事例紹介

CASE STUDIES

民権企業株式会社

「四川飯店のファンを1人でも多く増やしていくことを、
彼らと一緒にやっていきたいと思います。」

2024.05.21

facebook X

施設情報

民権企業株式会社は四川飯店グループを運営している企業です。美味しい料理ときめ細やかなサービスを支える“菜心是愛”の信念と“低賞感微”の心得を大切にしながら、四川料理を提供しています。現在は「四川飯店」「スーツァンレストラン陳」「麻婆豆腐・担々麺専門店」のレストランを日本各地で運営しています。

施設名
民権企業株式会社
所在地
東京都千代田区(本社)
HP
https://www.sisen.jp/
採用人数
2名(フィリピン)
登録支援の利用
当社に委託
※注意※
当記事に関する企業への直接のお問い合わせはご遠慮ください。

受け入れ施設のインタビュー

代表取締役社長 陳様

代表取締役社長 陳様

「外国人社員が四川飯店にもたらす化学変化を楽しみにしています。」

※インタビューは2024年4月に実施いたしました。

1)「四川飯店グループ」で人手不足を実感したのはいつでしょうか。

昨今の人手不足とは程度は異なりますが、人が少なくなってきていると感じたきっかけは、私が、後進の育成や求人活動などのために、料理学校や専門学校へ登壇に行く機会が増えてきた15年前の頃のことでした。なんとなく以前から聞いてはいましたが、学生さんや親御さんと話をする中で、学生数全体の減少、学校規模の縮小、中国料理を目指す学生の減少等の変化を感じたことを覚えています。
これに対し人を雇う側として、労働環境などを改善していかなければならない点ももちろんあります。しかし、みなさん中国料理を食べることは好きだけれど、自分ではやりたがらない傾向にあるということも感じましたし、中国料理に限った話ではないと思いますが、縦社会、働く時間が長い、汚れる、厳しいというようなネガティブな印象を持たれていると思いました。私自身が、中国料理や外食業界の楽しさを知っているので、そのイメージは変えていきたいと思っています。

また、時代の流れとともに、スマホやSNSの普及が進み、多くの情報が得られるようになったこともあり、離職や独立などの要素を耳にするようにもなりました。そこからとても危機感を持ち始めました。

自己実現の早期化という点を、今の若い人たちに顕著に感じます。世の中がどうなっていくのかわからないといったことからくる将来への不安などが、20~30年前と比べると明らかに高まっていると思います。そのような時代背景のなかで入社する人たちには、早々に必要なスキルを身につけ、自分で独り立ちしなければならないという意識が自ずと働くのかもしれないです。ここで勤め上げようという感覚は変わってきていますし、これは必然的な流れなのかもしれません。

しかし、四川飯店で長く勤務してくれている方もいたり、四川飯店のOBの息子さんを預かったりするということもあります。「人を育て続けていく」というのが四川飯店のモットーであるため、そこはこれからも変わりません。しっかり人を育てて、次のステップに進んでもらう。ただ、次のステップを考えるまでの速度が変化してきていることは確かなので、無視はできないと思います。

 

・「四川飯店」ブランドもあり、人材が集まりやすいのではないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。

それは間違いなくあるとは思います。ですが、料理の専門学校に行ったときに「料理の鉄人」を知っている人を聞いてみたところ2割程度でした。親御さんは私と同世代のため知っている方が多いですが、現在の若い世代からの認知としてはそのような感じです。もちろん麻婆豆腐や前オーナーである陳建一を知ってるという学生もいますが、「老舗だから」ではなく「四川飯店の味やサービス」で四川飯店ファンを増やしていきたいと思っています。

 

2)特定技能で外国人採用を検討したきっかけを教えてください。

「本当に人が欲しい」というところからがスタートでした。四川飯店では、サービスとキッチン業務の新卒採用で人を育てていくことが主流でしたが、時代の流れで中途採用も視野に入れはじめていた際に、今回「特定技能」の話を聞き、素晴らしい選択肢のひとつだと思いました。また、ネパールをはじめ色々な国籍の方と日本で仕事をしたり、私自身が10年前にシンガポールに出店した際の経験の中で、外国人材は目的に向かって愚直に突き進むというイメージが大きかったのもあります。四川飯店(シンガポール四川飯店)の卒業生で自分のお店を持って頑張っている外国人の方たちも4、5人程度いますので、四川飯店として外国人材を育てることも可能だと思い、今回ぜひ「特定技能」にチャレンジしてみたいと思いました。

