事例紹介

CASE STUDIES

社会福祉法人恩賜財団 済生会 横浜市南部病院

「さまざまなところに耳を立て、話を聞き発言してくれているので、
仕事への意識の高さや責任感が感じられます。」

2025.04.14

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施設情報

社会福祉法人恩賜財団 済生会 横浜市南部病院は、横浜市地域中核病院の第1号として1983年JR港南台駅から至近の地に開院され、「思いやりの心と質の高い医療で、地域の皆さまから信頼される病院を目指します」の理念のもと、総合病院として高度で質の高い医療を提供されています。

当社からは、2025年2月時点で特定技能4名(ミャンマー)をご紹介しております。

施設名
社会福祉法人恩賜財団 済生会 横浜市南部病院
所在地
神奈川県横浜市
HP
https://www.nanbu.saiseikai.or.jp/
採用人数
4名(ミャンマー)
登録支援の利用
当社に委託
※注意※
当記事に関する病院への直接のお問い合わせはご遠慮ください。

受け入れ施設のインタビュー

MA室 荒川様、皆川様

MA室 荒川様、皆川様

「4名の特定技能人材の採用で部署の雰囲気が明るくなり、業務を教えている日本人スタッフもとても楽しんで教えてくれているように感じます。」

※本インタビューは2025年2月に実施いたしました。

 

1)外国人看護補助者の採用を検討されたきっかけとOURからご採用いただいた決め手を教えて下さい。

 

当院では、日本人の看護補助者の応募は年に数名あるかどうかです。今回の特定技能外国人材採用のように、4名が同時期に入職するということは今まではなく、募集が来る時期も明確ではありません。派遣の方にお願いする方法もありますが、直接雇用と派遣の方では雇用条件も異なります。 直接雇用で働いていただきたいという当院の方針もあり、採用が難しい状況でした。そういった中で、外国人看護補助者の採用を検討しました。

OURさんから採用を決めたのは、話を聞く中で海外現地に自社で学校を作り、教育をしっかり行っているということが確認ができたので、すぐにでも来ていただきたいと思ったからです。特定技能外国人材の採用が初めてということもあり、一番しっかりしていると感じたOURさんへお願いすることにしました。

 

・OURに支援も委託いただいておりますが、サポート面で期待していることはございますでしょうか。

入職当初は、4名に対して偏見を持っている患者さまもおり、傷つく言葉もありました。その際に、すぐにOURさんの支援担当者の方に母国語で説明やお話をしてもらいました。何かあったときに、母国語ですぐにお話ができるサポート環境があるのは、日本で外国人材が安心して就労することにつながると思います。私たちや看護部のスタッフが伝えてもなかなかこちらの意図が伝わりにくいところがあるので、そういった部分での支援を期待しています。

また、4名とも介護福祉士を目指しているので、勉強が大変という声もあります。入国後の日本語の教育のサポートも引き続きOURさんにはお願いできると嬉しいです。

 

2)受入れ前に抱いていた不安や心配事はございましたか。

言葉の壁や習慣の違いがどのくらいあるのかが不安でした。また、宗教についても配慮が必要なのか等、心配していましたが4名はミャンマー出身で仏教国ということもあり、実際に特別な配慮などの必要はありませんでした。

 

・入国前には内定者交流会へご参加いただきました。感想をお聞かせください。

オンライン上でしたが、コミュニケーションがしっかり取れたので安心しました。面接から時間が経っていましたが、日本語もかなり上達していると感じました。まだ、片言なところもありましたが、それでも入国前の期間に日本語の勉強をしているというのが伝わってきました。

また、交流会実施中に、通信障害が起きましたが、その際にも慌てずに対応している姿を見ることもできたので良い時間になりました。

 

3)受入れにあたり準備されたことはございますでしょうか。

生活面については、まずは住居の手配を行いました。当院の側に公団の賃貸が多くあるので、そこを確保し、家電や毛布、タンスなども全て用意をして、入国後すぐに生活ができるようにしました。実は、当院の近くに、すでにOURさんから特定技能人材を採用して受入れをおこなっていた病院さんがいらっしゃったので、外国人材をスムーズに受入れるための方法を教えてもらい、参考にしました。

また、業務面ではOURさんに行っていただいた「やさしい日本語講座」を対面で2回実施しました。アーカイブ動画も用意をして、特に一緒に勤務する病棟のスタッフや看護助手の方にはコミュニケーションエラーを防ぐという目的で、必ず見てもらうようにしました。そして、私たちは事務方ですが受入れ時の手続きやOURさんとの連絡、全体の打ち合わせの調整の部分で協力をし、万全の体制になるようにしました。

