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特定技能外国人の住居に関する条件とは?住宅確保の背景や注意点も解説

2023.12.04

特定技能外国人を受け入れる際、企業側は住居の確保を支援しなければなりません。確保するべき住居には条件が定められているため、事前にどのような条件があるのかを把握しておくことが大切です。

今回の記事では、住居確保支援が求められる背景の解説とともに、支援方法や住居に関する条件、住居確保支援における注意点を紹介します。特定技能外国人の受け入れや住居確保支援を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

特定技能外国人の住居確保支援が求められる背景

最初に、特定技能外国人を受け入れるにあたり、企業が住居確保支援を行うように求められる背景について見ていきましょう。

住居確保支援が求められる背景には、特定技能外国人の資格の有無を問わず、来日前や来日直後の外国人が住居を借りることへのハードルの高さがあります。外国人はおもに以下のような理由から、住居を借りるのが難しいと感じるようです。

  • ・契約書類が日本語で書かれていて、内容がわからない
  • ・外国人であることを理由に大家に入居を断られる
  • ・保証人が見つからない
  • ・契約必要な費用や家賃が高い
  • ・敷金や礼金など、入居の際に必要な費用がわからない など
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また、出入国在留管理庁(以降、入管)の「在留外国人に対する基礎調査(令和3年度)調査結果報告書」によると、約40%の外国人が住居探しに困った経験があることがわかりました。

これらのことから、特定技能外国人を雇用する際には、外国人材がスムーズに日本での生活を始められるよう企業の住居確保支援が不可欠だといえます。

参照:出入国在留管理庁「在留外国人に対する基礎調査(令和3年度)調査結果報告書」

1号特定技能外国人に対する住居確保支援は「義務」

受入れ企業による住居確保支援は、1号特定技能外国人を雇用するうえでの「義務的支援」に含まれています。そのため、企業は雇用に際して「1号特定技能外国人支援計画」を立案し、住居確保の難易度にかかわらず、必要なサポートを実施しなければなりません。

適切な支援を行わなかった場合には、入管から指導や改善命令を受けたり、特定技能外国人の受け入れができなくなったりするおそれがあるため、注意しましょう。

とはいえ、採用担当の方のなかには「義務だと知っていても、具体的にどう支援すべきかわからない」と悩んでいる方もいるでしょう。そこで、以下では具体的な支援方法を3つ紹介します。

【支援方法1】社宅や社員寮を提供する

受入れ企業で社宅や社員寮を所有し、住居確保支援における間取りや設備などの基準を満たしている場合は、それらを住居として提供できます。社宅や社員寮を提供すれば、新たに物件を探したり、ライフラインの契約を締結したりする必要がなく、スムーズに入居してもらうことが可能です。

また、特定技能外国人を複数人受け入れる場合は、従業員同士のコミュニケーションの促進にも繋がります。

ただし、社宅や社員寮は受け入れる人材自身の希望する条件に沿わない可能性があるため、事前に住居の条件などを提示し、合意を得る必要があるでしょう。

【支援方法2】企業が住居を借りて提供する

社宅や社員寮を所有していない場合には、受入れ企業が賃借人となって賃貸住宅を借り、その賃貸住宅を特定技能外国人に提供することも可能です。この方法では、特定技能外国人自身が住居を探さなくて済むため、契約に必要な日本語の読み書きや審査に関する問題を解消できるでしょう。

ただし、社宅や社員寮と同様に、間取りなどの基準を満たす必要があります。家賃の予算や希望条件が外国人材自身の希望に沿うかどうかも、確認することが大切です。

また、賃貸住宅を提供する場合には、賃料を企業の利益に繋がる金額には設定してはならず、企業が敷金・礼金などの初期費用を負担しなければなりません。

【支援方法3】住居探し・賃貸借契約をサポートする

特定技能外国人自身が住居を探す場合は、賃貸物件の情報提供や不動産業者の紹介といった支援を行うことが必要です。また、本人の希望に応じて、住居探し・内見・契約締結の際に同行して日本語のサポートなどを行い、契約が円滑に進められるよう支援します。

また、希望の住居を契約するにあたり連帯保証人などが必要な場合は、受入れ企業が保証人を引き受ける、もしくは確保した保証会社の緊急連絡先となります。

外国人材自身が住居を探すケースでは、本人の希望や予算に合わせて物件を選ぶことが可能です。企業側は「本人が契約内容を理解しているか」「本人の希望に沿っているか」などをチェックしつつ、サポートしましょう。

1号特定技能外国人の住居に関する条件(ルール)