これまで、新卒一括採用・育成という従来型の人事マネジメントを行っていましたが、当社の創業当時に思いを馳せると、中国から単身海を渡り日本でレストランを始めた私の祖父陳建民が持っていたのは新しい環境で成功したいという確固たる信念と、従来の常識・固定概念に囚われない自由な発想でした。現在、創業から半世紀以上が経ちすっかり老舗企業のような感覚でいましたが今回の外国人材採用を通じ、四川飯店の礎を築いたベンチャースピリットに立ち返ることができました。
現在皆様が頭に思い浮かべる「麻婆豆腐」「担々麺」といったお馴染みの料理は、当時祖父が日本で手に入る限られた食材や調味料、消費者の好みを思案しながら生み出した、本場中国とは異なる進化を遂げた日本生まれの四川料理です。もしかしたら今後、四川飯店で働く外国人社員によってこれらの料理もさらに進化していくかもしれません。彼らが私たちにもたらす化学変化を楽しみにしています。

 

3)OURから採用をした決め手を教えてください。

OURさんの一貫したサービスと実績が決め手です。弊社が採用した2人はまだこれからの就業になりますが、他業界も含め、人材の来日後の支援実績が私にとっては大きかったです。また、今回採用したマリーさんとトミーさんの2人を、安心できる環境で受入れるという点を考えたときに、OURさんの実績は、大きな安心材料になり、そこが決め手になりました。

これからの入国の流れや現場での勤務の流れを聞きましたが、制服のサイズの確認なども含めて、ここまで細かくサポートしてくれるのかと思いました。本当にそこは素晴らしいと素直に思いました。

また、お話を聞いた際に、OURさんのグループ会社である横浜FCや銀座おのでらが印象的でした。やはりベースが給食や外食業というふうに、もともとグループで持たれているので、そういう意味では我々の業界や職人組織というものに対しての嗅覚や匂いも比較的親和性を持っていただけると感じました。

 

4)オンライン交流会や入社式の感想をお伺いできますでしょうか。

※2024年2月に当社主催のオンライン交流会を実施、4月に民権企業の入社式に参加しました。

▲オンライン交流会の様子

 

オンライン交流会では、トミーさんもマリーさんもとても緊張しているように見えました。もう少し我々も緊張をほぐしてあげられるような感じにできたらよかったのですが、履歴書だけでなく実際に2人としっかりとお話ができましたし、特にトミーさんからの質問がとても多く、いろいろなことをやってみたいというようなチャレンジ精神を感じました。

入社式では、マリーさんは相変わらず緊張していましたが、頑張って特定技能試験を合格し、日本に来ることを楽しみにしてくれているんだと思いました。オンラインからの参加とはいえ、各店舗の責任者や自分たちの同期、仲間が多くいる中で、自己紹介をしてもらいましたが、一生懸命に伝えようという2人の気持ちがこちらに伝わってきました。

 

5)2030年問題が外食業界に与える影響についてどのように考えていらっしゃいますか。

※2030年問題:高齢化に伴う人口の減少により、2030年に顕在化するであろうと考えられている社会問題の総称。

 

四川飯店の企業理念のように、やはり弊社は「人」を大切にしています。人を育てるという部分で国籍は関係ありません。もちろん人口も減っていく中で、人手が足りない状況はこれからも続きますが、「スタッフをしっかり育てる、幸せにする」という考えのもと、筋肉質な組織づくりを行い、四川飯店に定着してもらえるようにしたいと思っています。

今回、マリーさん・トミーさんも5年の在留期限があります。それ以降も日本の四川飯店で働いてくれるのか、母国に帰ってまた別の道を進むことになるのかはまだわかりませんが、「少しでも長く、四川飯店の仲間として彼らが成長していく。」そういったことを続けることで、四川飯店のファンを1人でも多く増やしていくことを、彼らと一緒にやっていきたいと思います。