 

4)実際に4名を受入れてみての印象をお聞かせください。

ミャンマーは宗教が仏教の国ということもあり、すぐに良い返事をしてくれますし、しっかりとこちらの目を見て話ができます。特に外国人材だからというわけではなく、とてもフレッシュな良い方々を採用することができたと感じています。期待以上に、活躍してくださっています。

また、みなさん明るく真面目です。他のスタッフからも、「みなさん楽しそうに働いているね」という話を聞くので、国籍など関係なく職場に馴染んでいると感じました。これほど早く職場に馴染んでくれるとは思ってもいなかったので、本当に良かったです。

 

・4名の採用が与えた一番の影響はございますでしょうか。

4名を受入れるために実施したやさしい日本語です。やさしい日本語講座を受講して、ある部署から医療職同士や患者さんに対してもわかりやすい言葉をもう一度考えようというようなことがあり、あらためてコミュニケーションについて見直す機会になりました。とてもありがたいです。

また、彼女たちには二つの病棟にわかれて勤務していただいていますが、その部署に関しては以前よりも明るさが増したと思います。業務を教えている日本人スタッフももちろん手間はありますが、とても楽しんで教えているように感じます。

 

5)初めて外国人材を受け入れる施設へのアドバイスをお願いします。

個人的には自分の子どもよりも若い世代なので、自分の子どもが就職したときにどのようにしたら、業務しやすいかという視点で対応を行ってきました。特に海外で働くということは、彼女たちにとって大変なことだと思いますが、頑張って業務していただいているので、そこは引き続きうまくサポートしていきたいと思います。日本語でわからないところは、コミュニケーションをよくとって、年上の男性からは伝わりにくいところは看護助手さんや看護師さんから伝えていただくなど、色々な人で見守り、フォローできれば良いと思っています。

初めて外国人材の受入れを検討されている病院や施設は、一つの部署だけに外国人材のサポートを任すのではなく、病院全体で受入れて、見守っていく体制を作っていくことが良いのではないかと思います。

現場で4名にご指導いただいている看護部のみなさまへもお話をお伺いしました。

 

6)外国人看護補助者の受入れにあたり、不安に感じていたことや現場で準備されたことをお伺いできますでしょうか。

初めての受入れということで、どのような業務の仕組みが良いのかをとても考えました。 そして、ミャンマーでもまだ働いた経験がない若い方の受入れということもあり、看護の世界でよく行われている「プリセプター制度」の導入を決めました。これは、一人の新人さんに対し、一人の先輩がついてマンツーマンで育ていく方式です。今までは新人の看護補助者が入職されると部署の誰かが業務を教えるというように、新しく入職された看護補助者に対する、教育方法の仕組みを当院では持っていませんでした。今回からしっかり教育担当をつけ、責任を持って4名を育てることができるプリセプター制度をスタートしようと思いました。

その後、教育担当者を選出し、プリセプター制度はどういうものなのか、外国人の看護補助者や特定技能制度のこと、ネットの情報ではありますがミャンマーの方はどのような特徴があるのかということを事前にみんなで学習しました。

 

また、私たちにとってはミャンマーから入国してきて日本で初めて勤務する外国人の看護補助者の受入れというのは未知の世界でした。みんなで調べて学習し、準備をしていても「これは本当なのか」と思うことがたくさんありました。例えばミャンマーの人に触れてはいけないなどというような内容も掲載されていました。そこで、4名が入職してから「日本とミャンマーの文化や生活の違い」をテーマにみんなでグループワークを行いました。私たちもミャンマーについて学習しましたが、彼女たちも日本のことを勉強してきています。お互いが学習をしてきたことを話す場として実施しました。彼女たちからも「日本人は食べ歩きをしない、ゴミを絶対に外に捨てない」という日本や日本人へのイメージを聞くことができました。その会話のなかで、彼女たちそれぞれの個性やされると嫌なこと、コミュニケーションがどのくらいとれるのかというところを知る機会になるようにグループワークを通した仕掛けづくりをしました。

 

そして、業務の書類やタイムスケジュール、患者さまのお名前もすべて漢字表記で日本人向けの環境になっていました。業務に関する書類はわかりやすくひらがなのものを用意し、患者さまのお名前も漢字とともにカタカナ表記がわかるようなデータを用意しました。患者さまの間違いをしてしまうことが一番怖いので、準備の段階で病棟や院内でできることを工夫しました。

