと設定されています。いずれも、中長期的に外国人労働者を受け入れられる利点のある在留資格といえます。
参考:外務省「制度の概要」
なお、2024年3月29日には、新たに「自動車運送業」「鉄道」「林業」「木材産業」を対象分野に追加することが閣議決定されています。
参考:出入国在留管理庁「特定技能の受入れ見込数の再設定及び対象分野等の追加について(令和6年3月29日閣議決定)」
在留資格「特定技能」の詳しい種類や対象分野については、ぜひ以下の記事をご覧ください。
在留資格「特定技能」とは?種類や対象分野、技能実習との違いなどをわかりやすく解説
特定技能は在留期間の更新が必須
特定技能は、期限を迎える前に在留期間の更新手続きを行う必要があります。1号は、1年を超えない範囲で、法務大臣が個々に指定する期間ごとに更新を行い、2号は6ヵ月・1年・3年のいずれかの期間ごとに更新を行います。
在留期間の更新は、期間が満了するおおむね3ヵ月前から手続きできるようになっており、オフラインもしくはオンラインでの手続きが可能です。
更新の申請を行えるのは、特定技能外国人本人や法定代理人、外国人から依頼を受けた取次者となっています。
特定技能の在留期間更新における必要書類
特定技能の在留期間更新における必要書類として、ここでは特定技能1号の必要書類を紹介します。企業と特定技能外国人に関する必要書類だけでなく、各分野に関する書類も必要になるので、詳しく見ていきましょう。
企業に関する必要書類
特定技能外国人の受入れ企業に関する必要書類として、以下が挙げられます。
1.特定技能所属機関概要書
2.登記事項証明書
3.業務執行に関与する役員の住民票の写し
4.特定技能所属機関の役員に関する誓約書
5.次のAからBまでのいずれかの場合に応じた書類
A)労働保険事務組合に事務委託していない場合
労働保険概算・増加概算・確定保険料申告書(事業主控)の写し、
および申告書に対応する領収証書(口座振替結果通知ハガキ)の写し(直近2年分)
B)労働保険事務組合に事務委託している場合
労働保険事務組合が発行した直近2年分の労働保険料等納入通知書の写し、
および通知書に対応する領収証書(口座振替結果通知ハガキ)の写し(直近2年分)
6.社会保険料納入状況回答票または健康保険・厚生年金保険料領収証書の写し
7.税務署発行の納税証明書(その3)
8.法人住民税の市町村発行の納税証明書(直近2年分)
9.公的義務履行に関する説明書
上記のうち、1~8の書類に関して、一定の条件に該当する場合は提出を省略できます。また、9の書類に関しては、5~8のいずれかの書類提出が省略される場合に、提出が必要になります。
外国人に関する必要書類
外国人に関する必要書類には、以下が挙げられます。
1.特定技能外国人の在留諸申請に係る提出書類一覧表(本表)
2.在留期間更新許可申請書
3.特定技能外国人の報酬に関する説明書
4.特定技能雇用契約書の写し
5.(1)雇用条件書の写し
(2)賃金の支払
6.(1)申請人の個人住民税の課税証明書
(2)申請人の住民税の納税証明書
(3)申請人の給与所得の源泉徴収票の写し
7.申請人の国民健康保険被保険者証の写し、および申請人の国民健康保険料(税)納付証明書
8.次の(1)または(2)のいずれか
(1)申請人の国民年金保険料領収証書の写し
(2)申請人の被保険者記録照会(納付Ⅱ)(被保険者記録照会回答票を含む。)
9.前回申請時に履行すべきであった公的義務に係る書類
10.公的義務履行に関する誓約書
参考:出入国在留管理庁「特定技能1号」に係る提出書類一覧表(在留期間更新許可申請用)」
更新申請を行う際は、上記のほかに、申請人のパスポートおよび在留カードの提示も必要です。また、6~8の書類は、過去1年以内に提出済みで内容変更がないなどの条件に合致する場合、提出を省略できます。
各分野に関する必要書類
特定技能外国人が従事する分野に関する書類も、準備しなければなりません。特定産業分野によって必要書類は異なるので、留意しておきましょう。
介護分野を例に挙げると、以下2点の書類が必要になります。
