プレスリリース
特定技能外国人材は、人手不足が深刻な産業で即戦力の働きが期待できる人材です。その一方で、「自社で長く働いてもらえる?」「業務の生産性に問題はない?」と疑問を持っている方も少なくありません。
このような背景から、特定技能外国人材の育成・紹介・定着支援を行う株式会社ONODERA USER RUN(代表取締役社長:加藤 順、所在地:東京都千代田区、以下「OUR」)は、特定技能外国人材を1年以上継続して雇用した企業担当者・個人300名を対象に、アンケート調査を実施しました。
調査の結果、特定技能外国人材の定着率が日本人従業員と比べて高いことや、生産性向上に手応えを感じている企業・個人の多さが判明しました。本アンケートで、特定技能外国人材の定着促進に有効な施策や離職理由を把握し、自社の採用活動や環境整備のヒントとしてご活用ください。
【調査概要】
調査対象:1年以上継続して特定技能外国人を雇用したことがある企業の担当者または個人
調査対象人数:300名
調査対象の業種:医療・福祉、サービス業、製造業などの多様な業種
調査対象の役職:会社員(正社員) 242名、経営者・役員 38名、自営業 20名
調査期間:2025年3月4日~2025年3月21日
調査方法:インターネットによる任意回答
【調査結果サマリー】
- ・特定技能外国人材の定着率は、日本人従業員と比較し、高い傾向に
- ・定着促進には「日本語学習支援」や「社内コミュニケーションの改善」がカギ
- ・多くの人材が就業1年未満で、日本人従業員と同等の生産性を発揮
- ・生産性向上に向けて「言語能力の向上」や「多言語での評価シート」を重視
- ・登録支援機関には「企業と外国人材間の調整」や「定期的なフォローアップ」を期待
■特定技能外国人材の定着率は日本人従業員と比較し、高い傾向に
特定技能外国人材の定着率を日本人従業員と比較したアンケートでは、「やや高い」(32%)と「非常に高い」(10%)というポジティブな回答が約4割を占めています。
これらの回答割合は、「やや低い」(13%)や「非常に低い」(11%)など約2割を占めるネガティブな回答を上回っています。この結果から、特定技能外国人材の定着率は、日本人従業員よりも高いととらえている受入れ先が多いことがわかります。
なお、日本人従業員と特定技能外国人材の定着率を「同程度」とする回答は、約3割に上りました。多くの受入れ先企業などでは、特定技能外国人材が安定した人的資源となっていることがうかがえます。
■特定技能外国人材の1年後の定着率は「50-69%」が最多
特定技能外国人材の1年後の定着率に関するアンケートでは、「50-69%」が約3割と最も多い結果となりました。また、定着率が「90%以上」という回答が約1割、「70-89%」が約2割と、受入れ先によっては非常に高い定着率を達成しています。
一方、定着率が「30-49%」とする回答は約1割、「30%未満」とする回答は約2割となっており、総合的に見て、特定技能外国人材の定着率は高めであることがうかがえます。
一般的に、特定技能外国人材の定着率をアップさせるには、休暇制度の充実を図ったり、適切なコミュニケーションを取ったりして、安心して働ける環境を作ることが重要です。また、外国人材の宗教的・文化的な背景について日本人従業員が理解を深め、尊重する姿勢を示す ことで、定着率が向上する可能性もあります。
■特定技能外国人材の定着促進には「日本語学習支援」が有効
特定技能外国人材の定着を促進するうえで効果的だった取り組みとして、最も回答を集めたのは「日本語学習支援」(32%)です。特定技能外国人材が在留資格を取得する際は、日本語能力水準を試験などで確認していますが、特定技能1号外国人に対する義務的支援10項目の1つに、「日本語学習の機会の提供」が課されています。受入れ先企業などは日本語能力をさらに伸ばすための学習機会を提供する必要があります。
次いで回答が多かったのは「キャリアパスの明確化」(25%)で、「給与の改善」(21%)、「生活支援の充実」(20%)と続いています。これらの結果から、特定技能外国人材が安心して日本で働けるよう、職場・生活環境の整備に重点を置いて取り組んだことがうかがえます。
■特定技能外国人材の定着率向上に向けて「社内コミュニケーションの改善」や「技能向上の機会の提供」を検討
特定技能外国人材の定着率向上のために今後強化したい課題として、「社内コミュニケーションの改善」と「技能向上の機会の提供」が同率で36%を占めました。社内コミュニケーションを改善するためには、先述の日本語学習支援のほか、多言語のマニュアルや資料を活用 することが効果的です。
