特定技能関連
特定技能制度は、人手不足が深刻な分野において、一定の専門性や技能を持つ外国人労働者を受け入れる制度です。特定技能外国人の受入れ企業(特定技能所属機関)やそのサポートを行う登録支援機関は、活動や支援の状況を定期的に報告しなければなりません。
そこで本記事では、特定技能制度の定期報告について、必要な書類や提出する方法などを詳しく解説します。担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
なお、特定技能制度の概要については、以下の記事で詳しく紹介しています。
外国人労働者の在留資格「特定技能」とは?1号と2号の対象分野などをわかりやすく解説
目次
特定技能制度の定期報告とは
特定技能制度を利用する企業には、活動や支援の状況を定期的に報告する義務があります。具体的には、四半期ごとに、出入国在留管理庁(以降、入管)への届け出を行わなければなりません。
定期報告は、特定技能外国人の労働環境が適切かどうかを入管が把握するために行われています。届け出を怠ったり、報告内容に虚偽があったりすると、罰則の対象となるので注意しましょう。
特定技能制度の定期報告の必要書類
特定技能制度の定期報告では、おもに以下7つの書類の提出が必要です。
- 1.受入れ・活動状況に係る届出書
- 2.特定技能外国人の受入れ状況・報酬の支払状況
- 3.賃金台帳の写し(特定技能外国人のもの・比較対象の日本人のもの)
- 4.報酬支払証明書(給与が現金払いの場合に必要)
- 5.支援実施状況に係る届出書
- 6.1号特定技能外国人支援対象者名簿
- 7.定期面談報告書(1号特定技能外国人用・監督者用)
ただし、用意するべき書類は、特定技能外国人の受入れ企業が登録支援機関の支援を受けているかどうかで変わります。使用する書類の様式は、受入れ企業と登録支援機関のどちらに提出義務があるかによって異なる場合もあるので注意しましょう。
⑦に関しては、定期報告において必須の提出書類ではありませんが、対象期間内に面談を実施した場合には届け出が必要です。面談は3ヵ月に1回以上行わなければならないため、事実上の必須書類となります。
なお、ここで挙げたもの以外にも、状況によっては提出しなければならない書類があります。必要に応じて、作成・提出するようにしましょう。
登録支援機関については、以下の記事で詳しく紹介していますので、併せて参考にしてください。
特定技能における登録支援機関とは?支援委託をおすすめする理由と選び方
【ケース1】登録支援機関の支援を受けている場合の必要書類
ここでは、受入れ企業(特定技能所属機関)がすべての支援を登録支援機関に委託しているケースについて見ていきましょう。この場合には、受入れ企業と登録支援機関のそれぞれが、書類を作成・提出しなければなりません。
受入れ企業(特定技能所属機関)が作成・届け出を行う必要書類
受入れ企業側が用意する書類は、以下の4種類です。
- 1.受入れ・活動状況に係る届出書
- 2.特定技能外国人の受入れ状況・報酬の支払状況
- 3.賃金台帳の写し(特定技能外国人のもの・比較対象の日本人のもの)
- 4.報酬支払証明書(給与が現金払いの場合に必要)
- ①受入れ・活動状況に係る届出書
-
使用する書式は「参考様式第3-6号」です。以下の項目について記入して提出します。
- 1.届出対象期間
- 2.特定技能所属機関
- 3.受入れ状況に関すること
- 4.報酬に関すること
- 5.雇用状況に関すること
- 6.労働保険の適用状況に関すること
- 7.社会保険の加入状況に関すること
- 8.税の納付状況に関すること
- 9.安全衛生の状況に関すること
- 10.特定技能外国人の受入れに要した費用の額
- 11.その他の適格性に関すること
- 12.本届出に係る担当者
届け出の対象となるのは、雇用しているすべての特定技能外国人です。この書類は事業所単位ではなく、法人全体で1部を作成します。複数の特定産業分野において特定技能外国人を受け入れている場合でも、まとめて記入します。
なお、支援を委託していたとしても、登録支援機関がこの書類を作成することは認められていません。受入れ企業の役職員が実際に作成し、署名しなければならない点に注意しましょう。