- ・介護分野における業務を行わせる事業所の概要書
- ・協議会の構成員であることの証明書
参考:出入国在留管理庁「各分野(建設分野・農業分野・漁業分野を除く)に関する必要書類」
その他の分野に関する必要書類を知りたい方は、以下から出入国在留管理庁のホームページをチェックしてみてください。
【5ステップ】特定技能で在留期間を更新する流れ
ここからは、企業の採用担当の方向けに、特定技能で在留期間を更新する流れを5つのステップで解説します。
ステップ1.更新の必要書類を準備する
まずは、特定技能の更新に必要な、企業および外国人に関する書類を準備しましょう。書類の準備には時間を要するため、なるべく早めに着手することが大切です。
登録支援機関や行政書士などに委託する場合はサポートを受けられるので、積極的に利用することをおすすめします。なお、登録支援機関とは、特定技能外国人の受入れ企業に対し、入国から帰国までのサポートを提供する機関のことです。
登録支援機関の概要や選び方について、以下の記事で詳しく解説しています。
特定技能における登録支援機関とは?支援委託をおすすめする理由と選び方
ステップ2.地方出入国在留管理官署へ書類を提出する
次に、準備した書類を、住所地を管轄する地方出入国在留管理官署へ提出します。その際、書類を提出できる人が限られていることに注意しましょう。
更新申請の書類を提出できるのは、特定技能外国人本人、あるいは親権者・後見人などの「法定代理人」や、「取次者」の資格を有する者などに限られます。先述の登録支援機関が取次者の承認を受けている場合は、書類提出を代行してもらえます。
なお、在留期間更新はオンラインでも可能です。オンラインで手続きすれば窓口に出向かずに済むうえ、24時間365日いつでも申請できます。
ステップ3.書類の審査を受ける
申請した書類は、外国人の活動状況や素行、雇用条件の適正性などを踏まえて審査されます。出入国在留管理庁の資料によると、審査終了までの平均日数は以下のようになっています。
- ・特定技能1号:33.8日
- ・特定技能2号:40.5日
参考:出入国在留管理庁「在留審査処理期間(日数)」(令和6年4月~6月許可分)
上記のとおり、更新申請の審査にかかる日数は約30~40日です。2ヵ月以上経っても審査結果が通知されない場合は、地方出入国在留管理官署に一度問い合わせてみるとよいでしょう。
ステップ4.審査結果が通知される
審査が終わると、ハガキ・メールによって審査結果が通知されるので、内容をしっかりと確認しましょう。不許可の場合、電話や手紙といった形式で通知されるケースがあります。
ステップ5.新しい在留カードを受け取る
在留期間の更新が許可されたら、新しい在留カードを受け取ります。その際には、4,000円の手数料が必要なので、収入印紙で納付します。
なお、特定技能外国人本人以外に、代理人や取次者による在留カードの受領も可能です。
特定技能の在留期間更新でかかる費用目安
自社で在留期間更新に対応すれば、費用は証明書の取得手数料や収入印紙代の4,000円のみで抑えられます。とはいえ、手続きに慣れていない場合は外部に委託するのがおすすめです。
ここでは、外部に委託した場合の特定技能の在留期間更新でかかる費用の目安について、2つのパターンに分けて解説します。
登録支援機関に委託している場合
先述のとおり、特定技能外国人の受入れ企業は、登録支援機関によるサポートを受けられます。登録支援機関に業務をすべて委託する場合には、更新申請の手続き代行にかかる費用に関しても、月々の支援委託料に含まれることが一般的です。
登録支援機関によって支援委託料は異なりますが、目安は月額2万~3万円程度とされています。
行政書士に委託する場合
登録支援機関のサポートを受けていない場合であっても、申請書類関連の作成と地方出入国在留管理官署への提出代行などに関しては、行政書士への委託が可能です。
ただし、証明書類の準備に関しては、企業と外国人本人で用意する必要があるので留意しておきましょう。行政書士に委託する場合の費用目安は、5万~10万円程度となっています。