また、技能向上の機会を提供するためには、受入れ分野に適した研修などを受講してもらうとよいでしょう。例えば、外食業や宿泊などの接客サービスをメインとする業界では、より高いレベルの日本語を学べる言語研修を行う ことで、技能向上が期待できます。
次に回答を集めたのは「福利厚生の充実」(15%)で、そのあとは「家族の呼び寄せ支援」(11%)と続きました。外国人ならではの悩みなどを解消するための、法定福利厚生を設けることも検討してみるとよいでしょう。
さらに、特定技能1号では家族の帯同が基本的に認められていませんが、特定技能2号の場合、要件を満たせば配偶者・子の家族帯同が認められます。 家族の呼び寄せ支援に注力すれば、外国人材が長期で働きやすい環境を整備することにも繋がるでしょう。
■特定技能外国人材の離職理由として多いのは「職場環境への不適応」
特定技能外国人材の離職理由として最も多かったのは、「職場環境への不適応」(39%)です。外国人材が働きやすい職場環境を構築するために、やさしい日本語を日本人従業員が使う などの対策を怠らないようにしましょう。
また、「母国への帰国」(27%)や「より給与が高い企業等への転職」(24%)、「家族の理由」(10%)という離職理由もありました。特定技能外国人材は転職が認められている ため、受入れ先企業などは適切な給与体系 や休暇制度 を整備し、受入れた人材に魅力を感じてもらえるようにすることが重要です。
■特定技能外国人材の採用で生産性向上に手応えを感じたのは約4割
特定技能外国人人材の採用による生産性の変化として、「大幅に上昇」(5%)や「やや上昇」(34%)といったポジティブな回答は約4割に上りました。一方、「やや低下」(5%)や「大幅に低下」(6%)といったネガティブな回答は約1割に留まることから、特定技能外国人人材の採用をきっかけに、比較的多くの受け入れ先が生産性の向上に手応えを感じていることがわかります。
もともと在留資格「特定技能」は、人手不足が顕著な特定産業分野において、即戦力の働きが見込まれる外国人人材を受入れるために、2019年4月に創設された制度です 。「介護」「外食業」「宿泊」など16の特定産業分野において、特定技能外国人材の受け入れが可能となっているため、自社のニーズに適した人材を雇用することで、生産性の向上も期待できます。
■特定技能外国人材は多くが1年未満で日本人従業員と同等の生産性に
特定技能外国人人材が、日本人従業員と同等の生産性になるまでかかった期間の平均として、最も多かったのは「7-12ヵ月」(31%)でした。次いで回答が多かったのは「3-6ヵ月」(27%)で、早ければ「3ヵ月未満」(8%)で生産性が日本人従業員に追いついたという声もあります。
「特定技能」は、業務に必要な技能水準を試験などで確認された人材が取得 できる在留資格です。特定技能外国人はすでにある程度の技能を有しているため、その特性を尊重しながら仕事を任せていくことで、生産性がアップする可能性も あります。
なお、日本人従業員と生産性が同等になった期間として、「1年以上」と「まだ同等になっていない」という回答は同率の17%です。日本人従業員と同様に、中長期的な視点で育成・指導を行うことも大切です。
■特定技能外国人材の生産性向上に向けて「言語能力の向上」を重視
特定技能外国人材の生産性向上に向けて取り組んだ課題として、最も回答を集めたのは「言語能力の向上」(38%)です。既存の日本人従業員などと適切なコミュニケーションを図るためにも、特定技能外国人の日本語能力を伸ばすことは重要といえます。
次に回答が多かったのは、「職場環境への適応」(35%)でした。必要に応じて、外国人材が働きやすい職場環境を構築するために、経費の一部を支援してくれる助成金制度を活用するのも手です。
例えば、「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」の場合、受給要件を満たせば、通訳費や翻訳料などの経費を対象に、1制度導入につき20万円(上限80万円)の助成を受けられます。
また、「OJTの充実」(14%)や「モチベーション管理」(13%)といった回答も見られました。これらの結果から、特定技能外国人材の生産性向上のために、おもに職場で働く際の環境やコミュニケーション方法について配慮していることがわかります。
参考:厚生労働省|人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)
