INFORMATION

お役立ち情報

その他

ホテル・宿泊業の人手不足はなぜ起こる? 原因と改善策について解説します!

2026.02.17

ホテル・宿泊業では、人手不足の問題が深刻化しており、サービス品質の低下や従業員の長時間労働、人材の流出などのさまざまな問題を抱えています。人手不足が起こる背景や現状を理解し、適切な改善策を講じていかなければ、従業員の疲弊や離職、顧客満足度の低下など、さらなる悪循環へと繋がる恐れもあります。

この記事では、ホテル・宿泊業での人手不足の現状や原因、改善策について詳しく解説していきますので、ぜひ最後までお読みください。

ホテル・宿泊業での人手不足の現状

ホテル・宿泊業における人手不足の問題は、コロナ禍の影響や訪日観光客の増加などのさまざまな要因が複合的に作用し、極めて深刻な状況であるといわれています。まずは人手不足の実態について、データをもとに解説します。

統計データから見る人手不足の実態

帝国データバンクが公表した「人手不足に対する企業の動向調査(2025年10月)」によると、全業種を対象とした調査結果として、2025年10月時点で正社員が不足していると感じている企業は51.6%、非正社員が不足していると感じている企業は28.3%となっています。

こうした全体・業種別の傾向を踏まえたうえで旅館・ホテル業の状況を確認すると、正社員について「人手不足」と回答した割合は、2025年10月時点で56.4%、非正社員について人手不足と答えた企業の割合は59.0%となっています。

特に非正規社員については、全業種の中でも「人手が不足している」と回答した企業の割合が最も高かった業種が、旅館・ホテル業となっており、旅館・ホテル業における非正規社員の人材不足が他業種と比べても顕著であることが分かります。

人手不足と答えた企業の割合の推移を見てまいりますと、2022年末から2023年初頭にかけてをピークに、その後は徐々に低下しています。ただし、現在においても半数を超える企業が人手不足と回答しており、旅館・ホテル業界では引き続き、人手不足が慢性的な状態にあると整理することができます。

出典:帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2025年10月)」より引用

 

その他の調査としては、観光庁の調査では、宿泊業分野における2017年度の有効求人倍率は6.15倍でした。有効求人倍率の全職業平均は、2017年度は1.38倍、202511月は1.18倍となっており、ホテル・宿泊業は全職業のなかでも高い水準となっているといえます。

厚生労働省の調査では、2022年3月卒業者の就職後3年以内の離職率は、高卒者が37.9%、大卒者が33.8%でした。産業別の離職率は「宿泊業・飲食サービス業」が最も高く、高卒者が64.7%、大卒者が55.4%と、全職業平均と比べると圧倒的に高いことがわかります。

出典:帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2025年10月)」
出典:観光庁「観光を取り巻く現状及び課題等について(令和3年11月25日)」
出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和7年11月分)について」
出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)を公表します」

コロナ禍の影響

コロナ禍により観光需要が激減した影響で多くの宿泊施設が休業や営業規模の縮小などを余儀なくされた際に、ホテル・宿泊業では非正規従業員を中心に多くの人材が流出しました。

帝国データバンクが2023年4月に実施した調査によると、ホテル・宿泊業は、コロナ禍の影響によって「総従業員数が減少した(戻っていない)」と回答した企業が6割を超え、最も多くなっています。コロナ禍に流出した人材が観光需要が回復するなかでも業界に戻らず、コロナ禍前の水準に戻せない状況が続いているといえます。

出典:帝国データバンク「特別企画:企業の「正社員・アルバイト」従業員数動向調査」

訪日観光客の増加

訪日観光客は、コロナ禍からの回復を経て急増しており、今後も増加が見込まれています。日本政府観光局の調査によると、2025年12月の訪日外客数は361万人で、前年同月比で3.7%増となり、12月として過去最高を更新しました。また、12月までの年間累計が4,268万人となり、年間過去最高を更新しています。

出典:日本政府観光局(JNTO)訪日外客統計

 

日本では、2030年までに「訪日外国人旅行者数6,000万人」「訪日外国人旅行消費額15兆円」を政府目標としており、「持続可能な観光」「消費額拡大」「地方誘客促進」に関する取り組みを推進しています。