文化や育った環境も違う2人とともに成長していく。そのようなレストランづくりをしていくことができれば、淘汰の時代を、必ず勝ち残れると信じています。

 

)2人に期待していることを教えてください。

「四川飯店のスタッフ」として成長してほしいと思っています。言葉やサービス、キッチンなどのスキル面の成長もそうですし、四川飯店の「人」をしっかり育てるという企業理念の意味も含めて成長してほしいと思います。文化や育ってきた環境も大きく違いますが、2人には専門店の「イズム」としても成長してほしいと思っています。

 

)今後の採用計画はございますか。

明確にどのタイミングで何名を採用というのはありませんが、マリーさんとトミーさんが育つ経過を見てからではなく、間違いなく、次の一手は打っていかなければならないと思っています。すでに「ぜひうちの店舗でも受入れたい」と言ってくれている責任者もいますので、東京だけではなく地方都市も含めて、グループ全体で採用をしていきたいと思います。

 

 スーツァンレストラン陳 名古屋 店舗責任者:廣様、管理本部長:瀬戸様にもお話をお伺いしました

 

)弊社が人材をご紹介する前の店舗の採用状況を教えてください。

基本的には、調理師の専門学校、サービス関係の学校に直接、我々や本部の社員が伺い、希望する人材を我々が預かるといった新卒をメインとした採用をしていましたので、中途採用はほとんどありませんでした。そのため、比較的若い方々が離職してしまうことになり、人数としてはぎりぎりのところというのが現状でした。

「四川飯店」というネームバリューもあり、調理師の入社希望者は多いのですが、ホールとなると、ホテルや宿泊業へいってしまうので、希望者が少ない状況です。そのような中でも弊社を志望していただける方もおり採用をすることもありますが、途中でどうしてもブライダルがやりたいというような理由で離職をしてしまう方が多かったです。

 

)現地での採用面接を実施していただきましたが、OURアカデミーの印象はいかがでしたか。

海外の学校というと、フリーな感じで授業が行われるというイメージがありました。ですが、OURアカデミーでは、日本の学校教育と同じような座学が行われていて、一番驚いたのは、先生と学生がすべて日本語で会話をしているというところ、母国語ではなく、日本語を使っているというところから、日本で仕事をするという自覚と意欲がとても強いと感じました。黒板も日本語で書いてあり、日本人よりも日本語の勉強をしているイメージを持ちました。ここであれば、しっかりとした方を採用できると感じました。

学校に到着した時も学生のみなさんに歓迎してもらい、一体感がありました。学校にいる学生たちは、「和」を大事にすることや、人のことを思って行動するという部分のマインドもしっかり持ち合わせている印象でした。

 

10)配属先を決定するうえで重要視した点はございますか。

弊社は本社が東京にあります。そのため、物理的に面倒を見るという面では、まずは東京に配属することを考えました。しかし、10数店舗のレストランを展開している中で、名古屋の店舗が収益性も含めて非常にいい環境になっており、店舗責任者の廣をはじめ、しっかりとマネジメントが機能していると思いました。

また、生活環境の面を考えると生活コストが東京に比べ、非常に安いです。この2つがたまたま合致し、まずは名古屋に2人を配属するという判断をしました。やはり、生活環境は最優先で考慮しなければならないと思い、我々にとっても特定技能での受入れは初めてのことなので、そこは通常以上に意識をしました。

 

11)受入れに当たり不安なことはございますか。

不安はたくさんあります。まず、彼らの文化や習慣を我々がどう受入れていくのか、どう教えていくのか。怒り方や教え方、伝え方もそうですが、「やっておいてね」というだけでは通用しないでしょうし、どう変化していかなければならないのか、逆に2人にはどう変化してもらわなければいけないのかというプロセスを今考えています。