■特定技能外国人人材の生産性向上のために「多言語での評価シート」を導入
生産性向上のために導入している評価・フィードバックシステムとして、最も回答が多かったのは「多言語での評価シート」(35%)でした。豊富な言語に対応した評価シートを活用することで、外国人人材の仕事に関する評価を正確に伝えられます。
次に回答を集めたのは、「定期的な面談」(32%)です。これは、特定技能外国人人材に対する義務的支援10項目に「定期的な面談・行政機関への通報」が含まれていることもあり、アンケート調査でも上位になったと考えられます。義務的支援の内容としては、3ヵ月に1回以上の頻度で、支援責任者等が外国人とその上司等と面談し、万一、労働基準法違反等があれば通報する義務が課されています。
また、「ピアレビュー」(14%)や「目標管理制度」(7%)という回答が、それぞれ約1割を占めています。ピアレビューとは、業務の成果物に対する評価・検証を、職種や立場が同等の従業員が行うレビュー形式です。一方、目標管理制度とは、従業員が設定した目標の進捗度に応じて人事評価する制度です。
これらの回答結果から、特定技能外国人材に対して正確な評価・フィードバックを行えるように、さまざまな施策を実施していることがわかります。
■特定技能外国人の雇用をサポートする登録支援機関には「企業と人材間の調整役」を期待
特定技能外国人材の定着率と生産性向上のため、登録支援機関に対して期待することとして、最も回答が多かったのは「企業と外国人人材間の調整」(29%)です。そもそも登録支援機関とは、1号特定技能外国人支援計画に基づき、受入れ先企業などが実行する支援計画の全部または一部を委託できるサポート機関のことです。
先述の「日本語学習の機会の提供」や「定期的な面談・行政機関への通報」のほか、「事前ガイダンス」など義務的支援10項目に関してサポートしてもらえるので、特定技能外国人材を受入れた企業の負担を大きく減らせるでしょう。
次に回答を集めたのは「定期的なフォローアップ」(27%)で、そのあとは「キャリアアップ支援」(26%)、「文化的な橋渡し」(17%)と続きます。登録支援機関によっては、外国人向けのポータルサイトやコールセンターで生活支援をしているため、定期的なフォローアップを実施してくれます。
また、なかには入国後の学習支援を行っているという登録支援機関も。例えば、OURの場合は、Eラーニング(OUR College)やFacebook学習コミュニティ、介護福祉士学習講座などによる学習支援を実施しています。
さらに登録支援機関では、地域イベントの参加支援など、「日本人との交流促進」に関する義務的支援にも対応しているので、文化的な橋渡し役としての役割も担ってもらえます。
■まとめ
特定技能外国人材の定着率は高い傾向にあり、「日本語学習支援」や「キャリアパスの明確化」が定着促進に有効であるという回答が多く見られました。一方で、離職理由として「職場環境への不適応」という回答が多かったこともあり、受入れ先企業などでは継続的な環境改善が不可欠といえるでしょう。
また、特定技能外国人材の採用によって、生産性の向上に手応えを感じたという回答は約4割に上り、多くの人材が1年未満で日本人従業員と同等の生産性を発揮していることもわかりました。
なお、特定技能外国人材の受入れをサポートする登録支援機関に対しては、企業と外国人材間の調整や定期的なフォローアップなどを期待する声が多く上がっています。一口に登録支援機関といっても、提供しているサポート内容には違いがあるため、自社のニーズに合った登録支援機関へ依頼することが大切です。
特定技能のリーディングカンパニー
株式会社ONODERA USER RUN 会社概要
- 所在地:〒100-0004 東京都千代田区大手町1丁目1番3号 大手センタービル5階
- 設立:2016年11月1日
- 資本金:1億円
- 代表者:代表取締役社長 加藤 順
- URL:https://onodera-user-run.co.jp/
※ 当社は法務省が認定する登録支援機関です。
【プレスリリース内容はこちら】(PDF形式)
特定技能外国人材の定着率を企業担当者・個人300名にアンケート調査!生産性向上の実態や離職理由にも迫る
~特定技能外国人材は定着率が高く、生産性向上にも手応え! 採用企業が語る「定着促進のカギ」とは~
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