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外国人の身元保証人とは? 責任範囲と注意点について説明します

2026.06.11

外国人の身元保証人は、日本での安定した生活と法令遵守を保証する重要な役割を担います。「借金の連帯保証人」と混同されることもありますが、実際にはまったく異なる制度であり、内容を正しく理解しておくことが大切です。

この記事では、外国人の在留や採用に関わる身元保証人制度について、制度の目的や責任範囲、実務上の判断ポイントについて、わかりやすく解説します。 永住申請における特有の要件やリスクなどについても解説するので、「引き受ける側」「依頼する側」双方が適切に判断できるよう、ぜひ参考にしてみてください。

目次

外国人の身元保証人制度とは何か

まずは、外国人の身元保証人制度の概要や目的、「連帯保証人」との違いについて解説します。

身元保証人制度が設けられている目的(公的負担の回避と治安維持)

外国人の身元保証人制度は、外国人が日本で安定した生活を送れるようサポートすることを目的としています。法令を遵守できるよう監視・指導をする役割のほか、生活困窮した際に経済的な支援をしたり、万が一の際の滞在費や帰国旅費を負担したりします。

民法上の「連帯保証人(借金・家賃)」と入管法上の「身元保証人」の決定的な違い

借金や家賃の連帯保証人は、本人が滞納した場合、代わりに全額を支払う法的な義務を負います。一方で、身元保証人は、万が一外国人がルールを破っても、直接的な金銭支払いや刑罰は科されません。身元保証人は法的責任ないものの、道義的な「責任ある行動」を保証する制度であるというのが大きな特徴です。

入管制度における「補助的な役割」と法務大臣による指導監督権限

入管制度における身元保証人は、外国人が日本で法令を遵守して生活できるようにサポートする「補助的な役割」を担います。身元保証人に対する法務大臣の指導監督権限は、連帯保証人のような法的強制力とは異なり、主に行政上の誓約(身元保証書)の履行を促す形となります。

身元保証人が求められる主な場面

身元保証人が必要になる主な場面について、それぞれ解説します。

永住許可申請における位置づけ(日本人または永住者の保証が必要)

永住許可申請では、必ず身元保証人が必要になります。日本人または永住者の在留資格をもつ人が身元保証人として認められ、日本人や永住者と結婚している場合は配偶者が身元保証人になるのが一般的です。それ以外の場合は、勤務先の上司や同僚、友人などにお願いする場合が多いです。

就労ビザや配偶者ビザの申請時に求められるケース

就労ビザ申請の場合は、企業が雇用責任を負うため、基本的には身元保証人は不要です。ただし、小規模企業や新設会社の場合などは、入管から身元保証人を求められるケースもあります。

配偶者ビザ申請の場合は、日本人配偶者などが身元保証人となり、保証書や課税証明書を提出します。身元保証人は、原則として安定した収入・納税義務の履行が必要です。

賃貸契約や入院時など「入管法以外」で保証人が求められる場面との区別

賃貸住宅の契約時は、家賃滞納や部屋の破損、夜逃げなどのリスクに備えて家主が連帯保証人を求める場合があります。また、医療機関に入院する際や高齢者施設・介護施設へ入所する際は、入院費・利用料の金銭的保証や緊急時の連絡、退院時・死亡時の身元引き受け手として、保証人が求められます。

身元保証人になれる人の条件と考え方

どのような人が身元保証人になれるのか、望ましい要件や必要書類などについて解説します。

法律上の厳密な資格要件はないが「日本人・永住者」が望ましい理由

外国人の身元保証人は、法律上の厳密な資格要件はないものの、日本国内に居住する日本人または永住者が望ましいとされています。これは、日本社会に根を下ろしている人が保証人となることで、日本で安定して生活できる確実な定着性と信頼性が保証されやすくなるためです。また、社会的・経済的に安定している人は、法務省からの信頼が厚い点も理由のひとつです。

永住申請の場合のみ「納税証明書・在職証明書」等の提出が必要(重要)

永住許可申請の場合の身元保証人は、身元保証書(法務省の指定書式、保証人の署名・捺印が必要)と、身分証明書(運転免許証など)が必要です。また、審査の過程で入管から最新年度の「住民税の課税・納税証明書」と勤務先が発行する「在職証明書」が求められる場合があります。

友人・知人・勤務先の上司など、実務上認められる関係性の範囲

身元保証人として実務上認められる関係性の範囲は、一般的に、友人・知人・勤務先の上司など、「日本に安定して居住する日本人」または「永住者」です。また、本人と密に連絡が取れ、日本での生活を支援・監督できる関係にあることが求められます。

身元保証人の責任範囲とリスクの実態

身元保証人には、入管法上の3つの責任があり、あくまでも「道義的責任」にとどまり、罰金や逮捕などの法的強制力はありません。ここでは、身元保証人の責任範囲やよくある誤解について、わかりやすく解説します。

入管法上の3つの責任(滞在費・帰国費用・法令遵守)

まず、身元保証人は、滞在費を保証する責任があります。外国人が生活費などを自分で支払えなくなった際に、代わりに負担します。2つ目は、帰国費用の保証です。帰国するための航空券などの費用が不足した場合は、身元保証人が負担します。3つ目は、法令遵守の指導です。日本国内の法律や交通ルールなどを守るよう、指導・管理をします。