 

7)現在の4名への評価はいかがでしょうか。

直近の3,4か月の吸収率がすごいです。業務や日本語の覚えも早く、勉強しているということが伝わります。患者さまのお名前と顔を覚えることも早いので、逆に私たちが「昨日入院してきた○○さんです。」というように教えてもらうこともあります。日本語についても、私たちが普段使わないかしこまった言葉で話しかけてくれることもあります。

 

患者さまは、最初のころは偏見を持たれる方もいらっしゃいました。ですが私たちが患者さまと話をしたり、本人たちがめげずに患者さまのケアを続けることで、心を開いてくれていました。それ以降は、患者さまが偏見を持つということもなくなり、むしろ彼女たちに名前を聞いて、しっかり名前を呼んで話しかけています。私たち日本人の看護補助者が思わず嫉妬してしまうぐらい大人気です!忙しいときにナースコールが何度かなっても、彼女たちはやさしく「また来ますよ」と丁寧に声かけをしてくれています。この部分は私たちが見習わなければならないところです。

 

業務も一生懸命ですし、さまざまなところに耳を立てて、話を聞いて発言してくれているので、仕事への意識の高さや責任感が感じられます。最近では、本人たちと相談をして、土日に一人で出勤するシフトも始めました。翌日に同じシフトで勤務していた看護師に土日の様子を聞くと、現在は、1人では対応できない搬送業務以外は、特に問題なくこなし、一生懸命働いてくれているのでとても助かっているという話がありました。ほかのスタッフからも土日に出勤できる看護補助者の人数が少ないので、助かるという声もあります。

 

8)現在4名が行っている業務内容を教えてください。

現在は、自分で移動ができる方の検査までの案内、清拭からおむつ交換、洗い物、ベットメイキング、シャワーの見守り介助や検体を届ける業務を行ってもらっています。

また、最近では物品の調整も覚えて、足りない物品の発注や壊れてしまった機械の修理依頼などを、電話を使ってやり取りを行っています。シーツ交換や食事に関しての記録はパソコンを使用して入力してくれています。

 

9)指導するうえで気を付けていることはございますでしょうか。

指導するうえでは、日本語の説明をすることが難しいです。特に、スリスリやキリキリというオノマトペや間接的な表現は、何と言ったら彼女たちに伝わるのかということを考えさせられます。例えば、患者さまから「ちょっと寒い気がする」と言われたら日本人だと毛布などを用意しますが、直接「毛布を持ってきて」と言われたわけではないので、彼女たちにとっては理解することが難しい日本語の表現だと思います。

私たちも指導する中で、つい使用してしまう表現のため、簡潔にわかりやすく伝える事を意識しています。一方で、これから日本で働くうえでは必要な表現でもあるので、「日本人はこのような表現を使う人が多いよ」と伝えて、覚えてもらうようにしています。

 

10)今後の業務の予定と課題と感じる部分をお聞かせください。

今月から、日本人スタッフがサポートにつきながら夜勤を開始しました。4月ぐらいからは夜勤の独り立ちができるのではないかと思います。

課題に感じていることは、業務の優先順位をつけることです。今はそこが難しいときがあるようです。夜勤の独り立ちができるようになると自分で考えて動かなければならないので、この点は現在の課題点と感じています。

また、日本ならではの気づかいも大切だと思います。例えば、リネン庫においてあるシーツもただ積んであればよいのではなく向きをそろえる、ベッドメイキングの向きや角をきれいにするなど、次の人が使いやすいような整理整頓について自然とできるようになると良いと思います。

 

11)外国人材に対して期待していること、今後希望していることはございますか。

看護補助者の採用は非常に難しい状況です。少子高齢社会の中で、特に私たちの医療業界では、外国人の方々の力に頼らざるを得ないと感じています。今後、日本は、彼女たちのような存在が中心となる時代へ向かっていくと思います。彼女たちを育成し、さらに優れた人材を引き寄せられるようにしていきたいです。

私たちは今回の採用で、よい人材に恵まれたと思っています。少し上から目線になってしまいますが、入職してくれて本当にありがたいですし、今後も期待しています。

紹介人材コメント

左:ランさん、右:スーさん(仮名)

左:ランさん、右:スーさん(仮名)