届出事項と届出様式の詳細は、以下のページから確認できます。
出入国在留管理庁「特定技能所属機関による受入れ・活動状況に係る届出」
②特定技能外国人の受入れ状況・報酬の支払状況
「参考様式第第3-6号(別紙)」の書式を使用して提出します。対象期間内に受け入れた特定技能外国人の氏名・生年月日・住居地のほか、月ごとの就労日数と給与・控除額などを記入します。
③賃金台帳の写し(特定技能外国人のもの・比較対象の日本人のもの)
賃金台帳の写しは、特定技能外国人のものを全員分提出します。また、比較対象として申告した日本人従業員の賃金台帳も必要です。
退職などで比較対象にできる日本人がいない場合は、特定技能外国人と同一の業務に就いている日本人従業員の賃金台帳の写しを用意しましょう。
④報酬支払証明書(給与が現金払いの場合に必要)
特定技能外国人の給与を現金払いにしている場合は、報酬支払証明書の提出が必要です。書式は「参考様式第5-7号」を用いて、特定技能外国人ごとに1枚作成して提出します。
記入する内容は、特定技能外国人の氏名・生年月日・国籍/地域のほか、控除前の報酬総額や控除後の現金支給額などです。
登録支援機関が作成・届け出を行う必要書類
登録支援機関が用意する書類は、以下の3種類です。
⑤ 支援実施状況に係る届出書【参考様式第4-3号】
⑥ 1号特定技能外国人支援対象者名簿【参考様式第4-3号(別紙)】
⑦ 定期面談報告書(1号特定技能外国人用【参考書式第5-5号】・監督者用【参考書式第5-6号】)
⑤には、1号特定技能外国人支援計画書で実施予定としていた支援について、実施状況を記入します。⑥は対象期間内に支援を行った特定技能外国人の名簿で、氏名・生年月日・住居地などを記入します。
受入れ企業の支援担当者は、特定技能外国人とその監督者に対して、それぞれ3ヵ月に1度は面談を行わなければなりません。ただし、すべての支援を委託しているケースでは、登録支援機関が面談を実施します。⑦は、この定期面談を適切に行ったことを報告する書類です。
【ケース2】自社で支援を実施している場合の必要書類
ここでは、特定技能外国人の受け入れにおける支援計画を、自社で実施しているケース(登録支援機関に一部の支援のみ委託している場合も含む)について見ていきましょう。作成・届け出が必要な書類は、以下のとおりです。
- 1.受入れ・活動状況に係る届出書
- 2.特定技能外国人の受入れ状況・報酬の支払状況
- 3.賃金台帳の写し(特定技能外国人のもの・比較対象の日本人のもの)
- 4.報酬支払証明書(給与が現金払いの場合に必要)
- 5.支援実施状況に係る届出書
- 6.1号特定技能外国人支援対象者名簿
- 7.定期面談報告書(1号特定技能外国人用・監督者用)
①~④の書類は、すべての支援を委託するケースと変わりません。詳細については、前述した【ケース1】を参照してください。
⑤~⑦の書類は【ケース1】では登録支援機関が提出しますが、自社支援または一部のみ登録支援機関からの支援を受ける場合は、受入れ企業が作成して提出しなければなりません。書式も一部異なるため、それぞれについて説明します。
⑤支援実施状況に係る届出書
使用する書式は、「参考様式第3-7号」です。1号特定技能外国人支援計画書で実施予定としていた支援の実施状況について、以下の項目について記入します。
- 特定技能所属機関
- 支援対象1号特定技能外国人
- 1号特定技能外国人の支援
届出事項と届出様式の詳細は、以下のページから確認できます。
出入国在留管理庁「特定技能所属機関による支援実施状況に係る届出」
⑥1号特定技能外国人支援対象者名簿
「参考様式第3-7号(別紙)」の書式を使用して「⑤支援実施状況に係る届出書」に添付し、提出します。⑤の「2. 支援対象1号特定技能外国人」の必要事項にあたるのが本書類です。
対象期間内に支援した特定技能外国人の氏名・生年月日・住居地などのほか、在留カード番号も記入します。
⑦定期面談報告書