「道義的責任」にとどまり、法的強制力(罰金や逮捕)がない理由

身元保証人が負う責任の「滞在費」「帰国旅費」「法令遵守」の3点は、金銭的な損害を保証する「債務」の契約ではありません。あくまでも身元保証人は、外国人が日本で生活する際に法を守り、安定した生活ができるよう「指導・助言」する「道義的責任」を果たす存在です。

よくある誤解:外国人のクレジットカード未払いや借金を肩代わりする必要はない

外国人が違法行為をした場合の金銭的責任や刑事的責任は本人に帰属するため、身元保証人は、その債務を自動的に肩代わりする法的義務を負いません。そのため、例えば外国人が作ったクレジットカードの未払い分を法的に支払う義務はありません。

身元保証書の内容と提出実務

実際に作成・提出する「身元保証書」について、最新の様式や記載事項、提出時の注意点、虚偽記載のリスクなどを解説します。

身元保証書に記載されるシンプルな項目と誓約内容

身元保証書は、「永住許可申請用」と「各申請共通(永住許可申請は除く)」の2種類があります。どちらも記載項目はシンプルで、被保証人の「国籍・地域」「氏名」、保証人の「氏名」「住所」「職業(勤務先)」「国籍・地域(在留資格・期間)」「被保証人との関係」を記載します。

永住許可申請の場合の誓約内容は、被保証人の法令遵守と公的義務の履行に必要な支援を行うこと、永住許可申請以外の場合は、滞在費・帰国旅費・法令の遵守の保証です。

行政手続きの簡素化に伴う「押印不要」の流れと署名の扱い

2020年11月以降は原則として押印が不要となり、署名のみで提出が可能になりました。最新書式では押印欄が廃止されており、身元保証人の自筆署名があれば有効です。押印の代わりに、身元保証人の本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、在留カードの写しなど)の提出が求められる場合が多いです。

虚偽記載(実態のない保証)や説明不足が招く将来的なリスク

身元保証書の虚偽記載は、公正証書原本不実記載罪や、電磁的記録不正作出・同供用罪などの刑事罰に問われる可能性があります。また、虚偽の住居地届け出や、実態のない婚姻(偽装結婚)などが発覚した場合は、在留資格が取り消される可能性があります。さらに、信用が失われることで、将来的にビザの更新や変更が許可されにくくなるでしょう。

また、「本人を知らない」「生活費を保証する意思がない」など、保証の実態がないケースも「虚偽」とみなされます。記載内容が曖昧であったり、必要な証拠書類が不足していたりする場合も、生活実態の疑いをかけられたり、審査が進まず不許可となったりする場合があります。

身元保証人を引き受ける・依頼する際の判断ポイント

身元保証人を頼む側と引き受ける側の双方がトラブルを避けて納得して手続きを進めるためのポイントや、断り方と代替案、頼れる人がいない場合の選択肢について解説します。

引き受ける側が確認すべき「相手との関係性」と「ビザの種類(特に永住か否か)」

身元保証人を引き受ける前に、必ず相手の現在の在留状況や生活態度を確認することが大切です。相手との信頼関係が重要であるため、万が一の際に責任を負えるか慎重に判断する必要があります。また、永住許可申請とそれ以外の場合でも申請書類の様式や保証内容が異なるため、ビザの種類もしっかり確認しておきましょう。

不安がある場合の断り方のマナーと代替案

身元保証人を引き受けることに不安がある場合は、無理に引き受けてトラブルになることを防ぐためにも、誠実に断ることが大切です。「考えておく」など曖昧な態度は避け、理由を明確に伝えて断るようにしましょう。

例えば、「会社として、身元保証人を引き受けない決まりになっている」「家族との約束で、相手を問わず断っている」など、会社や家庭のルールを理由に断ると、角が立ちにくいでしょう。会社によっては身元保証人が必須でない場合があるため、人事部に確認してみることが大切です。

頼れる人がいない場合の選択肢(登録支援機関や行政書士等の活用可能性)

身元保証人の確保が難しい場合、登録支援機関や行政書士を適切に活用することで、法的なリスクを回避しつつ、スムーズに手続きを進めることが可能になります。

登録支援機関とは、特定技能外国人を受け入れる際に生活サポートを委託できる機関です。受け入れ企業と連携して生活面や職務面の監督・支援を行うことで、入管へ適法な支援体制を証明し、ビザ取得をサポートすることが可能です。

また、入申請に詳しい行政書士に相談してもよいでしょう。行政書士が入管への申請取次を行うことで、適切に書類を揃え、不許可リスクを減らすことにつながります。

まとめ

外国人の身元保証人は、本人に対して道義的責任を果たす役割を担うもので、連帯保証人のように借金や家賃の滞納を強制的に支払う法的義務はありません。しかし、本人が犯罪や法律違反をした場合は指導不足を問われ、その後は別の外国人の身元保証人になれない可能性があります。身元保証人の制度内容を正しく理解し、適切な判断をすることが大切です。

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