「患者さまからの、“仕事に心がこもっているね”という言葉が私のモチベーションになっています。」

1)日本で働きたいと思った理由を教えて下さい。

スーさん:私はミャンマーの大学で法律の勉強をしていましたが、大学3年生のときに国の情勢などが原因で辞めました。その後、海外で働きたいと思い、インターネットで調べて日本の介護の仕事を見つけました。日本は外国人にとっても安全な国だと有名なので日本で働きたいと思いました。

 

ランさん:私は高校を卒業したときに海外で働きたいと思いました。日本はルールを守り、安全で綺麗な国です。日本で遊びに行きたいところがいっぱいあるので、日本で働きたいと思いました。

 

2)介護の仕事を選んだのはなぜですか。

スーさん:ミャンマーでは仕事の数が人口よりも少ないので、国で良い仕事を見つけるのは難しいです。日本の仕事を探しているときに、介護の仕事を見つけました。私の祖母は今年83歳で、毎日ミャンマーでお世話をしていました。だから、介護の仕事ができる自信があったので、この仕事を選びました。 

 

ランさん:私も子どものころから祖父母と一緒に住んでいたのでいつもお世話をしていました。少し難しくて大変でしたが、祖父母の笑顔を見ると達成感を感じました。その時にお年寄りの役に立ちたいと思ったので、介護の仕事を選びました。少し大変ですが、患者さまの笑顔を見ると、やはり嬉しいです。

 

・ミャンマーの介護の概念と日本の介護の概念で一番の違いはどこですか。

ランさん:ミャンマーではお年寄のお世話を家族が行ってくれますが、日本では本人ができることはなるべく自分でできるようにサポートしているところが一番違うと思います。

 

3)OUR BLOOMING ACADEMYに入校したきっかけは何ですか。

スーさん:日本に行きたいと思って、インターネットで日本語の学校を調べました。ですが、知り合いからOURに通っている学生は日本へ早く行っているし、日本語を学習するならOURの学校が一番いいと教えてくれたのでOURで勉強することにしました。

 

ランさん:私も日本で働きたいと思ったときに、インターネットで日本語の学校を調べました。 そのときにOURのホームページとFacebookを見つけました。 私の友達もOURで学習していて、先生たちの教え方がわかりやすいと教えてくれたのでOURに決めました。

 

4)実際に日本で働いてみての感想を教えてください。

ランさん:楽しいです。時々、ミャンマーのことを思いだすことがありますが、日本のライフスタイルが大好きなので今は大丈夫です。仕事に入る前は少し不安でしたが、みんな優しく接してくれました。仕事が一番楽しいです。

 

スーさん:お仕事はとても楽しいです。先輩たちが私達に対していつも丁寧に話をしてくれて、看護師さんも優しいです。

 

・働く前にどのような不安を抱いていましたか。

ランさん、スーさん:私達の日本語が伝わるのか不安でした。ですが、仕事の中で先輩たちがやさしい日本語で色々教えてくれました。わからないときはもう一度お願いして教えてもらっています。患者さまと話すときも、日本がわからないときに先輩に「わからないので、助けてくれませんか」と伝えています。

 

・患者さまとの関わりで気を付けていることはありますか。

ランさん:一番大事なことは、笑顔だと思います。患者さまとコミュニケーションをするときは、笑顔と優しい声を大切にしています。患者さまが怖いと感じないように気を付けています。

 

スーさん:私は患者さまがやりたいことを、やってあげるようにしています。すると、患者さまから「スーさんは優しいですよね」と言ってもらえてうれしかったです。

 

5)入職してから一番嬉しかったことと大変だったことを教えてください。

スーさん:嬉しかったことは患者さまからのあたたかい言葉です。ナースコールで患者さまのところへ行き、「どうされましたか。」というと患者さまが私に「あなたは優しいから、会いたかった。」と言ってくれました。最近は、ナースコールだけではなくて私の名前を覚えて、呼んでくれます。

そして、他の患者さまからも「あなたの仕事は心がこもっているね。」という言葉をかけてくれました。本当にうれしかったです。この言葉が私のモチベーションになっています。

 

ランさん:私が嬉しかったことは、前は1人ではできなかった仕事が、今は1人でできるようになったことです。そして、退院する患者さんが私とスーさんに「今日で私は退院です。本当にお世話になりました」と言ってくれたことがありました。本当に嬉しかったです。

 

大変なことは、今、7月にある日本語能力試験N3を受けるための準備をしているので、仕事が終わった後に勉強をすることです。休みの日も、料理を作ったり掃除したりしなければならないので勉強との両立が大変です。

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