特定技能の在留期間更新をする前に知っておきたいポイント
ここからは、特定技能の在留期間更新をする前に知っておきたいポイントを3つ解説します。
在留期限の4ヵ月前を目安に更新の準備を始める
在留期間の更新手続きは、期間が満了する3ヵ月前から行えます。特定技能外国人本人と受入れ企業がそれぞれ必要書類を準備しなければならないので、余裕を持つために4ヵ月前くらいから取りかかることをおすすめします。
出入国在留管理庁の資料によると、特定技能の在留期間更新の処理にかかる平均日数は以下のとおりです。
- 特定技能1号:45.8日
- 特定技能2号:50.0日
参考:出入国在留管理庁「在留審査処理期間(日数)」(令和6年4月~6月許可分)
上記のとおり、特定技能の在留期間更新の処理には約1.5ヵ月かかります。申請する時期によっては、それ以上の期間を要する可能性もあるため、早めの準備を心がけましょう。
更新が間に合わなくても特例期間がある
在留期間更新の申請後、在留期間の満了日までに許可が間に合わなかった場合には、「特例期間」の適用によって引き続き在留が可能です。
特例期間とは、申請結果が通知されるとき、または在留期間満了日から2ヵ月が経過する日までのいずれか早いときまで、更新前の在留資格での在留が認められるというものです。このような特例を利用できる可能性はありますが、在留期間の満了を迎える前に、早めに申請手続きを行いましょう。
更新申請が不許可になるケースがある
在留期間の更新申請は必ず許可されるわけではないため、不許可になることもあります。以下では、不許可になる具体的なケースを3つ紹介します。
・労働条件が日本人と同等ではないケース
特定技能外国人の労働条件は、日本人と同等以上の内容にする必要があります。賃金の条件を例に挙げると、地域別最低賃金を上回っていることは前提として、同一企業で同じような業務に就く日本人と同等以上でなければなりません。
その他、残業代や福利厚生、有給休暇などの条件に関しても、日本人と外国人で差異が生じることは認められないので注意しましょう。
・協議会へ加入していないケース
特定技能外国人の受入れ企業には、分野ごとに設置されている「協議会」への加入が義務付けられています。協議会は、特定技能制度に関する情報の周知や法令遵守の啓発などを行う役割を担っています。
特定技能外国人に関する在留諸申請が2024年6月14日より前に済んでいる場合は、外国人を受け入れてから4ヵ月以内に加入が必要ですが、それ以降の申請では在留諸申請前に加入しなければなりません。
特定技能外国人を受け入れるには、協議会への加入が必須となるため、注意しましょう。
・外国人が税金や社会保険料を滞納しているケース
日本で就労する外国人には、納税や社会保険料の支払いが義務付けられています。
社会保険料を給与から天引きしている場合は支払い忘れの心配はありませんが、外国人が国民健康保険や国民年金に加入している場合、支払い忘れが起きてしまう可能性があります。そうなると、更新時の審査で消極的な要素として評価されてしまうでしょう。
企業側は、外国人の税金や社会保険料の支払い状況についても、把握しておくことが重要です。
まとめ
在留資格「特定技能」の在留期間を更新する際は、企業・外国人それぞれの必要書類に加えて、外国人が従事する特定産業分野に関する必要書類もそろえなければなりません。更新申請の審査などには時間を要するため、在留期限の4ヵ月前を目安に書類の準備を始めることをおすすめします。
なお、特定技能外国人の更新申請は、登録支援機関によるサポートを受けることが可能です。ONODERA USER RUN(オノデラユーザーラン)は、特定技能外国人の人材紹介、および登録支援機関として各種サポートに対応しています。自社のアカデミーで特定技能外国人の専門教育や育成を行っており、そのなかからニーズに沿った人材を紹介することが可能です。
もちろん在留期間更新に関するサポートも可能ですので、まずはお気軽にご相談ください。
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