訪日観光客が急増し、今後も増加が見込まれる現状において、ホテル・宿泊業では需要の増加に対応するための人材確保が急務となっているといえるでしょう。

出典:日本政府観光局「訪日外客数(2025年12月推計値)」
出典:国土交通省 観光庁「観光立国推進基本計画(第4次)について」

ホテル・宿泊業で人手不足が起こる原因

ホテル・宿泊業で人手不足が起こる原因にはさまざまなものがありますが、ここでは主な原因である「労働環境の厳しさ」「長時間労働」「賃金水準の低さ」「福利厚生の不足」の4つについて、詳しく解説します。

労働環境の厳しさ

ホテル・宿泊業は、24時間体制・年中無休体制で夜勤や早朝勤務を含む不規則なシフト勤務になるケースも多く、生活リズムが乱れやすくなってしまいます。また、土日祝日や年末年始、ゴールデンウィークなどが繁忙期にあたるため、旅行などの長期休暇が取りにくい場合が多いです。

不規則なシフト勤務による体力的な負担や休みのとりにくさなどの労働環境の厳しさが人材流出の一因となり、人手不足のしわ寄せによって現場の一人あたりの業務範囲が広くなってしまうケースもあります。チェックインや案内、清掃など、複数の業務を限られた人数で分担する必要があるため、より労働環境が厳しくなるという悪循環が生まれてしまいます。

長時間労働

ホテルや旅館は24時間常時稼働しているため、シフト制で早朝勤務や深夜勤務が発生し、拘束時間が長くなる傾向があります。食事提供や清掃などの肉体労働、長時間の立ち仕事なども多く、体力的な負担が大きいと感じるケースもあるでしょう。

また、業務の合間に数時間程度の長い休憩を挟む「中抜けシフト」や「たすき掛け」と呼ばれるシフト形態が導入されている場合も、長時間労働の問題に繋がる場合があります。具体的には、勤務時間中に数時間の長めの休憩を取り、午前と午後の勤務を分けるようなシフトで、仮眠や外出などでリフレッシュできる反面、実質的な拘束時間が長くなるケースもあります。

賃金水準の低さ

ホテル・宿泊業は、他業種と比べて賃金水準が低い傾向にあるため、人材の集まりにくさや離職率の高さにも悪影響を与えてしまっています。厚生労働省の調査によると、2024年の平均月収は、全産業の平均が33.04万円であったのに対し、宿泊・飲食サービス業は26.95万円となっており、全産業の中で最も低い水準でした。

賃金が低いと、より高収入を求める若年層が他業界へ流出し、より人手不足を加速させてしまいます。離職者が増えると採用・教育コストがかさみ、さらに経営を圧迫します。また、人手不足はサービス品質の低下にもつながり、顧客満足度や売上の低下によってさらなる低賃金化を招く悪循環に陥るケースもあるでしょう。

出典:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況(1)賃金の推移」
出典:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況(5)産業別にみた賃金」

福利厚生の不足

ホテル・宿泊業では、福利厚生が充実しているケースももちろんあるものの、宿泊施設による差が大きいため、従業員の満足度を大きく左右する一因になっています。

ホテル・宿泊業では、社員寮や住宅手当が手厚いケースや、自社施設や提携施設の割引利用、食事補助などが充実しているケースもあり、従業員本人はもちろん、家族も利用できる制度によって満足度が高まっている企業もあります。

反対に、福利厚生制度が充実していないと、求職者にとっては魅力を感じにくかったり、従業員の離職の一因になったりするでしょう。福利厚生の充実が人材確保・定着の鍵となるのに対し、多くの施設で改善が追いついていない現状があります。

ホテル・宿泊業の人手不足対策

ホテル・宿泊業における人手不足対策としては、たとえば「労働環境の改善と働き方改革」「待遇の改善」「福利厚生や手当の見直し」「IT・DX化による業務効率化」などが考えられます。それぞれの対策について、詳しく解説します。

労働環境の改善と働き方改革

人手不足を解消するためには、休暇の取りにくさや長時間労働を解消するなど、労働環境の改善が必要です。具体的には、「年間休日数を増やす」「夏季・冬季休暇を導入する」「有給休暇の取得を促進する」などの取り組みが挙げられます。