【ケース1】でも述べたように、受入れ企業の支援担当者は3ヵ月に1度以上、特定技能外国人とその監督者のそれぞれに対して面談を実施する必要があります。すべての支援を登録支援機関に委託していない限り、定期面談の報告も受入れ企業が行わなければなりません。
その際に使用するのが本書類で、1号特定技能外国人用と監督者用の2点が必要です。書式は、登録支援機関側が作成・報告するときと同様に「参考書式第5-5号」と「参考書式第5-6号」を用います。
それぞれの書類には、対象者の氏名と面談結果、法令違反があった場合の対応などのほか、面談実施者の氏名も記入します。
特定技能制度の定期報告の対象期間と提出期限
特定技能制度の定期報告は、四半期の対象期間ごとに行わなければなりません。つまり、3ヵ月に1回、1年に4回の届け出が必要です。
以下に、報告の対象となる期間と書類の提出期間について、下表にまとめました。
対象期間 |
提出期間 |
|
第1四半期 |
1月1日~3月31日 |
4月1日~4月15日 |
第2四半期 |
4月1日~6月30日 |
7月1日~7月15日 |
第3四半期 |
7月1日~9月30日 |
10月1日~10月15日 |
第4四半期 |
10月1日~12月31日 |
翌年1月1日~年1月15日 |
なお、提出期間内に届け出ができなかった場合は、その理由を「理由書」に記入して添付する必要があります。
特定技能制度の定期報告の届出方法
特定技能制度の定期報告は、前述した提出期間内に所定の行政機関へと届け出る必要があります。必要書類を窓口へ持参または郵送して提出するほか、電子届出システムによるオンラインの届け出も可能です。
ここからは、定期報告の提出先と、電子届出システムを利用するための事前準備について説明します。
定期報告の提出先
定期報告の届け出は、受入れ企業の住所(登記上の本店所在地)を管轄する、地方出入国在留管理局または同支局に対して行います。
提出先の所在地や担当部門などは、下記のページを参照してください。
電子届出システムを利用する場合の事前準備
オンラインで定期報告ができれば便利な場合もあるでしょう。そのためには、事前に電子届出システムの「利用者情報登録」を済ませておく必要があります。
手続きをする場合は「利用者情報登録届出書」を、受入れ企業などの所在地を管轄する入管の窓口まで持参するか、郵送します。書類の提出が済むと認証IDとパスワードが発行されるので、認証IDとパスワードを利用して電子届出システムにログインしましょう。
登録手続きの詳細については、下記のページを参照してください。
登録支援機関への支援委託で負担軽減が可能!
ここまで、特定技能制度の定期報告について解説してきました。
必要書類は登録支援機関の支援を受けるかどうかによって変わるうえに、報告を年4回行わなければならないため、受入れ企業にとって大きな負担になることも少なくありません。支援担当者の負担を軽減するためにも、登録支援機関への委託を検討してみてはいかがでしょうか。
登録支援機関であるONODERA USER RUN(オノデラユーザーラン)では、「特定技能登録支援サービス」を提供しています。特定技能外国人とその監督者への定期面談の代行や、定期的に必要な届け出のサポートも行っております。この機会に、ぜひ利用をご検討ください。
まとめ
特定技能外国人の受入れ企業(特定技能所属機関)には、活動や支援の状況を四半期ごとに届け出る義務があります。定期面談を実施するとともに、その結果も報告しなければなりません。
ただし、定期報告に必要な一部書類の作成・提出と定期面談は、登録支援機関に委託することも可能です。負担軽減のためにも、登録支援機関の活用を検討してみてはいかがでしょうか。
登録支援機関であるONODERA USER RUN(オノデラユーザーラン)では、外国人を在留資格「特定技能1号」として受け入れる際の「特定技能登録支援サービス」を提供しています。法務省の規定による義務的支援10項目の実施はもちろん、人材の定着に繋がる独自サービスもご利用いただけます。
外国人材の採用や登録支援機関への委託に関してご興味をお持ちの方は、お電話やWebフォームよりお気軽にお問い合わせください。
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