本来、今の悩みというのは、通常の日本人を採用する場合、特に未経験者や我々のことを知らない人を採用するときにも、真っ先に意識しなければならないことだと思います。しかし、どうしても日本人同士であるというだけで「やっといてね」とか「わかるでしょ」という言葉で、悪く言うとごまかしてきたというようなところがあり、そこが人の定着につながらない、離職につながってしまう原因の根本の1つではあると少し認識しています。この点を、今回のように外国人材を雇用することをきっかけに、業務のプロセス化をすることで、今後、未経験の方を採用しても、0から教えなくても伝えられるようになると思います。業務内容を彼らを通じてかみ砕いてアウトプットしていくという作業は、いつかやらなければいけなかったことではあるので、この機会にしっかり腰を据えてやるという意識を持ったところです。


・マニュアルなどの作成をされているのでしょうか。

今まさに作成中です。調理場の業務については、切り方などを写真にして、わかりやすくしています。ホールの業務については、ドリンクの作り方などを言葉にしたり、写真にしたりすることで「目で見てわかるもの」を作成し、それを見せながら説明するために準備をしています。ひとつ一つゆっくりでいいから、覚えてもらうというふうに考えています。

職種としては、弊社はホールとキッチンという2つのセクションに分かれますが、今回の2人に関しては、それぞれにある程度分けて指導をしつつ、半年から年ぐらいしたら最終的には交差して業務の入れ替えをしようと考えています。その様子を見て、もっとここで業務してもらったら伸びるよね、などの判断はさせてもらおうと考えています。日本人の採用は基本的にはホール志望、キッチン志望という本人たちの意向をベースに、キャリアを積ませていくような前提ですが、今回は、0から職人を育成するというような見方ではなく、あくまでお店を総合的に一通り見てもらえるような人材にしていけたらという見解です。

 

12)オンライン交流会や入社式の感想、店舗スタッフの皆様からの反応はございますか。

オンライン交流会はよかったと思います。現地に面接に行った2人(瀬戸様、廣様)は個別で会っていますが、名古屋店舗の現場のスタッフは2人の写真しか見ていないので、オンラインとはいえ顔を見ながら会話ができたので、2人の人物像を掴むことができたのがよかったと思います。

入社式もオンラインで参加していただいたので、他の店舗の責任者たちにも、2人を認識してもらえましたし、入社式後には「今後どうやって進めていくのですか。」と入社後の計画についての質問があり、他店舗のスタッフにも興味を持ってもらえたと思います。写真や言葉だけでの社内周知ではない点をメリットに感じました。

紹介人材コメント

左:トミーさん、右:マリーさん(仮名)

左:トミーさん、右:マリーさん(仮名)

「料理を通じ、人々にサービスを提供し、幸せにしたいです」

1)外食の仕事を選んだ理由を教えてください。

トミーさん:技能実習生として日本で働いていたことがあります。そのときとは違う、新しい仕事にチャレンジしたいと思いました。

マリーさん:料理を通じ、人々にサービスを提供し、幸せにしたいと思ったからです。

 

2)日本語や外食の勉強はどうでしたか。

トミーさん:外食で使う新しい言葉と漢字が難しかったです。でも、日本に行きたいから頑張ります。
今は、OURの課題帳とアニメを見て勉強しています。課題帳は全部漢字ですから難しいです。

マリーさん:日本語は難しいですが、すべての授業の教科書を読んで勉強しました。

※課題帳:OURでは特定技能合格後~来日前に、学生自身が自主学習で漢字の学習を進めることができる「課題帳」を配布しております。

 

3)入社式の感想を教えてください。

トミーさん:働くことが楽しみになりました。自己紹介は緊張しました。

マリーさん:すべての支店の責任者やスタッフ、職場の仲間に自己紹介することができてとっても嬉しいです。緊張しましたが楽しい経験でした。

 

4)入国に向けて準備していることを教えてください。

トミーさん:日本で薬を買うことが少し難しいので、フィリピンで準備しました。そして、家族とたくさん楽しいことをして思い出を作っています。

マリーさん:今はとてもわくわくしています。そして、新しい人や環境への心の準備をしています。

 

5)これからの夢はありますか。

トミーさん:私の夢はフィリピンで唐揚げとラーメンのビジネスをすることです。

マリーさん:私の将来の夢は、5年以上日本で長く働いて、民権企業で働き続けたいです。

お問い合わせ

ご不明点やご質問などお気軽にご連絡ください。