また、時間外労働の上限規制を遵守し、残業に頼らないシフトを作成することも大切です。たとえば、安定した働き方を実現するために固定シフト制を導入する方法もあります。

固定シフト制とは、勤務する曜日や時間帯があらかじめ決まっており、特別な事情がない限り毎回同じスケジュールでシフトを組む働き方です。ただし、生活リズムが整いやすい反面、急な休みや連休が取りにくいといったデメリットを理解しておくことも大切です。

待遇の改善

人手不足を解消するためには、待遇面の改善も重要な要素のひとつです。ホテル・宿泊業は他業種と比べて賃金が低い傾向にあるため、他業種並み、業界水準以上の給与を提示することで、優秀な人材の確保や定着率の向上に繋がります。

また、経験やスキルに応じた昇給制度を導入することも効果的です。昇給・昇格の基準を明確化することで、従業員のモチベーション維持にも繋がるでしょう。

さらに、職務内容が同じであれば正規・非正規問わず同額の賃金となるようにする「同一労働同一賃金」の徹底も重要です。雇用形態による不合理な待遇差を解消することで、従業員のモチベーション維持や人材の定着にも繋がるでしょう。

福利厚生や手当の見直し

従業員の満足度や定着率を高めるためには、福利厚生や手当の見直しも不可欠です。たとえば、社員寮や住宅手当、食事補助などは、従業員の生活費軽減や健康増進に繋がります。また、提携施設の割引利用やジム補助、ベビーシッター補助など、従業員のニーズに合わせたものを導入することも効果的です。

また、役職手当や資格手当、語学手当など、手当を見直すことで従業員のモチベーションの向上に繋がる場合もあります。

福利厚生が充実していることは、求職者にとっても大きな魅力となり、優秀な人材の獲得にも繋がります。また、従業員の満足度が高まることで定着率が向上し、採用・教育コストの削減にも繋がるでしょう。

IT・DX化による業務効率化

ホテル・宿泊業においても、IT・DX化による業務効率化は急務であるといえます。たとえば、手書き台帳やFAXなどのアナログ業務をデジタル化し、情報を一元管理することで、さまざまな業務の連携が容易になります。さらに、クラウドツールで部門間の情報共有をリアルタイムにすることは、伝達ミスの防止にも効果的です。

また、予約管理システムやセルフチェックイン機、自動精算機、清掃ロボットなどで省人化・効率化を図ることも有効です。業務効率化によって従業員の負担が軽減されれば、煩雑な業務から解放され、より付加価値の高い業務に集中できる環境になります。また、業務の省人化によって、限られた人数でもスムーズに業務がまわるようになるでしょう。

ホテル・宿泊業での外国人労働者の活用

人手不足が深刻化するホテル・宿泊業において、外国人労働者の活用は急務であるといえます。ここでは、外国人労働者の活用に限定し、外国人労働者の概要や受け入れるメリット、注意点について詳しく解説します。

外国人労働者とは

外国人労働者とは、日本国籍をもたない、日本国内で働く人のことです。在留資格(ビザ)の種類によって「特定技能」「技能実習」「技術・人文知識・国際業務」など、さまざまな働き方があります。

ホテル・宿泊業においても、特定技能や技能実習、身分系在留資格(永住者、定住者、配偶者など)などの在留資格・身分に基づいて、外国人労働者が幅広い業務に従事しています。

なかでも「特定技能(宿泊)」は、一定の専門性や技能をもつ人材を即戦力として受け入れるための在留資格で、人手不足の解消を目的として創設された制度です。担当可能な業務は、フロント業務や接客、客室清掃、ベッドメイキング、レストランサービスなど幅が広いのも特徴のひとつです。

学歴・職歴不問ですが、試験の合格と日本語能力(N4以上)が必要で、最長5年までと期間が限定されている「1号」と、在留更新の上限がなく、要件を満たせば家族の帯同も可能な「2号」があります。

外国人労働者を受け入れるメリット

外国人労働者を受け入れる企業側のメリットには、人手不足の解消やサービス品質の向上などがあります。外国人労働者を受け入れることは、日本国内の労働力不足を補い、業務負荷の軽減や効率化に繋がります。さらに、インバウンド需要に対応する多言語接客の実現にもつながり、サービス品質向上や顧客満足度向上にも繋がるでしょう。