前述したとおり、1号特定技能外国人の住居を確保する際には、いくつかの条件を満たさなければなりません。

ここからは、1号特定技能外国人の住居に関する条件(ルール)について解説します。

居室の広さ

居室の広さが定められているのは、単に居住できればよいわけではなく、居住する本人が最低限生活できる程度の広さを確保しなければならないためです。

1号特定技能外国人の居室に必要な広さは、1人につき7.5平方メートル以上でなければならないとされています。7.5平方メートルは、具体的な広さで表すと4畳半~5畳程度となります。

居室は「居住や娯楽、作業などの目的で継続的に利用する部屋」を指すため、浴室やトイレ、ロフトはこの広さに含まれない点に注意しましょう。ルームシェアの場合には、居室全体の面積を居住人数で割った広さが7.5平方メートル以上でなければならない点にも注意が必要です。

ただし、次のケースに当てはまる場合は、7.5平方メートル以下の居室でも例外的に1号特定技能外国人の居住が認められます。

 

  • ・日本に在住していた技能実習生が帰国せず、1号特定技能外国人として引き続き働くなどする際に、本人がその部屋にそのまま住むことを希望する場合
  • ・技能実習生が特定技能に移行する予定で一度帰国し、同じ企業で1号特定技能外国人として働く際に、かつて使用していた居室を再度使用したいと希望する場合
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上記のケースに該当する場合でも、寝室の広さについては4.5平方メートル以上を確保する必要があります。

徴収する金額

「【支援方法2】企業が住居を借りて提供する」の章でも少し触れましたが、1号特定技能外国人に住居を提供する際は、受入れ企業が利益を得ることは認められません。企業が住居を提供した特定技能外国人から賃料を徴収する場合、賃料の設定次第では利益と判断されることがあります。

入管では、企業からの四半期報告書や徴収金額に関する説明を通じて設定した賃料を確認しているため、適切な額を把握したうえで設定しましょう。

 

以下は、入管が定めている徴収額のルールの具体例です。

【自己所有物件の場合】

物件の建設・改築などにかかった費用や物件の耐用年数、入居する特定技能外国人の人数を加味して、合理的に算出した金額であること

【借上物件の例】

管理費や共益費など、借上げに必要な費用(敷金・礼金・保証金・仲介手数料などは除く)を、入居する特定技能外国人の人数で割った金額以内であること


参照:法務省「1号特定技能外国人支援に関する運用要領-1号特定技能外国人支援計画の基準について-」

敷金・礼金・保証料などの負担

受入れ企業が賃貸住宅を借りて特定技能外国人に提供する場合、敷金・礼金はすべて企業が負担します。保証会社を利用した場合の保証料についても、企業の負担となることを把握しておきましょう。

ただし、特定技能外国人本人が住居を探して賃貸借契約を締結する場合、その敷金や礼金は本人が支払います。このケースでは企業が負担する義務はないものの、任意で敷金・礼金の一部もしくは全額を支払うことも可能です。

このように、敷金・礼金・保証料の負担の有無は、どのような方法で住居確保を支援するかによって変わります。したがって、事前に違いを理解したうえで支援内容を検討することが大切です。

特定技能外国人の住居確保支援における注意点

最後に、特定技能外国人の住居確保支援を実施する際に注意すべきポイントを解説します。特定技能外国人の受け入れや、適切な住居確保支援の方法について検討している採用担当の方は、以下の2点を把握しておきましょう。

自治体への届け出が必須

特定技能外国人の住居を確保したら、自治体へ住所登録の届け出を行う必要があります。届け出は、住居が確定してから90日以内までに行うよう定められているため、期限を過ぎてしまわないように注意しましょう。

90日以内に届け出をしなかった場合、特定技能外国人の在留資格が取り消されてしまうことがあります。受入れ企業にも不正行為があるとみなされた場合には、今後の特定技能外国人が受け入れられなくなるおそれがあるため、注意が必要です。

適切な登録支援機関に支援委託する

自社のみで住居確保を含めた特定技能外国人の支援が難しい場合は、登録支援機関に支援を委託するのがおすすめです。住居確保支援だけでなく、手続きにおける不安の解消や受け入れに関するトラブルの防止にも繋がります。

登録支援機関によって所在地や対応可能言語が異なるため、事前に確認して自社に合った機関を選ぶとよいでしょう。同じく、委託費用も変動するため、自社の予算を踏まえたうえで検討することが大切です。

まとめ

特定技能外国人を雇用する場合、外国人材本人では住居を借りることが困難なことから、受入れ企業での住居確保支援が義務付けられています。支援方法の選択肢は複数あるため、自社に合った方法を選択するとよいでしょう。

その際は、住居に関する条件を満たすこと、期限内に自治体へと届け出ることが大切です。また、自社での支援が難しい場合には、登録支援機関への委託を検討してみてください。

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