また、ホテル・宿泊業で働く外国人労働者側にもさまざまなメリットがあります。たとえば、インバウンド需要が高まっている現状において、外国人観光客への対応では、母国語でよりきめ細やかなサービスを提供できるため、大きなやりがいや自信にも繋がるでしょう。人手不足が深刻化している状況下では安定した雇用が見込みやすく、特に特定技能2号になれば長期的な就労が可能な点も、労働者側のメリットといえます。

外国人労働者を受け入れるうえでの注意点

ホテル・宿泊業において外国人労働者を受け入れる際には、在留資格に応じた適切な業務範囲を確認し、日本語能力に合わせた指導体制を構築することが重要です。特に、円滑にコミュニケーションを取るための配慮は重要な要素のひとつで、文化の違いを尊重したり、差別的な発言のないように留意したりすることが大切です。

異文化での生活や労働はストレスが溜まりやすいため、積極的にコミュニケーションを取り、相談しやすい環境を作るようにしましょう。また、相談窓口の設置や定期的な面談の実施なども効果的です。

ONODERA USER RUNの実績

株式会社ONODERA USER RUNは、全国各地域のホテル・旅館の人手不足解消を目指し、即戦力となる人材の教育に取り組んでいます。実際にOUR BLOOMING ACADEMY ダバオセンターでの無償教育を経て「宿泊分野」の特定技能資格試験に合格した人材が、宿泊施設での就労を開始しています。

フロント業務や企画・広報業務、接客業務、レストランサービス業務、安全衛生などを専門に学んだ特定技能人財は、現在ベル担当やフロント業務、デリバリーサービス、ハウス業務、ルームチェックなど、さまざまな業務を担当し、活躍しています。

ホテル・宿泊業界の今後の課題

長期的な人口減少期に入っている日本において、ホテル・宿泊業界として今後は「長期的な人材確保のための仕組み作り」と「業界全体での労働環境向上への取り組み」を行う必要があります。それぞれの取り組みについて解説します。

長期的な人材確保のための仕組み作り

ホテル・宿泊業において長期的な人材確保のための仕組みを作るためには、労働環境の改善や人材の教育体制の整備などが必要です。まずは給与の見直しやシフトの適正化、雇用形態の多様化など、働きやすい環境を整えることが求められます。

また、外国人労働者やシニア・主婦層、他業種からの転職者など、多様な人材を確保するために、教育制度を整えることも大切です。即戦力となるよう育成するのはもちろん、長期的なキャリア形成を支援する体制も用意しておくことで、定着率の向上にもつながります。

業界全体での労働環境向上への取り組み

ホテル・宿泊業では、労働環境向上によって深刻な人手不足を解消するために、主要業界団体がさまざまな研修や待遇改善に向けた取り組みを行っています。具体的には、DX化・省力化の推進や、法令遵守・コンプライアンスに関する情報共有など多岐にわたり、内容もさまざまです。

また、観光庁では、宿泊施設における業務効率化や施設間連携による生産性向上を支援する取り組みも実施しています。

出典:国土交通省 観光庁「宿泊施設における生産性向上の促進」

まとめ

ホテル・宿泊業では、コロナ禍の影響や訪日観光客の増加などのさまざまな要因が複合的に作用し、人手不足の問題が深刻化しています。現状を正しく理解し、労働環境の改善や外国人労働者の活用などを通して、人手不足が引き起こす悪循環を断ち切ることが求められます。

株式会社ONODERA USER RUNは、日本語・特定技能の専門教育から人材紹介、就業後の生活や資格取得に向けた学習支援までをワンストップで行い、安定して長く働ける人材をご紹介しております。人手不足でお困りでしたら、ぜひお気軽にご相談ください。

お問い合わせはこちら

特定技能とは?

2019年4月に創設された、人材の確保が困難な16の産業分野等における人手不足に対応するため、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人材を労働者として受け入れる在留資格のこと。
在留資格「特定技能」とは?種類や対象分野、技能実習との違いなどをわかりやすく解説

外国人労働者の採用をお考えの方に!

外国人労働者受け入れのメリット・デメリットについて詳しく解説しています。
外国人労働者受け入れの現状は?雇用のメリット・デメリットや問題点、流れなどを徹底解説

お問い合わせ

ご不明点やご質問などお気軽にご連絡ください。